5月23日に、日本版DBS(Disclosure and barring service)創設法案が衆議院を通過したとのこと。この法律は、不同意性交罪、不同意わいせつ罪などの刑法犯や痴漢や盗撮などの自治体の条例違反の犯罪歴を有する者について、こども家庭庁が情報を管理し、学校や幼稚園などに従事する人について性犯罪歴がないかどうかを確認する制度であるという。この制度については、下記の問題点が指摘されている他、性犯罪を犯しても、現行では、被害者と加害者の間で示談が成立した場合は、検察庁の判断によって不起訴になるケースが多いことから、犯罪歴としてカウントされない隠れ性犯罪者が多数存在することや、そもそも初めて性犯罪を行う者には対応できない等の問題点も挙げられている。
考えてみれば、学校や幼稚園等の子どもと接する職業に就きたいという人の中には、子どもが好き過ぎて、それ故に、誤った性的嗜好に走ってしまう人も一定数いるのではないかとの疑いもある。日本の教育現場では、性教育に対するタブーが存在して、性教育自体が実施されておらず、知育のみに偏重した受験教育に適応した者が教師として合格していることも考えられる。例えば、健康な男性は、精子が溜まると射精欲が生じるが、そういった性欲を適切に抑え解消するような方法も指導する必要があると思うが、そういった指導や教育が全くと言って良いくらい我が国では為されておらず、若者に、エロ漫画やAV、友人などから得た誤った性に関する知識が蔓延しているのが実情であると言える。今回の日本版DBSも性犯罪の抑止という面から必要であるかもしれないが、その前に、教師になろうとする者に対する、適切な性教育の実施こそが先であるかもしれない。
※ 日本版DBS法案の問題点
日本版DBSでは、こども家庭庁所管のシステムによって就業希望者の性犯罪歴を確認し、前歴があった場合は就職できないようにし、なかった場合は照会を受けた公的機関が「無犯罪証明書」を発行するよう検討しています。しかし、制度の対象となる事業者については学校や保育所、児童養護施設などは義務化されるものの、学習塾や学童クラブなどは職務を定める法律がないことから義務化は困難とされ、任意による認証制度となります。また、日本版DBSは憲法が保障する「職業選択の自由」や「プライバシー権」などの権利を事実上制限することにもつながるため、そういった権利を守る観点においては懸念の声もあります。教育現場での性犯罪の事例が相次いでいる昨今、日本版DBSの検討も含めて、子どもたちを性犯罪被害から守るための制度およびシステムの早急な整備が求められています。