幽霊パッション 第二章 水本爽涼
第八十二回
行動目的を纏(まと)め、そのために、どういう内容を念じればいいのか…。二人は模索に入った。正確に云うならば、一人と一霊である。
「十羽ひと唐揚(からあ)げ、でいかんとな」
『要は、効果大を狙うってことですね?』
「ああ、そういうことだ。宗教なんてものは、個人の心に根ざすところが大きいからな」
『ソマリア全土を範疇(はんちゅう)に置いて念じるということですね』
「それに限っちゃことでもないが、グローバルに念じてくれ」
『宗教感を全国民から喪失させる。まず、これが一点ですね?』
「ああ…」
二人の模索は佳境に入っていった。もう昼が近いが、まったく時間は忘れ去られている。
『宗教と民族と軍隊ですか?』
「んっ? ああ、まあな。独裁とかもある…」
『貧しいのに高価な武器はあります』
「売らなきゃ、ないのさ」
『OILの利権とかがある国々ですからね』
「いや、利権のない国のシリアだって武器はあるし、独裁政治で殺人家がトップだぜ」
『中東アジアやアフリカは滅茶苦茶な国が多いですよね』
「ああ…。今回はアフリカだが、中東アジアも悲惨だなあ」
『ええ…』
二人の声はテンションを下げた。
十二時を告げるチャイムが家の中へ届いた。上山の近くにある小学校の時報であることは紛(まぎ)れもない。そのことは、この地区の住人である上山は当然、知っているが、幽霊平林は知らないから、キョロキョロと部屋を見回している。
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