狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

胸の奥を渡る声が、けして変わらぬものも在ると言う。真実の前に祈る朝、愛は再び此処へ戻るだろう。

2020年04月20日 23時37分05秒 | VSの日記
 本日4月20日は、薬師寺東塔が建立された日で、ローマ・ラ・サピエンツァ大学が設立された日で、織田信長と石山本願寺の和議が成立して顕如が石山を退去した日で、豊臣秀吉が京都・醍醐寺でお花見を行った日で、オリバー・クロムウェルがクーデターを起こしてランプ議会を解散させた日で、ロシア使節プチャーチンが前年に続いて再び長崎に来航した日で、第7回夏季オリンピック・アントワープ大会が開幕した日で、国際連盟が解散した日で、韓国の大韓航空機が誤ってソ連の領空を侵犯したためにソ連防空軍機の攻撃を受けた日で、自然破壊と環境破壊に対するキャンペーン記事を掲載していた朝日新聞が夕刊に自分達でK・Yと傷をつけた珊瑚の写真を撮って「沖縄県西表島のサンゴに『K・Y』の落書きがされている」という捏造記事を掲載した日であります。

 本日の倉敷は晴れでありました。
 最高気温は十九度、最低気温は十三度でありました。
 明日も予報では倉敷は晴れとなっております。





 或る夜の事。

 狐は先輩と一緒に或るパブリツク・ハウスのカウンター席に腰をかけて、絶えずホツトミルクを舐めてゐた。
 狐は余り口をきかなかつた。
 しかし先輩の言葉には熱心に耳を傾けてゐた。
 「君の属性は光属性ではないね」
 先輩は頬杖をした儘、極めて無造作に述べた。
 「光属性ではなく闇属性だね」
 中二病っぽい言い回しでありますね。中二病っぽい表現で私が陰キャであると述べて私をディスっているのですか?
 「そうではない。そうではないのだよ」
 左様でございますか?
 「光属性の陽キャラばかりだと騒がしくて落ち着かないであろ? 闇属性の人間が居ると場が落ち着くのだよ。君の知り合いや友人達には陽キャラが多いであろ? 君が居ると場が落ち着くのだ。安定すると言い換えてもよい」
 左様でございますか?
 「そもそも、君は自分を光属性の陽キャラだと思っているのかな?」
 滅相もございませんよ。闇の中に居るのは大好きです。闇に紛れて隠れるのは大好きです。独りでいるのも大好きです。目立ちたくはありません。
 「ふむん。時々、私は君は隠れ過ぎだし潜み過ぎだと思うことがあるよ」
 気配を消すと落ち着くのです。
 「もっと表に出てみても良いのではないかな? 前に出ても良いのではないかな?」
 それは私のキャラではないと思うのですよ。自らの特徴と分は守るべきです。
 「勿体ないと私は思うよ。もっと前に出て自分を曝け出すべきだよ」
 そうでしょうか?
 「そうだよ。君は全てを曝け出すべきだよ。曝け出してその上で色気を出すべきだ。エロくなるべきだ。エロエロになって色気を前面に出すべきだ! 全てを曝け出してすっぽんぽんになるべきだ!」
 秘する花を知ること。秘すれば花なり。秘せずば花なるべからず。という言葉もありますよ。そして公の場ではすっぽんぽんにはなりません。公の場ですっぽんぽんになるような性癖はありませんし、それは犯罪になります。

 「ほほう。といふことは君には秘めたエロいものがあるのだね? プライベートではすっぽんぽんになるのだね?」先輩は、にへらと笑つて言つた。「是非是非、私に見せて欲しいものだ」
 絶対に厭です。先輩にだけは絶対に見せません。先輩の前では絶対にすっぽんぽんにはなりません。先輩に全てを晒して先輩の目に我が身が穢されるようなことがあれば、我が一生の恥。そのような恥を雪ぐには喉を突いて自害して果てねばなりません。私はまだ自害したくはありません。

 「ふむん?」
 先輩はお喋りを止めて考え込んだ。
 狐の言葉は先輩の心を知らない世界へ神々に近い世界へと解放したのかもしれない。
 狐はウォッカを注文し、割賦の中でミルクと混ぜ合わせて、それをちびちびと舐めた。

 先輩はぽつりと云つた。
 「いけず。私のことが大好きなくせに」

 狐は何か痛みを感じた。しかし同時に又歓びも感じた。
 先輩は勘違いをしている。
 それとも私が勘違いしているのか? 
 それにしても人の考えとは様々なものであるな。
 面白ひものだ。





 そのパブリック・ハウスは極小さかつた。
 しかしパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。


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『この愛は、異端。-ベリアル文書- 』/森山絵凪

2020年04月20日 15時42分30秒 | 漫画・ゲームに関する日記
 昨日の夜は、森山絵凪の漫画『この愛は、異端。-ベリアル文書-』を読んでいました。

 事故で両親を亡くし、親戚の間で盥回しにされていた淑乃は、ある日、古本屋で悪魔召還の手順が書かれた本を見つける。
 将来を悲観していた淑乃は、その本に書かれていた悪魔の召還方法で悪魔を召還してしまう。
 ベリアルと名乗るその悪魔は淑乃に契約を迫る。
 何でも願いを叶える代わりに寿命と死後の魂を悪魔に譲渡する。
 しかし、淑乃は5000年に一人の美しい魂の持ち主でそれ故にべリアルは特別に別の契約を提案する。
 一つの願いを叶えるたびに一つの対価を払う。そして死ぬまで行動を共にする。対価は淑乃の肉体。
 しかし、淑乃はその時は10歳。
 どちらの契約を結べない。と淑乃は泣き出し愚痴る。
 淑乃に絆されたベリアルは、「18歳までは普通の口づけのみ、18歳からは舌を入れ、20歳を超えたら愛撫も加える」という契約に譲歩する。
 二人は共に暮らすことになり、一緒にご飯を食べ、一緒に眠る。
 淑乃は次第にベリアルに心を許すようになっていた。
 しかし、淑乃が18歳になった日、ベリアルはその本性を顕わにする……。
 
 『この愛は、異端。』の番外編であります。
 本編第1話から約2年前の淑乃18歳の高校の修学旅行のお話となっています。


 悪魔を呼び出した人が悪魔と契約をして云々かんぬんというお話は、よくあるお話ではあるのですが、このお話はとてもたくさんのメタファーをベリアルと淑乃の中に入れているのです。
 様々なメタファーを重ねているので各シーンが違った意味にも見えてくるのです。
 そしてそれぞれのメタファーのかなりエグいところを突いているのです。

 悪魔との純愛のお話であります。


 面白かったですよ。
 楽しめました。


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