実に機械の進歩が早い今の世相である。人とは違い、ほぼ100%間違いのない判断をするから、これはもう有難いと言わざるを得ない。だが、その機械でも人のような判断が出来ない場合がある。こんな場合は、困った、困った…と嘆く他はありませんが…。^^
未来のとある裁判所である。いつ頃かは、敢えて書かない。^^
人の形をしたAIロボットが裁判長席で静かな声を出し始めた。抑揚のない朗読調の判決文である。
『ヨッテ、ヒコクニンハ、イトシテ、ソノコウイヲナシタカドウカハ、ヒコクニンノミガシリエルジジツデアリ、ゲンコクガワノシュチョウ、ヒコクガワノシュチョウトモ、ミトメラレナイ』
「エッ?」「…?」
原告席の検事、被告席の弁護人とも、裁判長席のAIロボットを一瞬、垣間見た。
『ヒコクニン、マエヘデナサイ…』
機械とはいえ、裁判長には逆らえない。被告人は静かに立ち上がり、裁判長の前の判決席へ立った。
『アナタハ、ツミヲオカシマシタカ?』
「ぅぅぅ…。やむなく…」
『ショウジキガ、イチバンデス。アナタハ、ショウジキデス。ケイノシッコウヲ、サンネンカン、ユウヨシイタマス』
そう言い終わると、AIロボットは何も語らなくなった。判決理由も何もなかった点が人と機械の違いだった。
人が? と首を傾げる機会による未来の裁判、あなたはどう思われますか?^^
完