羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

アルスラーン戦記 3

2015-07-15 20:59:16 | 日記
ナルサスは崖の上で戦況を見ていた。そこへダリューンも馬で駆け上がってきた。「シンドゥラは現在、二人の王子による世継ぎ争いの真っ只中、意識せずとも、兵達の心には不安がある。そこを突けば、崩れるのはあっという間だ。そろそろ例の場所に近付きつつある。さあ5万と1万戦力差、今、ひっくり返して見せよう!」「おう!!」2騎は崖を駆け降りた!
氷上へ移動してきたシンドゥラ兵達は、足元からギィィィッ! っと奇妙な音がすることに気が付いたが、既に遅かった! 氷が割れてゆく!!「これは?! 走れ! ここから離れろ!!」ラジェンドラが叫ぶと同時に氷は完全に砕けた! シンドゥラ兵が誘導されたのは凍った湖の上だった!! 多くの兵が浮かぶ氷の上で立ち往生する中、ラジェンドラは単騎で馬を操り、氷を渡り、陸に上がった。
「俺は、悪夢を見ているのか?」 完全に機能を失った自軍を振り返り、呆然とするラジェンドラ。そこへ、「ラジェンドラ王子! 急ぎ申し上げたきことあり! 殿下はおわしや!」ナルサスの声がした。ナルサスとダリューンが馬で近付く。「ラジェンドラはここにいる! 何が起こった?!」「ダリューン、この男だ」ダリューンはラジェンドラに斬り掛かった!「悪いが捕虜となって頂こうラジェンドラ王子!」左の盾でナルサスの剣を受け、右の剣でダリューンの剣を受けたラジェンドラは素早く身を屈めつつ馬を走らせ手練れ二人の囲いを突破した!「次に会ったら生かしてはおかんぞ!」捨て台詞を吐いて走り去ろうとするラジェンドラたったが、馬を射られ、落馬した!「ぬぅあ?!」土まみれになった所でアルフリードに剣を突き付けられた。「動くと死ぬよ? シンドゥラの色男」ラジェンドラは観念せざるを負えなかった。
縛られたラジェンドラはペシャワール城のアルスラーンの前に連れてこられた。
     4へ続く

アルスラーン戦記 4

2015-07-15 20:59:05 | 日記
「いやぁ、参った参った。見事にしてやられたは」苦笑するラジェンドラ。「アルフリード、よくやってくれた」「いいえ! ナルサス卿の策がよろしきを得たからでございます」やっぱり敬語を使うことにしたアルフリード、隣のエラムは手柄を取られ憮然としていた。「こんなに可愛い大将だったか」アルスラーンが歩み寄ると、ラジェンドラは軽口を叩いた。「お話ししたいことがあって、御招待致しました」「ほぉ、パルスでは縄で縛って引っ立てることを招待と言うのか?」ナルサスとアルスラーンに促され、ダリューンが一刀を持って縄を解き、ひとまず食事でラジェンドラはもてなされることになった。
定番らしい串焼きの他、豪華な料理の並ぶ宴席。ラジェンドラは上座でアルスラーンの隣に座らされた。「感服したぞ、アルスラーン王子」「仲間達に助けられてばかりです」「臣下ではなく仲間か、つくづく面白い。さあさあ! お主も呑め呑め!」ラジェンドラはアルスラーンにも酒を呑まそうとしたが、その杯をファランギースが取った。「あなたの御相手は私がしよう」「おお、それはいい」と早速ファランギースが取った杯に酒を注ごうとするとギーヴが間に入ってきた。「おっと、俺も混ぜてもらおうか?」「面白い、ならば呑み比べといこうじゃないか?」3人はアルスラーンを置いて、呑み比べを始めた!
結果、「頭の中で水牛の群れが合唱しながら踊ってやがる」ギーヴは酔い潰れた! ファランギースは涼しい顔で呑み続けていた。「ああ、この俺が酔い潰せぬとは」ラジェンドラも潰れぬまでも、杯が進まなくなっていた。「先程の話の続きを」気配を消していたアルスラーンが中腰で現れた。「あなたと同盟を結びたい」真顔になるラジェンドラ。「聞こうか」「シンドゥラの王位に就けるよう御手伝いして差し上げましょう」「その代わり、お主の戦にも力を貸せと」
     5に続く

アルスラーン戦記 5

2015-07-15 20:58:53 | 日記
「悪い話ではないと思いますが」笑うラジェンドラ。「面白いことを言う、国を追われた王子に何ができるというのか?」言い様にアルフリードとエラム、特にエラムは気色ばんだ。「なんだとッ」すぐにアルスラーンがこれを制した。「今の御身の立場をよく考えて頂きたい」「脅迫のつもりか? 俺の身に何かあってみろ、俺の兵達は決して貴様らを許しはしないぞ!」「そんな野蛮なことは致しません」「ええ、と言うか既にシンドゥラ国内に通達してしまいました」ナルサスが現れるなり、言い出した!
「何?」「盟約を結んだと」「なんだと?!」立ち上がるラジェンドラ。さらに国都へ進撃したとも通達したと言い出すナルサス!「貴様ら、俺を反逆者に仕立てようというのか!!」怒りの表情を見せるラジェンドラ!「ガーデーヴィとの雌雄を決する御つもりだったのでしょう? それが少し早まっただけのことですよ」「私はあなたをガーデーヴィとの交渉に使いたくはない」ナルサスとアルスラーンが立て続けに言うと、ラジェンドラは高笑いしだした。「やってくれたなぁ、パルスの王太子よ。いいだろう、このラジェンドラが、お主に力を貸してやる!!」同盟が成立した!
アルスラーン一行が、キシュワードにペシャワール城を任せ、ラジェンドラ軍とともにシンドゥラ国へ出陣を始める頃、シンドゥラ国都ウライユールでは「愚かな弟と思っていたが、まさかパルスとッ!」書状を受けたガーデーヴィが怒り心頭であった!「御安心召せれよ、殿下。既に私の配下の者を潜ませております」宰相マヘーンドラは畏まった。一方、ペシャワールから出陣するラジェンドラ軍の中に、他の一般の軍装ではない褐色の肌をした目付きの鋭い男がいた!
・・・ラジェンドラが意外とギャグ少な目。アルスラーンの顔が少し大人っぽくなるシーンがチラホラ、そして前髪! 常に寝起き風っ!