最近の世相は貨幣を預けるにも手数料がかかる時代となっている。実に嘆かわしい世相だが、こればかりは、そう致しました…と、金融機関に告げられれば手の打ちようがなく、小市民にはどうしようもない。^^
少額貨幣が貯まった禿川(はげかわ)は、とある金融機関の窓口で預けようとしていた。
「あの…この枚数ですと手数料がかかるのですが…」
「えっ! そうなの? 前はいらなかったんだけど…」
「前は前、今は今ですから…」
「それはまあ…」
窓口の係員にそうにべもなく言われ、禿川は返す言葉がなく撤収することをを余儀なくされた。
「どうも、申し訳ありません…」
「あなたに謝られても…。そういう決めになったんなら仕方がないです。他を当たってみます…」
「おそらく、どの金融機関へ行かれても同じかとは存じますが…」
大きなお世話だ…とは思えたが、そうとも言えず、禿川は窓口係員に軽くお辞儀をすると、その金融機関を去った。
『バーチャル貨幣の時代か…』
カードや電子マネー決済に変化しつつある世相に禿川は少し嫌気がさした。
確かに禿川さんが思われるようなバーチャルな世相になりつつありますね。昔人間としては悲しい現実です。ぅぅぅ…。^^
完