狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

木苺(キイチゴ)のお花、その6。

2020年04月13日 23時46分22秒 | お花に関する日記
 本日4月13日は、元明天皇が藤原京から平城京に遷都した日で、聖武天皇が恭仁京から難波京に遷都した日で、ハインリヒ5世が神聖ローマ皇帝に即位した日で、平安京内で治承の大火が起こった日で、九州に落ち延びていた足利尊氏が再び挙兵して多々良浜の戦いで南朝方の菊池武敏を破った日で、フランス国王アンリ4世がナントの勅令を発布してプロテスタントにカトリックと同等の信教の自由を認めた日で、宇都宮興禅寺刃傷事件が起こった日で、イギリスでカトリック解放令が制定されてカトリック教徒の信教の自由が公的に保障された日で、長崎・下田などの開港地での踏み絵を廃止した日で、東京・下谷黒門町に日本初のコーヒー専門店「可否茶館」が開店した日で、インドでイギリス軍が発砲しインド民衆に数百人の死傷者が出た日で、モスクワで日ソ中立条約が締結された日で、ドイツのラジオ放送がソ連領内カティンの森でポーランド将校4000人の遺体を発見と報じた日で、ソビエト軍がウィーンを占領した日で、アミーン・フサイニー指揮下のアラブ人ゲリラがヘブライ大学の医療スタッフを虐殺した日で、アメリカで世界初の衛星測位システム「トランシット1B」を打ち上げた日で、発射されてから2日後のアポロ13号で機械船の酸素タンクが爆発して月面着陸を断念し帰還の途についた日で、毎年8月15日を「戦歿者を追悼し平和を祈念する日」とすることが日本の閣議で決定された日で、長江裕明一家3人がヨットでの4年9か月の世界一周を経て蒲郡港に帰港した日で、ミハイル・ゴルバチョフソ連大統領がカティンの森事件がソ連秘密警察の犯行であったことを認め陳謝した日で、東海大学安楽死事件がおこった日で、ポルトガルと中華人民共和国が1999年にマカオを返還する旨の共同声明に調印した日で、日本でDV防止法が公布された日で、北朝鮮が人工衛星と称した弾道ミサイルを打ち上げて失敗に終わった日で、ひこにゃんのお誕生日です。

 本日の倉敷は曇り時々雨でありましたよ。
 最高気温は十一度。最低気温は六度でありました。
 明日は予報では倉敷は午後から晴れとなっております。





 上の写真に写っているお花は「木苺(キイチゴ)」です。
 木苺のお花に関しては、2019年4月13日の記事2018年4月13日の記事2017年5月4日の記事2013年5月2日の記事2011年4月22日の記事もよろしかったらご覧くださいませ。
 2019年と2018年と2017年と2013年と2011年の木苺のお花の記事です。



 木苺のお花の花言葉は、「謙遜」或いは「尊重される」です。


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全てが重なる最後の一時。間もなく訪れる真実の夜明け。

2020年04月13日 20時45分36秒 | 漫画・ゲームに関する日記
 昨日の夜は、同人サークル『あんかけスパ』のアクションRPG「東方紅輝心」で遊んでいました。
 東方Projectのファンゲームで、吸血鬼『レミリア・スカーレット』と従者『十六夜咲夜』を主人公としたアクション・ロールプレイング・ゲームであります。


 カリスマ溢れるレミリア・スカーレットお嬢様でプレイ。
 昨日は、『第10章:いざ決戦の地へ』まで終了。
 前章の地霊殿での古明地さとり嬢とのお姉ちゃん対決で辛勝だったので、ここでこの章を繰り返してレベル上げをしました。
 サクサク進んでいないので、レミリアお嬢様はお怒りモードであります。
 すまぬ。お嬢。

 最終盤に入っていて次がおそらくラスBOSS。
 でも、レベルをある程度上げたので大丈夫かな? 


 暫らくはこのゲームで遊んでいきたい。と思っているところなのでございます。


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もうひとりのあなたがあなたを見ているのよ。見放されないようにね。嫌われないようにね。

2020年04月13日 18時37分47秒 | VSの日記
 或る日の事。
 倉敷美観地区の大原美術館の門の下にぼんやり空を仰いでいる一人の愚か者がありました。
 愚か者の名は狐といつて元は蝶よ花よと言はれて育つたにもかかわらずぽんこつでぼんくらで怠惰な性のままぼんやりと生きてゐるのです。
 哀れなる哉。愚かなる者。
 狐は呆けた顔でぼんやりと空を仰いでゐたのでございます。

 何しろ倉敷美観地区といへば名だたる観光地ですから往來にはまだしつきりなく人や俥が通つてゐました。
 門一ぱいに当たってゐる油のやうな夕日の光の中に老人のかぶつた帽子や女の金の耳環や男の持つ寫眞機が絶えず流れていく容子はまるで画のやうな美しさです。
 しかし狐は相変わらず門の壁に身を凭せてぼんやり空ばかり眺めてゐました。
 空にはもう細い月がうらうらと靡いた霞の中にまるで爪の痕かと思ふ程、幽かに白く浮かんでゐるのです。

 「日は暮れるしお腹は空くし、ぼんやりと生きてきて此の儘で佳いのかしらん? というぼんやりとした不安に襲われるし、こんな思ひをして生きてゐる位ならいつそ倉敷川へでも身を投げて死んでしまつて鯉の餌になつた方がましかもしんない」
 狐は獨りさつきからそんな阿呆な取りとめもない本気でない愚かなことを思ひめぐらしてゐたのです。

 すると何処からやつて来たか、突然狐の前へ足を止めた老人があります。
 それが夕日の光を浴びて大きな影を門に落とすとぢつと狐の顔を見ながら、「うぬは何を考へてゐるのだ」と突然に横柄に狐に言葉をかけました。
 「私ですか? 私は理由もなく不安な気分が治まらずほとほと困り果ててどうしたものかと考へてゐるのです」
 老人の尋ね方が急でしたから狐はさすがに眼を伏せて思はず正直な答えをしました。
 「さうか。それは可哀さうだな」
 老人は暫く何事か考へてゐるやうでしたが、やがて往來にさしてゐる夕日の光を指さしながら、「では我がうぬに好い事を一つ教へてやらう。今この夕日の中に立つてうぬの影が地に映つたらその頭に当る所を夜中に掘つて見るが好い。きつとうぬの不安が治まるものが埋まつてゐる筈だから」
 「ほんたうですか」狐は驚いて伏せていた眼を挙げました。
 「嘘ぢや。その道は混凝土ぢや。掘れぬわ。ふおふおふおふお。早く家に帰つて飯をたらふく喰いぐつすりすやすや寝るがよい。ふおふおふお」
 不思議な事に老人の声はするものの老人は何処に行つたのか周囲にはそれらしい影は見当たりません。
 その代わり空の月の色は前よりもなお白くなつて休みない往來の人通りの上にはもう気の早い白鷺が寝床を捜してひらひら舞つてゐました。

 「揶揄われた。orz。見知らぬお爺さんに揶揄われてしまつた。orz。やれやれ」
 狐はやはり夕日を浴びて大原美術館の門の下にぼんやりと佇んで空ばかり眺めていたのでありました。
 「今日はたらふく食べて早くぐつすりすやすや寝やう」
 狐はそう呟いてやがて帰路についたのでございます。



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神奈川県医師会のHP 『本当のことを知ってください! ~新型コロナウイルス感染症について~』と題したメッセージの全文

2020年04月13日 18時33分44秒 | その他の日記
 以下の文は、神奈川県医師会のHPの『本当のことを知ってください! ~新型コロナウイルス感染症について~』と題したメッセージの転載です。
 

        ~ 神奈川県民の皆様へ~
        (神奈川県医師会からのお願い)
                         神奈川県医師会長 菊岡正和



 ◆侮らないで◆
 連日の報道で、親も子供もストレスで大変ですとマスコミが取り上げています。
 だから、ストレス発散のために、外出したいという気持ちもわかります。
 爆発的な感染拡大に若い人たちに危機感はないのは当然かもしれません。
 若い人は感染しても比較的軽症ですむとの報道があるからです。
 しかし現実は違います。
 若い人でも、重症化して一定数以上は死亡するのです。
 現実を見つめてください。
 もし、自分の知り合いの人がコロナ感染症で亡くなられたらきっと哀しいはずです。
 そして、亡くなった人にうつしたあなたが、入院せずに軽度ですんでも本当に喜べるでしょうか。
 不用意に動き回るということは、その可能性を増やしてしまうことなのです。
 今は我慢する時なのだということを、ぜひ理解してください。
 出来るだけ冷静に、そして自分を大切に、そして周囲の人を大切に考えてください。

 ◆ごまかされないで◆
 この新しい未知のウイルスに、本当の専門家がいません。
 本当は誰もわからないのです。
 過去の類似のウイルスの経験のみですべてを語ろうとする危うさがあります。
 そして専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテインメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります。
 視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響くものです。
 不安や苛立ちかが多い時こそ、慎重に考えてください。
 実際の診療現場の実情に即した意見かどうかがとても重要です。
 正しい考えが、市民や県民に反映されないと不安だけが広まってしまいます。
 危機感だけあおり、感情的に的外れのお話を展開しているその時に、国籍を持たず、国境を持たないウイルスは密やかに感染を拡大しているのです。
 第一線で活躍している医師は、現場対応に追われてテレビに出ている時間はありません。
 出演している医療関係者も長時間メディアに出てくる時間があれば、出来るだけ早く第一線の医療現場に戻ってきて、今現場で戦っている医療従事者と一緒に奮闘すべきだろうと思います。

 ◆PCR検査の本当◆
 医療関係者は、もうすでに感染のストレスの中で連日戦っています。
 その中で、PCR検査を何が何でも数多くするべきだという人がいます。
 しかしながら、新型コロナウイルスのPCR 検査の感度は高くて70%程度です。
 つまり、30%以上の人は感染しているのに「陰性」と判定され、「偽陰性」となります。
 検査をすり抜けた感染者が必ずいることを、決して忘れないでください。
 さっさとドライブスルー方式の検査をすればよいという人がいます。
 その手技の途中で、手袋や保護服を一つひとつ交換しているのでしょうか。
 もし複数の患者さんへ対応すると、二次感染の可能性も考えなければなりません。
 正確で次の検査の人に二次感染の危険性が及ばないようにするには、一人の患者さんの検査が終わったら、すべてのマスク・ゴーグル・保護服などを、検査した本人も慎重に外側を触れないように脱いで、破棄処分しなければなりません。
 マスク・保護服など必須装備が絶対的に不足する中、どうすればよいのでしょうか。
 次の患者さんに感染させないようにするために、消毒や交換のため、30分以上1 時間近く必要となります。
 テレビなどのメディアに登場する人は、本当のPCR検査の実情を知っているのでしょうか。
 そして、専門家という人は実際にやったことがあるのでしょうか。

 ◆胸部レントゲン検査やCT検査の困難◆
 胸部レントゲン検査やCT 検査を、もっと積極的にしないのは怠慢だという人がいます。
 もし、疑われるとした患者さんを撮影したとすると、次の別の患者さんを検査する予定となっても、その人が二次感染しないように、部屋全体を換気するとともに装置をアルコール消毒しなければなりません。
 その作業は30分以上、1時間近く必要となります。
 アルコールが不足する中、どうすればいいのでしょうか。
 メディアなどで主張する専門家やコメンテーターは、そのようなことを考えたことがあるでしょうか。

 ◆医療機関の現状◆
 今後感染のスピードが上がると、重症例も当然増えてきます。
 もし何百人もの感染者が同時に出れば、その人たちを病院で治療しなければいけません。医療機関のベッドは、またたく間に埋まってしまいます。
 それでも心筋梗塞や脳梗塞やがんなどの患者さんに対しては、いつものように対応しなければなりません。
 今までと同じように医療は維持しなければならないのです。
 軽症の人は、自宅や宿泊施設に移って静養や療養してもらい、少しでも新型コロナ感染症の人のために、病院のベッドを空けるなどの素早い行動が必要です。
 そして、新型コロナ感染者の治療が終わり、社会復帰しても良いというときこそ、素早くPCR検査をやって確認し、ベッドを開けなければなりません。
 そのためにも、少しでも時間が必要なのです。
 医療機関に時間をください。
 コロナ感染者の増加を、少しでも緩やかなカーブにしなければ、医療は崩壊します。

 ◆医療機関への偏見や差別◆
 皆さんは、咳をしたり、熱が出ていたりする人が近くにいたら、きっと嫌な顔をして、文句を言うか、離れていくことでしょう。
 今この時も医療関係者は、コロナ感染の恐怖の中で戦っています。
 戦っている医療機関の医師や看護師や事務職員にも、子供や孫、そして親はいます。
 その愛する人たちに、うつすかもしれないという恐怖の内で、医療職という使命の中で戦っています。
 そして自分の子供が、バイキンと言われ、いじめにあうかもしれないという、悲しみとも戦っています。
 市中の診療所ならば、医師自身が罹ったら、当然一定期間休診にするばかりでなく、診療所のすべてのスタッフやその家族の心配もしなければなりません。
 そして、自分の家族そのものに危害が及ぶことになります。
 実際に病院の中で重症の患者さんの治療を毎日繰り返し繰り返し治療にあたり、家に帰っても人工呼吸器の音が耳から離れず、懸命にしている立ち向かっている医師や看護師の人たちのことを想像してください。
 そんな恐怖といら立ちと、そしてストレスの毎日の中で生活しています。
 わかってください。
 知ってください。
 理解してください。
 感染が拡大すれば、誰もが感染者になります。
 そのとき、偏見や差別を受けたらどんな思いをするのか、一人ひとりが賢明に考えて、不確かな情報に惑わされて人を決して傷つけないように、正しい情報に基づいた冷静な行動をするようにしてほしいのです。
 まして、地域の医療機関の活動が差別意識で妨げられるようなことは、決してあってはならないことでしょう。

 ◆一緒に戦いましょう◆
 もう少し、もう少し我慢して下さい。
 四週間、何か月いや一年以上になるかもしれません。
 病と闘って生きていたいと、つらい治療と闘っている患者さんもいます。
 生きていることだけでも幸せなのだと、ぜひ、ぜひ思ってください。
 安易に外出して、密集、密閉、密接のところには絶対行かないでください。
 あなたの行動が、新しい患者さんを作ってしまうかもしれません。
 お願いします。
 私たち医療従事者も、ストレスや恐怖に我慢して戦っています。
 お願いします。
 皆さんはぜひ、我慢と闘って、我慢してください。
 戦いは、長くてつらいかもしれませんが、みんなで手を取り合っていきましょう。

                                 転載終わり。


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人間は、ある意見を、そうだと思いこむと、すべての事柄をその意見にあわせ、その意見が正当であると主張するのに、都合がいいように寄せ集めるものだ。

2020年04月13日 18時22分09秒 | その他の日記
  今の状態に何処か既視感があったので、ず~っとその既視感について考えていたのです。

 例えば、スポーツに熱中して観ている人達。
 この人達の中には試合中に好き勝手に主張する人がいる。試合結果に対しても好き勝手に主張する。
 興奮状態に入っていて、私が僕が考えた最強のプランを採用しろ! と喚く。
 多くの人が現場の問題も現実もデータも無視して、自分のプランを採用しろと主張する。
 この状態によく似ている……のではないか? 

 何故バントをしない! あの場面はバントをすべきだった! 
 何故シュートを打たない! あの場面はシュートを打つべきだった! 
 何故ヒットエンドランをしない! あの作戦は間違いだ! 
 何故あの場面でシュートを打った! あそこではボールをキープすべきだった! 
 何故あの選手を使わないのか! 
 何故あの選手を使うのか! 
 ピッチャーを変えろ! 
 なぜあのピッチャーを変えた! 帰るべきではなかった! 
 あのフォアードは使えない! 交代させろ!
 四番を変えろ! 
 監督辞めろ! 
 金返せ! 


 ど素人が、僕が私が考えたプランが至高のものであると、主張する……。
 興奮状態に陥っているのだけれども、自分が興奮状態に陥っていることに気がついていない……。
 暴言が乱舞する状態に今の状況はよく似ている……ように思える……。

 スポーツ観戦をしているとよく見かける事案であります。
 それらは、99.999%が与太話。
 このように興奮状態に陥っている人の与太話をまともに採用して成功した試しはありません。
 そもそも与太話はほとんどが採用されることはありません。与太話でしかないのですから。
 しかし、スポーツのそれもプロでの話ならば、ある程度はそれは許容すべきです。
 それも含めてのエンターテイメントなのですから。

 しかし、今のこの状況はエンターテイメントではありません。
 事実もデータも現場の意見も無視した論に意味はありません。
 しかし、今は居酒屋で話される与太話でしかないレベルの話を延々とTVや新聞や雑誌やネットで聞かされたり読まされたりする状況にあります。
 そして、全員が自分が正しいと思っている……。
 みんなが、「私が考えた最強のプラン」を述べて、他者の意見を否定する……。
 みんなが興奮状態に陥って混乱に拍車がかかる。
 マスメディアが真っ先にパニックに陥って取材もせずにデマを拡散させる……。
 でも、自分達が興奮状態に陥っていると理解していないので、自分の考えが正しいと思っている……。
 ど素人でしかないのに……。


 斯く述べる私も、述べていることは与太話のレベルでしかありません。
 故に当ブログで主張していることを信じてはなりません。



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あなたの恐怖心は、自分の心の中にある邪悪な影の集積物であり、その影は如何なる力も持っていません。

2020年04月13日 12時21分24秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの篠田 英朗氏の『新型コロナ:世界的科学者のご神託よりビッグデータ』と題した記事の転載であります。




     『新型コロナ:世界的科学者のご神託よりビッグデータ』




 アメリカ国内で、ニューヨークとカリフォルニアの死者数が10倍近い差になっていることに注目が集まっている。
 これについて山中伸弥・京都大学教授の「新型コロナウイルス情報発信」ブログでも記事が掲載された。
   サンフランシスコとニューヨーク アメリカ東西海岸の運命を決めたのは何か?
 だが冷静になってみよう。
 ニューヨークは現在の世界で最悪のペースで感染者と死者が広がっている地域だ。
 ほとんどの場所が、ニューヨークと比べれば良好な成績に見える。
 カリフォルニア州がニューヨーク州よりも4日外出禁止令を出すのが早かったことが、現在の結果の全ての原因であると断定するのは、簡単ではない。


    山中教授のブログは実情を反映しているのか?
 そもそもニューヨーク州が熱心に検査をやりすぎたのではないかという見方もありうるし、ニューヨーク特有の内在的要因に原因があるのではないか、という見方もある。
   「コロナは貧しい人から犠牲に」ハーバード大教授が不都合な真実を警告(ダイヤモンドオンライン)
 これらの点が妥当する程度に応じて、外出禁止令の時期が持っていたであろう意味は相対的に低下する。
 もしカリフォルニアが早期外出禁止令によって、コロナウイルスを封じ込めたり、あるいはせめて感染拡大を止めたりしているのであれば、文句なく素晴らしい事例だということになるのだが、実は単にニューヨークより少ないだけで、カリフォルニアの感染者数も激増し続けていることに変わりはない。
 山中教授のブログを読んだ方は、「ニューヨーク=失敗例、カリフォルニア=成功例」であるかのような印象を持つだろう。
 しかし実情は違う。
 山中教授がブログに掲載したグラフはなぜか2週間の3月24日で終わっている古いものなので、カリフォルニアの感染者数は2,628人であるかのような印象を受ける。
 しかし実際のカリフォルニア州の4月4日時点の感染者数は、13,796人である。
 山中教授のブログは4月5日更新の記事だが、そこに掲載されている2週間前の数字は、現時点の感染者数のたったの19%でしかない。
 現在カリフォルニア州の死者数は323人に達しており、カリフォルニア州当局には自分たちをニューヨークと比較して成功を誇るなどということに時間を使う余裕は全くない状態だ。
   Coronavirus in California: Map and Case Count(ニューヨーク・タイムズ)
 サンフランシスコ在住の山中教授の知人の方は、「4月2日時点」の数字として、「サンフランシスコは500人の感染」(現在は529人)で、「ニューヨークは感染者5万人」(現在は63,307人)だと伝えている。
 カリフォルニア州全体よりもサンフランシスコ市は3日早く外出禁止令を出したので成績がいい、という文脈で、その数字を紹介している。
 この理論が正しければ、カリフォルニア州全体の外出禁止令よりも3日早く外出禁止令を出したサンフランシスコ市はさらにいっそう成績が良くなければならない。
 実はサンフランシスコ市というのは90万人ほどしか人口がない町で、ニューヨーク市は860万の人口を持つ都市である。
 両市の感染者数の人口1人当たりの差は12倍程度である。
 ニューヨーク州の人口は19,440,469人で、カリフォルニア州の人口は約2倍の39,937,489人なので、カリフォルニア州1人当たりの感染者数は、ニューヨーク州1人当たりの感染者数に比べて17分の1にすぎない。
 これはどういうことかというと、カリフォルニア州全体で人口1万人当たりに対する感染者数は約3.45人にすぎないが、サンフランシスコ市は5.83人である。
 外出禁止令の時期に関わらず、州全体よりもサンフランシスコ市のほうが人口に対する感染者比率が高い。
 つまり、山中教授の知人が列挙している数字は、本当に「外出禁止令の発出時期が感染者の数と直接結びつく」という洞察の説明になっているのか。
 全く定かではない。


 ちなみに4月5日現在の東京都の感染者数は1,034人で、東京都の人口は13,942,856人なので、人口1万人当たり0.74人ということになる。
 巷では「東京は二週間前のニューヨーク」「東京は外出禁止令直前のサンフランシスコ」といった言い方が流通しているが、それはある意味でレトリックで、過去の取り組みの結果、先に感染者が発生したにもかかわらず、東京のほうがサンフランシスコ市よりもよく感染者を抑え込んでいる、という言い方もできる。
 東京都で一番人口の多い世田谷区が938,205人で、感染者も都内で一番多く4月1日時点で64人だった。
 これは人口1万人あたりで0.68人という数である。


 アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』あたりが繰り返し「東京は2週間前のニューヨークだ、油断しているから必ずニューヨークのようになる」と予言者めいたことを言い続けているので、日本人でもそのような発想方法しかできなくなっている人がとても多い。
 だがその予言者の考え方には、科学的な根拠はない。
 連日のように新規感染者数が増えているここ数日の東京都の感染者数の増加率を見ても、まだ2週間前のニューヨークの増加率よりも鈍いのである。


   東京はNYよりも移動減少していた!Googleの驚異的データ
 もう一つ、面白いデータを紹介しよう。Googleがコロナウイルスによる人的移動の制限が、実際に各国・各都市にどれくらいの影響を及ぼしたかを、下記サイトのデータで示している。
   See how your community is moving around differently due to COVID-19
 起点を2月16日としたとき3月29日がどれくらい人間の移動が減っているかを、「小売店・娯楽(飲食店などを含む)」「食料品店・薬局」「公園」「駅など」「職場」「住宅」の6パターンで示したものだ。
 東京都、ニューヨーク州(NY)、カリフォルニア州(CA)を、それぞれのパターンごとに比べると、次のようになる。


 「小売店・娯楽(飲食店などを含む)」東京63%減少、NY62%減少、CA50%減少
 「食料品店・薬局」東京32%減少、NY32%減少、CA24%減少
 「公園」東京66%減少、NY47%減少、CA38%減少
 「駅など」東京59%減少、NY68%減少、CA54%減少
 「職場」東京27%減少、NY46%減少、CA39%減少
 「住宅」東京14%増加、NY16%増加、CA15%増加


 驚くべきことに、「ロックダウン」されているはずのニューヨークやカリフォルニアと、「外出自粛要請」だけの東京の人的移動の減少率は、ほとんど変わらない。
 というか、東京の減少率がNYとCAよりも鈍いのは「職場」だけで、あとは「駅など」がわずかにニューヨークに及ばなかっただけで、残りの項目では全て、東京の減少率が堂々の1位になっているのである。
 衝撃的なことに、ニューヨークもカリフォルニアも、「住宅」では、むしろ人間の移動が日本人よりも「増加」に転じている。
 「外出自粛」だけされた日本人たちは、駅から電車に乗って働きに行く人こそ、「ロックダウン」を受けたアメリカ人たちよりも減らなかったが、あとの分野ではことごとくアメリカ人よりも外出を減らしたのである。
 むしろアメリカ人は、働かない代わりに、住宅地を歩き回っていた。


 果たしてこのGoogleの人間の移動に関するデータを見てもなお、「ロックダウンを出して人の移動を止めたアメリカは素晴らしく、自粛しか求められなかったので通勤電車に乗った日本人は危機意識が薄いダメな人々なので、是非ともアメリカ人を見習って強権的な措置をとるべきだ!」と主張できるのだろうか。
 専門知は重んじなければならない。
 ノーベル賞はすごい賞である。
 しかしだからとって、ほんの少し調べればすぐわかるデータを見ることもなく、ただ仏壇を拝むように「偉い人」のご神託を求めるだけの態度を取り続けることこそが、危機を乗り切るために一番必要なことであるかどうかは、まだ必ずしも科学的には証明されていない。


                              転載終わり。

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聖路加国際病院 QIセンター感染管理室マネジャー 坂本史衣  『新型コロナ医療の現場から 命の選択を避けるために今できることを』 全文

2020年04月13日 11時49分20秒 | その他の日記
 以下の文は、Yahoo!ニュースの坂本史衣氏の『新型コロナ医療の現場から 命の選択を避けるために今できることを』と題した記事の転載であります。




      『新型コロナ医療の現場から 命の選択を避けるために今できることを』
      坂本史衣  | 聖路加国際病院 QIセンター感染管理室マネジャー 


  東京都では感染者数が増加
 東京都では3月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が上昇を続けています。
 イタリア北部やニューヨークのような爆発的急増は起きていないものの、コンスタントに増えている印象をCOVID-19の医療に携わる私たちも持っています。 

  診療協力病院の現状
 現在COVID-19が疑われる患者さんが病院を訪れるルートは全部で3つあります。
 ウォークイン(直接外来を受診)、救急車での搬送、行政機関や近隣のクリニックからの診察依頼です。
 患者数の増加に伴い、診療協力病院では、外来にあるCOVID-19専用待合エリアを拡大したり、集中治療室や病棟をCOVID-19専用にして対応しています。 

  【診療協力病院はこれから増える見込み】
 今もまだ、不安やマスクなどの防護具の不足から、発熱している方やCOVID‐19が疑わしい方の診療を行わない病院があります。
 そのため、一部の病院に負担が集中している状況は以前から変わりませんが、これからいくつかの大学病院で患者さんの受け入れが始まるので、一時的な緩和が期待されます。
 軽症者の宿泊施設への移動も非常にゆっくりとではありますが、病院あたり1日1人~数名のペースで進んでいます。
 ただ、すべての患者さんが移動を希望されるわけではなく、解決すべき課題もあります。 

  【病院の経済的負担も大きい】
 COVID-19の流行拡大に伴い、病院を利用する患者数は減少傾向にありましたが、COVID-19患者を受け入れるために予定手術や健診業務を中止したり、差額ベッド代の徴収を行わなくなった結果、診療協力病院は巨額の経済的損失を負っています。
 幸いCOVID-19の診療に対して診療報酬が算定できるようになりましたが、損失が完全に補填されるわけではなく、どこも赤字覚悟で取り組んでいます。 

  【検査はCOVID-19が疑われる場合に実施】
 診断のためのPCR検査は、症状、経過、胸部CT検査の結果などからCOVID-19が疑わしい患者さんに対し、行政検査または保険適用で行う検査のいずれかとして行われています。
 東京都のウェブサイトに掲載されているのは行政検査件数だけで、保険適応で行った検査件数は計上されていません。
 そのため、現在実際に行われているPCR検査件数は東京都が公開している件数よりもやや多いと考えられます。 

  【陽性は多く、偽陰性と思われるケースも】
 検査結果が判明するまでには、少なくとも1~2日を要します。
 そのため、比較的症状が軽い方は結果が分かるまで自宅待機となることが多く、中等症~重症者は入院になります。
 検査結果の多くは陽性です。
 ただし陰性であっても、疑わしい症状があり、胸部CT検査でCOVID-19に特徴的な影を認めることなどからCOVID-19が否定できない患者さんもいます。
 そのため、陰性の場合の判断は慎重に行われています。
 また、感染が心配だからという理由で検査を求める無症状の方が救急車を要請したり、外来や電話で医師や事務員を30分以上離さないために診療が中断することもたびたび起きています。

  【防護具は不足している】
 マスクやガウンなどの防護具は相変わらず手に入りにくい状況です。
 そのため、使用をかなり制限しています。
 N95マスクは今後枯渇する可能性が高いので、厚生労働省は4月10日にマスクに付着したウイルスを不活化する処理を行うなどして使用期間を延長する取り組みを検討するよう病院に通知しました。
 プラスチックガウンも不足する見込みです。
 すでに入荷できていない病院もあります。
 顔を覆うシールドも同じような状況です。
 そのため、ガウンの代わりに大きなゴミ袋をかぶり、シールドの代わりにクリアファイルで顔を覆うなど、さまざまな代用品を使った試みが行われています。
 決して安全な状況とは言えず、院内感染のリスクと隣り合わせです。 

  重症患者の命を救うために
 COVID-19は経過が長い病気です。
 感染から診断までは2週間前後、入院から退院までは3週間ほど(重症ならそれ以上)かかります。
 一般病棟に入院し、鼻カニューラで低流量の酸素投与を行っている患者さんのなかには、短時間のうちに高流量の酸素が必要となり、やがて集中治療室(ICU)で気管挿管されて、人工呼吸器管理となる方がいます。
 ですから、中等症から重症の患者さんの診療を引き受ける急性期病院では、そのような急激な病状の変化をおこす可能性が高い一般病棟の入院患者(ICU予備軍)の数に応じて、あらかじめICUのベッドを空けておく必要があります。
 ICUが満床の場合は、病棟にいる患者さんの急変への対応が難しくなるからです。 

  【人工呼吸器は誰もが使える器械ではない】
 人工呼吸器は重症患者の命綱ですが、使いこなせるのはトレーニングを受けたベテランの医師、看護師、臨床工学技士などです。
 人工呼吸器を装着した一人の患者さんの治療やケアには、複数の医師、看護師、臨床工学士に加え、リハビリスタッフが、感染予防に非常に神経を使いながら当たることになります。
 今のところ、比較的高齢の方を含め、多くの方が無事に人工呼吸器から離脱して、回復しています。
 各診療協力病院のICUで提供されている手厚い医療が日本のCOVID-19による死亡率の低さに貢献していると考えられます。
 
  【集中治療室に余力を残すことが救命につながる】
 このように重症化する患者さんの診療が可能な急性期病院が安心して引き受けられるCOVID-19患者数は、ICUのキャパシティ(許容量)に左右されます。
 つまり、人工呼吸器の数とそれをあつかえるマンパワーがICUのキャパシティであり、キャパシティに余裕があれば重症患者さんを救命できる可能性が高まります。
 ただ、残念ながら日本全体の集中治療室のキャパシティはもともと大きくはなく、すでにCOVID-19の流行によりひっ迫しています。 

  【医療現場の願い】
 COVID-19患者数が増加すれば、人工呼吸器管理を要する重症患者数も増加します。
 増加が続けばやがて、限られた人工呼吸器を誰に使うのかという選択を医療従事者は迫られることになるでしょう。
 そして選択の対象にはCOVID-19 以外の病気で運ばれた患者さんも含まれることになります。
 誰もそのような命の選択をしたくはありません。
 第三者が示してくれた選択基準に従ったとしても、医療従事者の心には大きな傷が残るでしょう。
 患者さんにも家族にも耐えがたい状況となります。
 それが、医療現場の私たちが恐れる医療崩壊です。 
 人と人との接触を8割減らす短期決戦を行えば、感染者数を減らし、命の選択を回避できる可能性が高まります。
 今、できる限り人との接触を減らしてください。
 どうか、患者にならないで。
 それがCOVID-19医療の現場にいるすべての医療従事者の願いです。

                               転載終わり。


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現場で働いている者が一番事情をよく知っている。問題点・改善点はただ彼らに聞けばいいのだ。

2020年04月13日 09時23分53秒 | その他の日記
 以下の文は、クーリエ・ジャポンの『「どれだけ軽い症状でも、新型コロナだと考えて行動を」 それでも検査に行きますか? 医療崩壊の迫るNY救急医が警告』と題した記事の転載であります。

         『「どれだけ軽い症状でも、新型コロナだと考えて行動を」 それでも検査に行きますか? 医療崩壊の迫るNY救急医が警告』

   アメリカでは新型コロナウイルスの感染者が40万人を超えた。
   そのうちの約15万人を占めるニューヨーク州では4月8日、24時間の死者数が過去最多の779人に上った。
   医療崩壊寸前の現場で働く医師たちは、最善を尽くしても次々と失われていく命を前に、心身ともに疲弊しきっている。

   そんななか最前線に立つひとりの医師が、米誌「アトランティック」に手記を公開している(3月27日付け)。
   彼がどうしても市民に理解してほしいと訴えたことは──。


  『他国の警告を聞かず、NYは地獄と化した』

 救急科の待合室では、発熱して不安を抱えている150人の患者が待っている。
 そのなかにはただ検査を受けたいだけの者もいれば、治療を求めている重症患者もいる。
 よほど危険な状態でない限り、彼らは6時間から10時間待たなければ診察を受けられない。
 入院するためのベッドを確保するには1日以上かかるのが現状だ。

 私は救急医だ。
 普段はマンハッタンとクイーンズの両方で診療しているが、今はクイーンズにつきっきりだ。
 ここでの仕事を私は愛している。
 私たちはニューヨーク市でもっとも弱い立場にある保険未加入者を診察していて、その多くは基礎疾患と言葉の壁を抱えており、プライマリ・ケア(かかりつけ医が提供する医療など)を欠いている人々だ。

 そんな我々がいま、苦境に立たされている。
 見てきたなかで最悪な状況だと、ベテランの医師さえも言う。

 感染者数の推移グラフは少しずつでなく、爆発的に上昇したのだ。
 私たちはもはや圧倒されている。

 ニューヨークにはこのパンデミックに立ち向かう準備期間があった。
 しかし、それをみすみす逃してしまったのだ。
 まず中国がイタリアに警告し、イタリアは私たちに警告した。
 それなのに、私たちは聞く耳を持たなかった。
 こうなってしまったからには、アメリカ全土がニューヨーカーの声に耳を傾けるべきだろう。

 国中の人々にとって今回のウイルスは「目に見えない脅威」かもしれない。
 だがここニューヨークのER(救急救命室)では、その脅威が恐ろしいほど目に見えている。

   『発熱と咳だけでは検査を受けられない』
 急ピッチで組み立てられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病棟ユニットで、ガウン、フェイスシールド、3重にした手袋、そしてN95マスクを着用し、私たちは働き続ける。
 冷えたピザとコーヒーを流し込む休憩時間以外、12時間はこの状態が続く。

 それに、普段は新しい患者が来るたびにマスクを替えているが、いまは違う。
 十分な量がないため同じマスクを使い回しているのだ。
 マスクと鼻が触れる部分は乾き、ひび割れ、出血寸前である。

 それでも、この病院には私たちを守ってくれるマスクがあるだけ、まだ幸運なのかもしれない。

 私のもとに来る患者の多くは、「専門的な医療支援が緊急に必要な場合を除き、家にいるように」とのメッセージを、正しく理解していないように思える。
 発熱と咳だけでは検査を受けられないのだ。

 私にできることは、退院の書類と「新型コロナ感染を防ぐ方法」をプリントアウトしてわたし、他人との接触を自粛するように伝えることぐらいだ。
 しかし来院前は感染していなかった人も、ここへ来たせいで感染しているかもしれない。
 病院に入った時点で「10人程度の集団は避けるべき」というルールを、すでに破っているのだから。

 私がこうした仕事をしている一方で、同僚は酸素濃度が低下している重症患者や、ほとんど話すこともできず、人工呼吸器を必要とする患者の世話をしている。

  『「人工呼吸器の共用」もやむをえない』
 この病院では人工呼吸器がとにかく不足しており、CPAP(シーパップ)という呼吸補助装置を使って、患者の気道へ空気を送りこむ処置をとらざるをえなくなりつつある。

 感染状況が今ほどではなかった3月初旬までは「CPAPはウイルスをエアロゾル化(飛沫より小さな粒子となり、空気中を一定時間浮遊できるような状態になること)させ、医療従事者の感染リスクを高めるので危険だ」と言われていたのだが、使うことになるかもしれない。

 いずれにせよ現在、私たちは驚くほど大量の挿管をしている。
 人工呼吸器はほぼすべて使用されており、ICU(集中治療室)はすでに定員を超えた。
 余力がある病院から人工呼吸器を譲り受けているが、その場しのぎにしかならない。

 ラスベガスの銃乱射事件(2017年に起きた無差別乱射事件。
 自殺した容疑者1名を含む59名が死亡した)が発生した際は、数十人の外傷患者が人工呼吸器を共用していたと話題になった。
 しかし今のような非常事態において、こうした使い方を想定しているのは当院だけではないはずだ。
 患者が人工呼吸器を共用するようになる日は近いだろう。

 とはいえ、新型コロナ患者は肺が非常に危険な状態にあり、ベント(通気口)を共用すれば両患者をさらに危険な状況に陥れるかもしれない。
 にもかかわらず、最後の手段として、私たちはこれを実現する方法を研究しはじめているのだ。

 どちらにせよ、人工呼吸器を共用する以外の選択肢が来週にはなくなっているかもしれない。
 私たちが送り返した健康な数百人の患者たちが、呼吸不全で一斉に病院に戻ってくるかもしれないのだから。

  『健康だった人まで次々に命を落とし…』
 今週の水曜日、1週間前に退院した患者の名前が病院内に掲示されているのを見て、私の心は沈んだ。

 50歳を目前に控えていた彼は過去の病歴がほとんどなく、元気そうに見えた。
 そんな彼が、今は呼吸をするのも困難な状態になっている。

 胸部X線検査の結果を見て確信した。
 新型コロナウイルス感染症だ。
 私は彼を入院させ、酸素、心臓モニター、ベッドを用意しなければならなかった。

 また先週、透析を受けている高齢の女性を診察した。
 彼女は軽い咳をしていたが、バイタルは正常で発熱もしておらず、胸部X線検査でも異常は検出されなかったので家に帰すことにしたのだ。
 しかし迎えが来る前に、彼女は38.8度の熱を出した。

 年齢と、彼女が抱える複雑な病歴を考慮し、入院が必要だと判断された。

 次の日の夜、私の前を通り過ぎるストレッチャーの上に医師が乗り、患者の胸部圧迫をしている場面を見かけた。

 その患者の死が宣告され、名前を知ったとき、信じられなかった。
 前の晩まで私の患者だったあの女性だったのだ。
 彼女は病棟のベッドに入る前に心停止に陥り死亡した。

 私が初めて目にした新型コロナ陽性者の死。
 あの日以来、その数は増え続けている。

  『「病院には来ないでほしい」』
 数日前、ついにFEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)が危機を救うために到着した。

 検査キットや呼吸器、そして増え続ける死体を安置するトラックのような遺体安置所を持ってきたのだ。
 だが果たして、これだけの支援で十分なのだろうか。

 私も同僚たちも無力感に苛まれ、このパンデミックについて毎晩議論している。
 すでに私たちの何人かは病気になりつつあり、現実は刻々と変化しているのだ。
 トリアージによる選別方法は毎日変えている。
 そして日々、マスクが無くなるかもしれない恐怖とも戦っている。
 考えていることはたくさんあるが、恐ろしさのあまり口には出せず、ただ業務を遂行しているのが現状だ。

 この記事を読んでいるあなたに、私の患者になってほしくない。
 アメリカのどの病院にも行ってほしくない。
 必要不可欠な食料や物資の調達以外で、外出してほしくない。
 入院する必要がない限り、新型コロナウイルスの検査を受けてほしくないのだ。

 最前線にいる我々にとって、患者が新型コロナであろうがなかろうが、できることに変わりはない。
 問題は、健康なスタッフ、保護キット、ベッド、そして人工呼吸器が不足していることなのだ。
 検査のため鼻に綿棒を突っ込んで診断を下したとて、何も変わらないところまで来てしまっている。

 どれだけ軽くても、症状が出ている場合は新型コロナであると考えてほしい。
 家にこもり、手を洗い、医師に連絡しほしい。
 熱や咳があるからといって救急外来を受診しないでほしい。
 検査を受けたからといって、自宅での安静をすすめることに変わりはないのだから。
 病院に来ることで、確実にウイルスを持っている人に接触する機会が増えるだけだ。

 社会的距離をおくことの重要性に、ニューヨークは気づくのが遅すぎた。
 だが他の都市では、思いきった対策をとることで、ニューヨークと同じ状況になることを防げるかもしれない。

 最悪な状況のなか、病院の医師たちは昨日、やっと良いニュースを受けた。
 新型コロナウイルスの患者が2週間の闘病の末、人工呼吸器を外すまでに回復したのだ。

 ICUにいる我々にとって、そして患者本人にとっても、新型コロナウイルスに勝利した初めての瞬間だった。

                                 転載終わり。


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