本日12月14日は、赤穂浪士が吉良邸に討ち入りを行った日で、マックス・プランクが黒体放射についてのプランクの法則を発表した日で、徳川好敏陸軍大尉が日本初の飛行実験に成功した日で、ノルウェーのロアール・アムンセン隊が南極点に到達した日で、国際連盟がフィンランド侵攻を理由にソ連を除名した日で、在日朝鮮人の帰還事業で初の帰国船が新潟港を出港した日で、女子高生の冗談が元で豊川信用金庫で20億円の取り付け騒ぎが起こった日で、日本が米輸入の部分開放を決定した日で、植芝盛平のお誕生日です。
本日の倉敷は晴れたり曇ったりしていましたよ。
最高気温は七度。予想最低気温は零度でありました。
明日は予報では倉敷は晴れのち曇りとなっております。
或る夜の事。
狐が或るパブリック・ハウスへはいつて獨りで火酒入りのミルクをちろりちろりと舐めてゐたら、知り合いのお方が呼びもしないで傍へ寄つて來て狐に向かって「君は面白主義者だそうだね」と言つた。
狐は無言で火酒入りのミルクを舐めてゐた。
「面白いか面白くないかで物事の大半を決めてゐると聞いているよ。ろけんろおるな生き様を突き進む心算なのだな。しぇけなべいべな人なのだな。転がる石のやうに転がり給えよ。でも崖から墜ちてしまわぬやう気を付けることだね」
余計なお世話である。崖から墜ちてたまるか。
「因みに私はセクスィーかセクスィーでないかで物事を決める!」
セクシー?
「ノンノンノンノン。セクスィーだ!」
セクスィー……。
「見給え。この割賦の曲線の美しさを。実にセクスィーだ! この割賦はよい。よいものだ」知人は割賦を掲げてうつとりと見詰めた。
「セクスィーかセクスィーでないかは重要なことなのだよ。セクスィーであることには意味があるのだ」
左様でございますか。
「因みに君はセクスィーでないね。セクスィーの欠片もないね。セクスィーさが皆無だ。それではいかんよ」
左様でございますか。
「セクスィーでないから今年も獨りでクリスマスを過ごすことになるのだよ」
……。その通りですがそれが何か?
狐は知り合いのお方の眼を見てそう答えた。
すると知人は怯えた目をして「い、いや……。何でもない……」と言葉を濁した。
その後、知人は狐にしきりに「怒ってない?」と訊いていたのですが、狐はそれを無視して静かに席を立ち、「ごきげんよう。良い夜を」と知人に挨拶をしてパブリック・ハウスを出た。
そのパブリック・ハウスは極小さかつた。
しかしパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。