昭和四十年代に[日本沈没]という映画が上映された記憶がある。今の政治体制を考えれば、非常によく似通った現象が起こっているようにも思える。
蛸島は茹でられた蛸のような赤い顔で、湯上りの浴室を出た。
「それにしても…だなぁ~」
何が、それにしても…だなぁ~なのか? は、よく分からないが、そんな言葉を呟きながら蛸島は下着→パジャマを身に着けるとキッチンへと向かった。よく分からないままでは読者の方々に申し訳ないから、ここで、蛸島の心の内に分け入ってみよう![NHK 英雄達の選択風]。^^
『今の日本の政治は[日本沈没]の映画に似てるぞ…。一枚岩だった与党の大陸プレートが歪んで失速すれば、日本海プレートの議員達が勢いづいて日本列島の政治が沈没する…』
そんなつまらない考えをチマチマ考えながら、蛸島はキッチンの椅子へ腰を下ろした。キッチンは妻が調理したビーフ・ストロガノフのいい香りが漂っていた。
「日本列島沈没か…」
テレビ画面は政治資金による事件絡みのニュースを、ア~でもないコ~でもないと報じていた。そのニュースを観ながら、蛸島は益々、日本列島沈没の可能性を大きくして呟いた。その呟きを、調理場の妻が偶然、聞いていた。
「あなたが沈没でしょ!!」
蛸島は返す言葉がなかった。
蛸島家は幸せですねぇ~。日本列島は沈没しても決して沈みません。^^
完