文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太
◆アメリカと中国における「通貨同盟」
アメリカ・ワシントン情勢に詳しい日高義樹氏の新著『アメリカの大変化を知らない日本人(PHP研究所)』第1章において「アメリカと中国の間に通貨同盟が成立した」と日本人にとって驚くべき事実が明らかになっております。
要するに、人民元が安いレートでドルとペッグされ、人民元がドルによって国際通貨としての価値を保証されたことで、天然資源等を海外から大量に輸入している中国にとって望ましい状況が到来したと言えます。
この背景には、巨額の財政赤字に苦しむアメリカの姿があり、ドルを基軸通貨として維持するために中国に対してとったぎりぎりの妥協策であったようです。
一方、ドルも人民元の持つ将来性によって保障されたことや、新しい予算削減法などによって急速に財政赤字が減ったことで、ドルは完全に復権し、景気の回復や株価及び債権の値上がりを呼び込み、アメリカにおいて新しい経済環境が出来つつあると日高氏は見ております。
◆アメリカの極東外交における「複眼思考」
実質的な米中の通貨同盟の成立によって、「日米安保体制」VS「中国の覇権主義」という一面的な見方は出来なくなり、日本にとって大きな変化を迎えつつあることが予想されます。
また、こうした通貨同盟を背景に、中国は人民元安という状況を維持し、安い製品をアメリカや日本、東南アジアへと売り込める体制を手にしたことで、本来は「経済的中国包囲網」であったはずのTPP(環太平洋パートナーシップ)が有名無実化する恐れも出てきたともいえます。
もちろん、軍事的にはアメリカと中国は対峙関係にあり、現時点で日米安保体制を破棄するなどということは今までの日米関係から考え難いことではあります。
しかし、アメリカはこの極東情勢において「日本との軍事同盟」、そして「中国との通貨同盟」という複眼思考で臨みつつあることは確かです。
そして、現在のアメリカの経済状況からすれば、通貨同盟に力を入れざるを得ず、これからの情勢次第では日本の安全保障体制の舵取りは極めて難しくなってくると考えられます。
◆中国の海洋進出によって脅かされる日本のエネルギー安全保障
現に、2015年から本格に動き出す沖縄海兵隊のグアム移転、また在韓米軍も2015年12月には削減される見込みで、「アジア重視」を堅持する国防戦略を採りながらも、アメリカは極東から軍事力を引き始めることになります。
その際、安全保障上日本にとって最も大きな懸念としてまず生じるのは、中国海軍によるシーレーン封鎖によるエネルギー確保の問題であります。
日本は長年、原油の大半をシーレーンリスクを負う中東に依存してきた経緯があり、最近では輸入先の多様化により比率は下がっているものの、原発稼働ゼロの影響で中東への絶対的な依存度は高まっているといえます。
戦前の歴史を振り返っても、日本が石油の重要性を見抜けなかった一方、アメリカによる石油の対日禁輸、そして第2次大戦が始まってからは「タンカーを沈めることを潜水艦の最優先目標とせよ」という命令があったくらい、アメリカによって徹底的に石油の輸入を封じられ、エネルギー資源の軽視によって敗北したといっても過言ではありません。
今こそエネルギーの自活は国家存続の肝であるという前提に立ち、日本にとって唯一の自活できるエネルギー資源と言ってもよい原子力発電の再稼働を急ぎ、海外へのエネルギー依存度を減らすことです。
また、クリミア併合によってアメリカやEUから経済制裁を受けているロシアに対しても、欧米諸国との歩調を合わせつつも、近年関係を深めてきたロシアと資源分野での連携を更に強め、シーレーンリスクを負わないエネルギー確保を目指すべきです。
◆日本が考えるべき「第二の中国包囲網」
またロシア同様、日本が更なる関係の深化を図るべき国の一つとしてインドが挙げられます。
昨年、日本の天皇皇后両陛下が53年ぶりとなるインドへの歴史的訪問を果たしたことは記憶に新しいですが、この10年のシン政権において、インドと日本は緊密な戦略的連携を築いてきました。
この背景にはアジアにおける両国の最大のライバルである中国が、経済的にも軍事的にも力を増してきた事実があり、特に海洋安全保障における協力体制の更なる深化が検討されています。
冒頭で紹介した「米中通貨同盟」の成立など、これからの国際社会はより複雑化する様相を呈しております。
日本外交も「複眼思考」を持ち、TPPによるアメリカ主導の「中国包囲網」とは一線を画した、日印露による「第2の中国包囲網」を機能させ、日本のエネルギー安保、海洋安保をより強化するべきです。
ドイツを訪問中の中国の習近平国家主席が、28日にベルリンで講演した。講演では、「日中戦争において、日本が3500万人の中国人を死傷させ、南京事件では30万人も虐殺した」と、一方的な日本への批判を展開した。
さらには、南京事件当時に現地に駐在した商社マンで、南京事件の際に中国民間人を保護したとされているジョン・ラーベを「中独友好を示す感動的な話のひとつ」とたたえた。なお、ジョン・ラーベはナチス幹部でもあり、当時の記録をつづった『南京の真実』は、多数の嘘や捏造が指摘されている。
習主席のこのやり方は、韓国の朴槿恵大統領が、欧米諸国訪問の際に、従軍慰安婦問題を持ち出して日本を非難する「告げ口外交」を彷彿させる。安重根のようなテロリストや、ラーベのような政治的中立性が疑われ、批判も多い人物を「英雄視」する手法までそっくりだ。
中国の最高指導者が、歴史問題をカードに本格的な対日批判に踏み切ったことについて「深刻な事態」と見る向きもあるが、むしろ中国は追い詰められ、暴走しているようにも見える。
先日行われた日米韓の首脳会談でも、朴大統領は日本の歴史問題に触れなかった。翌日のメルケル首相との夕食会においても、それまでの「告げ口外交」は影を潜めた。韓国は、自国の安全保障のためには日米との連携が必要であることにようやく気づいたのだ。
これは、歴史問題をカードに、対日路線で韓国と共闘しようとしていた習主席にとっては面白くなかっただろう。さらに、南京大虐殺の信憑性を疑う論調が高まってきたり、国際社会から自国民や「自治区」の住人への人権弾圧について非難が高まったりしている現状もある。
さらに中国は、4月下旬に中国で開催される海軍シンポジウム参加国20カ国のうち、日本の海上自衛隊だけを同時期に行われる国際観艦式に招待しないという嫌がらせもしている。
一般的に、告げ口や嫌がらせは、弱い立場の人がすることだ。結果的に、そうした卑怯な行為をした人の方が多くの人に嫌われ、友人を失うことになる。
韓国も、日本の悪口を言って回ったことで、アメリカから「外交的礼儀を欠いている」「先進国の振る舞いではない」などと批判の声が出ている。
今回の習主席の「告げ口外交」も結果的に中国にとってマイナスしか生んでいないようだ。訪独に先立ち、ユダヤ人のホロコースト施設を訪問したいと打診した中国側に対し、ドイツ政府は即座に拒否。ドイツは、日中間の論争に巻き込まれることや、未だに批判の対象となっているナチスの歴史問題を持ち出されることを非常に嫌がっている。日ごろ、日本をナチスになぞらえて反日キャンペーンを行っている中国から今回のような発言が出たことも、ドイツにとっては不愉快極まりないだろう。
ドイツにとって中国は重要な輸出先であり、経済的な結びつきは強めたいとの思惑がある。しかし、人権問題を抱える中国との結びつきを危惧する国民の声もあり、距離のとり方を決めかねている。
そうした複雑な思いからか、29日付の独フランクフルター・アルゲマイネ紙は、ドイツと中国の関係を「パートナーだが友人ではない」と表現している。
嘘に満ちた歴史を世界に広げる中国はいずれ孤立するだろう。日本は堂々と、「南京大虐殺など無かった」「今の中国の人権弾圧行為をすぐさま改めよ」と反論すると共に、ドイツをはじめ自由主義諸国と真の友人関係を築きたい。(佳)
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岸田文雄外相が、政府開発援助(ODA)大綱を年内に見直す方針であることを表明した。国家安全保障戦略や成長戦略などに沿い、国際貢献や国益、日本経済活性化につながるODAの活用を打ち出し、国民の理解を得ることを目指す。
これまでのODAでは、基本理念として「人道的見地」や「平和国家の使命」などを掲げてきた。だが今回の見直しで、これらに「わが国にとっての安全と繁栄」という要素を加える。
現在、日本のODA支出額は世界第2位で、約1兆4千億円。支援の形態としては、無償資金協力や技術協力、政府貸付(円借款)などがある。アジア地域以外に、中東やアフリカのほか、過去に共産主義体制下にあった中欧・東欧や旧ソ連邦の国々に対して支援している。また、台風や地震などの災害時には、物資や救援隊の派遣などの緊急支援を行っている。
なかでも近年、安倍晋三首相の積極的なアジア外交の一環として、政府はアジア各国に積極的に円借款を行っている。3月24日には、ミャンマーを訪問した岸田外相が、送配電網のインフラ整備のために新たに247億円の円借款を行うことを表明。同国内の鉄道や病院の整備のため、約78億円の無償資金協力を行う交換公文に署名した。
1月の安倍首相のインド訪問でも、シン首相との会談で、ニューデリーの地下鉄整備などに、新たに2千億円の円借款を行うと表明している。
こうした中で、長らく疑問視されてきたのが中国への支援だ。日本は中国に対して、これまで約3兆円の支援を行ってきた。だが、同国が世界第2位の経済大国になった現在も技術協力などで支援を続けている。支援を続ける理由としては、ODAは「1人あたりの国民総所得(GNI)」を参考にするためで、中国はいまだに世界79位の864,170円(2011年、円換算)と、タイやウクライナとほぼ同じ水準だからだ。
しかし、その中国は、アフリカや南太平洋の島々に対してODAを行い、現地の資源搾取や海洋進出への足がかりとしている。また、軍事費を増やし続け、すでに空母を一隻所有し、今後は空母艦隊の創設を目指している。さらに、核ミサイルを開発し、世界に対して脅威を与えている。中国は、自国の国民を豊かにするために資金を使わずに、他国にODAを行ったり、軍備を拡張して、他国を威し続けているのだ。
こうした状況からすれば、当然、日本から中国へのODAは打ち切るべきだ。そして、中国の脅威が迫るアジア地域や南太平洋の島国への支援を行い、地域全体の経済を底上げすることが大切だ。それは、「わが国にとっての安全と繁栄」のみならず、「世界にとっての安全と繁栄」にもつながっていく。(晴)
文/HS政経塾2期生 小松 由佳
◆習近平のドイツでの発言
ドイツ歴訪中の習近平中国国家主席は、3月28日、ベルリン市内で講演し、「日本の侵略戦争で中国人3500万人が死傷した」、「日本軍は南京に侵略し、30万人以上もの中国人を殺す残虐な行為を行った」などと日本を批判しました。中国の国家主席が公の場で日本を批判するのは極めて異例です。
一方、習氏は、中国の軍事費増大についての質問には、「中国は列強に植民地にされた歴史の悲劇を繰り返すわけにはいかない。自衛のための国防力は必要だ」と、軍事拡大を正当化しました。
また、「中国人は自分にされたくないことを他人にしてはならないとの信念を持っている」とも述べましたが、現在進行形で、国内での人権弾圧や自治区での虐殺を行っていながら、よくも言えたものです。
◆中国の虚言と世界の反応
このような中国の虚言は、既に国際社会に通じなくなっています。
ドイツ政府は習氏のホロコースト記念碑訪問を拒否し、メルケル首相は習氏との会談で、「言論の自由は社会に創造性をもたらす極めて重要な要素だ」として中国の人権状況の改善を求め、ガウク大統領も、「自由な意志表明が訴追対象になる」中国の状況に懸念を表明しました。
習氏が言及した「3500万人」「30万人」といった数字は、日本の歴史研究者はもちろん、中国の改革派の歴史学者の間でも疑問視されていますが、江沢民元国家主席が日本を批判する際に、よく言及した数字でした。
その江沢民氏はといえば、在任中のチベット族へのジェノサイド(民族・集団の計画的抹殺)の疑いで、昨年11月にスペイン裁判所から逮捕状が出され、今年2月には、同裁判所から国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配が要請されました。
これらは、スペインが国内法で、国外の人道犯罪を国内裁判所でも裁けるとする「普遍的管轄権」を定めていることから、可能となったものでした。
◆他国の罪をでっち上げ、自国の罪は揉み消す中国
しかし、スペイン下院は2月27日、この国内法を制限する改正案を、与党国民党の賛成多数で可決してしまいました。国民党は、上院でも過半数の議席を確保しているため、改正案の成立は確実と見られ、これまでの捜査が事実上、無効となる可能性があります。
これについて、ネット番組THE FACT第9回(https://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel)では、告訴の当事者にインタビューし、中国からスペイン政府に対する圧力があったことを報じています。
また、3月28日には、第25回国連人権委員会にて、日本とEUが共同提出した、北朝鮮の人権侵害についての非難決議が、賛成多数で採択されましたが、中国は、パキスタンやベネズエラなど5カ国と共に反対しました。
他国の罪をでっちあげながら、自国の罪は揉み消し続ける、そうした中国の暴挙は、これ以上許せません。日本は、過去に行ってもいない罪を否定すると共に、現在中国が行っている罪を止めなくてはなりません。
◆国際社会の「保護する責任」と「責任ある主権」
近年、国際社会では、「保護する責任」という概念が提示されています。
これは、「国家は、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪から、当該国家の人々を保護すると共に、これらの事態を予防する責任を負う」というもので、「介入と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)の2001年報告書で初めて提示され、05年の世界サミットで採択された成果文書にも明記されました。
同文書には、国際社会が、国家が上記の4つの罪から「自国民を保護することに明らかに失敗している場合には、時宜にかなった断固とした方法で、安全保障理事会を通じ、第7章を含む国連憲章に従って、個別の状況に応じ、適切であれば関係する地域的機構とも協力しつつ、集団的行動をとる用意がある」とも明記されています。
しかし、中国政府は、「国家主権」と「不干渉原則」を強調し、保護する責任に基づく人道的介入に、否定的な態度を示してきました。2011年、リビアのカダフィ政権による人民弾圧に対し、安保理が追加制裁決議を採択し、保護する責任に基づく初の武力行使が容認された際も、中国は棄権しました。その後、シリアでの民衆弾圧に対しても、中国の反対もあって十分な介入ができていません。
「国家主権」は極めて重要ですが、その濫用は許されません。国家主権の絶対性のみを強調することは、今日の国際社会の相互依存的関係において必ずしも妥当ではなく、「責任ある主権」という概念も示されています。
つまり、主権は責任を伴うものであり、主権が正当性を認められるためには、最低限、その管轄下にある住民に対してベーシック・ヒューマン・ニーズを提供する責任を果たす必要があり、国内避難民が大量に発生しているような状態の国家については、主権の正当性に疑問が生じており、国際社会からの人道支援や人道的介入を拒む理由として主権を援用することはできない、というものです。
こうした比較的新しい概念について、中国以外からも賛否両論はあり、具体的な実現方法も確立していませんし、安保理に中国が入っている以上、今後も国連によっては十分に実現し得ないことは明らかです。
◆日本は国際社会でイニシアティブを示す時
しかし、こうした理念自体は普遍的で、一定のコンセンサスがあるので、これらを大義名分として活かしつつ、有志の国々で具体的行動を想定し、準備を進めることが大切だと考えます。
北朝鮮、中国、シリア、こうした国々で続いている人権弾圧に対し、国際社会は具体的行動をとる必要があります。米国が行動できないならば、日本が普遍的正義に基づいて、イニシアティブをとれるようになるべきです。
日本軍が先の大戦において、中国大陸に入っていったのも、一つの人道的介入だったと言えます。今、大陸で再び民衆が苦しんでいるならば、今度こそ、共産主義と侵略主義の払拭を成し遂げるため、勇気ある介入を行う必要があります。
そのためには集団的自衛権の行使容認も必要です。他国と協力し、一刻も早く、過去の罪の亡霊と共に、現在只今犯され続けている罪を、断固粉砕するべきです。
2012年に「民主の村」として注目を集めた中国広東省の烏坎(ウカン)村。この村で3月31日、「村民委員会」の主任(村長)などの村幹部7人を選ぶ選挙が行われた。前回の選挙から2年、任期満了による今回の選挙では現職の林祖鑾(リンズラン)氏が5000票以上を獲得し、再選した。しかし、この選挙に疑問の声が上がっている。
2012年3月、烏坎村で住民らによる直接投票が行われたのは、40年以上にわたり烏坎村のトップに居座っていた共産党の書記が村有地(農地)の3/4を不正に売却し、それに怒った住民が抗議デモを起こしたことが発端であった。住民と当局側の対立は激しく、さらには当局側に拘束された住民側のリーダーが取り調べ中に死亡するという事件が起こり、対立は一層激化した。しかし、最終的には広東省側がこれまでの対応の悪さを認め、直接選挙を行うこととなり、住民側の代表である林祖鑾氏が、非共産党員として村長に就任した。
だが、この選挙から2年が経過した今でも、公約であり、住民の願いであった村有地の早期回収が進んでいない。また、選ばれた「村民委員会」の幹部メンバーの一人が半年で辞任した上、今年初めにアメリカへ出国し、3月下旬に亡命申請の意向を示すなど不可解な動きを見せている。
さらに、副村長の2名が、「林村長は当局に取り込まれた」と批判し、自ら村長に名乗りを上げたが、選挙目前の3月中旬に汚職容疑で検察当局に拘束されるという事件が起こった。これに対しては、当局による選挙への明らかな妨害行為との見方が広がっている。
APFの調査によると、村には約9000人の有権者がいるが、今回の選挙では投票数は1000人にも満たなかった。それにも関わらず、林村長は5000票以上を獲得し再選した。この票数の相違についての説明は拒否されたという。また、今回の選挙の前には広東省トップの胡春華氏が、省内の各村民委員メンバーの8割を党員で占めるように指示したと言われている(3月31日付 読売新聞)。不正を疑われても無理はない。
そもそも、2012年の直接選挙についても、民主化への一歩という意見のある一方、国内の他の村の不満を抑え、混乱が中国全土に拡大しないための当局の作戦であったとの見方もあり、評論家の伍凡(ゴボン)氏は当時から、「直接選挙にしろ、一人一票にしろ、共産党はきっと小細工をするでしょう」と指摘していた。
結局、住民が望んでいた村有地の農地は戻らず、選挙の公平性も失われている「民主の村」の民主化は実現されていない。このような政治参加の自由の無い国・中国において、住民は今も自由と正義を求めて厳しい戦いの中にある。各国メディアも中国共産党の小手先の動きに一喜一憂し、惑わされるのではなく、中国国民が真の「自由」を手にするまで、中国の現状を正しく報道し、中国の民主化を支援するべきである。
(HS政経塾 和田みな)
2012年に「民主の村」として注目を集めた中国広東省の烏坎(ウカン)村。この村で3月31日、「村民委員会」の主任(村長)などの村幹部7人を選ぶ選挙が行われた。前回の選挙から2年、任期満了による今回の選挙では現職の林祖鑾(リンズラン)氏が5000票以上を獲得し、再選した。しかし、この選挙に疑問の声が上がっている。
2012年3月、烏坎村で住民らによる直接投票が行われたのは、40年以上にわたり烏坎村のトップに居座っていた共産党の書記が村有地(農地)の3/4を不正に売却し、それに怒った住民が抗議デモを起こしたことが発端であった。住民と当局側の対立は激しく、さらには当局側に拘束された住民側のリーダーが取り調べ中に死亡するという事件が起こり、対立は一層激化した。しかし、最終的には広東省側がこれまでの対応の悪さを認め、直接選挙を行うこととなり、住民側の代表である林祖鑾氏が、非共産党員として村長に就任した。
だが、この選挙から2年が経過した今でも、公約であり、住民の願いであった村有地の早期回収が進んでいない。また、選ばれた「村民委員会」の幹部メンバーの一人が半年で辞任した上、今年初めにアメリカへ出国し、3月下旬に亡命申請の意向を示すなど不可解な動きを見せている。
さらに、副村長の2名が、「林村長は当局に取り込まれた」と批判し、自ら村長に名乗りを上げたが、選挙目前の3月中旬に汚職容疑で検察当局に拘束されるという事件が起こった。これに対しては、当局による選挙への明らかな妨害行為との見方が広がっている。
APFの調査によると、村には約9000人の有権者がいるが、今回の選挙では投票数は1000人にも満たなかった。それにも関わらず、林村長は5000票以上を獲得し再選した。この票数の相違についての説明は拒否されたという。また、今回の選挙の前には広東省トップの胡春華氏が、省内の各村民委員メンバーの8割を党員で占めるように指示したと言われている(3月31日付 読売新聞)。不正を疑われても無理はない。
そもそも、2012年の直接選挙についても、民主化への一歩という意見のある一方、国内の他の村の不満を抑え、混乱が中国全土に拡大しないための当局の作戦であったとの見方もあり、評論家の伍凡(ゴボン)氏は当時から、「直接選挙にしろ、一人一票にしろ、共産党はきっと小細工をするでしょう」と指摘していた。
結局、住民が望んでいた村有地の農地は戻らず、選挙の公平性も失われている「民主の村」の民主化は実現されていない。このような政治参加の自由の無い国・中国において、住民は今も自由と正義を求めて厳しい戦いの中にある。各国メディアも中国共産党の小手先の動きに一喜一憂し、惑わされるのではなく、中国国民が真の「自由」を手にするまで、中国の現状を正しく報道し、中国の民主化を支援するべきである。
(HS政経塾 和田みな)
文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦
◆麻生財務大臣の本音
4月1日よりいよいよ消費税が8%に増税されました。
麻生財務大臣は、消費税の8%への引き上げについて1日の閣議後会見で、駆け込み需要の反動減など、景気の動向に関しては「この数カ月間が正念場」とした上で、「(消費税率が)10%になれるような経済情勢・景気というものを今年度4月~6月期以降に作り上げておく必要がある」と消費税率10%に向けた環境整備の必要性を訴えました。(ANNニュース4/1)
麻生財務大臣は図らずも本音を吐露しました。それは、来年10月から予定されている消費税10%への増税が出来るための条件整備として、景気対策を打つというのです。
今回の消費増税の決断の根拠となった昨年4~6月期の実質成長率の数値も、財務官僚が公共投資の集中的な発注で人為的に作ったものと言われています。(ザ・リバティー5月号 田村秀男氏インタビュー「消費増税は愚策 アベノミクスは日本再生ビジョンを示せ」)
このように政府の「増税ありき」のむき出しの情念は、どこから生まれているのでしょうか。
◆財政規律至上主義の愚
その一つとして、財政規律至上主義とでもいうべき「国の財政が一番大事。国の財政さえ健全なら日本は大丈夫」という考え方があるのではないでしょうか。
国家財政が破綻したら元も子もない、国民生活も破綻するということです。
土居丈朗慶大経済学部教授等を起草者として、財政制度等審議会より昨年11月末、麻生財務大臣に対し「平成26年度予算の編成等に関する建議」が提出されました。
この建議書が、現在の財政運営を規定しています。この建議では、財政健全化を着実に進めるに当たっては、いたずらに自然増収に期待するべきではない。
我が国の財政の現状では、歳出削減と増税による歳入改革の両方を実行しなければならず、経済成長のみで財政健全化を実現させることは不可能と認識しなければならないと結論付けています。
幸福実現党が訴えている「経済成長による税収増」で財政健全化を図るという考えを「不可能」と否定しています。
この考えの違いは、究極的には、国の財政を第一とみるか、民間企業の経営を第一とみるかの違いといえます。これはすなわち大きな政府をとるか、小さな政府をとるかの違いでもあります。
国を優先した場合、増税で民間が苦しんでも財政規律を守らなければならないという考えになります。民間を優先した場合、減税で民間を富ませ、民間の富の創造・蓄積により国の財政も豊かになるという考えになります。
◆全企業黒字化による財政再建
幸福実現党は、国家の繁栄のためにこそ、民間の富の創造、蓄積が大切と考えます。それが小さな政府を目指すということの意味でもあります。
幸福実現党大川隆法総裁は、幸福の科学グループ創始者兼総裁でもありますが、来年開学を予定している幸福の科学大学に経営成功学部を創設する予定です。
現在の経営学の成果は、7割以上の赤字企業の存在です。これが意味するところは、現在の経営学は「節税学」あるいは「脱税学」である可能性が極めて高いということであります。
よって幸福の科学大学経営成功学部では、10割の企業が黒字体質になる方法を学問化することを目的とします。
これは、わが国の法人税収の飛躍的増大への道でもあります。増税ではなく、企業の黒字化、発展による税収増への道です。
今、必要なのは、明るい未来展望であります。未来展望があれば、人々の投資意欲は高まります。それがデフレ脱却への真の道筋です。
財政規律至上主義者は、わかり易くいえば「経理屋さん」の目線であり、未来志向の企画提案を予算がないとして潰す役回りであります。
幸福実現党は、新しい学問成果を果敢に政策に取り入れ、未来を切り開いていく所存であります。国家の発展は、民間の発展なくしてあり得ないのであります。
デフレから未だ完全に脱却していない現在、消費増税を始めとする社会保険料アップ、光熱費アップ、等々国民負担が急速に増大しています。これは民間の発展を阻害するマイナス要因でしかありません。
民間の収支の改善をこそ政府は優先すべきです。さすれば、国の財政も必ず再建されるのです。