党首討論でチェック 世の中は今、国防の何を議論しているの?
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安倍晋三首相と民主党代表らによる党首討論が20日、今の国会で初めて行われました。
その中では主に、左翼勢力から「戦争法案」と批判されるなど、大きな話題になっている「安保法制」をめぐる議論が行われました。
本欄では、今回の党首討論から「新たな安保法制ってどんな内容?」「それについて世の中では何が問題になっているの?」「その問題についてどうみるべき?」をコンパクトに解説します。政治の今に追いつくために、ご活用ください。
(1)「自衛隊の活動範囲が広がり、戦闘に巻き込まれやすくなる」
【法制、何が変わる?】
新たな安保法制で大きく変わるのは、まず「他国への後方支援の拡大」です。
今までは、後方支援をするためには、事態ごとに「特別措置法」を国会で制定する必要があり、活動範囲も日本周辺に限られていました。
今回、後方支援は随時可能となり、地理的な制限もなくなりました。
【野党は何を問題視?】
それに対して民主党の岡田代表は、自衛隊の活動範囲が広がることで、「自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが高まるのでは」と安倍首相に説明を求めました。支援している軍と敵対する国の軍から攻撃されるなどの可能性が高まるということです。
【安倍首相の答えは?】
それに対し首相は、「現場の判断で、危険を回避できる」「戦闘に巻き込まれることがなるべくない地域を選ぶ」と説明しました。
【どう見るべき?】
この問題については、「安倍首相は逃げた」と見るべきでしょう。
活動範囲が広がれば、戦闘に巻き込まれるリスクが高まるのは当然です。安倍首相は、まず「リスクが高くても他国軍への後方支援をできるようにすることが、日本や世界の安全のために必要である」と発信するべきです。
その上で、リスクをいかに減らすか、という議論をするべきです。
(2)「他国の領土・領海・領空で、武力行使を行うのか」
【法制、何が変わる?】
新たな安保法制で次に大きく変わるのは、「集団的自衛権の行使」です。「集団的自衛権」とは、自国が攻撃されていなくとも、自国と密接な国が武力攻撃された場合に共同して防衛を行う権利のことをいいます。
今まで、日本政府は憲法9条の制約から集団的自衛権は行使できないと説明してきました。安倍政権は従来の憲法9条の解釈変更を目指してきました。
【野党は何を問題視?】
岡田代表はこれに対して、「他国の領土・領海・領空で、自衛隊は武力行使を行うのか」と質問しました。例えば他国に攻撃されたアメリカ軍を守る中で、自衛隊が他国の領土で実際に戦闘をすることがあるのか、ということです。
【安倍首相の答えは?】
それに対し首相は、「一般に海外派兵は認められない。外国の領土に上陸して、武力行使を行うことはない」と明言。その上で、他国領海での機雷掃海や敵国のミサイル発射基地への攻撃などは、例外的に認められるとしました。
【どう見るべき?】
これは、日本は十分に集団的自衛権を行使できないことを表しています。これにより、日本が軍事的危機に陥る可能性があります。
これはどういうことかというと、昨年7月に閣議決定された「新3要件」という条件により、日本が集団的自衛権を行使する際、自衛隊の武力行使は最低限に留めると定められました。そのため、侵略意図を持つ国の軍事行動が小さいうちにその芽を潰すことができず、日本がより大きな戦争に巻き込まれる可能性があるのです。
必要なことは、「新3要件」のような制限を撤廃し、他国と同様の集団的自衛権の行使を可能にすることです。
そのためには、憲法9条を改正し、「戦争の放棄」条項の撤廃や、「戦力の保持」「交戦権」を認めることが必要です。
安倍首相は、はっきり憲法改正の必要性を主張すべき
今回の党首討論では、首相が上手くかわす姿勢が目立ちました。
これに先立つ3日、大川隆法・幸福の科学総裁は東京で行った法話「新時代を創る力」の中で、安倍首相の安保法制整備に対する姿勢について、このように述べました。
「言うべきことはキチッと言って、物事を進めていかないと、後手後手になったり、方便先行型になったりする。(中略)もうスッパリと、憲法九条改正を押し出して、戦われるべきだというふうに思います」
「安保法制」の議論がこれほど複雑なのは、憲法9条を守ったまま、安全保障体制をつくろうとしているため。今考えなければいけないことは、「新しい安保法制がいかに安全か」ではなく、「国防体制を整えることがどれほど大切か」です。(泉)
今回のポイント
- 新たな安保法制では、自衛隊がより他国の支援・防衛に携われるようになる
- 国会では新法制がいかに安全かが、議論されている
- 国民に憲法9条改正の重要性を説得しなければいけない
【関連書籍】
幸福の科学出版 『父・安倍晋太郎は語る』 大川隆法著
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幸福の科学出版 『吉田松陰は安倍政権をどう見ているか』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1039
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