狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

射干(シャガ)その7。

2020年04月08日 23時40分38秒 | お花に関する日記

 本日4月8日は、ローマ皇帝カラカラが近衛隊長マクリヌスによって暗殺された日で、豊臣秀吉が九州の島津氏討伐のため大坂城を出発した日で、アユタヤ王朝がビルマの侵攻により滅亡した日で、エーゲ海のメロス島の農夫が「ミロのヴィーナス」を発見した日で、前年からの天保の大飢饉のために江戸幕府が江戸の各地に救米小屋を設置した日で、江戸幕府が松前藩居城周辺を除く全蝦夷地を幕府直轄領とした日で、山陽鉄道が急行に日本初の寝台車を連結した日で、国際連盟が国際連盟の解散と資産等の国際連合への移行を決議した日で、東宝争議が勃発した日で、カンボジアで国際連合ボランティアの選挙監視団員・中田厚仁が銃撃されて死亡した日で、佐川事件やNTT株疑惑などにより細川護熙首相が退陣を表明した日です。

 本日の倉敷は晴れでありましたよ。
 最高気温は二十度。最低気温は六度でありました。
 明日は倉敷は予報では晴れとなっております。



 上の写真に写っているお花は、「射干(シャガ)」です。
 射干のお花に関しては、2019年4月11日の記事2018年4月14日の記事2017年4月14日の記事2014年4月15日の記事2011年4月21日の記事2010年5月3日の記事もよろしかったらご覧下さいませ。
 2019年と2018年と2017年と2014年と2011年と2010年の射干のお花です。

 射干のお花の花言葉は、「清らかな愛」或いは「私を認めて」ですよ。




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民主主義というのはゆっくり機能するものなのです。テキパキやりたいなら独裁主義にしないとねェ。

2020年04月08日 22時42分21秒 | その他の日記
 以下の文は、「現代ビジネス」の崔 碩栄氏の『韓国でコロナ検査「世界最大級」のウラで医師が「動員」されていた! 徴兵制という名の「犠牲」』と題した記事の転載であります。         

            『韓国でコロナ検査「世界最大級」のウラで医師が「動員」されていた! 徴兵制という名の「犠牲」』


   世界的に突出した「韓国のコロナ検査」のウラで…
 新型コロナウイルスの流行で世界中がパニック状態に陥っている。
 この状況を伝える日本のテレビニュースを見ていると、よく耳に入ってくる言葉がある。
 「韓国のように対応すべきだ」「韓国を見てください」といった言葉だ。
 これらは韓国の行っている検査数が世界的に見ても突出した「数字」であることを念頭に置いての言葉だ。
 3月23日現在、韓国のコロナ累計検査件数は33万件で日本の1万8千件、イタリアの23万件に比べても圧倒的な検査件数であることに異論はないだろう。
 韓国の人口が日本の半分以下の5千万人であることを考えれば、その差はより歴然としたものにみえてくる。
 日本のテレビで韓国の例を取り上げているのは「日本も韓国のように検査対象(件数)を増やすべきだ」という主張だ。
 検査対象を増やせば、より多くの感染者を見つけ出すことができ、そうすればより迅速な対応が可能になるはずだ、という主張だ。
 一部では「症状が出ている患者を中心に検査するほうが効率的」という意見も聞かれるが、韓国が他国に比べ驚くべきスピードで検査をこなしているということだけは事実で、日本ではそこに注目しているコメンテーターが多数派であるように見える。
 
 韓国がこのように圧倒的なスピードで検査を行うことが出来ている大きな理由の一つは政府が診断キットを「緊急使用承認」という形でいち早く許可したためだ。
 これは、まだ許可を受けていなかった診断製品について食品医薬安全処長が一時的に製造、販売、使用することを許可するという制度で2015年のMERS流行を受けて導入された制度だ。
 つまり、通常なら検証と許可にかなり時間がかかるプロセスを省略し、緊急時にそのまま使用することを許可する、という制度だ。

   コロナ対応を支える「徴兵制」
   コロナと徴兵制
 実際、韓国産診断キットは今のところは韓国内でのみ使用されている。
 客観的な検証作業が充分に行われてないので、逆に韓国政府の「信頼性に疑うところは無い」と繰り返している言葉に不安を覚える人たちも出てきているというのも事実だ。
 そして、見落としてはならないのが、 韓国の迅速なコロナ対応を支えている重要なもう一つの要素、「徴兵制」だ。
 韓国で医科大学を卒業し、医師の国家試験に合格した男性が兵役でその義務を果たすとき、その方法は3パターン考えられる。
 一つ目は一般兵として2年間服務するというもの、2つ目は軍医官(将校)として3年間服務するというもの、3つ目は「公衆保健医(略称 公保医)」として3年間服務するというものだ。
 一般兵として服務すれば、服務期間は短いが給与はほぼ無いようなもので、訓練と内務生活は相当に厳しいという短所がある。
 
 これに比べると、軍医官や公保医は服務期間は長くなるが、専門分野の経験を積むことになり、また給与も軍将校と同水準程度受け取れる。
 公保医というのは軍医官の「民間バージョン」とでも言うようなもので軍隊に入る代わりに医療施設のない山間地域や離島、あるいは刑務所などで医療活動に従事する制度だ。
 給与は月25~40万円程度で同年代の軍将校と同じ程度。
 一般の医者に比べれば薄給ではあるが、一般兵士よりは待遇もよく、自由もある良い条件だ。
 それゆえに医科大学を卒業した男性の殆どは徴兵に応じる際に軍医官や公保医を希望し、勤務する道を選ぶ。

   「動員」された公保医たち
   命令を拒否したら刑事処罰 
 とはいえ軍医官も公保医も、「軍役」という制度に縛られ、それぞれ軍人、公務員という身分で国家の命令に服従しなければならない身分だという絶対的な違いはある。
 一般の医者には退職や廃業の自由があるが、軍医官や公保医にそれはない。
 勤務地を離脱したり命令を拒否したら刑事処罰をうけることになる。
 彼らの医療活動は国家から義務付けられた行為であるからだ。
 今回のコロナ対応において、いの一番に「動員」されたのは公保医である。
 2月末、全国の公保医の中から100名余りが韓国で最初に爆発的にコロナ患者を発生させた大邱、慶尚北道地域に第一陣として派遣した。
 それは自発的な参加を募ったものではなく、国家による一律の指示、つまり拒否することのできない命令であった。
 しかも宿泊先を自分で探して解決しなければならないという無謀な指示だったという。
 その後も追加の人員を派遣したが、それでも人員不足は解決しきれなかった。
 そこで政府は3月5日、新たに公保医となる予定の742名を早期任用し大邱に配置すると発表した。
 
 公保医とはいえ戦時には軍医官として活動することを前提としているため、通常であれば基礎的な軍事教育を4週間受けたのちの任用となるのだが、今は新型コロナ増加で緊急状態であるからと、軍事教育を省略し緊急派遣するというものだ。
 この措置により大邱地域に派遣された公保医は総計1千名以上となった。
 これを日本の人口に換算してみると2千名以上の医師を特定地域に検査、診療要員として一気に動員したということになる。
 徴兵制のない日本においてこのような対応が可能だろうか?

   国家の指示と統制
   月給4万円で「マスク作業」に動員される現役軍人
 検査数が多いというのはつまり、診断キットの数だけをたくさん準備できたということではない。
 それを運営、管理する「医療陣」と彼らの献身が無ければ不可能だ。
 これは韓国独自のいくつかの要素が重なって可能になっているということができる。
 検査をする医師だけの話ではない。
 韓国では今、マスクが国民に行き渡るよう準配給制のような状態になっているが、政府が国民に配給するマスクを2枚ずつ小分けにして包装する作業が必要だ。
 機械の数が追いつかず手作業でしなければならないのだが、圧倒的に足りない人手を埋めるために動員されているのも現役軍人たちだ。
 これを民間に任せようとしたら人員の募集、移動、宿泊施設の準備など、とんでもない時間と経費、そして大きな人件費が発生するがすでに徴用制によって動員されている軍人に指示すれば新たな費用はほとんど発生せずに解決できるのだ。
 
 日本の報道番組では「韓国のようにすればいい」という言葉をあまりにも簡単に主張する人たちがいるが、個人の自由を標榜する日本において、国家の指示と統制によって一律的に労働力を動員するのはほとんど不可能と言っていいだろう。
 月給4万円でマスクの小分け作業に動員される現役軍人もそうだが、医師のような高給人材であればなおさらだ。

   動員された人たちの犠牲
   なぜ日本では同じようにできないのか…?
 もちろん韓国でも、ボランティアで自主的に参加し献身する医師や看護師たちも少なくない。
 だが、元々の勤務地で医療の空白が生まれないように配慮しつつ、自分の元々の患者と報酬を放棄してボランティアに向かえる医師や看護師の数には限界があるはずだ。
 隣の芝生は青く見える、ということわざがある。
 日本から見たら韓国のコロナ検査などの「迅速な対応」は効率的で素晴らしい対応であるかのように見えるかもしれない。
 そして、日本は何故同じようにできないのかと文句の一つも言いたくなるのかもしれない。 
 だが、同じように、と主張するのであれば、韓国の「迅速な対応」の裏には「徴兵制」という名の「国家による強制性を伴う動員」をされた人たちに「犠牲」が隠れているという事実と正面から向き合わなければならないだろう。

                                転載終わり。


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『アザミの城の魔女』第2巻/たらちねジョン

2020年04月08日 22時23分39秒 | 漫画・ゲームに関する日記
 昨日の夜は、たらちねジョンの漫画『アザミの城の魔女』の第1巻を読んでいました。

 スコットランドのエディンバラ。
 寂れた便利屋を営むマリーは、 世界を構成する精霊と交渉する術・魔法を会得した魔女。
 そんな彼女のもとに、倫敦の教会が魔法使い見習いの少年を送ってくる。
 強力な魔力を持ちながら魔法の扱い方を何も知らないその少年・テオの面倒をみろと倫敦の教会はマリーに命じてきた。
 孤独に生きるマリーは協会の依頼を面倒だと感じていたが……。



 人との付き合い方が上手ではない人達が多く出てきています。
 それでも生きていかなければならないので、何とか上手く誤魔化し誤魔化し生きていっている人と上手く生きていく為の術を学んでいる人のお話……かな? 
 そこに、究極的に相容れないはずの存在と交渉しなければならない、というお話が絡んできます。

 面白かったですよ。
 続きが楽しみです。



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令和2年4月7日 安倍内閣総理大臣記者会見 全文

2020年04月08日 19時18分31秒 | その他の日記
令和2年4月7日
安倍内閣総理大臣記者会見


     【安倍総理冒頭発言】
 まず冒頭、全国各地の医師、看護師、看護助手、病院スタッフの皆さん、そしてクラスター対策に携わる保健所や専門家、臨床検査技師の皆さんに、日本国民を代表して、心より感謝申し上げます。
 新型コロナウイルスとの闘いの正に最前線で、強い責任感を持って、今この瞬間も一人でも多くの命を救うため、献身的な努力をしてくださっていることに心からの敬意を表したいと思います。
 世界全体で既に6万人以上が死亡した、この過酷なウイルスとの闘いにおいて、確かな技術と高い使命感を持った医療従事者の皆さんの存在は、私たち全員を勇気付けてくれるものです。
 本当にありがとうございます。

 感染リスクと背中合わせの厳しい状況をも恐れず、ベストを尽くしてくださっている皆さんを支えるため、できることは全てやっていきたい。
 医療現場を守るため、あらゆる手を尽くします。
 感染予防に欠かせない医療物資について、国内での増産を進めています。
 電機メーカーなど、異業種の力も借りながら、更に提供体制を強化していきます。
 軽症者や症状のない感染者の皆さんは、医療機関ではなく、宿泊施設などで療養いただくことで、医療機関の負担を軽減します。
 ホテルチェーンに御協力をいただき、関東で1万室、関西で3,000室を確保しました。
 日本財団も臨時の施設建設を進めてくださっています。
 これらを活用させていただき、医療支援を重症者対応に振り向けることで、病院の機能維持を図ります。

 ただ、こうした努力を重ねても、東京や大阪など、都市部を中心に感染者が急増しており、病床数は明らかに限界に近づいています。
 医療従事者の皆さんの肉体的、精神的な負担も大きくなっており、医療現場は正に危機的な状況です。
 現状では、まだ全国的かつ急速な蔓延には至っていないとしても、医療提供体制がひっ迫している地域が生じていることを踏まえれば、もはや時間の猶予はないとの結論に至りました。
 この状況は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあると判断いたしました。
 本日は、この記者会見に尾身先生にも同席いただいておりますが、先ほど諮問委員会の御賛同も得ましたので、特別措置法第32条に基づき、緊急事態宣言を発出することといたします。
 対象となる範囲は、関東の1都3県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、関西の大阪府と兵庫県、そして九州の福岡県であります。
 最も感染者が多い東京都では、政府として今月中を目途に五輪関係施設を改修し、800名規模で軽症者を受け入れる施設を整備する予定です。
 今回の緊急事態宣言に伴い、必要があれば、ここに自衛隊などの医療スタッフを動員し、特別措置法48条に基づく臨時の医療施設として活用することも可能であると考えています。

 医療への負荷を抑えるために最も重要なことは、感染者の数を拡大させないことです。
 そして、そのためには何よりも国民の皆様の行動変容、つまり、行動を変えることが大切です。
 特別措置法上の権限はあくまで都道府県の知事が行使するものでありますが、政府として、関東の1都3県、大阪府と兵庫県、そして福岡県の皆様には、特別措置法45条第1項に基づき、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきと考えます。

 事態は切迫しています。
 東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。
 足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。
 しかし、専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。
 そうすれば、爆発的な感染者の増加を回避できるだけでなく、クラスター対策による封じ込めの可能性も出てくると考えます。
 その効果を見極める期間も含め、ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1か月に限定して、7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします。

 繰り返しになりますが、この緊急事態を1か月で脱出するためには、人と人との接触を7割から8割削減することが前提です。
 これは並大抵のことではありません。
 これまでもテレワークの実施などをお願いしてまいりましたが、社会機能を維持するために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は原則自宅で行うようにしていただきたいと思います。
 どうしても出勤が必要な場合も、ローテーションを組むなどによって出勤者の数を最低7割は減らす、時差出勤を行う、人との距離を十分に取るといった取組を実施いただけるよう、全ての事業者の皆様にお願いいたします。
 レストランなどの営業に当たっても、換気の徹底、お客さん同士の距離を確保するなどの対策をお願いします。
 学校休校が長期化しますが、オンラインなどで学習できる環境整備を地域と協力して加速します。
 電話、オンラインでの診療も、初診も含めて解禁することとしました。
 病院での感染リスクを恐れる皆さんにこれを積極的に活用いただくことで、受診を我慢するといった事態が生じないようにします。
 その上で、生活必需品の買物など、どうしても外出する場合には、密閉、密集、密接、3つの密を避ける行動を徹底していただくよう、改めてお願いいたします。
 今までどおり、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません。
 他方で、3つの密がより濃厚な形で重なる、バー、ナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは控えてください。
 集会やイベントを避け、飲み会はもとより、家族以外の多人数での会食も行わないようお願いいたします。

 この感染症の恐ろしい点は、発熱などの症状が全くないにもかかわらず感染している人が多いことです。
 そして、知らず知らずのうちに周囲の人にうつしてしまうことで拡大していくという点です。
 既に自分は感染者かもしれないという意識を、特に若い皆さんを中心に全ての皆さんに持っていただきたい。
 外出する際にも、人混みを避け、他の人との距離を保つ、飛沫(まつ)を飛ばさないようにマスクを着けるなどの行動をお願いいたします。
 そのことが他の人の命を守ることになります。
 そして、ひいては自分の命を守ることになります。
 国民の皆様の御協力をお願いいたします。

 緊急事態としての措置を講ずる以上、当然、経済活動への大きな影響は避けられません。
 もとより、今でも多くの中小・小規模事業者の皆さんが事業継続に大きな支障を生じておられます。
 世界経済だけでなく、日本経済が、今、正に戦後最大の危機に直面している、そう言っても過言ではありません。
 その強い危機感の下に、雇用と生活は断じて守り抜いていく。
 そのために、GDP(国内総生産)の2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策を実施することといたしました。
 困難に直面している御家族や中小・小規模事業者の皆さんには、総額6兆円を超える現金給付を行います。
 1世帯当たり30万円に加え、次の児童手当支払に合わせ、1人当たり1万円を追加することで、お子さんの多い御家庭の家計もしっかりと下支えします。
 日本経済を支える屋台骨は中小・小規模事業者の皆さんです。
 本当に苦しい中でも、今、歯を食いしばって頑張っておられる皆さんこそ、日本の底力です。
 皆さんの声は、私たちに届いています。
 皆さんの努力を決して無にしてはならない。その思いの下に、史上初めて事業者向けの給付金制度を創設しました。
 売上げが大きく減った中堅・中小法人に200万円、個人事業主に100万円支給します。
 固定資産税も減免します。
 消費税などの納税に加え、社会保険料の支払は1年間猶予いたします。
 当然、延滞金はかかりません。
 26兆円規模の猶予を実施することで、手元資金を事業継続のために回していただけるようにいたしました。
 民間の地方銀行、信用金庫、信用組合でも、実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据置きの融資が受けられるようにします。
 さらには、雇用調整助成金の助成率を過去最大まで引き上げるなど、考え得る政策手段を総動員して、国民の皆様と共に、この戦後最大の危機を乗り越えていく決意であります。

 今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません。
 そのことは明確に申し上げます。
 今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。
 道路を封鎖することなど決してありませんし、そうした必要も全くないというのが専門家の皆さんの意見です。
 海外では、都市封鎖に当たり、多くの人が都市を抜け出し、大混乱と感染の拡大につながったところもあります。
 今、私たちが最も恐れるべきは、恐怖それ自体です。
 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で広がったデマによって、トイレットペーパーが店頭で品薄となったことは皆さんの記憶に新しいところだと思います。
 ウイルスという見えない敵に大きな不安を抱くのは、私も皆さんと同じです。
 そうしたとき、SNSは本来、人と人の絆を深め、社会の連帯を生み出すツールであり、社会不安を軽減する大きな力を持っていると信じます。
 しかし、ただ恐怖に駆られ、拡散された誤った情報に基づいてパニックを起こしてしまう。
 そうなると、ウイルスそれ自体のリスクを超える甚大な被害を、私たちの経済、社会、そして生活にもたらしかねません。
 専門家の皆さんの見解では、東京や大阪での感染リスクは、現状でも不要不急の外出を自粛して普通の生活を送っている限り、決して高くない。
 封鎖を行った海外の都市とは全く状況が異なります。
 ですから、地方に移動するなどの動きは厳に控えていただきたい。
 地方には、重症化リスクが高いと言われる高齢者の皆さんもたくさんいらっしゃいます。
 その感染リスクを高めることのないようお願いいたします。

 当然、社会機能はしっかりと維持してまいります。
 自治体とも協力しながら、電気、ガス、通信、金融、ごみの収集・焼却など、暮らしを支えるサービスは平常どおりの営業を行っていきます。
 高齢者の介護施設や保育所などで働いておられる皆さんにも、サービスを必要とする方々のため、引き続き御協力をいただくようお願いいたします。
 食品など生活必需品の製造・加工に関わる皆さん、物流に携わる皆さん、そして小売店の皆さんには、営業をしっかりと継続していただきます。
 ですから、皆さんにはどうか正しい情報に基づいて、冷静な行動を心よりお願いいたします。

 この2か月で、私たちの暮らしは一変しました。
 楽しみにしていたライブが中止となった。友達との飲み会が取りやめになった。行きたいところに行けない。みんなと会えない。かつての日常は失われました。
 ただ、皆さんのこうした行動によって多くの命が確実に救われています。
 お一人お一人の御協力に心より感謝申し上げます。

 率直に申し上げて、政府や自治体だけの取組では、この緊急事態を乗り越えることはできない。これは厳然たる事実です。
 感染者の爆発的な増加を回避できるのか。一人でも多くの重症者を死の淵から救うことができるのか。皆さんを、そして皆さんが愛する家族を守ることができるのか。全ては皆さんの行動にかかっています。
 改めて御協力をお願いします。

 全く先が見えない大きな不安の中でも、希望は確実に生まれています。
 日本中、世界中の企業、研究者の英知を結集して、ワクチン開発、治療薬の開発が進んでいます。
 新型インフルエンザの治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンは、既に120例を超える投与が行われ、症状改善に効果が出ているとの報告も受けています。
 観察研究の仕組みの下、希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えです。
 そのために、アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大します。
 国内での増産に必要な原料の生産には、各地の企業が協力を表明してくださっています。
 自動車メーカーは、人工呼吸器の増産を手助けしてくれています。
 欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました。
 学校が再開する子供たちのために、手作りマスクを届けようとしている皆さんがおられます。
 スーパーを生活必需品で満たすため、昼夜を分かたず、今、この瞬間も物流を守り続けるトラック運転手の皆さんがいます。
 医療現場のため自分たちができる支援をしたいと、クラウドファンディングを始めた皆さんがいます。
 看護協会は、5万人を超える、現在、現場を離れている看護師の皆さんに協力を呼びかけています。
 私からも是非お願いをしたい。
 この国家的な危機に当たり、ウイルスとの闘いに皆さんのお力をお借りしたいと思います。
 実際、看護協会の呼びかけに応じ、既に、命を救うため、命を守るため、医療現場への復帰を申し出てくださっている方々がいらっしゃいます。
 あらゆる分野でこの危機にできる限りのことをやろうと、全国で立ち上がってくださっている皆さんがいる。
 これこそが希望であります。

 9年前、私たちはあの東日本大震災を経験しました。
 たくさんの人たちがかけがえのない命を失い、傷つき、愛する人を失いました。つらく、困難な日々の中で、私たちに希望をもたらしたもの、それは人と人の絆、日本中から寄せられた助け合いの心でありました。
 今、また私たちは大きな困難に直面しています。
 しかし、私たちはみんなで共に力を合わせれば、再び希望を持って前に進んでいくことができる。
 ウイルスとの闘いに打ち勝ち、この緊急事態という試練も必ずや乗り越えることができる。
 そう確信しています。
  私からは以上であります。

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様からの御質問を頂きます。
 御質問には安倍総理と尾身会長に御対応いただきますので、安倍総理、それから尾見会長、恐縮でございますけれども、所定の位置に御移動いただけますでしょうか。
 質問の内容によりましては、会長から御説明をしていただくこともある旨、御了解を頂戴したいと思います。
 御質問をされる方ですけれども、挙手をお願いいたします。
 私が指名いたしますので、指名を受けられた方はお近くのスタンドマイクまでお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただきたいと思います。
 御質問をされたいという意思表示は、声ではなくて挙手でお願いしたいと思います。
  それでは、初めに幹事社の方から頂きたいと思います。どうぞ。
(記者)
 よろしくお願いします。幹事社、共同通信の吉浦です。
 総理が発出された緊急事態宣言によって、対象地域の知事は法的根拠を持った措置が可能となります。
 私権の制限を伴う重い決断ですが、その措置は要請も多く、外国の制度と比べて強制力が弱いとも言われています。
 それだけに、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには国民一人一人の協力が欠かせません。
  総理は、このウイルスとの闘いを終息させるために、必要な国民の自発的な協力を得るために、何が最も重要だとお考えでしょうか。
 1か月後、どのような感染状況になっていると想定されているのか。
 また、依然として感染拡大が続いている場合は、より強制力のある法改正に取り組む可能性があるのかどうか、お伺いします。
(安倍総理)
 今回の緊急事態宣言は、確かに今おっしゃったように、海外で行っている、例えばロックダウンとか都市封鎖、強制力を持って罰則があるようなものではありません。
 大切なことは、国民の皆様に協力をしていただくことであります。
 国民の皆様の行動変容、言わば行動を変えていただくことが、終息に向けて何よりも必要であります。
 ですから、そういう御理解をいただくことが、私は一番大切だと考えています。
 専門家の皆様の試算では、私たちが努力を重ね、人と人との接触を最低で7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、そして減少に転じていくことができるということであります。
 正に、この暗いトンネルを抜けていくためには、国民みんなで、この努力を重ねなければならないと思っています。
  もちろん、それは、7割、8割減らすということは並大抵のことではないと思いますが、国民お一人お一人の御協力をいただければ、必ず達成できると、こう確信をしております。
 ですから、今日からそういう行動を是非お願いしたいと、御協力をいただきたいと、こう思っています。
(内閣広報官)
  それでは、幹事社、もう一社お願いいたします。どうぞ。
(記者)
 東京新聞・中日新聞の後藤です。
 総理から発言のあった緊急経済対策についてお伺いします。
 政府の緊急事態宣言を受け、対象地域の知事が商業施設や教育施設、スポーツ施設など、幅広い業種に対して法的根拠のある休業要請を出すことになりますが、補償や損失補填がセットになっていないのは問題だという指摘も相次いでおります。
 今後、更に大きな影響を受ける中小企業や個人事業主、会社員ら、数多くの人たちへの生活支援は、今回の対策で十分だとお考えでしょうか。
  また、収入が減少した世帯への30万円の現金給付、また、事業収入が減った中小企業への200万円の給付などに関しては、対象を絞り込む方針となっており、自民党からも不公平感が残ると異論が出ております。政府の線引きにより、制度の枠組みからこぼれ落ちてしまう中小企業や、家庭の苦しい状況をどう受け止め、どう救済していくお考えでしょうか、お聞かせください。
(安倍総理)
 今回のイベント等の中止、延期等の要請あるいは夜の街での自粛要請等々によって、その皆さんにとっては、何の咎もないにもかかわらず、甚大な影響が及ぶわけであります。
 そういう皆さんにも御協力をしていただかなければならないということでありますが、そこで、どのような形で、そういう皆さんを支援をしていくかということだと思います。
 しかし、これは、ある特定の業界にお願いをしても、損失は、その業界にとどまるものではありません。
 そこと、様々な取引をしている皆さんにも大きな影響が出ていくということを鑑みれば、個別に補償していくということではなくて、困難な状況にある皆さんに現金給付を行いたいと考えています。
 そこで、先ほど申し上げましたように、減収がある厳しい状況の中小企業、小規模事業者の皆さんには200万円、100万円の現金給付を行って支援をしていきたいと思います。
 また、中小企業、小規模事業者の皆さんは、今、一番何が大変か、手元の資金がないということなのだろうと思います。
 そのために無利子・無担保、5年間元本返済が猶予される、正にお金が出ていく、これは直ちに出ていく必要があると思います。
 なかなか来ないではないかという例があれば、なかなか時間がかかっているという例があれば、どんどん、それは政府に声をお寄せいただきたいと、こう思いますし、明日、金融機関の皆さんに官邸までお越しをいただいて、私からもお願いをさせていただく考えであります。
 また、税や社会保険料の大胆な猶予を行う、これは26兆円規模、これは初めてのことでありますが、そのことによって、それを事業の運用にも使っていくこともできますし、雇調金と併せて雇用を維持していくことができる、正に、必要なものをしっかりとやっていきたいと思います。
  そしてまた、30万円の給付についてでありますが、自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論がありました。
 私たちも検討した。例えば私たち国会議員もそうですが、公務員も今、この状況でも全然影響を受けていない、収入には影響を受けていないわけであります。
 そこに果たして5万円とか10万円の給付をすることはどうなのだという点も考えなければならないのだろうと思います。
 ですから、本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えました。
 また、なるべくスピーディーに行いたい。
 ですから、我々は5月、なるべく早く補正予算を通していただいて、5月に直ちに出ていくようにしていきたい。
 全員に給付するということになりますと、麻生政権のときでもやりましたが、大体手に届くまで3か月ぐらい、どうしても時間がかかってしまう。
 今回はスピードも重視したということであります。
 どこかで、我々も線引きをしなければいけない。それはつらいことでありますが、今回、お示しをしていただいた形で給付をさせていただきたい。
 とにかく、今、この事態を何とかみんなで協力して乗り越えていきたいと、こう考えています。
(内閣広報官)
 これからは、幹事社以外の皆さんからの御質問を頂きますので、御質問を御希望される方、挙手をお願いいたします。
 私が指名いたしますので、今の幹事社と同じように、スタンドマイクの前にお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただきたいと思います。
 お一人様、1問でお願いします。
  では、松本さん。
(記者)
 NHKの松本と申します。よろしくお願いします。
 今回の決断に至るまで、いろんなデータや調整があったのだと思いますけれども、この判断のタイミングについて遅過ぎると、遅いという批判もございます。
 今回の決断がもう少し早ければ、今のような感染拡大は防げたのではないかという声もあろうかと思いますが、そうした声にどのようにお答えになりますか。
  また、ここに至るまで異例の対応が続いてきたと思います。
 イベント自粛や一斉休校。
 それでも感染拡大を抑えることができなかった。
 この原因についてどのように分析されていますでしょうか、お答えください。
(安倍総理)
 まず、この特措法を改正した日から、いつ緊急事態宣言を出すべきか、ずっと緊張感を持って考えてきました。
 でも、今、御質問がございましたが、あのときにどういう議論があったか。
 むしろ緊急事態宣言は私権を制限するから慎重に出すべきだという議論が随分ありましたよね。
 しかし、私たちは出すべきときには出すべきだと考え、その中で最大限の緊張感を持って、事態を、感染者の数の拡大状況、専門家の尾身先生を始め、専門家の皆さんに分析をしていただいてまいりました。
 そこで、我々、イベント等の自粛、また、学校の一斉休校も行いました。
 だけれども、感染者の拡大を防げなかった。
 確かにそのとおりです。
 しかし、スピードはどうなのかということでありまして、今、世界を見ていて、一時スピードが上がっていく、このスピードをどれくらい抑えることができるかということが重要であります。
 中国、韓国においては、日本よりも感染者の数は相当多いですが、死亡者の数も多いですが、今、スピードは相当落ちてきている。
 日本も早くそのピークをはるかに小さいところで抑えていきたい。
 そして、言わば減少に転じさせたいと、こう思っています。
 先週から、我々は、いつ出すべきか、西村大臣と尾身先生と毎日、緊密に協議をし議論をしました。
 これはやみくもに出せません。
 専門家の皆様が判断をする。
 準備をすべきだという判断をいただきました、昨日。
 その理由については、先ほど申し上げたとおりであります。
 専門家の皆さんのこの判断、言わば、一つは、累積の感染者の数、スピード、そして医療の提供体制との関係、そして我々行政の場では何を考えるべきかということについて言えば、言わば緊急事態宣言を出す段階において、十分な医療体制をしっかりと対応できるものを、体制をつくっていく必要があります。
 ですから、先週、私も含めてホテルチェーンの社長さんたちにお願いをしまして、軽症者等を受け入れるお願いをさせていただいた。
 そういうお願いもさせていただき、準備を整えた上で、言わば緊急事態宣言を出せば、そういうところが、言わばそういう感染者の皆さん、軽症者あるいは無症状者の皆さんを収容していただくことができるわけであります。
  同時に、混乱を起こさないようにする必要があります。
 国民の皆様の理解を進めていく。
 最初はロックダウンになるのではないかという間違った認識が広がりました。
 こういう認識をしっかりとなくしていくという準備も整えながら、尾身会長としっかりと心を合わせながら、昨日、ああした形で準備をせよという御判断をいただき、本日の緊急事態宣言となったわけであります。
(内閣広報官)
  それでは、次の方、御希望の方。では、西垣さん。
(記者)
 時事通信の西垣と申します。
 総理、冒頭の御発言でも、国民に大きな行動変容をしていただきたいと、協力をいただきたいというお話がありました。
 7、8割の接触を削減するという話もあったわけですけれども、さっきお話を聞いていて、今回対象になった7都府県の方々以外の方々は、私たちはどうすればいいのだろうというふうに、ちょっと戸惑いを覚えたというふうにも感じるのですね。
 その辺、7都府県の方以外の方々に対するメッセージがあれば伺いたいと思います。
(安倍総理)
 7都府県以外の地域について、今回なぜ対象とならなかったのかということについては、専門的に尾身先生からお話をいただきたいと思いますが、基本的には緊急事態宣言の対象とはしていませんが、しかし、いつ広がるかは分からないわけでございますので、そういう意味においては、十分に3密については注意をしていただきたいと、こう思っています。
 それでは、尾身先生の方から、他の都道府県についてのお話をいただければと思います。
(尾身会長)
 今の御質問で、7都府県以外ということですけれども、逆にせっかくですので、なぜ7都府県を選んだかということを説明させていただければその回答になると思うので。
 実は、今回、我々専門家の方で政府に御提案したのは、3つの指標ですね、主な指標。
 それは、先ほど総理からもお話がありましたけれども、累計の報告者数と、それから倍加時間、感染者が2倍になるのにどのぐらいの時間がかかるのかということと、それから最近、いわゆるリンクの追えない孤発例の割合がどのくらいなのかということを中心に、我々はこの2週間ぐらいずっと毎日のようにフォローしておりました。
 そういう中で、東京と大阪は、もう累計報告数が400を超えているということと、倍加時間も、実はヨーロッパのイタリアなんかは大体2とか2.5ぐらいなのですけれども、東京都は3月の上旬は10とか11でしたけれども、最近になって5、大阪も6.6、それから孤発例が東京では68パーセント、大阪でも5割近くはリンクが追えないということです。
 神奈川、埼玉、千葉というのは、東京ほどではないですけれども、生活圏、行政区としては別ですけれども、生活圏としてはほぼ同じということで、その3つ。
 それから、大阪は今、言ったようなことですけれども、その近隣県としては、兵庫県が感染状況も大阪に近いし、生活圏としても一体であるということ。
 それから福岡ですけれども、実は福岡は累積の報告数はいまだ少ないのですけれども、2つの重要な特徴がありまして、1つは倍加時間が、先ほど言ったように2倍になるのに必要な時間が、これは全国で最大、最も短い。
 昨日の時点で2.9日、最も短い。
 それから孤発例の割合もこれは全国で一番高くて、昨日の時点で72パーセントです。
 こういうことがあって7つの都府県ということで、その他の県は、こういう7つの都府県に比べれば、まだこれから感染拡大のおそれが当然あるわけですけれども、今日、昨日の段階では、その7都府県に比べてまだそこまで達していない。
 ただし、感染拡大のおそれがあるので、十分これからも3密を中心に警戒を怠れない状況だと思います。
(内閣広報官)
  それでは、次の御質問。吉野さん。
(記者)
 テレビ朝日の吉野と申します。
 総理がおっしゃった薬のことをお伺いしたいと思います。
 我々もアビガンですとか、レムデシビルが効くというふうな情報には接しておるのですけれども、総理は今、アビガンについては備蓄量を増やして、患者が望めば使うというふうにおっしゃったかと思うのですけれども、もう少し柔軟に病院に行ったら使えるようになるのはいつ頃というふうに見込んでいらっしゃるのでしょうか。
 見通しをお聞かせください。
(安倍総理)
 現在、日本のお薬であるアビガン、また、あるいはオルベスコ、また、フサンというものがありますが、レムデシビルというのはアメリカの薬でありますが、日米で共同治験を行っております。
 そして、アビガンについては、先ほど申し上げましたように、もう既に120例を超える投与が行われておりまして、症状改善に効果があったという報告も受けています。
 また、世界30か国以上から、このアビガン、日本から送ってもらいたい、提供してもらいたいという要望も実は来ているわけでありますが、現在、3月31日から企業治験を実施をしておりまして、今後、希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大するとともに、薬の増産をスタートすることとしています。
 そして、今のお話は、例えば私たちが感染をして、入院をして、アビガンを使ってもらいたいと思ったら使えるのかということだと思います。
 御本人が使いたい。もちろんこれは御承知のように催奇形性という副作用がありますから、妊婦の方は使えませんが、それを十分に認識した上で先生たちも処方されると思いますが、先生にアビガンを使ってもらいたいと言って、その病院において、倫理委員会において使えるということになっているとすれば、それは使っていただけるようにしていきます。
 これは観察研究の中で行っていくということに、言わば治験のルートではありませんが、観察研究という形で、先ほど申し上げました、そういう皆さんに使っていただきたい。
 ですから、患者の皆さんも、先生に、自分はアビガンを使いたいと思えば使いたいと言っていただければ、あと、病院の倫理委員会で通っていれば、それは使えるということになるのだろうと。
 既に幾つかの病院では、倫理委員会でアビガンが使えるということになっているというふうに承知をしております。
(内閣広報官)
 それでは、次の質問を頂きたいと思います。では、重田さん。
(記者)
 日本経済新聞の重田です。
 総理、まずなのですが、緊急事態宣言の効力なのですけれども、本日からということですが、何時をめどに効力有効になるのでしょうか。
  加えて、政府が・・・。
(安倍総理)
  何時、ですか。
(記者)
  はい。
(安倍総理)
 これは官報に載った段階かな。
 ちょっと細かいのですが、官報にいつ載るか、ちょっと私は今。
(記者)
 今夜中ということですね。ありがとうございます。
 引き続きなのですけれども、加えまして、店舗の休業に関してなのですが、基本的には知事に権限が及ぶということなのですけれども、1,000平方メートル以下の店舗については、政府の方が休業要請の対象を決めるということになっていると思います。
 今後、その自治体側とどのように調整を進められるかということですと、あと、東京都に関しては、理髪店を休業要請の対象としていますが、これはそのまま休業を認めるというふうなお考えなのでしょうか。
 また、保育所や介護老健施設に関しては必要とする方も多いと思いますが、先ほどのお話で言うと、原則開業するということなのでしょうか。
 政府としての対応方針をお聞かせください。
(安倍総理)
 今、御指摘を頂いた床面積の合計が1,000平米以下の施設について、厚生労働大臣が定めて公示する対象業種や施設については、これまでに発生したクラスターの例を踏まえまして指定する方針でありますが、これはあくまでも、ちょっと誤解があるのですが、これは個別の店舗、会場等を対象とする措置であって、例えば地域等を指定してその業種全体に制限を行うものではありません。
 例えばAというお店があって、ここで言わば問題があるということになれば、このAというところを指定するということになりますから、このAが属している業種全体あるいは地域全体をするものではないということであります。
 また、今、御指摘を頂いた理髪店でありますが、これまでにクラスターが発生していません。
 発生していないということを踏まえて、今回、厚生労働省告示において公示する対象としては考えていません。
 なお、国として、理美容については、国民の安定的な生活の確保のために事業継続することが必要なサービスと考えておりまして、この点、東京都知事と西村大臣との間で、今、調整を行っているところであります。
 このほか、今、挙げられた保育所あるいは介護施設、また、放課後児童クラブについては、必要な者に預かりが提供されるように、規模を縮小して実施するなど、適切に対応していく方針であります。
 また、介護施設についても、これも高齢者の皆さんにとって必要な施設であり、感染防止の対策を講じていただいて、今、相当皆さんに講じていただいていると思いますが、講じていただいた上で、引き続き開所いただくという方針であります。
(内閣広報官)
 次の御質問。江川さん。
(記者)
 フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。
 先ほど、中小企業に200万、フリーランスを含む個人事業主に100万という話がありました。
 これに対して、出すときにどういう条件を課すのでしょうか。
 というのは、1世帯30万のときに、30万で結構出るなと思ったら、実はその条件がものすごく厳しくて一部の人しかもらえないではないかというような話が出ています。
 この200万と100万にはどういうような条件を課すのかということです。
 これがちゃんと緩やかになっていないと、1週間ぐらいすると、何となく、強制ではないので、要請ベースになるので、だれてくることも考えられるのではないかというふうに思います。
 そうなったときに、引締めのために、警察を要請して、例えば職務質問などを活発化させるなどのことがあり得るのか、あり得ないのか。
 実際、千葉市長さんなどは、警察に対して、ナイトクラブの一斉立入りなどの取締り強化を要請していますとツイッターで書かれています。
 こういうような形で、警察に要請をする、取締りをするということはあり得るのかということについて、お話を伺いたいと思います。
(安倍総理)
 まず、中小企業、そして個人事業主の方々に対する200万、100万円の給付でありますが、今回、多くの分野において、突然ほとんど収入が、7割、8割、あるいはゼロに近くなった方々がたくさんいらっしゃると思います。
 そこで、今後、この年末までの間に、これは今までと比べて収入が半減していれば出すということになっている。
 そういう設計になっておりますので、大きな被害を受けている、大変厳しい状況になっている、あるいは自粛要請になっている分野においては、間違いなくそこには入ってくるのではないのかなと思います。
(記者)
 年末ですか。
(安倍総理)
 それまでの1か月でも、対象にどこかが当たればということだと、今、そういう設計にしていこうということになっています。
 ですから、どこか当たればその対象にしていくということになるわけでありますし、これはなるべく簡易に、電子的に申請をして受けられるようにしていきたいと思っておりますし、なかなか電子申請というのは大変だという方々は、全国の商工会、商工会議所等で指導してお手伝いをして申請をしていただくということにしたいと思います。
(記者)
 警察の話は。
(安倍総理)
 警察ですね。これは、言わば取締りの対象には罰則がありませんから、取締りの対象ということでは、警察が取り締まるということはありません。
 ただ、御協力は要請させていただくことはあるかもしれません。
 御協力の要請ですね。
 御協力を要請していただくということについて、お願いをさせていただく。
 どういう形かどうかは分かりませんけれども、お願いをさせていただきたいと思っています。
(内閣広報官)
 はい、では菅原(すがはら)さん。
(記者)
 日本テレビの菅原です。よろしくお願いいたします。
 海外の事例ですと、長い自粛の影響で、児童虐待ですとか、DV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数が増加しているといった事例が報告されています。
 日本はまだそこまで長い自粛ではなかったと思いますが、現状、どういう状況になっているのかというのを政府の方で把握していらっしゃるのかということが1点と、シェルターなどは、いわゆる3密に当てはまるようなケースというのもあると思うのですけれども、今後のそういった場所の避難場所の運営についてはどのようにお考えでしょうか。
(安倍総理)
 海外では、このDVが増加しているという状況が出てきているということを私も承知をしておりますが、国内において、まだそういう兆候が出ているということを、私は報告は、今、受けておりません。
 ただ、海外でそういう状況が起こっておりますから、今日から我々は本格的な緊急事態となりますので、なるべく外出を自粛していただくようになりますので、十分に注意深く対応していきたいと思いますし、そういう状況があれば直ちに電話していただきたいと、このように思っています。
 DVにおいても、子供たちに対する場合もありますし、189(イチハヤク)という電話に電話していただければと、このように思います。
 そしてまた、シェルターについては、今年度の予算でシェルターの支援をより一層強化をしていくことになりました。
 今、おっしゃったように、シェルターにおいて感染者が出てくることのないように、3密にしっかりと対応していただくようにしていきたいと、このように思います。
(内閣広報官)
 次の質問、どうぞ。湯之前(ゆのまえ)さん。
(記者)
 西日本新聞の湯之前といいます。
  特に先ほど総理が地方への移動をなるべく慎むようにとおっしゃっていましたけれども、今、特に大学生とか若い人たちが、宣言の出た地域からそうでない地方へ、帰ってきなさいというか、帰省しようという動きはかなり出ている現状があります。
 一方で、感染した若者が実家に帰って家族が感染したと、こういう事例もあったようです。
 宣言対象地域からの帰省を考えている若い人などに対して、総理から改めておっしゃることがあれば、教えてください。
(安倍総理)
 冒頭申し上げましたように、この新型コロナウイルス感染症は、感染していても症状が出ない場合があります。
 症状が出ないことによって、気づかずに人に感染させてしまうという恐ろしい点があります。
 ですから、自分も感染しているかもしれないという思いを、特に若い皆さんには持っていただきたいと、こう思います。
 若い皆さんは非常に活動的ですし、体力もありますし、免疫も強いですから、なかなか症状が出てこない。
 ですから、自分がもしかしたらお父さんやお母さんや、おじいちゃん、おばあちゃんたちにうつしてしまう。高齢者にうつしてしまえば、重症化していくリスクが高いという観点から、東京においても、言わば都市封鎖、ロックダウンのようなことは行いませんから、経済社会の機能は維持をしていきますから、是非できるだけ東京にとどまっていただきたいというふうに思います。
(内閣広報官)
 予定していました時間に近づいていますので、ぼちぼち最後の質問にしたいと思います。では、七尾さん。
(記者)
 ニコニコの七尾です。よろしくお願いします。
 医療崩壊についてお聞きします。
 医療に直面している国の現場では、生存する可能性がより高い患者を優先する命の選択を迫られております。
 日本でも起こるかもしれない問題だと思います。
 総理は、このことについていかがお考えでしょうか。
 それともう一点、確認させてください。
 総理は、SNS、ネットの有益性についてお話しされたと思います。
 初めてのことですから、これから長い期間、様々な問題が出てくると思います。
 ネットの声も総理、政府はしっかり見ていて、場合によってはネットの声が届くこともある、そう考えてよろしいでしょうか。
 よろしくお願いします。
(安倍総理)
 まず初めに、トリアージについては、これはそういう事態にならないように全力を尽くしますが、トリアージというのは医療現場にとって大変つらい事態ですよね。
 医療提供体制とのバランスにおいて、A、Bという患者があれば1名しか対応できない、どちらを取るかという、そういう判断なのだろうと思います。
 我々としてはそういう状況にならないように、重症者対策を中心に医療提供体制を強化することも大変重要だと考えております。
 このため、今回の経済対策では、医療提供体制の整備に最優先に取り組むこととしておりまして、病床の確保や医療機器の整備、呼吸器疾患の専門医、看護師等の確保、ガウン等の医療資材の確保等もしっかりと強化をしていきたいと、こう思っておりますし、今現在の段階では我々はそういう状況にはもちろんなっておりませんし、先ほど医療提供体制がだんだんひっ迫してきているということを申し上げましたが、今の段階では軽症者あるいは無症状の方も病院に収容されておりますが、先ほど申し上げましたように、ホテルチェーンの皆さん、これは関東圏で1万室あるわけでありますが、そちらに軽症者の皆さんにまず移っていただければ、重症者の皆さんの病床も相当程度、空きが出てまいりますから、そういう体制をしっかりと整えていきたい。
 また、重症化しやすい高齢者の皆さんへの感染をできる限り抑える対策にも力を入れていきたいと思っています。
 そして、ネットについては、例えば災害のときもそうなのですが、ネットで取る情報というのはすごく早い場合があります。
 むしろ、政府や都道府県の現場から上がってくるよりも、リアルタイムでどうなっているという情報が写真と共に上がってくる場合もありますから、安倍政権になってからはそれを活用するというシステムもつくりました。災害においてはですね。
 今回も、医療現場、あるいは地域や、我々の手が届かないところの情報をしっかりと集めるようにしています。
 我々も、ネットから出てくる情報をしっかりとつかみながら対応していきたいと思っています。
(内閣広報官)
 予定しておりました時刻を経過いたしましたので、以上をもちましてこの記者会見を終わらせていただきます。
 大変申し訳ないのですけれども、次の日程もございますので御容赦いただきたいと思います。
 では、どうぞ。最後ですね。すみませんけれども。
(記者)
 ありがとうございます。総理、ごめんなさい。イタリアの方です。帰っていないです。ずっと日本に住んでいます。
 今まで世界はほとんどロックダウンにしているのですけれども、日本だけ今まで天国が見えると思いますよね。
 今まで御自分で対策を投じた中で、一か八かの賭けが見られますね。
 成功だったら、もちろん国民だけではなくて世界から絶賛だと思いますけれども、失敗だったらどういうふうに責任を取りますか。
 もう一点、みんなここでマスクをかけているのですけれども、2人だけ持っていない。
 特別な意味があるのですか。主張はあるのですか。メッセージはあるのですか。ありがとうございます。
(安倍総理)
 今、私と尾身先生がマスクを外したのは、最初に司会者から御説明があったのですが、今日は距離を取っておりますので、私の飛沫が届かない距離にあるからマスクを取らせていただいているということであります。
 それが一点とですね、これは、例えば最悪の事態になった場合、私たちが責任を取ればいいというものではありません。
 まず、私たちが採っている対策は他の国と違うではないかということでありますが、それは他の国々と、例えば、御国と比べても感染者の方の数も死者の数も桁が違う状況であります。
 様々な対策を採れば、経済に大きなインパクトがあり、そのことによってダメージを受ける方々もいます。
 その見合いで判断もしなければなりません。
 もちろん専門家の皆さんが必要とあれば、我々は判断をするわけであります。
 そこで、海外の例を見れば、ヨーロッパの国々と比べれば、はるかにこの感染者の増加のスピードは遅いわけでありますし、そして同時に、我々は他の国とは違ってクラスター対策というのをやっています。
 クラスター対策というのを早い段階からやっています。
 これは大変なんですが、クラスター班というのは現地に行って朝から晩までずっと、感染者が出れば、この人が接触した人をずっと追っていきます。
 その皆さんにはPCR検査をやっていただいて、クラスターを潰していくという形でやっている。
 これは日本の一つの特徴なのだろうと思いますし、これを評価もしていただいているのだろうと思います。
 こうしたこともしっかりとやっている。
 ただ、これがあまりにも感染者が増えていくと、クラスターを追跡することができなくなるので、先ほど申し上げましたように、しっかりとクラスターを、これは追跡し潰していくことが可能となっていけばですね、これは収束に向かっていく。
 ですから、孤発の例が増えると、クラスター以外の例が出ているので、これはなかなか大変だという、そういう判断も専門家の方がしておられるということだと思います。
 何か尾身先生、付け加えることはありますか。
(尾身会長)
 今、総理がおっしゃるとおりで、私の方からは、外国の場合と比較して、日本がここまでですね、これからはまた分からないので、今、緊急事態宣言を出したのですけれども、それまでに何とか持ちこたえてきたのは3つの理由があると思います。
 一つは、今、総理がおっしゃったクラスター対策、日本だけというわけではないですけれども、日本が初期の頃からやっている。
 それから、これは国民の健康意識、これは2009年の新型インフルエンザのときも世界で死亡率は10万人当たりのあれは1桁違うぐらい少なかったという意味で、国民の健康意識。
 それから、3つ目は、もちろん日本の医療制度にも様々な課題がありますけれども、比較的しっかりした医療制度で、肺コロナ感染で肺炎を疑われたような人はかなりの部分がシステムに探知されて、PCRも完全ではないですけれども、多くの人にされて、必要な治療が今のところ与えられてきたということが、これまで持ちこたえてきた理由だと思います。
 しかし、これからは、今の状況で感染の拡大が、懸念がありますので、今回の緊急事態宣言になったということだと思います。
(内閣広報官)
 それでは、以上をもちまして、次の日程もございますので、これで締めさせていただきます。
 ちょっと次の日程がございますので、ここで早く、すみません。
 いろいろ御質問されたい方がたくさんいるのですけれども、ちょっとこれは次の日程があるので。
 では、短くしてください。篠原(しのはら)さん。
(記者)
 テレビ東京の篠原と申します。
 海外のG7の首脳でコロナウイルスに感染する例が相次いでおります。
 イギリスのジョンソン首相もICU(集中治療室)に入っているという報道があります。
 現在、安倍総理は御体調いかがでしょうか。そして、万一のことですけれども、総理が感染された場合、国政運営というのはどのような形を想定されるのでしょうか。
 麻生副総理が担っていくとか、そういうような何らかの形をお示しいただければと思うのですが。
(安倍総理)
 まずは、英国のジョンソン首相の一日も早い快復を心からお祈りしたいと思っています。
 そして、私自身は感染しないようにできるだけ手洗いをしながら、あるいはまた、免疫力を維持するために睡眠、なかなか睡眠を完全に取ることはできないのですが、なるべく睡眠の時間を確保したいと思っています。
 生活のリズムを守るという意味においては、私はまだ食事を取る時間がないものでありますから、まだ食事をしていないのですが、なるべく規則正しく生活していくということも大切なのかなと、こう思っています。
 そこでもし、私が感染した場合でありますが、感染して、しかし、しっかりと意識がある場合には、私が公邸等で自己隔離をしながら、基本的に総理としての執務を行います。
 もし、私の意識がないということになれば、これは麻生副総理が臨時代理ということになり、一瞬でも遅滞がないように、そういう対応をしていきたいと、こう思っています。
(内閣広報官)
 それではですね、すみません。私から提案します。
 御質問されたい方がいらっしゃると思うので、書面で出してください。
 後で私の方から総理にクリアを取って、総理のお答えを書面で返しますので。
 ちょっと次の日程があるので、物理的にもうこれで今日は閉じさせていただきたいと思います。
 書面で質問いただけますか。
 すみません。後ほどよろしくお願いいたします。
(安倍総理)
 どうもありがとうございました。
(内閣広報官)
 では、どうも御協力ありがとうございました。



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あなたの恐怖心は、自分の心の中にある邪悪な影の集積物であり、その影は如何なる力も持っていません。

2020年04月08日 15時15分03秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの篠田 英朗氏の『新型コロナ:世界的科学者のご神託よりビッグデータ』と題した記事の転載であります。


     『新型コロナ:世界的科学者のご神託よりビッグデータ』


 アメリカ国内で、ニューヨークとカリフォルニアの死者数が10倍近い差になっていることに注目が集まっている。
 これについて山中伸弥・京都大学教授の「新型コロナウイルス情報発信」ブログでも記事が掲載された。
 だが冷静になってみよう。
 ニューヨークは現在の世界で最悪のペースで感染者と死者が広がっている地域だ。
 ほとんどの場所が、ニューヨークと比べれば良好な成績に見える。
 カリフォルニア州がニューヨーク州よりも4日外出禁止令を出すのが早かったことが、現在の結果の全ての原因であると断定するのは、簡単ではない。

    山中教授のブログは実情を反映しているのか?
 そもそもニューヨーク州が熱心に検査をやりすぎたのではないかという見方もありうるし、ニューヨーク特有の内在的要因に原因があるのではないか、という見方もある。
 これらの点が妥当する程度に応じて、外出禁止令の時期が持っていたであろう意味は相対的に低下する。
 もしカリフォルニアが早期外出禁止令によって、コロナウイルスを封じ込めたり、あるいはせめて感染拡大を止めたりしているのであれば、文句なく素晴らしい事例だということになるのだが、実は単にニューヨークより少ないだけで、カリフォルニアの感染者数も激増し続けていることに変わりはない。
 山中教授のブログを読んだ方は、「ニューヨーク=失敗例、カリフォルニア=成功例」であるかのような印象を持つだろう。
 しかし実情は違う。
 山中教授がブログに掲載したグラフはなぜか2週間の3月24日で終わっている古いものなので、カリフォルニアの感染者数は2,628人であるかのような印象を受ける。
 しかし実際のカリフォルニア州の4月4日時点の感染者数は、13,796人である。
 山中教授のブログは4月5日更新の記事だが、そこに掲載されている2週間前の数字は、現時点の感染者数のたったの19%でしかない。
 現在カリフォルニア州の死者数は323人に達しており、カリフォルニア州当局には自分たちをニューヨークと比較して成功を誇るなどということに時間を使う余裕は全くない状態だ。
 サンフランシスコ在住の山中教授の知人の方は、「4月2日時点」の数字として、「サンフランシスコは500人の感染」(現在は529人)で、「ニューヨークは感染者5万人」(現在は63,307人)だと伝えている。
 カリフォルニア州全体よりもサンフランシスコ市は3日早く外出禁止令を出したので成績がいい、という文脈で、その数字を紹介している。
 この理論が正しければ、カリフォルニア州全体の外出禁止令よりも3日早く外出禁止令を出したサンフランシスコ市はさらにいっそう成績が良くなければならない。
 実はサンフランシスコ市というのは90万人ほどしか人口がない町で、ニューヨーク市は860万の人口を持つ都市である。
 両市の感染者数の人口1人当たりの差は12倍程度である。
 ニューヨーク州の人口は19,440,469人で、カリフォルニア州の人口は約2倍の39,937,489人なので、カリフォルニア州1人当たりの感染者数は、ニューヨーク州1人当たりの感染者数に比べて17分の1にすぎない。
 これはどういうことかというと、カリフォルニア州全体で人口1万人当たりに対する感染者数は約3.45人にすぎないが、サンフランシスコ市は5.83人である。
 外出禁止令の時期に関わらず、州全体よりもサンフランシスコ市のほうが人口に対する感染者比率が高い。
 つまり、山中教授の知人が列挙している数字は、本当に「外出禁止令の発出時期が感染者の数と直接結びつく」という洞察の説明になっているのか。
 全く定かではない。

 ちなみに4月5日現在の東京都の感染者数は1,034人で、東京都の人口は13,942,856人なので、人口1万人当たり0.74人ということになる。
 巷では「東京は二週間前のニューヨーク」「東京は外出禁止令直前のサンフランシスコ」といった言い方が流通しているが、それはある意味でレトリックで、過去の取り組みの結果、先に感染者が発生したにもかかわらず、東京のほうがサンフランシスコ市よりもよく感染者を抑え込んでいる、という言い方もできる。
 東京都で一番人口の多い世田谷区が938,205人で、感染者も都内で一番多く4月1日時点で64人だった。
 これは人口1万人あたりで0.68人という数である。

 アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』あたりが繰り返し「東京は2週間前のニューヨークだ、油断しているから必ずニューヨークのようになる」と予言者めいたことを言い続けているので、日本人でもそのような発想方法しかできなくなっている人がとても多い。
 だがその予言者の考え方には、科学的な根拠はない。
 連日のように新規感染者数が増えているここ数日の東京都の感染者数の増加率を見ても、まだ2週間前のニューヨークの増加率よりも鈍いのである。

   東京はNYよりも移動減少していた!Googleの驚異的データ
 もう一つ、面白いデータを紹介しよう。Googleがコロナウイルスによる人的移動の制限が、実際に各国・各都市にどれくらいの影響を及ぼしたかを、下記サイトのデータで示している。
 起点を2月16日としたとき3月29日がどれくらい人間の移動が減っているかを、「小売店・娯楽(飲食店などを含む)」「食料品店・薬局」「公園」「駅など」「職場」「住宅」の6パターンで示したものだ。
 東京都、ニューヨーク州(NY)、カリフォルニア州(CA)を、それぞれのパターンごとに比べると、次のようになる。

 「小売店・娯楽(飲食店などを含む)」東京63%減少、NY62%減少、CA50%減少
 「食料品店・薬局」東京32%減少、NY32%減少、CA24%減少
 「公園」東京66%減少、NY47%減少、CA38%減少
 「駅など」東京59%減少、NY68%減少、CA54%減少
 「職場」東京27%減少、NY46%減少、CA39%減少
 「住宅」東京14%増加、NY16%増加、CA15%増加

 驚くべきことに、「ロックダウン」されているはずのニューヨークやカリフォルニアと、「外出自粛要請」だけの東京の人的移動の減少率は、ほとんど変わらない。
 というか、東京の減少率がNYとCAよりも鈍いのは「職場」だけで、あとは「駅など」がわずかにニューヨークに及ばなかっただけで、残りの項目では全て、東京の減少率が堂々の1位になっているのである。
 衝撃的なことに、ニューヨークもカリフォルニアも、「住宅」では、むしろ人間の移動が日本人よりも「増加」に転じている。
 「外出自粛」だけされた日本人たちは、駅から電車に乗って働きに行く人こそ、「ロックダウン」を受けたアメリカ人たちよりも減らなかったが、あとの分野ではことごとくアメリカ人よりも外出を減らしたのである。
 むしろアメリカ人は、働かない代わりに、住宅地を歩き回っていた。

 果たしてこのGoogleの人間の移動に関するデータを見てもなお、「ロックダウンを出して人の移動を止めたアメリカは素晴らしく、自粛しか求められなかったので通勤電車に乗った日本人は危機意識が薄いダメな人々なので、是非ともアメリカ人を見習って強権的な措置をとるべきだ!」と主張できるのだろうか。
 専門知は重んじなければならない。
 ノーベル賞はすごい賞である。
 しかしだからとって、ほんの少し調べればすぐわかるデータを見ることもなく、ただ仏壇を拝むように「偉い人」のご神託を求めるだけの態度を取り続けることこそが、危機を乗り切るために一番必要なことであるかどうかは、まだ必ずしも科学的には証明されていない。

                              転載終わり。


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大切なのは自分の碁を打つ、自分なりの作戦をたてる事だ。借り着のときにはやむをえないが、自分の身体にあう様に着こなさなくてはいけない。

2020年04月08日 13時16分16秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの篠田 英朗氏の『「日本モデル」の緊急事態宣言を成功させたい ~保健所への支援を』と題した記事の転載であります。



    「日本モデル」の緊急事態宣言を成功させたい ~保健所への支援を


 今回の「緊急事態宣言」の発出は、「日本モデル」の新しい段階ではあるが、決して終焉ではないことが明らかになってきた。
 私は、過去の「外出自粛要請」下の東京は、ある種のロックダウンの初期段階と考えるべきだ、と言ってきている。
 「緊急事態宣言」は、第二ステージでギアを入れ直すものだが、これまでの「日本モデル」の廃止ではない。
 安倍首相が冒頭で「緊急事態宣言」は頑張っている医療関係者の人たちを助けることが目的であると宣言し、具体的な職名をあげて感謝し、称賛の意を表明したのは良かった。
 これは私がかねてから日本の政治家にもっとやってほしい、と書いてきたことだ。

     わたくし、一臨床検査技師。
     安倍総理会見でわたしら職種名も入れて、敬意を示すと言ってくれて涙ーーー。
     目立たない地味な我ら。
     医師、看護師だけじゃなく頑張ってくれてる仲間に入れてくれたー。
     涙ーー。
     明日も怖いけど頑張って働くわ
     — どんちゃんママ (@layra_layra13) April 7, 2020

 昨日の安倍首相の記者会見では、尾身茂・「専門家会議」副座長が横に並んだが、この並びは良かったと思う。
 尾身氏は、専門家会議の記者会見の時よりも落ち着いた表情で、専門家らしく、安倍首相を補佐した。
 私としては、何と言っても、尾身氏が、「クラスター対策・医療体制・行動変容」と、「日本モデル」の三つの領域をブレずに説明していることに感心した。
 尾身氏は、「非常事態宣言」を「日本モデル」のコロナ対策の一段階として捉えているので、安心感がある。
 応援したい。
 相手は世界で130万人以上の感染者を出しているウイルスなのだ。
 数か月で撲滅できるはずはない。
 状況に応じてギアを入れ替えるのも当然だろう。
 しかし社会機能を停止させないまま、ピークを先送りにするための管理をし続ける政策は、今のところまだ破綻はしていない。
 「長期戦」を戦う体力を温存し、補給を確保しながら、最大限の努力をしていくための「緊急事態宣言」だ。
 「日本モデル」の行方にとっても、正念場になる。
 頑張りたい。
 「日本モデル」の維持のためには、クラスター対策、医療体制、国民の行動変容、という尾身氏の「専門家会議」が強調する三領域それぞれへの支援のための補給が必要である。
 そうでなければどこかが疲弊し過ぎて決壊し、「日本モデル」が破綻する。


 その意味では、医療崩壊回避の措置、国民への支援措置などが議論されるようになったのは、とても良いことだ。
 「非常事態宣言」がそうした支援措置のテコになれば有益だろう。
 気になるのは、クラスター対策への支援だ。
 これまで尾身氏の専門家会議が、いくつかの提言を出してきた。
 「3密の回避」など素晴らしく定着してきた「日本モデル」の象徴もある。
 ただ、保健所などの現場への支援や、ICTの活用などのクラスター対策維持のための重要な提言について、どういう措置がとられるのか、報道では確認できない。
 特に政治家の方々には、「緊急事態宣言」もきっかけにして、「日本モデル」を最前線の現場で支えている保健所体制・保健所職員への支援を忘れないようにしてほしい。
 クラスター対策では、「専門家」たちが華やかに目立つ発言を繰り返して、SNSを通じた社会運動も相当に熱心にやっている。
 「クラスター対策をしている人=熱心にツィッターをしている専門家」という印象がだいぶ広まってきてしまった。
 しかし本当にクラスター対策を現場で支えているのは、保健所職員などの現場の人たちだ。
 各地方自治体の保健所職員などの専門的能力と職業倫理の高さこそが、「日本モデル」の底力なのである。
 何とかして、保健所職員支援を充実させてほしい。
 尾身氏も、そのことを繰り返し訴えている。
 いたずらに検査数の少なさを批判したり、派手なロックダウンを夢見たりするだけでなく、地道な努力をしている保健所の支援を充実させることこそが、「日本モデル」の命運を握る残された最重要領域のはずだ。

                               転載終わり。



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