狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

『美亜へ贈る真珠』/梶尾真治

2020年03月28日 15時34分15秒 | 小説・本に関する日記
 昨日は、梶尾真治の短編SF小説集『美亜へ贈る真珠』を読み返していました。

 収録されているのは、「美亜へ贈る真珠」、「詩帆が去る夏」、「梨湖という虚像」、「玲子の箱宇宙」、「“ヒト"はかつて尼那を……」、「時尼に関する覚え書」、「江里の“時"の時」、「時の果の色彩」の8編です。
 時間と恋愛がテーマになっていてリリカルなお話の短編集で、旧版に「時の果の色彩」を追加した新装版です。


 梶尾真治は、短編SFの名手でリリカルなお話やドタバタコメディやゾッとするお話などバラエティに富んでいます。
 この『美亜に贈る真珠』はリリカルなお話で統一されていて、梶尾真治の作品を読むならば私はまずこの作品をお勧めします。

 面白いですよ。
 機会があったら是非読んでみてくださいませ。



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辛夷(コブシ)その11。

2020年03月27日 23時26分52秒 | お花に関する日記
 本日3月27日は、イエズス会巡察使ヴァリニャーニが織田信長に謁見した日で、クリミア戦争でイギリスがロシア帝国に宣戦布告した日で、東京市がアメリカに贈呈したサクラの苗木がワシントンD.C.のポトマック川のほとりに植樹された日で、ロシアの黒海艦隊によるボスポラス砲撃作戦が始まった日で、日本が国際連盟に対し正式に脱退を通告した日で、台児荘の戦いが始まった日で、ユーゴスラビアでクーデターが起こり反独軍事政権が樹立して2日前に加盟した日独伊三国軍事同盟から離脱した日で、宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンがジェット戦闘機の飛行訓練中に墜落死した日です。

 本日の倉敷は雨でありましたよ。
 最高気温は十七度。最低気温は十三度でありました。
 明日は予報では倉敷は曇りとなっております。



 上の写真に写っているお花は、「辛夷(コブシ)」です。
 辛夷のお花に関しては、2019年3月21日の記事2018年3月15日の記事2017年4月7日の記事2016年3月20日の記事2015年3月21日の記事2014年3月20日の記事2013年3月20日の記事2012年3月24日の記事2011年3月20日の記事2010年3月14日の記事2008年8月19日の記事もよろしかったらご覧くださいませ。
 2019年と2018年と2017年と2016年と2015年と2014年と2013年と2012年と2011年と2010年と2008年の辛夷のお花の記事です。


 辛夷のお花の花言葉は、「友情」であります。



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『クイーン・オブ・エジプト』

2020年03月27日 17時54分18秒 | 映画・ドラマに関する日記
 昨日の夜は、映画『クイーン・オブ・エジプト』のDVDを観ていました。

 シバ国は香料を求めるイスラエル王国と緊張状態に入った。
 交易か征服かの判断に揺れるイスラエル王国に対し、シバの女王ニカウレーは、イスラエル王国に潜入し、智者として名高いソロモン王と直接交渉をすることにした。
 イスラエル王国には、ソロモン王を廃して別の人物を王位につけようと画策する者がいて……。

 監督は、ロバート・M・ヤング。
 出演者は、ハル・ベリー, ジミー・スミッツ, ニコラス・グレイス, ケネス・コリー、など。
 旧約聖書に登場するシバの女王の物語であります。

 知恵者同士の交渉は早々に意思の疎通とお互いの利害の一致がなされて上手く行くのですよ。
 しか~し。ソロモン王を廃そうとする勢力がこの交渉を利用してソロモン王とニカウレーの暗殺を企むのです。
 国を統べる者としての立場と愛する者への愛が対立した時、さてさて、どうする? というお話なのであります。

 面白かったですよ。
 楽しめました。


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「戦争だって? そんなものはとっくに始まってるさ。問題なのは如何にけりをつけるか、それだけだ」

2020年03月27日 11時25分55秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの池田 信夫氏の『新型コロナの「抗体検査」が必要だ』と題した記事の転載であります。


    『新型コロナの「抗体検査」が必要だ 池田信夫』

 オクスフォード大学のシミュレーションでは、イギリス人の半分以上がすでに新型コロナの免疫をもっている可能性を示唆している。
 これは現在のイギリス政府の方針の依拠しているインペリアル・カレッジの報告書とはまったく違う。
 この違いの最大の原因は、感染がいつ始まったと想定するかである。

 インペリアル・カレッジはイギリスで死者が初めて出た3月上旬を感染の起点と想定しているが、オクスフォード大学は1月下旬を起点にしている。
 感染症の死者が出るのは、感染が始まってから2~3ヶ月後だからである。
 新型コロナの基本再生産数が2.25だとすると、この2ヶ月で感染が急速に拡大し、3月15日にはイギリス国民の50~60%が免疫をもっている計算になる。
 同じことが日本にもいえるとすると、日本国内(クルーズ船を除く)で初めて死者が出たのは2月下旬なので、そこから2ヶ月さかのぼった昨年12月末に感染が始まったことになる。
 新型コロナの症状はインフルエンザと見分けにくいので、大部分はインフルエンザや普通の風邪と診断された可能性がある。
 イギリスと同じ感染速度を想定すると、日本ではコロナの上陸から3ヶ月たっているので、すでに「国民の60%以上が免疫をもち、集団免疫が成立している可能性がある。

 オクスフォード大学の論文では「抗体検査などの技術への投資が緊急に必要だ」と提言し、イギリス政府は抗体検査キット350万人分を発注した。
 日本でもすでに新型コロナの抗体検査キットが市販されており、これで抗体が確認できれば新型コロナ対策は大きく転換する可能性がある。

 今まではほとんどの人に免疫がないという前提で、コロナウイルスを封じ込めるために隔離や自粛などの対策がとられてきたが、大部分の日本人がすでに抗体をもっているとすれば、封じ込め政策は無意味である。
 むしろ感染をゆるやかに進め、集団免疫を安定させて医療資源の限界内にとどめたほうがいい。
 東京のような都市部では、今後も局所的な感染爆発が起こる可能性もあるが、集団免疫が成立しているとすれば平均に回帰するので、心配する必要はない。
 これは抗体検査で検証(あるいは反証)可能な仮説である。
 日本政府も抗体検査キットを発注し、抗体検査をすべきである。

                                 転載終わり。


 この記事はまだ仮説の段階です。
 ただ、感染症の死者が出るのは、感染が始まってから2~3ヶ月後とするならば、新型コロナウイルスが日本に上陸したのは11月下旬から12月下旬の間、ということになります。
 新型コロナウイルスに感染して治って免疫を持っている人がどのくらい居るのか? 
 それによって今後の戦略が変わってくる可能性があります。
 PCR検査は医療機関に膨大な負担をかけるので医師の判断に任せるべきですが、抗体検査は医療機関に負担をかけるのでしょうか?
 もし、医療機関に負担をかけるものではないのならば、仮説を検証していきましょう。

 日本での感染者の増加が緩やかであることは、医療関係者の膨大な尽力の賜物とCTをはじめとした医療機器の充実のおかげであるとは思うのですが、他にも幾つかの仮説が出てきています。
 余力があるならば、出ている幾つかの仮説を検証していきましょう。
 今後の戦略が変わる可能性があります。



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宇宙は数学という言語で書かれている。そしてその文字は三角形であり、円であり、その他の幾何学図形である。

2020年03月27日 08時55分08秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの神 貞介氏の『検査が少ないから感染者増が緩やか?数学的に検証してみた』と題した記事の転載であります。


    『検査が少ないから感染者増が緩やか?数学的に検証してみた --- 神 貞介』


 主な関係国について、新型コロナ感染者数の片対数グラフがある。

 感染者数の伸びが日本は緩やかと解釈するのが普通だが、検査が少ないからとする解釈もある。
 本当はどうなのか計算してみる。
 結論を先に書くと、検査が多いか少ないかは関係ない。

 素朴な計算
 感染拡大期には指数関数的に増える。
 グラフによると、日本・シンガポールを除く諸国では毎日約3割強増えている。
 t=0日でy=100人になるように式で表すとほぼ以下のようになる。(「10^3」は10の3乗を表す)
 y = 100×10^(0.12t)
 関数電卓でt=0、t=1、t=2くらいを計算してみれば、日毎に約1.3倍になる式だと確認できる。
 次に常用対数logをとり z=log y とすると、
 z = log y = 2 + 0.12t
 zはtの一次関数であり、t=0のときz=2となる。
 これが、上の片対数グラフにある、諸外国(シン以外)のグラフを近似した直線である。
 さて、日本も諸外国(シン以外)と同レベルで感染者が増えていると仮定してみる。
 本当の感染者のうちrの発見率で見つかるとしよう。
 y’ = 100×10^(0.12t)×r
 この式は t=0 のとき y’=100 にならないので、あとで時間をずらす。
 先と同様に z’=log y’ とすると、
 z’ = log y’ = 2 + 0.12t + log r
 最後に t=0 のとき y’=100、すなわち z’=2 となるように時間をずらす。
 傾き0.12はそのままのため、次の式になる。
 z’ = 2 + 0.12t
 よく見ると z = 2 + 0.12t と全く同じになってしまった。
 つまり、日本も諸外国(シン以外)と同レベルと仮定すると、発見率rが小さいとしても、同じグラフになる。
 言い換えると、100人からのグラフは感染者の発見率には影響されない。
 したがって仮定は誤りで、日本の本当の感染者数の伸びは緩やかということになる。

 補足1
 100人からの片対数グラフを最初に作った人は、以上のことを理解した上で作ったと思われる。
 関数処理に慣れていれば、グラフの意図にすぐ気づく。
 あるいはその分野の常識かもしれない。
 補足2
 上の素朴な計算では発見率rを一定とし、時間によって変化しないとした。
 もし時間とともにrが減少するなら結論が変わるはずと考えてみよう。
 ところが、同じ仮定の下で計算してみればわかるが、rは指数関数的に急激に減少することになる。
 r(t) ∝ 10^(-0.07t)
 単純計算で10日間で1/5まで圧縮される。
 検査は次第に充実してきており、さすがにここまでのミスや不正を疑うのは無理があるだろう。
 補足3
 国内の感染者数の伸びが緩やかというのは過去の話。
 今後どうなるか私にはわからない。
 そういう議論は専門家に任せたい。

                                  転載終わり。



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仏の座(ホトケノザ)その8。

2020年03月26日 23時07分39秒 | お花に関する日記
 本日3月26日は、パリで革命政府パリ・コミューンが誕生した日で、普通選挙法が成立(5月5日に公布)した日で、ソ連軍が満州からの撤退を開始した日で、ベトナム戦争で3月26日から28日にかけて韓国軍がビンディン省の数千の農家と寺院を炎上させ老若問わず女性を集団強姦して焦土作戦を実行した日で、航空自衛隊の自動警戒管制組織が始動した日で、成田空港管制塔占拠事件が起こった日で、キャンプ・デービッド合意に基づきエジプト・イスラエル平和条約が締結された日で、台湾で中華人民共和国の反分裂国家法に反対する120万人参加のデモが行われた日で、天安沈没事件が起こった日です。

 本日の倉敷は曇りでありましたよ。
 最高気温は二十度。最低気温は五度でありました。
 明日も予報では倉敷は雨となっております。お出かけの際はお気を付けくださいませ。



 上の写真に写っているお花は、「仏の座(ホトケノザ)」です。
 仏の座のお花に関しては、2019年3月24日のの記事2018年3月25日の記事2016年3月14日の記事2015年3月26日の記事2012年4月13日の記事2011年4月14日の記事2010年3月7日の記事もご覧くださいませ。
 2019年と2018年と2016年と2015年と2012年と2011年と2010年の仏の座のお花の記事です。



 仏の座のお花の花言葉は、「調和」ですよ。


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メディアの連中が傲慢なんじゃありませんよ。メディアそのものが、そもそも傲慢なんです。

2020年03月26日 19時26分15秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの高橋 克己氏の『財務省職員の自殺、一部のマスコミや野党の加担はないか?』と題した記事の転載であります。



    『財務省職員の自殺、一部のマスコミや野党の加担はないか?』


 自殺した近畿財務局員赤木俊夫氏の手記が3回忌を迎えたこのほど、週刊文春(3月26日号)に掲載された。
 その後、同夫人からも国と佐川元理財局長を相手どった1億1千万円の損害賠償訴訟が大阪地裁に起こされた。
 筆者は改竄が発覚した2018年3月に、20回(17年2月17日~3月15日)に及ぶ衆参の委員会議事録と財務省調査報告および会計検査院報告を読み、累計3万字ほどの論考に纏めたことがある(例:拙稿「今更だが、森友土地と瑕疵担保責任」)。
 筆者の中での森友問題は、「値引きは、買手への瑕疵担保責任移転や近隣の類似地歴取引を参考にした正当な額」で、「改竄は、迂闊に誤答弁をした佐川局長への側近の忖度」との結論で終わっていた。
 なので、2018年5月23日と6月4日に公開された「交渉記録」は未読だった。
 今般の訴訟を機にそれらに目を通したが、「佐川氏のかなりの直接関与」以外はほぼ想像通りの内容だった。
 まずは2年前に筆者が改竄をそのように結論付けた理由をその論考から要約する。


 佐川氏の理財局長就任は2016年6月17日、森友問題での初答弁は翌17年2月17日だ。
 1998年7月から暫く近畿財務局理財部長をしたので国有地取扱いの知識があったし、彼の性格からも部下の説明など余り良く聞かずに答弁に立ったのだろう、と筆者は推測する。
 思うに彼の知識とは二つ。
 それは「面会記録は保存期限1年間」と「国有地の売払いは時価が原則」ということ。
 前者は理財局に限ったことではないが、後者では「時価だから価格交渉などあり得ない」と思い込んでいたのではなかろうか。
 これが災いの元、17年2月23日の予算委員会で早々へまをする。
 かつて佐川氏の部下で実務を知悉する福島伸享議員(現在は落選中)が、佐川氏の答弁中に「交渉はいつやっているんですか、価格交渉は」と叫んだ。
 彼は動揺し、こう答弁した。(委員会議事録から引用)

 『交渉は、見積もり合わせというものを公共随意契約の時はやりますので、随意契約の場合は相手が一者でございますから、従いまして当方は当方で、国として、売り主として、予定価格は当然中で持ってございますが、先方は、先ほどちょっと御答弁申し上げましたが、色々な公表価格等をもってきちんと積算されるんだと思われますが、そういうものを持って申し込みに参りますので、そこの価格のすり合わせをした上で、こちらの価格よりも高ければその時点で売却をしていく、決める、こういうことでございます』

 明らかにしどろもどろ、さらにこう突っ込まれた。

 『これはやはり交渉なんですよ。何で交渉の時からいきなり1億3千4百万円で出すのか。これまで様々な同僚議員から8億円の根拠についての議論がありましたけれども、これは交渉もしないで、籠池さんも、いきなり国から1億3千4百万円だと言われてきたと。そんな都合のいい話はあるんですか』

 彼は決裁文書を調べさせ、調書に誰が見ても交渉としか思えないことが細かに書いてあるのを知ったのだろう。
 現場(近財)は後々あれこれいわれないようあった事実を詳細に書き残す。
 が、決裁文書の調書にまで、とは思わなかった。
 「面会記録」のへまは翌24日で、これも目下落選中の共産党宮本岳志議員の質問だ。

 『入手資料によりますと、(日付と工事業者名:省略)、近畿財務局の池田統括管理官、大阪航空局の高見調整係が近畿財務局の九階会議室で会合を持っております。土壌改良工事の価格を巡って交渉したのではありませんか。この時の交渉内容を明らかにできますか』

 佐川氏はこう答弁した。

 『昨年6月の売買契約の締結に至るまでの財務局と学園側の交渉記録につきまして、委員からの御依頼を受けまして確認しましたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした』

 勿論、こちらも調書には記録が書いてある。
 丁寧に決裁文書を読み込んでから答弁に臨むべきだったと悔やんだに違いない。
 この2月23日と24日の佐川氏の答弁と決裁文書の調書との齟齬が改竄の動機とみてまず間違いなかろう。
 この2年間、この問題を追及して来た左派マスコミや一部野党、そして夫人も「総理や財務大臣は調査される側」と主張する。
 だが、2月のこの二つの委員会議事録を読むだけでも、佐川氏のいい加減な答弁が改竄の引き金を引いたことは容易に推察できように。

 そこで2018年5月23日と6月4日公開の交渉記録。
 23日の参院予算員会で立憲福山・社民福島両議員がコロナ問題には見向きもせず、この文春報道を取り上げた。
 相変わらずの高姿勢に、筆者は彼らが調査文書を読み込んだのか疑問だったが、福島議員のある質問で読んでいると判った。
 福島議員は「2月17日に総理も議員も辞めるとの答弁があり、22日に総理・菅・佐川・太田が会っている。24日に佐川氏が面会記録はないと答弁し、26日から改竄が始まった。時系列から総理答弁がきっかけじゃないですか。その時のものだけが出ていないんですよ」と述べた。
 「その時のものだけが出ていない」には「調査文書には」が省かれているのだろうが、ないことは証明できない。
 この件と22日に4者が会ったことは筆者には初耳だった。
 だが、22日時点では23~24日の野党の質問内容を知らない総理らが、佐川氏らにそのような答弁と調書改竄を指示したなどというのは甚だ無理筋だ。
 それよりも筆者の推論や財務省調査文書の方がよほど腑に落ちる。
 大阪地検や会計検査院の考えも恐らく同様だろう。

 交渉記録は実に膨大で5月23日の分が2013年6月28日~16年6月20日までの217件945頁、6月4日の分が16年7月6日~17年12月13日までの71件118頁もある。
 亡くなった赤木上席は16年7月6日から17年3月10日までの分に登場する。
 赤木氏が担当した9ヵ月間の記録は34件、森友や市議らの来訪7件と受電18件、近財から訪問はなく架電が10件ある。
 赤木氏の直接関与分は同席6件と電話9件で、池田統括は34件ほぼ全てに直接関わっている
 一通り目を通して筆者は、福島氏や辻元氏と近いとされる豊中市議や、朝日などのマスコミそして左派野党などに、次第に翻弄されてゆく籠池氏や近畿財務局の様子が赤裸々に描かれていると感じる。
 読者諸氏に71件分だけでもご一覧を勧める(リンクはこちら)。
 例えば、16年10月31日に池田統括と管理官は籠池氏を訪い、豊中市議が撒いたビラに関連し売買金額非開示が籠池要望に基づくことを改めて念を押す。
 添付されたビラには「13億円相当の国有地」、「名誉校長は首相の妻」、「教育勅語を暗唱させる特異な教育」などの文字が躍る。
 17年1月13日の池田・赤木の籠池氏訪問時は、近財がマスコミから情報開示請求の照会を受けているが、学校法人が事業を営む上で正当な権利を害するおそれがあり不開示としている旨を伝え、籠池氏のその対応への感謝の意と共にこう記録する。

 『(先方)小学校建設を脅威に思っているところが沢山ある。共産党はそう思っている。(副園長から、開示請求しているのは)木村真(豊中市議)やな。1ヵ月ほど前に朝日新聞から取材要請があったが応じなかった

 その後も籠池氏から、2月6日に朝日が突然訪問取材して来たとの電話を受け、近財から籠池氏側の公表不同意による非公開である点の念を押し、「承知している。まあ表現の仕方だし、相手方の受け取り方ではないか」などの籠池反応を記している。
 2月16日からの民進党のヒアリングでは、14日に籠池氏と対応策を電話で協議、17日には池田・赤木が訪問して理財局の対応を説明し書面確認を求めるが、籠池氏から「浪速流で行きましょう。口頭にしたい」などと拒まれる、といった具合だ。

 添付調書の削除が主で本旨や結論に変更はないとはいえ決裁済みの公文書改竄などもっての外、関係者の懲戒処分は当然だ。
 これを潔しとせず自裁するしかなかった赤木氏の無念も想像して余りある。
 だから夫人の訴訟も良いと思う。
 しかし、筆者には、マスコミや野党の一部がこの若干複雑で主役も個性的だが、単なる国有地取引に過ぎない問題を安倍総理にこじつけようとする余り、赤木氏の悲劇に加担したのではないのかとの思いが拭えない。
 その手記は胸を打つ。
 が、国会で読み上げる野党は芝居掛かっている。

                                   転載終わり。


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『四月怪談』/大島弓子

2020年03月26日 18時44分11秒 | 漫画・ゲームに関する日記
 昨日の夜は、大島弓子の漫画『四月怪談』を読み返していました。

 「ローズセレモニー」「きゃべつチョウチョ」「ページワン」「四月怪談」「雛菊物語」「桜時間」「金髪の草原」の7編が収められている短編集です。

 上品で詩的。残酷で厳しいけれども温かい。
 素敵なお話が収録されていました。

 面白かったですよ。
 楽しめました。


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破廉恥に対する羞恥心も、美を求める努力も、ともに欠けているようでは、偉大な行為を果たすことはできない。

2020年03月26日 15時31分13秒 | その他の日記
 以下の文は、朝日新聞の「「DAYS JAPAN」破産申請 性暴力賠償しきれず』と題した記事の転載であります。



   「DAYS JAPAN」破産申請 性暴力賠償しきれず
   
 報道写真誌「DAYS JAPAN」を発行していたデイズジャパン社(東京)が、東京地裁に破産を申し立てたことがわかった。
 長く編集長を務めたフォトジャーナリスト・広河隆一氏が、アルバイト女性らに性暴力を重ねたと第三者委員会の調査で認定され、女性側からの損害賠償請求に対応しきれなくなったという。
 申し立ては19日付。
 同社はホームページで「ハラスメント被害に遭われた複数の方から、当社の残余財産を上回る金額の損害賠償請求がありました」「限られた財産を被害者に公平に分配するには、裁判所による破産手続きに委ねることが最良であると判断しました」などと説明した。
 広河氏をめぐっては、2018年12月に週刊文春の報道で性暴力の疑惑が浮上。
 同社が作った有識者による検証委員会は04~17年、広河氏が社員やボランティア、アルバイトの女性らに性交の強要や裸の写真撮影などを行ったと認定していた。

                                 転載終わり。



 全ての責任を放り投げて逃げ切った、ということなのでしょうかね? 
 自分達が行ったことに対する責任を放り出して逃げ切ろうとしている、ということなのですかね? 
 で、性暴力を行ったとされる本人は何をしているのですかね? 
 雲隠れですか? 
 マスメディアの権力者は何をやっても逃げ切りが可能である、ということなのですかね?


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2人の弁護士に挟まれた田舎者は、2匹のネコに囲まれた魚のようだ。

2020年03月26日 13時18分27秒 | その他の日記
 以下の文は、アゴラ言論プラットフォームの牧野 のぞみ氏の『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判』と題した記事の転載であります。



    『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 --- 牧野 のぞみ』

 日本では知られていない「実子誘拐」
 日本人による「実子誘拐ビジネス」は、日本ではあまり報道されないが、実はそれが原因で諸外国から「日本は子どもの拉致国家だ」と繰り返し非難されるほどの大きな外交問題になっている。
 では、外交問題にまでなっている「実子誘拐」とは何なのか。
 ある日、家に帰ってくると子どもが突然いなくなっている。
 そして、その子どもを連れ去ったのは、もう一方の親である。
 欧米などの先進国の大半では、これは誘拐罪に該当する重罪である。
 しかし日本においては、実子誘拐は罪に問われず日常的に行われている。
 突然愛するわが子を奪われ、子どもに会えなくなり養育費だけを支払い続けることで、精神的、経済的に追い込まれ自殺する親も後を絶たない。

 実子連れ去り被害の男性が訴えた注目の裁判
 そのような実子誘拐に関連して、注目すべき民事訴訟が始まろうとしている。
 この訴訟は、実子を離婚した元妻に連れ去られた男性Aさん(仮名)が、裁判所で別に争った自身の離婚訴訟に関連し「妻に暴力をふるうDV夫に仕立て上げられ名誉を傷つけられた」として39人を相手に民事訴訟を起こした。
 訴状ではこの行為を「集団リンチ」と非難している。
 被告人が誰なのかは、26日発売の月刊『Hanada』5月号で主だった面々を実名で書いているが、39人の中には、「人権派」弁護士の大物をはじめとして、保守系メディアから「リベラル系論客」としてよく批判される著名人も多数含まれている。
 たとえば、弁護士では、元千葉県弁護士会会長も歴任したK氏(女性)、A氏の離婚訴訟の元担当裁判官で、A氏敗訴の判決を下し、退官後はA氏の妻の代理人の弁護士事務所に所属しているY氏(男性)がいる。
 社会起業家では、厚生労働省の「イクメン(育 MEN)プロジェクト推進委員会」委員をつとめるK氏(男性)や、シングルマザーを支援し、養育費の取立て運動を行っているC氏(女性)などがメディアでしばしば登場する人も。
 ほかにも安倍政権の憲法解釈などをマスコミでたびたび批判し、民放報道番組のコメンテーターを務めたこともある若手の憲法学者など、錚々たる者が並ぶ。

 男性は「人権派」の虎の尾を踏んだ?
 なぜ、原告のA氏は39人もの者から「集団リンチ」を受けたと主張しているのか。
 それは「実子誘拐」をあたかもビジネスのように生業とする弁護士らの虎の尾を踏んだからだと見ているからのようだ。
 この問題を取材して弁護士の世界の「常識」だとわかったが、弁護士が一方の親に子どもを誘拐するようそそのかし裁判を提起させれば、裁判官が「継続性の原則」(別居した夫婦の間の子どもが、一定期間一方の親と同居し、安定した生活を送っている場合は、その現状維持が子どもの利益となるという考え方)に基づき親権を与える段取りとなっている。
 勝訴した弁護士は、親権を奪われた親から奪い取った子どもの養育費の一部を「成功報酬」として懐に入れる。
 取材を進めると、弁護士側勝訴の判決を下した裁判官の中には、そのお礼として退官後に弁護士事務所に天下りすることもあるという信じがたい話もあった。
 なお、今回の原告、A氏の離婚訴訟の1審判決は「継続性の原則」を採用しない画期的なものであった。
 この判決が最高裁で確定し先例となれば、子どもたちが両親と離婚後も普通に会える社会に変わることが予想された。
 それは子どもの利益に資するものである。
 しかし、「実子誘拐ビジネス」に関わる人たちにとって、実子誘拐をした親が裁判で親権をとれないことになれば、ビジネスは壊滅的ダメージを受け多大な不利益を被る。
 それは断じて許すわけにはいかないわけだ。

 国連子どもの権利委が対日勧告:新たな流れ
 これはあくまでA氏側の主張だが、彼らが共謀し、A氏を二審及び最高裁で敗訴させるため、また、一審判決が不当なものであるとの印象操作をするため、A氏をDV夫に仕立て上げ社会的に抹殺しようとした、と訴状で提起している。
 もしかしたら、A氏の新たな訴訟が始まれば、被告の属性もあって「保守VSリベラル」的なイデオロギー論争になってしまいかねないが、本質的な問題から目を背けてはなるまい。
 冒頭で「外交問題」と書いたが、実子の連れ去りは「親権」と密接に絡んでいる。
 国連子どもの権利委員会は昨年2月、日本政府に対し、共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正するよう勧告した。

 今後の動きを占う上で、いま何が起きているか。
 詳細については月刊『Hanada』5月号をご覧いただきたい。

                                 転載終わり。


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岩八手(イワヤツデ)その8。

2020年03月25日 23時56分53秒 | お花に関する日記
 本日3月25日は、『古語拾遺』が出来上がった日で、平将門と追討の平貞盛・藤原秀郷の軍勢が激突して将門が討ち死にした日で、イギリス議会で奴隷貿易廃止法が可決した日で、大塩平八郎の乱が起こった日で、工部大学校で開かれた中央電信局の開局祝賀会で日本初の電灯が灯された日で、朴烈事件で朴烈と金子文子に対し死刑判決が出た日で、ユーゴスラビア王国が日独伊三国軍事同盟に加盟(2日後にクーデターによる政権崩壊で離脱)した日で、サウジアラビア国王ファイサルが甥のファイサル・ビン・ムサーイド王子により暗殺された日で、TBSがオウム真理教に坂本弁護士のビデオテープを見せたことをやっと認めた日です。

 本日の倉敷は曇りでありましたよ。
 予報では最高気温は十七度、最低気温は三度。
 明日は予報では倉敷は晴れのち曇りとなっています。




 上の写真に写っているお花は、「岩八手(イワヤツデ)」です。
 岩八手のお花に関しては、2019年3月18日の記事2018年3月21日の記事2017年3月28日の記事2016年4月4日の記事2015年4月3日の記事2014年4月19日の記事2009年4月3日の記事もよろしかったらご覧くださいませ。
 2019年と2018年と2017年と2016年と2015年と2014年と2009年の岩八手のお花の記事です。


 岩八手の花言葉は、「気品」や「愛嬌」や「崇高」だそうです。


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『海獣の子供』

2020年03月25日 21時22分59秒 | 映画・ドラマに関する日記
 昨日の夜は、アニメーション映画『海獣の子供』のDVDを観ていました。

 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、長い夏休みの間、家にも学校にも居場所がなく、父親の働いている水族館へと足を運ぶ。
 そこで彼女は、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海と、その兄である空と出会う。
 同じ頃、海に隕石が落ち、海で異変が起きていた……。

 原作は、五十嵐大介の漫画であります。




 凄いです。
 五十嵐大介の漫画は、物凄い画力で尚且つ凄まじいイマジネーション。
 セリフ回しではなく絵で説明して表現するタイプの漫画です。
 それ故に映像化するならば、原作の漫画の絵の意味をきちんと解釈して答えを出さなければなりません。
 物凄い情報量の原作の絵を見事に映像化しています。
 観ていて心地良いです。

 そして、この映画も原作と同じくセリフ回しで説明するのではなく、重要な事柄を映像で表現しています。
 それが、この映画のテーマとも合致する……。
 凄いです。

 主人公と海が水の中を走るシーンは圧巻です。
 雨の中を自転車で走るシーンも凄い……。

 五十嵐大介の漫画をここまで見事に映像化するとは……。吃驚であります。

 面白かったですよ。
 お勧めであります。


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OUR LOVE KNEW THE FLAT FIELD

2020年03月24日 23時12分07秒 | VSの日記
 本日3月24日は、志度合戦があった日で、足利尊氏が豊島河原合戦に敗れて九州に落ち延びた日で、スコットランド王ジェームズ1世がイングランド王としても即位してスコットランドとイングランドが同君連合となった日で、徳川家康が征夷大将軍に就任した日で、桜田門外の変が起こった日で、江戸幕府の貨幣鋳造所だった金座・銀座が廃止された日で、日本で度量衡法が公布された日で、李鴻章が第3回日清講和会議の帰途に狙撃された日で、シーメンス事件による国政の混乱の責任問題で第一次山本権兵衛内閣が総辞職した日で、蒋介石率いる国民革命軍が南京に入城した際に中国共産党の計画的策謀(外国の干渉をさそって蒋介石を倒す目的)で一部が暴徒化し日本人を含む外国人を襲撃して暴行・強姦・凌辱・掠奪・破壊を行って多数の死傷者を出した南京事件が起こった日で、ドイツ議会で全権委任法が可決した日で、ライシャワー米大使が日本人少年に刺され負傷し輸血された血液から肝炎に感染して売血が問題化した日で、イギリス政府が北アイルランドの直轄統治を宣言した日で、合成洗剤事業の出遅れや第一次オイルショックによる資源節減等の影響で大手老舗メーカー・ミツワ石鹸が倒産した日で、アルゼンチンで軍部による無血クーデターでイザベル・ペロン大統領が失脚した日で、エルサルバドルのカトリック司祭・オスカル・ロメロがミサの司式の最中に狙撃を受けて暗殺された日で、三菱重工爆破事件を起こした極左テロ組織・東アジア反日武装戦線の大道寺将司と益永利明への最高裁で上告棄却で死刑判決が確定した日で、上海列車事故で修学旅行中の高校の生徒と教員など29人が死亡した日で、深海調査船かいこうがチャレンジャー海淵の世界最深部を探査した日で、コソボ交渉決裂でNATO軍のユーゴスラビア空爆が始まった日です。

 本日の倉敷は晴れていましたよ。
 最高気温は十四度。最低気温は五度でありました。
 明日も予報では倉敷は晴れとなっております。









 明かりの下 マシーンが夢見る。
 憶えている 雑踏を。
 渋谷 タイムスクェア ピカデリー

 憶えている。
 駐車中の自転車。草の競技場。土に汚れた噴水。

 夜明けへと緩やかに落ちていく中 愛する人の腕の中 思い出される。
 夜に沿って ハイアットの洞穴の中 空港の半減期の中 ハロゲン狼の刻の中。

 思い出される刻。
 ラジオの沈黙の中 ラジオの沈黙 ラジオの沈黙 ラジオの沈黙。


 多寡がミステリの歴史。
 多寡が人間が如何迷うかだろうが、只、如何しても迷ってしまう。
 何処の街だろうと。

 多寡が物事の流れ。
 只の交差点の雑踏。只の舗道に落ちる雨。
 其れが歴史と云うに過ぎない。
 実際 父はそうして迷った。
 母も同じ。
 母というのは、実際そういうもの。
 物事の在り方として ミステリの在り方として、ということ。
 でも狼達も暗い公園で迷う。
 坊や達も同じ。
 これは別の在り方。

 近頃の落ちかた。


 此の街は悪疫の時にあって 僕等の短い永遠を知っていた。
 僕等の短い永遠。僕等の愛。

 僕等の愛は知っていた。
 街場レヴェルののっぺりした壁を。

 僕等の愛は知っていた。
 沈黙の周波数を。

 僕等の愛は知っていた。
 平坦な戦場を。

 僕等は現場担当者となった。
 格子を解読しようとした。
 相転移して新たな配置になる為に。
 深い亀裂をパトロールする為に。
 流れをマップする為に。

 落ち葉を見るがいい。
 涸れた噴水を巡ること。
 平坦な戦場で僕等が生き延びること。

 THE BELOVED (VOICES FOR THREE HEADS) BY WILLIAM GIBSON



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滝壺に呑まれた時には、息をつめて沈むだけ沈んでゆく度胸が肝要です。沈む流れは、必ず浮かぶ流れに変わるのですから。

2020年03月24日 22時33分19秒 | その他の日記
 以下の文は、BuzzFeed Newsの岩永直子氏の『「日本でも欧米のような大流行が起きるの?」「大規模イベントどうする?」  専門家会議が共有したかった危機感とは』と題した記事の転載であります。




       『「日本でも欧米のような大流行が起きるの?」「大規模イベントどうする?」  専門家会議が共有したかった危機感とは』

 新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議が3月19日、新たな提言を出しました。
 日本でもいつ爆発的な患者急増が起きてもおかしくないと危機感を強く打ち出す一方、イベント開催については会議の中で意見が分かれもしました。
 委員の一人、岡部信彦さんにそこに込められた思いを伺いました。


 「突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)すると、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供できなくなることが懸念されます」
 政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」は3月19日、聞きなれない「オーバーシュート(爆発的な患者急増)」や「ロックダウン(都市機能の封鎖)」と言葉を何度も使いながら、「状況分析・提言」を公表して強い危機感を打ち出しました。

 これまでと状況はどう変わったのか、そして、なぜ今、この提言を我々に向けて発信したのか。
 専門家会議の構成員の一人で、国際的な新興感染症対策のスペシャリスト、川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦さんにその狙いを解説していただきました。
 ※インタビューは3月23日夜に行われ、話した内容はその時点の情報に基づいています。

  欧米の爆発的な流行に日本も影響を受けざるを得ない
 ーー専門家会議が3月19日に出した「状況分析・提言」はかなり厳しい見通しが書かれています。急に危機感を強く打ち出す方針に転換した印象を受けます。
 欧米での爆発的な流行と、それに対するリーダーたちの動き、死亡者の増加によって、今まで言ってきたこととニュアンスの違うことを言わざるを得なくなってきたと感じています。
 ーー「オーバーシュート」とか、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行ったりする「ロックダウン」という聞きなれない言葉を使って、何だか日常とは違う大変なことが起きそうな提言です。
 欧米の状況は、日本に実質上の影響を及ぼしますし、対策上も影響を受けざるを得なくなります。
 実質上の問題としては、イタリア、スペイン、フランスの状況は僕にとってもショックでした。
 医療インフラも整っている先進国ですから、本来はもう少し対応できるだろうと考えていたのですが、そうではなかった。
 イタリアは爆発的な流行が起きただけでなく、それに慌てふためいているような状態です。
 その状況で死者数があれだけ増え、まるで初期の武漢市のニュースを見ているようです。
 他の国々も都市封鎖に近い、人の出入りを止めるような「ソーシャル・ディスタンス(社会的隔離)」という古典的な公衆衛生的対策を取っています。
 アメリカも、もう少し落ち着いて対応できるのかと思っていたら、右往左往しています。
 WHO(世界保健機関)が「パンデミック(世界的な大流行)」を宣言したことを考えても、日本だけ落ち着いていていいですよ、とは言っていられない。
 パンデミック宣言は、特にアジア・アフリカ諸国を意識してのことだと思います。
 医療のインフラが行き届かない地域に流行が広がれば、さらに大変なことになる。
 新型コロナに限らず、インフルエンザや麻疹(はしか)が流行しても酷い結果になる地域です。
 それを警戒し世界に危機感を広げようとしているのだと思います。

  追跡できない感染者が増えてはいないとみる理由
 そうした世界の動きの中で日本の状況を見ると、北海道も大阪も、ポツポツとクラスター(感染集団)は出ているけれども、何とかそのあとの爆発的流行にはならずに持ちこたえている。
 韓国、イタリアやスペインのような大流行もないが、いわば真綿で首を締められるようなくすぶり状態が続いています。
 何が功を奏しているのか明確な具体的理由はわからないのですが、全体を見ると抑えられている。
 小さな集団発生を見つけて、そこからの感染拡大を潰していくという作戦は今のところ、うまく行っていると言えます。
 クラスターから発生した人が、2次、3次感染を広げるということもなかった。
 全体の数を見ても新規の感染者発生数は落ちていますからね。
  ーー追えていない感染事例があるのではないかという指摘もあります。
 追えていない感染者が多数増えているなら、割合は低くとも原因不明の肺炎やそれによる死亡者も増えているはずです。
 しかし、肺炎を一つの指標にしても、急に原因不明の肺炎が増えているという事実は今のところないようです。
 見つけられていない感染者がいることは十分あり得ると思いますが、ものすごく増えているわけではないと推測できます。
 また、川崎市やいくつかの自治体では原因不明の肺炎も医師の判断によりPCR検査に出してもらっていますが、その中から新型コロナの陽性者は出ていない。
 原因不明の肺炎にコロナが紛れているということは今のところ、あったとしても少数と思います。
  ーー1人が他の人にうつす人数である「実効再生産数」は1前後に抑えられ、感染拡大のスピードは目下のところは抑えられていると提言で発表されていました。
 幸いにして、感染の拡大はこのデータからは示されていません。
 全国あちこちで確かに患者が発生していますが、数百人単位で感染者が発生する、いわゆる「オーバーシュート(爆発的な患者急増)」には目下のところなっていない。
 クラスター対策で濃厚接触者を追跡し、丁寧に丁寧に感染拡大の芽を潰しているのが日本です。
 ただ、今もパラパラと小規模なクラスターが生まれている。
 欧米ではたぶんそれ以前の小さな芽の発生に気づかずに、一気にオーバーシュートに進んだのではないかと思うので、それを教訓に身構え、備えておく必要はあると思います。
 ただし、感染者の8割は軽く済む病気なので、この人たちにあまり不安を持たせたくもない。
 一方でリラックスしすぎてもほしくもないので、一定の緊張感を持って、日常の行動を変えてもらいたい。
 また医療体制については、重症者を見逃さない、適切な医療に結びつけるという意味で体制を整備しておくことが必要です。
 ここにも多くの方々の協力が必要である、ということで今回の提言を出しています。
 今回、改めて提言で「3本柱の基本戦略」を維持し、強化しなければいけないと書いているのはそういう意味です。
  1. クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応
  2. 患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保
  3. 市民の行動変容
   医療機関の役割分担を提言したわけ
  ーー提言では、医療機関の役割分担も打ち出しています。無症状や軽症の人は自宅で様子をみて、重症な人はしっかりと感染症指定医療機関で診る。その他の人は一般の医療機関や診療所でも診ることを求めています。
 何が発症する「黄色信号」なのかは明らかになっています。
 息苦しさやだるさ、熱などの症状が受診すべきかどうかの見極めどころなので、それに気づき、一定の経過がある人は速やかに医療機関に行けるようにしておきたい。
 症状はごく軽いか、あるいはないのだけれど、心配でしょうがないという人が診療に殺到すると医療機関は詰まってしまいます。
 または、入院して治りかけはすっかり元気なのに、PCR検査が陽性だという理由だけで重症患者用のベッドを占めることがないようにしないといけない。
 そういう医療体制の機能分担は、爆発的な感染が起きていない今のうちに準備しておかなければいけません。
 医療関係者もふんどしを締めなければいけないところです。
  ーー本来、重症患者を引き受ける指定医療機関が軽症者まで診る状態は早く改善されなければならないと以前から指摘されています。まだその機能分担は進んでいないのですね。
 川崎もそうですが、自治体によっては、新型インフルエンザをモデルにすでに体制ができているところがあります。
 体制作りはしていますが、重症までいかない患者を引き受けてもらいたい一般病院や診療所で診る医師会の先生たちが、受け入れ自体を躊躇されているところもまだあります。
 「診察をした患者が1人陽性だったら、2週間も診療所や病院を閉めなくてはいけないのか」「医療機関の感染対策に必要な防護具が足りない」などの理由で、受けられないとも言われています。
 防護具については自治体が備蓄を放出したり、国も生産量を増やしたりなど動き出していますが、まだ十分ではありません。
 確かに医療者を感染から守る防護具がなければ、武器なしで戦えというのと同じです。
 国や自治体の支援が必要です。
 一般医療機関や診療所で診てもらう時に、感染者と接した全ての医療者を濃厚接触者として扱うと、出勤停止や閉鎖となり、医療機関が稼働できなくなります。
 ある程度の防護ができていた人は、健康の注意は必要ですが、それだけで濃厚接触者として扱うことはしない、というような柔軟な対応も必要であると思います。
  ーー無症状や軽症者は自宅でとなると、家庭内感染も心配されます。
 狭い家で暮らしている家族だと感染者と部屋を分けるのは難しいでしょう。
 重症化の恐れがある、高齢者や持病のある人も感染者から離せなくなります。
 その場合は家族が別のところに行くか、陽性者が別の施設に行くというのも一つの方法です。
 そのような場合の陽性者の行き先は、行政が紹介しなければいけないでしょうね。
  ーー行政が紹介するというのは、韓国のように無症状者や軽症者を観察する施設を作った方がいいということですか?
 あるいは、ホテルなどどこかに受け入れを委託するなどの方法があるでしょう。
  ーーもちろんその費用は公費でもつわけですね。
 ホテル代を自分で出してとなったら、費用を負担できない人もいるでしょう。
 公衆衛生上の必要な措置ですから、入院と同じく国が費用負担する仕組みを考えなくてはならないでしょう。

   検査はどうするべきか?
  ーーWHOのテドロス事務局長の「検査、検査、検査」という呼びかけはインパクトが強く、日本でももっと検査を増やすべきだという声は強いです。必要な人が検査を受けられるようにキャパを増やすことは当然として、無症状者や軽症者にも検査を広げた方がいいということではないようですね。
 あれはまさに途上国など、検査が行き届いていないところで検査がちゃんとできるようにしてほしいというメッセージだと僕は思います。
 例えば、今、発症者が確認されていない国はたくさんありますが、本当にそこに発症者がいないのかは検査をしていないからわからない。
 日本や欧米に向けて、「無症状者や軽症者も全てやれ」と言っているわけではない。
 あの提言に書き加えられていた「WHOは症状の出ている人にだけ検査を勧める」という注釈は、そういうことだと思います。
 検査は的確な時期に、的確な方法で検体を取り、疑いがある人が対象であるべきです。
 症状はないけれど陰性を確認したい人もいることは理解できますが、検査の資源には限りがあるため、優先順位をつけなければいけません。
 やはり検査は発症者や入院患者が最優先であるべきだと思います。
  ーー中国で、検査で陽性だった無症状者を感染者の統計にいれていなかったことが批判されています。
 そこは実態がわからず、なんともコメントのしようがないところですが、元々、どこまでを対象に検査しているかで、感染者の母数は変わります。
 検査を限りなく広げれば、感染者が増えて致死率も下がるし、重症化率も下がります。
 そもそも無症状者は検査しない国がほとんどではないかと思います。
  ーー検査を広げた方がいいという人の主張は、「無症状者や軽症者も人に感染させる。だからそういう人も感染を把握しないと、その人たちが外を出回って感染を広げてしまう」ということです。
 その考えを突き詰めると、全ての人々を検査の対象にしなければいけません。
 しかもいつ陽性になるかもわからないので、心配であれば連日、検査を繰り返さなければなりません。
 それは検査の受け入れ能力からも無理ですし、費用も膨大になる。
 迅速に検査を受けるべき重症患者にしわ寄せが行きます。
 検査の精度から考えても、偽陰性、偽陽性もあるので、解釈や行動に誤解と混乱が生じる可能性がある。
 ただし、検査法がごく簡便に、低費用でできるようになれば「目安」として使えるようになることもあっていいのではないかと思います。
 研究者としては、ある集団を全員一斉に検査して、そのうち何名がこうだ、そのうち接触のあった人はこうだと調べることに強い関心はあります。
 しかし、今はそれをやるだけの時間と資源がありません。

   人口の8割が感染し、人工呼吸器も不足する最悪のシナリオを出したわけ
  ーー提言の中で、10万人都市で一人の人が感染させる「再生産数」が、現在の1以下からドイツ並みに2.5になったと仮定すると、流行 50日目には1日の新規感染者数が5414人にのぼり、最終的に人口の約8割が感染するという推定値まで出されました。呼吸や全身管理が必要な重症患者が急増し、人工呼吸器が足りなくなるとも予測されています。
 あれは最悪のシナリオなんです。
 あの想定を計算した北海道大学の西浦博先生や東北大学の押谷仁先生は、「最悪を想定して備える」という考え方です。
 ただあの数字が一人歩きしてはなりません。
 これを現実にしたらだめなので、そうならないように備えようというメッセージにしたい。
 せっかく日本は今、くすぶり状態が続いているわけですから、粘っている間に準備はできる。
 その間に、とりわけ医療体制の準備はしなくてはいけません。
 僕が聞いてもハラハラする数字です。
 でも臨床的な感覚から言うと、8割がかかる病気はあまりない。
 提言にも書かれていますが、症状が現れない不顕性感染も含めての数字なんです。
 フランスやドイツ、アメリカはすでにパニックになっているわけですから、もし日本で同じことが起きた時にパニックにならないように準備しておかなければいけない。
 しかし、場合によっては欧米がとったような封鎖や社会的な隔離も必要になるかもしれません。

   大規模イベント、意見が割れたのはなぜ?
  ーー大規模イベントを中止するかどうかについては専門家会議でも意見が分かれたということでした。「最悪のシナリオ」を出して危機感を打ち出すならば、「イベントはすべて止めてください」というのが自然のような気もします。
 感染拡大を想定し、それに対処するには二つの方法があります。
 北海道をはうまく抑え込めたのだから、他の地域でも「大規模イベントはすべて止めてください」「しばらく家を出ないでください」と言えば、今の状況をもっと抑え込めるし、もっと粘れるかもしれないというのが一つの考え方です。
 それもそうだと思います。
 一方、僕は情緒的なところもあって、せっかくうまく行った時に「良かったね」とみんなで喜ばないと、気持ちが長く保たないのではないかと思ってしまう。
 今、すでにみんなが疲れている時に、さらに厳しくすると、さらに疲弊感、無力感が出てしまうのではないかと思うのです。
 手を抜いてはいけないけれども、どちらにしても後で我慢しなければならない時がくるかもしれないのであれば、今、気をつけながらお花見や公園での散歩などに行ってもいいじゃないかというのが僕の考え方です。
 僕は小児科医として患者を診ていた時期が長かったのですが、回復が難しくてもなるべくなら生活制限をかけたくなかった。
 できそうなことをやらせたかった。
 患者は病気だけを生きているのではなく、その人の人生を生きているからです。
 病気や医学以外にも大事な価値観があり、それは尊重したいという思いです
 大規模イベントについては、提言ではそれなりに縛りをかけています。
 ただ、「イベント」という言葉で全て縛りをかけてしまうと、注意をすれば制限しなくてもいいと僕らが思うものにまで制限がかかってしまう。
 ところが、条件を設けて「ここまでならいいですよ」と言うと、僕らが止めてもらいたいなと思うものまでやっていいように見えてしまう。
 そんな難しさがあります。
 いろんな地方から人が集まって、3要素(密閉、密集、密接な交流)に当てはまるものは、やはり目下のところは止めてほしい。
 しかし、どうしても集まらないければできない、意義があるというイベントについては、距離を離して、事後に参加者を追跡できるようにするなどの条件を示し、できないなら止めてくださいと言っています。
 かなりきつい条件です。

   提言の意味は国民にきちんと伝わっているか?
  ーーただ、あの提言が出た直後の週末に、さいたまスーパーアリーナで、格闘技「K-1」の大規模なイベントが開かれました。しかも、空間除菌や水を飲むという誤った感染予防策を主催者が参加者に伝えていました。
 水を飲んでも意味がないですよね。
 先日、タイのキックボクシングの会場で流行が起きました。
 しかも、感染者が出たのがわかっていながら、イベントを続けて感染が拡大したそうです。
 それと比べ、あえてK-1主催者側の立場にたてば、マスクを来場者に配り、来場者に連絡先を書いてもらい、入り口にアルコール消毒剤を置き、なるべく声を出さないように注意したーー。
 感染予防のための対策を重ねているのです。
 でも実態を考えると、観客が密集し、静かに見ているはずがないですね。
 格闘技自体、観客が興奮するためにやっているわけですから。
 少なくとも埼玉県は危惧し、知事が止めてくれと依頼したわけですから聞き入れてほしかった。
 でも、また主催者側の肩を持つならば、あれを中止にしたら会社が潰れてしまうかもしれない。
 彼らもギリギリの決断をしたのではないかと思うのです。
 患者が出ないのを祈るばかりですが、万が一、こうしたイベントが今後また開かれたとしても、少なくとも体調が悪い人は絶対に行かないでほしい。
  ーーあのイベントも、自粛を依頼したなら補償は提示したのかと尋ねられた知事は補償しないと答えています。
 本当は補償の問題を中止要請と一緒にやらないと難しいでしょうね。
 主催者には、辞めるインセンティブ(動機付け)が全くないわけですから。
 彼らは公衆衛生上の理由で人を守ろうとしても得になりません。
 褒められるわけでもない。
  ーー政府が検討中と報じられたのは、旅行や外食について助成するという案です。感染拡大する可能性のある旅行や外食自体よりも、客が減ってダメージを受ける事業者の方に助成すべきではという声が出ています。
 ここから先は医学の問題ではないですが、少なくともそちらは税金や貸付金などで救済策を考えるべきでしょう。
 それは政治でやっていただきたい話です。
 やはり幾ばくでも止める動機付けがないと、生活がかかっている事業者は動けない。

   オリンピックはどうすべきか?
  ーーもう一つ気になるのが東京オリンピック・パラリンピックです。今日、国会で安倍首相が延期もあり得ると答弁しました。オリパラこそ、不特定多数が全国、全世界から集まってきて、密集して声援を送り、また全国・全世界に散っていく大規模イベントです。
 危惧しているのは、日本はくすぶり状態を続けてせっかく「良い子」になっている状態なのに、バラバラと外から来て感染者が出てくると、欧米と同じ条件になってしまうことです。
 もう一度、一からやり直しになります。
 ただし、今、海外から感染が持ち込まれれば手がつけられない状態になるかもしれないですが、数ヶ月後には効果のある薬が出てくるかもしれないし、診断も早くつくようになるかもしれない。
 今の時点で夏の状況を全て予測することはできません。
  ーーそれに日本がやると言っても、もし欧米で感染がさらに広がり世界が選手を派遣できないとしたら、そもそも大会が成り立ちませんね。カナダは予定通りやるとしたら選手団を派遣しないと声明を出しました。
 専門家会議はオリンピックのために対策を考えているわけではなく、感染症をなんとかしようと考えています。
 それを受けてオリンピックをどうするかを考えるのはJOCやIOCです。
 私たちがオリンピック開催の是非をうんぬんする立場にありません。

   国民と作る「どこまでなら我慢できるか」という合意
  ーー西浦先生が、4月いっぱいまでどこまでの制限なら我慢できますか?というアンケート(「新型コロナウイルスの流行拡大と日本での生活に関する緊急調査」3月25日午後11時まで)をネットを使って始めていらっしゃいます。リスクコミュニケーションは一方通行だと難しいので、国民の声にも耳を傾け始めたのだなと思いました。
 人々がどこまで受け入れてくれるかを知りたいのです。
 「これは我慢しなくちゃ仕方ないよね」と思うのか、「それを我慢するより、日常の生活の維持が大切」と思うのか。
  ーー記者会見の時は、西浦先生はどこまでの制限なら許容できるのか「みなさんと話し合いたい」「みなさんで合意するプロセスを作っていきたい」ということを繰り返しおっしゃっていました。
 我々が良いことだと思ってお願いしたことが、反発を生んで実行されないならば意味がないし、少し緩くていいかとこちらが思っている時に、「本当はもっと厳しくしてほしい」という意見が多いならばそれを取り入れなくてはいけない。
 そういうアンケートを今までやっていませんでした。
  ーー差別や偏見についてもメッセージを入れましたね。今、感染者を診る病院や医療従事者に対する差別や風評被害があるそうです。
 この感染症は危ないというメッセージが強過ぎると、自分がそうならないようにするために遠ざける人も出るでしょうし、風評被害も出るでしょう。
 しかし、そうなると、患者を診ないことが医療機関にとっても一番安全なことになります。
 医療機能の分担をしないといけないのに、そんな差別をしていたら、みんな新型コロナの診療に協力しようとしなくなるでしょう。
 もともと感染症は、差別が起きやすい病気です。
 でもその差別の暴力は、自分に返ってくる可能性を考えてほしいです。

   感染に気をつけつつ、日常生活や心を守る工夫を
  ーー今回、地域の感染状況ごとに、対策を強化したり、緩めたり柔軟な対応を取っていく必要性が打ち出されています。学校での対応も、日常生活での対応も、感染拡大しやすい3要素「密閉」「密集」「密接」には気をつけながら、自分の地域の感染状況に合わせて対応を考えていくことが必要なわけですね。
 地域の感染状況に応じて、バランスをとりながら必要な対応を行っていく必要があります。
 みんな全てを我慢しようと言っているわけではありません。
 僕は連休に、見学ではなくて、本当に家内と名所だけれども比較的空いているところにお花見に出かけたんですよ。
 みんな結構、楽しそうに過ごしていました。
 公園に子どもを連れて行ってたり、お弁当を広げていたりしました。
 お花見に出かける姿を批判する人もいますが、自粛疲れで世の中が暗い雰囲気になっている時に、ああいう風景はむしろホッとします。
 あまりギュッと制限をかけ過ぎて、そういうささやかな楽しみまで奪うのは良くないことです。
 広いオープンエアなら大丈夫ですし、知らない人とは少し距離を保ちつつ、家族で楽しむことまで制限する必要はないだろうと思います。
 感染対策に気をつけつつ、人間らしい日常生活を守るために何ができるか、工夫して心の健康も守っていただきたいと思います。

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『富士学校まめたん研究分室』/芝村裕吏

2020年03月24日 20時09分40秒 | 小説・本に関する日記
平和というものは戦力の均衡状態だ。
思想が平和を生み出すわけでも、戦争を起こすわけでもない。
思想を理由に戦争するやつらは後を絶えないが、実際はまあ同じ宗教、人種でも戦争は起きる。
戦力が均衡していなければどこでも起きる。






 昨日の夜は、芝村裕吏の小説『富士学校まめたん研究分室』を読み返していました。

 近未来の日本。
 陸上自衛隊富士学校勤務の技官・藤崎綾乃は極端な対人恐怖症で以前にセクハラ騒動に巻き込まれて閑職に追いやられていた。
 一人部屋ですることもなく無為の日々を送っていたが学生時代に研究していたロボット工学の知識を生かしてロボット戦車の企画・考察を独りで始める。
 留学時代に知り合った同僚の伊藤信士の協力で綾乃が研究してまとまられた企画は、極東に戦争が起こる可能性が囁かれる中で承認されて、本格的に開発が進められることになり……。


 近未来SFです。
 工学系の技術開発のお話で軍事技術開発のお話+めんどくさい30女の恋愛話でもあります。
 全く新しい概念の兵器を構想して企画してプレゼンして開発に持っていくところや試作運用してみてはじめて思ってもみなかった性能に気がつくところとか、私はこの手の経験が全くないので読んでいて面白かったです。
 この手のお話は拒絶反応を示すお方もいると思いますが、物語なので楽しめるか楽しめないかで評価していただきたいです。

 面白いですよ。
 楽しめました。


コメント
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