名古屋能楽堂で野村萬斎さんの狂言会を観てきました。
今年で27回目の主催公演。
今回の演目は万作さんと裕基さんの「隠狸」と萬斎さんの「釣狐」です。
この冬、一番の寒波襲来で、気持ちがひるんでいるのに、不発弾処理に伴う地下鉄の部分運休も重なって、もう、出てくるなと言われている感じなのですが、何とか無事能楽堂の見所に座ることが出来ました。
「隠狸」も「釣狐」も久しぶりの演目で、同じ動物を罠にかけるお話ですが、全く違うタイプの曲。
そして、狐の方は「白狐之習」という特殊演出での上演でした。
狸を観ていて一番感じたのは裕基さんが容姿だけではなく、声質やその響きが萬斎さんにそっくりになってきた事。
萬斎さんと万作さんの「隠狸」を何度か拝見しているので、不思議な感じというか、クローンみたいと思ってしまったのですが、その後に狐を演じる萬斎さんが登場された時、何故か全く違うと感じたのでした。
やはり伝統の部分は引き継がれるけど、役者さんの個性が出てくるものなのかもしれないですね。
萬斎さんは少し前に映像のお仕事を精力的にされていて、その成果を観る機会が多かったので、多忙な中、今年、まさか狐をされるとは思っていませんでした。
登場された白蔵主の萬斎さんの面は白で、衣が緑。
これまでに拝見したことのないお姿での狐に驚きながらも、どんどん釣狐の世界に引き込まれてゆきました。
この狐の公演のために、激しいお稽古をされていて、その研ぎ澄まされた狐の姿は以前より、獣感が高かったように感じました。
今年最後の観劇でしたが、本当に良い舞台が観れたと思っています。
萬斎さんが三老曲を上演される時まで、元気でいられる自信はありませんが、頑張れるだけ、観続けられたらと思います。