55年体制下の政治では、憲法改正の論議が封殺され、1967年の国会決議で非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込まさ ず)が国是とされた。しかし、ウクライナ戦争でも明らかになったように、核保有国は、いざとなったら、核兵器を使用すると脅すし、理不尽な理由をつけて突然軍事侵攻し、民間人までも殺害したり、子供を拉致したりする。更に言えば、我が国の周辺は、ロシア、中国、北朝鮮と、核保有国に囲まれ、これらの国は、「火の海にするぞ」と脅したり、拉致した我が国民をいつまでも返さないし、勝手に歴史を捻じ曲げて、他国の領土・領海を自国領であると主張して止まない。
これに対して、野党の一部には、「侵略されたら降伏したら良い」と主張する人までもいて、平和憲法を守っていれば、他国が侵略することなどないとの憲法聖典思想を持っているかのような人もいる。もしかすると、鳩山元首相などは、我が国が友愛の態度を取っていれば、他国から侵略されるなどの事態は永遠に起きないとでも思っているのだろう。自民党については、憲法改正を党是としているが、防衛に関して日米安保条約を妄信して、本気で自衛力の強化を図ろうという気はないのであろう。例えば、自民党の中には、原発に対する自衛隊の配備などに強く反対する人までいると言う。何をかいわんやである。
ウクライナ戦争では、原発であろうが、軍事目標となり得るという可能性を示したし、核弾頭を積んでいない通常のミサイルで原発が攻撃されたとすれば現状ではそれを防ぐ手立てはないし、その場合の被害は、場合によっては核攻撃されたよりも広範囲に及ぶ可能性がある。そのようなケースでも、米国は反撃をしてくれるのだろうか。疑問である。
吉田元首相は、戦後、軍事力を最低限しか持たない代わりに経済的に発展しようという選択をし、それを歴代政権は受け継いできて、少しでも憲法改正とか、軍事的反撃能力を持とうというような議論が生じると、火のついたように野党はもとより自民党の一部やマスコミからの反対論が噴出して、冷静な議論を妨げて来た。ウクライナ戦争は、ロシアの理不尽な要求と脅しがあり、それを飲まないと、突然、主権国家であるウクライナを攻撃してきたものである。そこにあるのは、暴力団か、強盗の論理でしかない。我が国は、そんな国々に囲まれている。私は、別に軍国主義者でもないし、むしろ、硬直的な右翼思想には反対であるが、日本の平和と安全を守るために、本当に今までの平和憲法や国連中心主義が効果を持つのだろうか、アメリカでさえ、核戦争となることを恐れて、ウクライナを軍事的に助けようとしていない。日米安保条約があっても、本当に、同様の事態が日本に起きた場合に助けてくれるのだろうか。