羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

探偵の探偵 1

2015-07-24 20:31:39 | 日記
髪をしっかり纏めた矢吹は岡尾の替え玉にホームレスが使われた可能性を述べた。五年の間に同様の事件を起こしている可能性があり、探偵と調べていると警視庁の担当者は言ったという。「探偵と? 名前はわかりませんか?」そこまではわからないという矢吹。玲奈は今後も捜査情報を伝えてほしいと頼み、矢吹と別れた。その足で、玲奈は中華街の路地裏でインチキ探偵社を営む藪沼の元を訪れた。警察に協力する阿比留について詰問する玲奈。「阿比留側が引き受けるメリットは何?」例え解決しても協力したことはマスコミに伏せられるはずだった。軽口を叩き、馴れ馴れしく触ってくる藪沼の腕を捻り上げ、玲奈は恫喝した。
藪沼によれば、カジノ法案成立した場合、大阪と神奈川で警察による筆頭探偵社の選定が行われるらしい。現地の顔となる有象無象の探偵社のリーダー格となる。阿比留はこれを狙っていた。スマ・リサーチに戻った玲奈は須磨に事件は警察の信用を得る為の阿比留の半場、自作自演で、生きていた岡尾を誘導して事件をおかさせたと主張した。さらにこの関係性から、「死神は、阿比留かもしれない」冷静なはずの玲奈は事態にのめり込んでいた。
一方、警視庁では成果の無かった性犯罪者リストの出どころを窪塚が阿比留に問うたが、阿比留は守秘義務を盾に答えなかった。「あの刑事の詳細」窪塚を面倒がった阿比留は社員に調べさせた。スマ・リサーチの社長室では、桐島が須磨に詰め寄っていた。須磨は琴葉が咲良の知り合いだということを玲奈に知らせていなかった。「このまま紗崎を潰すつもりですか?」須磨は答えなかった。
「腑に落ちないんです、そんな急に咲良さん絡みのことが浮かび上がってるって、なんだか怪しいんです!」「情報収集をしてきた。一緒にいなかったのに、勝手に判断しないで!」出掛けの玲奈に琴葉は忠告したが、
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探偵の探偵 2

2015-07-24 20:31:31 | 日記
玲奈は聞く耳を持とうとしなかった。須磨は玲奈に頼まれていたと、琴葉に緊急避難用のマンションに身を潜めるよう促した。「君は結婚して家を出た姉の代わりを紗崎に求めている。心の内を隠したままでは、赤の他人と家族同等の信頼関係を得ることはできない」須磨は避難を勧めつつ、そのようなことを琴葉に言ってきた。
警視庁では窪塚が以前玲奈から送られた封筒を手に、差し出し人の捜索を手伝うよう長谷部を誘ったが、長谷部は歯切れの悪い対応だった。そうこうしているうちに、阿比留に目を付けられた窪塚は誘拐事件の捜索本部から外されてしまった。
玲奈が調査と、阿比留の横槍、場合によっては生きていると信じ込んでいる岡尾との対決に備え、自宅で荷物を纏め、妹の写真や妹から送られた人形に目を止めていると、矢吹から電話が入った。『探偵』から警察に情報提供があり、明朝、家宅捜索が行われるという! 矢吹はその住所を玲奈に伝えた。また矢吹は他言無用の旨も伝え、玲奈も心得た。電話を切ったところで、避難したはずの琴葉が玲奈の部屋に現れた。
ため息をつく玲奈は、概ね既に琴葉に察せられた事態の概要をざっと話し、一人でマンションを出てゆこうとした。「待って下さい。私も一緒に行きます」「何言ってるの?」「私も一緒にいたいんです! 咲良のこと」髪をやたらと触って立ち止まっていた玲奈は振り返った。「知ってるの? 咲良のこと」「咲良とは同じ高校に通ってました」琴葉は玲奈が咲良から送ってもらった人形と同じ物を取り出した。「咲良と一緒に買いに行ったんです。咲良、いつも家に真っ直ぐ帰らなきゃいけないのに、どうしてもこれがほしいって」咲良はその時、玲奈の分の人形を買っていた。それが、咲良の死後、玲奈の元に届いた人形だった。「あの事件の日、私が咲良を連れ出したんです」買い物が楽しかった二人は、
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探偵の探偵 3

2015-07-24 20:31:21 | 日記
保護先の親戚に秘密で待ち合わせをしていた。そこを岡尾に突け込まれた。翌朝、騒ぎになって発見され、搬送されてゆく咲良の遺体や泣き叫ぶ玲奈の姿を琴葉は茫然と見ていたのだった。「私が誘ったりなんかしなければ、咲良は。ずっと黙ってて、本当にすいません」琴葉は頭を下げた。「知っててスマ・リサーチに?」「いえ、知りませんでした。けど、思ったんです。咲良が引き合わせたんじゃないかって、お姉ちゃんを守ってって。咲良が私と先輩を」玲奈は引き出しから咲良亡くなってから送られた手紙を取り出した。「あなたのことが書いてあった」手紙は親友ができたと楽しげに綴られていた。いつか、紹介するとも書かれていた。涙する琴葉。「咲良がいなくなったのは、あなたのせいじゃない」俯く琴葉。「準備して、すぐに出る」「はい」琴葉は仕度を始めた。
警察は矢吹の言った通り、いずこかへ、明朝突入する構えだった。「君達に、調べてもらいたいことがある」スマ・リサーチ社では、須磨が職員達に何か指示を出していた。
矢吹が示した、廃工場まで車を回した玲奈はドアのロックを閉めるように琴葉に言って、「気を付けて下さいね」と送られ、一人、中の様子を見に向かった。周囲に警察の姿は無く、中にも人の気配は見当たらないが、天井から手枷がつられている。枷の位置が高い。キンッと、ライターの音がした。振り返ると誰かか煙草を吸っている。矢吹だった。髪を下ろしている。「玲奈さん、ごめんなさいね」もう一人、ライトを持ち、傷だらけで縛られ、猿ぐつわを噛まされた琴葉を抱えて下田が現れた。「彼女は関係無い!」下田は琴葉を突き飛ばし、転がした。「オラァッ!」琴葉を蹴る下田! 下田は玲奈に自分で手枷をはめるよう命じた。矢吹が玲奈の鞄を取り上げ、手枷を固定した。「下田達也、足立区で半グレが経営している
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探偵の探偵 4

2015-07-24 20:31:12 | 日記
矢島探偵社の馬鹿よね?」下田は笑った。以前、港で玲奈を車ごとブルドーザーで落としたのも下田だった。「しゃぶりつきたくなるぜ!」下田は下卑て様子で琴葉ほ太股を見て、玲奈の制止に構わずナイフを琴葉の太股に突き立てた! くぐもった悲鳴を上げる琴葉!!「オメーさぁ! 岡尾っつーのがここにいるって思ったのか?」「たった1本の髪の毛のDNA鑑定で県警が納得するはずないでしょう?」小馬鹿にする矢吹。焼却炉の遺体はセンサーの反応に職員が緊急停止させた為、問題無く鑑定できる程度の燃焼だった。矢吹が警視庁に行ったのも、容疑者の車からタオルが見付かったのも、全てブラフだった。
「大学附属病院の給料ってね、案外安いのよぉ」矢吹は阿比留の手下だった。「このガキ、生意気にコイツで歯向かって来やがった」下田はポケットから奪ったスタンガンを取り出した。「おら、おらぁッ!」下田は琴葉にスタンガンを押し当てた!「止めて! 私が身代わりになるから!!」琴葉が気絶すると、下田は玲奈に近付いた。睨む玲奈。下田は玲奈の頬を張り、スタンガンを押し当てたが、玲奈は呻くが、大声で悲鳴を上げることは無かった。矢吹はぐったりとそた玲奈に薬物を注射した。意識が、遠退く。
気が付くと交番らしい所にいた。巡査らしい男が前に座っている。巡査らしい男の前にノートパソコンがある。「あの子は?」「さっき救急車で運ばれたでしょう?」「ここどこ?」「交番ですよ?」「どこの交番?」「西多摩川の日ノ出町の」体がふらつく玲奈。パトロール中、不審な男女が逃げてゆき、自分が救急車を呼んだという。「ご自身で言ったんですよ? 阿比留って探偵に騙されて山奥まで来たって」玲奈は男の階級章を見た。「阿比留の悪事について、証拠となる物はありますか?」「ある」玲奈がPCに触ろうとすると、男は慌ててPCを庇った。「私が書き込みますから」
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探偵の探偵 5

2015-07-24 20:31:03 | 日記
男が目を伏せると、その隙に玲奈はPCで男を殴り飛ばした!! 立ち上がるがふらつく玲奈。「うぇええあああッ!!」男は特殊警棒を抜いて玲奈に襲い掛かった! PCで受ける玲奈!! 二発打たれる! 玲奈はおそらくどこにも繋がらない男の無線のコードを使って首を締め上げた!! 男は暴れ、花瓶を叩き割った! 玲奈はPCで男の脇腹と頭を打ち据えて、男を床に転がすと、割れた花瓶の欠片を取り、男の脚に刺した!!
「あああぉッ!!」絶叫する男!「あなたは偽物。都内の交番にパソコンは無い! 調書も紙。峰森琴葉はどこ?」「うるせぇ、糞女」玲奈は刺した脚を抉った。「ギャアアッ!」「峰森琴葉はどこ?!」男は白状した。琴葉はさっきの廃工場にまだおり、矢吹は引き上げ、下田は琴葉を家に連れ帰り、奴隷として遊ぶつもりだという。現在地は廃工場のすぐ傍だった。玲奈は男を昏倒させ、デジカメと警棒を奪い、建物を出た。潰れた解体産廃業者の社屋だったらしい、玲奈は使えそうな物を探した。ペットボトル、錆びた釘、二種類の洗浄液!
警視庁に一人取り残された窪塚は差し出し人不明の封筒が届いているのを見付け、中を確認する中、玲奈は『中身』を詰めたペットボトルを手に、再び廃工場に来た。そこへ下田が車を回してきた。物陰に隠れる玲奈。下田が車から降り、廃工場に入ろうとすると、ペットボトルを手前の地面に投げ置いた。「下田!」振り返る下田。「しぶてぇ女だ」下田はナイフを抜いて寄って来る! 下田が薄ら笑いで走り出し、ペットボトルに近付くと、玲奈はデジカメのフラッシュを焚き、素早く物陰に下がった!『中身』の薬品がフラッシュの紫外線に反応し、膨張! ペットボトルは薬品と共に仕込まれた錆び釘を撒き散らしながら炸裂した!! 驚き、立ち止まった下田は下半身にビッシリと無数の錆び釘が刺さっているのに気付いた。
     6に続く