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my diary

陥没事故と情緒的対応の危険性

2025年02月10日 | 日記
 埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故では、十数日が経過したが、転落したトラックの運転席に乗っていた運転手の救出には未だに至っていない。事故現場は、地盤が弱く、下水管などから出て来る水の量も多く、加えて、下水管の中には有毒な硫化水素が充満している可能性もあって作業が滞っている。運転席についても、下水管の中を100メートル以上流されているのが水中ドローンで確認されているが、仮に、下水管の流水量が少なくなったとしても、下水管の中の運転席まで辿り着くことは困難であるだろう。残念ながら、運転手の方が亡くなっていることは誰しも思っていることだろう。こうなった以上は、無理な捜索をしてこれ以上の犠牲者が出ないように慎重に作業を行う必要があるだろう。
 この事故のことを考えているとき、TBSの報道特集で「遺骨を家族の元に返したい」という番組を見た。82年前の1942(昭和17)年2月3日、山口県沖の長生炭鉱で水没事故が起き、183人の坑夫たちが亡くなり、その犠牲者は広島や沖縄出身の日本人46人と、136人の朝鮮人であり、事故後、坑道は閉鎖され、未だに水没したままであり犠牲者の遺骨はそのままとなっているとのこと。番組では、「  犠牲者の7割以上に及ぶ136人が日本の植民地主義によって土地・財産を奪われ、やむなく日本に渡ってきて強制労働を強いられた朝鮮人だった。遺体は1人として引き揚げられることなく、今も暗く冷たい海の底に眠ったままだ。 」と述べていたが、日本人も46人の方が犠牲になっているのに、当時は日本に統合されていて日本人であった朝鮮人の方のみを取りあげて、強制連行と断言しているTBSのこの言い方に根拠があるのかどうか疑問を抱いた。また、仮にそうであったとしても、閉鎖されてから80年以上水没している坑道に潜水夫を潜り込ませて遺骨の探索をしようというのは、いかにも無謀のように思えたし、現に、落下している木材などに阻まれて遺骨には辿り着けず、何も引き上げるようなことは出来なかったようだ。
 確かに、日本統治時代の朝鮮半島の住民は貧しく、高賃金が出る炭鉱夫の仕事に応募する人も多かったかもしれないし、中には、悪質な民間業者に騙されて炭鉱夫にされたという人もいたのかもしれない。そのことは認め、犠牲になった朝鮮人労働者の方には哀悼の念を持たなくてはならないにしても、水没して危険極まりないと思われる水没坑道に、人を潜り込ませて、まるで、強制連行された犠牲者の遺骨を彼らの祖国に帰さなければならない責務を負っているかのような主旨でテレビ番組にするというのは、TBSさんもどうかしているのではなかろうか。フジテレビが昭和時代のノリで、「面白くなければテレビではない」と、自局の女子アナウンサーを犠牲にしてまで有力タレントに忖度したことが問題になっているが、TBSも、いつまでもリベラルを気取って、哀悼気分たっぷりのこのような番組を作り続けるつもりなんだろうか。当時の大日本帝国が犯した歴史的な問題は反省し、我々戦後生まれの者も記憶しつづけなければならないが、しかし、TBSは、その責任を我々子孫にも永遠に負わそうとしているのだろうか。このような視聴率を取れればそれで良いというような日本の各放送局の姿勢には失望せざるを得ない。
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