名古屋能楽堂で野村萬斎さんと若村麻由美さんの平家物語の世界を観て来ました。
この公演、以前から何度か公演告知を見た事があって、一度見たいと思っていたのですが、1日だけで、平日の夜の上演ばかりだったので見送ってばかりでした。
なので、もし見られるとしたら名古屋で公演がある時かなと思っていました。
そこへ今回、中日新聞さんの130周年の記念事業として名古屋で上演されると知り、チケットを購入しました。
本当は平日の夜ではなくて、土休日のお昼というのが私的にはベストなんですが、これを逃したら観る機会が次あるかどうかもわからないので行くしかないなということで。
最初に萬斎さんと若村さんが公演についての解説というかお話をされて、平家物語を原文のまま演じるので通常の演劇とも違うし、古典芸能でもない作品だという事や、通常の能舞台では使用されない楽器が入るという説明もありました。
又、照明による演出もあるとの事で、能舞台に照明がセットされるという珍しい光景も見ることができました。
何でも、これまで上演してこられた舞台では本舞台の屋根に照明をセットできた所は無かったとの事で、名古屋の能楽堂は珍しいのだそうです。
さて、本編ですが、平家から「巴」と「千手」が上演されました。
「巴」は巴御前が個人的に好きな女性でもあるので、楽しみにしていました。
今回の「巴」は義仲との別れの場面が中心でしたが、きりっとした別れの姿が美しく、とても素敵で切ない気持ちになりました。
「千手」の方はあまり詳しく内容を知らないで拝見したのですが、謡や舞が美しく、初めて聞く楽筝の音がとても心地よくて物語に引き込まれました。
多少、言葉がわからないところもあるのですが、韻があって流れが良いので、ふんわりとした内容が掴めるので気にならず観ることができました。
「千手」は「巴」に比べて上演時間が長いと最初の解説で話されていたのですが、あっという間に終演になっていました。
客席は満席で拍手が鳴り響いていましたが、いつもの狂言会の客層とは少し違うかなという印象でした。
来年の夏に野村萬斎さんの演出で「子午線の祀り」が再演される事が発表されていますが、「子午線」も平家物語の原文を群読する場面が何度もあるので、ますます楽しみになりました。
東京だけじゃなくて地方にも来てほしいな。