米国を舞台に繰り広げられる広報外交[HRPニュースファイル974]
http://hrp-newsfile.jp/2014/1401/
文/HS政経塾2期生 服部まさみ
◆中韓首相、歴史認識で連携確認
今月10日、中韓の首相が中国で会談した際に、「日本は侵略の歴史を反省しなければならない。両国の共通認識の下で、これまでのように以心伝心で対応していこう」と歴史認識で連携を確認したようです。(4/11産経)
このように中韓が連携して、日本のネガティブキャンペーンを行っています。こうした情報戦に対して、真実を発信するための外交戦略として広報外交(パブリック・ディプロマシー)が必要です。
これは伝統的な「政府対政府」の外交とは異なり、広報や文化交流を通じて民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける「対市民外交」のことで近年、世界中で注目されています。
◆中韓が米国を舞台に情報戦を仕掛けている理由
外交政策において、ある国が重要だから、その国に対してだけ広報外交を行えばよいというわけではありません。
例えば、イギリスの世論を動かすには、米国のように世界に影響力を持つ国や国際世論全般に働きかけることが有力な面があります。
中国や韓国が米国を舞台に情報戦を仕掛けている理由は、米国のメディアは、全世界に情報を発信する力を持ち、「世界標準」として認識されるほどに影響力をもつからです。だから、各国が国家戦略として、巨額の予算を米国に対する広報外交に充てているのです。
ワシントンD.C.では「世界の権力の要」として、各国の利益や各団体の要望を満たすために日夜、激しい競争が行われています。
◆ワシントンD.C.で行われている広報外交
米国のライシャワー東アジア研究所所長のケント・カルダー氏によると、各国がワシントンD.C.で行っている広報外交は大きく分けて5つあるといいます。
(1)政策研究(アジェンダセッティング(課題設定)・フォーラム)
この分野で注目されているのが、韓国のKEI(Korea Economic Institute)という機関です。間接的に韓国政府やNGOの支援も受けながら、講演会を開催し、その内容をインターネットを使って世界に生中継しています。
以前、「ジャパン・エコノミック・インスティチュート(Japan Economic Institute)」という機関があり、日米貿易摩擦の解決に尽力を尽くし、大きな成果をあげていましたが、01年に閉鎖されてしまいました。
(2)アイディアクリエーション(アイディア形成)・フォーラム
これは、研究者や世界各国の大学間などのアカデミックな交流を通じて、グローバルな問題解決に向けてアイディアを交換し合うことが目的です。
米国にドイツをはじめとするヨーロッパ諸国から学者を招聘して、米国の研究者たちと、移民問題など双方にとって関心の高い課題について対話の場を設けています。また、米国の大学も、こうしたプログラムを通じて活発な活動を行っています。
(3)メディア・イノベータ―
中国の国際放送を行っているCCBがワシントンD.C.で積極的な活動を展開しています。特に注目されているのが、中国は社員の8割を現地の米国人を雇用して、ワシントンD.C.から世界に向けて情報を発信していることです。
こうした革新的な試みを、日本はもっと取り入れるべきです。
(4)文化交流
特にフランスやドイツが積極的に活動を行っています。また、最近ではエスニックサポートSGO(民族的少数派支援のための機関)という非政府機関が注目されています。
例えば、中国はワシントンの大使館の中に、主に中国系アメリカ人のための業務を行う局を設置して、中国系アメリカ人との関係を積極的に築いています。
(5)政党に関わる機関
各国の政党や政治団体がNPOなどの民間団体をワシントンD.C.に設置し、その民間団体を通じて情報収集や人材育成を行っています。この分野ではドイツが先駆者として注目されています。
例えば、フリードリヒ・エーベルト財団はドイツ社会民主党と関係があり、党の政策に基づいたシンポジウムを行ったり、米国やドイツの指導者になるような若い世代の育成に力を入れています。
政党や政治団体の支援を受けてドイツと世界の対話を促進する役割を果たしています。
◆今こそ官民を超えた「オール・ジャパン」の取り組みを
以上、ワシントンD.C.を舞台に各国が米国の世論を味方につけるための具体的な活動を紹介しました。残念ながら日本は、このような競争に全く参加できていません。
ヒト、モノ、カネが国境を超え、情報がインターネットによって世界中を駆け巡るグローバル化した時代において、政府だけが国際世論に働きかけることには限界があります。
そのため、各国の民間のシンクタンクやNPO、大学が積極的に国際世論に働きかけ、政府は間接的に支援するというスタイルに変わりつつあります。
今こそ、政府も民間も「オール・ジャパン」で一体となって活動していくことが必要なのではないでしょうか。幸福実現党は日本の誇りを取り戻すべく、積極的な情報発信を行って参ります。
TPP交渉「戦術」と関税撤廃に向けた輸出「戦略」[HRPニュースファイル975]
http://hrp-newsfile.jp/2014/1402/
文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ
◆TPP日米協議、コメ、麦、砂糖で関税撤廃回避へ
環太平洋経済協定(TPP)について、日米の実務者協議が15日から再開しています。
甘利明経済財政・再生相が「相当な距離が残っている」と発言したように、日米の交渉は膠着状態が続いていました。
自動車に関しては、日本が関税の早期撤廃を求めているのに対しアメリカが反対し、農産物に関してはアメリカが関税撤廃を求めているのに対し、日本が反対しているためです。
特に日本は、「重要5項目」としてコメ、麦、砂糖、牛・豚肉の関税撤廃に強く反対してきました。
しかし、今回、アメリカ側は「主要5項目」のうちコメ、麦、砂糖について、関税をかけてもいいと認めたのです。
日本は、現在、アメリカから輸入しているコメに778%、小麦に252%、砂糖に328%の関税を課しています。
コメと小麦に関しては、大幅な関税引下げを棚上げする代わりに、輸入量を増やす方針です。
砂糖に関しては、アメリカも日本と同様に国内の産業を維持するため、関税撤廃の例外にしたい考えです。
◆アメリカ側は11月の中間選挙を見据えてのTPP交渉
アメリカでは11月に中間選挙が控えており、オバマ政権は業界団体の顔色をうかがいながら、TPP交渉を進めています。
今回、アメリカは「重要5項目」のうち、牛・豚肉にかぎっては関税撤廃を認めませんでした。牛・豚肉業界は政府に対し、大きな影響力をもっているといわれています。
また、自動車の関税撤廃をなるべく先延ばしするように求めている全米自動車労働組合は民主党の支持基盤であります。
豚・牛肉と自動車は、日米の間で厳しい交渉が予想されます。
◆日豪EPAはTPP交渉に影響
アメリカとの交渉にあたって、日本はオーストラリアと経済連携協定(日豪EPA)で、大筋合意したことが交渉材料となりました。オーストラリアは日本への牛肉の輸出で、アメリカと競争関係にあります。
今回、日豪のEPAを結んだことによって、オーストラリアはアメリカよりも有利な条件で日本に牛肉を輸出することができるようになっています。
現在、日本は牛肉の輸入に38.5%の関税をかけていますが、オーストラリアの牛肉に関しては、冷凍牛肉は18年かけて19.5%に、冷蔵牛肉は15年かけて23.5%に引下げることになったからです。
TPP交渉が停滞し、妥結が先延ばしされれば、アメリカはオーストラリアよりも不利な条件で日本に牛肉を輸出することになります。
また、アメリカが自動車の関税撤廃を先延ばししようとしているのに対し、オーストラリアは乗用車の関税を即時撤廃する予定です。
◆有利な条件を引き出しながら、関税撤廃に向けた準備を
今回、日豪EPAの合意により、日米交渉を少しでも前進させることができました。多国間の交渉を通じて、自国に有利な条件を引き出してゆくことは大切です。
しかし、同時に関税撤廃に向けた準備をしていくことは、それ以上に重要です。
アメリカは世界第三位の牛肉「輸出」大国であると同時に、世界第一位の牛肉「輸入」大国でもあります。アメリカは、品質の高い牛肉を輸出しながら、同時に価格の安いオーストラリア産の牛肉を輸入しています。
日本の牛肉においても、同じ戦略をとることは十分にできます。コメに関しても同様です。日本の農産物は高品質でありながら、マーケティング力やブランディング戦略が不足しているといわれてきました。
また、語学力の低さが原因で現地のバイヤーと交渉ができないといった問題もあるそうです。
これからの農林水産省に求められることは、農業の保護ではなく、海外市場に農産品を売り込む戦略を考え、実際に売り込んでいくことです。
食品に関しては国ごとに様々な規制が存在するため、その対応だけでも大変です。
それに対して、TPP加盟国のなかでは、食品に対する規制もある程度統一されるので、「輸出をする」側の立場になった場合、とても有利です。
残念ながら、「攻めの農業」というスローガンに対して、安倍政権の政策を見ますと、「守りの農業」という印象を強く受けます。
商社やJICAなど、政府以外の組織と連携しながら各国の市場を調査し、日本の農作物を売り込んでいく体制を構築するべきです。
輸出力をつけることで、関税撤廃は恐ろしいものでなくなります。むしろ、関税撤廃を契機に輸出をさらに増やすことができます。
TPP交渉を進めると同時に、関税が撤廃されたときに向けて、輸出力を強化することが重要なのです。
幸福実現党の「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」に13万筆
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7691
幸福実現党は、昨年から行っていた「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」が9日時点で13万筆以上集まったと発表した。22日に開催する「安倍政権に『河野談話』の白紙撤回を求める集会(首相官邸前)」の中で、内閣府を通じて安倍晋三首相に提出する予定だ。
河野談話とは、旧日本軍や官憲が慰安婦を強制的に集めたと実質的に認める内容の、河野洋平官房長官(当時)が1993年に発表した談話だ。慰安婦の強制連行については、証拠が見つかっていないにもかかわらず、韓国への「政治的配慮」で発表されてしまった。
この河野談話の見直しを求める声が高まっている。
産経新聞は昨年、談話の根拠となった、16人の韓国人元慰安婦への聞き取り調査の報告書を入手し、その内容がかなりずさんなものだったことを報じた。その後、河野談話の問題点が様々なメディアで取り上げられるなど、広く注目を集めている。談話作成当時の事務方トップだった石原信雄元官房副長官も、参院統治機構調査会に参考人として登場し、韓国側から慰安婦募集の強制性を認めるよう圧力があったことを証言した。
こうした中で、河野談話の作成過程について検証している安倍政権の検証チームは、結論を今国会中に出し、結果次第で安倍首相が談話見直しに動くという観測も出ている。
河野談話の検証を求める署名については、日本維新の会がすでに10万人を超える署名を集めているが、この一連の流れの直接の火付け役は、幸福実現党だろう。2009年に立党した同党は、2011年7月のマニフェストには「自虐史観を払拭」を掲げ、2012年10月のマニフェストでは「河野談話を撤回」と明記している。
さらに、橋下徹・大阪市長が昨年5月、「従軍慰安婦」だったと名乗る韓国の女性2人に会うと発表した際には、面会予定日の3日前に、大川隆法・幸福の科学総裁が2人の守護霊霊言を収録した。守護霊の「韓国はウソをいくらついてもいい」などの発言内容をまとめた弊誌号外を、幸福の科学グループのメンバーが大阪市役所前など全国で配布したところ、2人は面会を取り下げた。もしここで橋下氏が2人に謝罪でもしていたら、嘘に満ちた韓国側の慰安婦問題での主張にさらなるお墨付きを与えかねなかったところだった。
安倍首相には、河野談話の見直しを求める国民の声を受け止めて、日本の歴史観をしっかりと正してほしい。(居)