今年に入って、いよいよ、人口減少による労働力不足の兆候が顕著になってきつつある。建設労働者の不足、ホテルなどでの人手不足、トラック運転者の不足等によって宅配にかかる日数の延期などが今とりあえず表れていることだが、17年後の2030年になると、いよいよ、宅配・流通のドライバー不足が深刻となり、『荷物が届けられない地域』が発生して、日本の『4分の1』の地域が事実上住めなくなる。建設現場では、修繕が必要な『22%』の道路を直すことができず、地方部の生活道路が『穴だらけ』になる。医療分野はスタッフ不足で、診察まで長蛇の列ができ、救急車は搬送先を見つけることができず、立ち往生が常態化する。介護現場では、訪問介護を受けていた家庭は、週1日から2日『スタッフが来られない』事態になる。そして、中小企業は『後継者不足』で廃業となり、大企業は『ベテラン・シニア世代が大量の残業』をして仕事をこなす社会になる。農林水産業なども、後継者不足から国内での生産量が大幅に減少し、世界的な環境変動や人口爆発もあって、日本国内でも食料危機が発生する。そんな状態の時代となったとき、あなたは、まだ生きているだろうか。また、あなたの子孫は、そんな世の中を生き抜いていけるだろうか。
そのような状況が予想される中、今、待ったなしで取り組むべきことは、「徹底的な機械化・自動化」で、生産現場や道路交通でのロボット化、自動運転であろうが、ところが、我が国には数多くの既得権に忖度した様々な法規制もあって、果たして17年後に間に合うかどうかはわからないし、今でも、国内での技術能力の低下は、ロケット打ち上げの失敗などで見られているかもしれない。(例えば、我が国では、過去30年間の間に、それほどの技術的・社会的・経済的な改革は進まなかったし、アベノミクスの第三の矢は明らかに不発であった。)「ジャパン アズ ナンバーワン」という時代は、30年前に既に終わってしまったのに、気が付いていないのは、日本人の大半ではないのか。
次に、労働者不足対策として「外国人との共生」ということも考えられるが、現在考えられているような在留資格の拡大にしても、未だに自民党の一部からは、形を変えた移民政策ではないかといった反対意見があるようでもあり、そもそも日本人の多くは、深層心理的に排外的な傾向を持つ人も多いと考えられる。今までのように期間限定の低賃金の外国人労働者を労働力不足の補充として雇うといっても、ここ数年後ですら、低賃金で差別意識の残る日本に来て働こうという人はいなくなる可能性もある。
また、高齢者や女性の労働力化といっても、働く意思と能力のある高齢者の数は限られており、女性の労働力化にしても、出産・子育てへの支援ですら十分ではないし、出産や子育てを終わった女性の再戦力化という面でも障害が残っている。
行政やマスコミは、子育て支援に予算を使えば出生率が改善するかのような生ぬるいことを言っているが、現実には、既に出産可能な女性の人数が激減している状況があり、また、子供を作ることを望まず、人生を楽しみたいという人々が増加しつつあること。環境ホルモンなどの影響や結婚年齢の上昇などで望んでも妊娠・出産が困難である女性が増加していることなどから、人口減少の勢いが止まる可能性は少なく、むしろ、予想よりも早いペースで人口減少が進みつつある。
政治は、自らの利権を守り、反対の多い、既得権を棄損するような改革を望まないが、このままでは、日本という国は衰退するだけではなく、大災害でも起これば経済財政的に破綻する可能性もあることから、過去の震災時のような復興など望めず、荒廃した地域に、飢えと貧困に苦しむ人々が存在するだけになってしまうだろうし、場合によっては、中国大陸などの支配下に入り、権威主義的な国家体制の下に奴隷化を強いられる可能性するあるだろう。そうなってから日本に産まれたことを後悔しても始まらない。