当店に珍客が・・・
明らかに身なりの汚い、
廃品回収の爺さん・・・
鉄屑や壊れた電化製品を解体し、売りに行くんだ。
半年くらい前から、当店の古着屋に現れては
「文句と説教」ばかりで、煙たがられていた。
そんな彼、なぜか最近ギターの弦を買い、
「コレに張ってくれ」
とフェルのZO3ギターを無造作に手渡す。
正直ヴィンテージ・ギター&BARには似合わない人だ。
そんな彼と今回はサシでコミュニケートをトライ!
話をしてみた。
「家族は?」という俺に
「いねえ。猫だけだ。オスだぜ。メスはダメだ。人もな・・・」と彼
「家は何処なの?」
「車が寝床だ・・・冬はきついんだよ。」
「車の車検もあるんでしょ?」
「ああ。でもコレ借りてきたんだ。1日の約束だけれど、もう10日だよ。」
「体は大丈夫なの?」
「なんとかな・・・先日も小学校で木登りして鍛えたんだ。でも警察呼ばれてよぉ・・・」
なんてこった・・・
彼の言葉が胸に刺さった
「金がありゃこの店ごと買って君たちの力になりたいんだけど・・・」
そして続けた。
「正直、出入り禁止の店や場所も多いよ。でも俺は寅さんみたいでいいんだ。」
「厄介者のゴロツキで、それでいて、現れないと、どうしたんだろう?みたいなさ。」
俺は言った
「おっさん、良い人ジャン。最初から素直になって話せばいいのに。」
すると彼は照れ笑いをし、
「いいんだ。俺は不器用なんだよ。」
「金持ちは貧乏人に金を与えるべきだ。」
「自分で貯め込んで人の事も気にかけない社会になっちまった・・・」
そう言う彼が、当店で弦を買い、コーヒーを飲んでくれるなんて・・・。
そしてギターを弾いた。
彼がギターを弾いたんだ。
俺は確信した。
「人は確実にコミュニケートを求めている」
どんな時も、どんな人も
「一人では生きられない」んだ。
彼がナケナシの現金で買う「弦」や「古着」や「コーヒー」は
人とのコミュニケートの為のモノなんだ、
と気付いた時、俺の胸は熱くなった。
ブルースとは人生・・・
そう言う俺のブルースなんて彼の前では幼稚な商業音楽かもしれない。
人生は美しい
だけれどもハードな道だ・・・
自作の曲「LIFE」で俺は歌っている。
コミュニケートが俺の仕事だ。
それは、歌であり、トークであり、このブログであったり・・・
店に集まる多くの人に笑顔を与えたい。
「体にだけは気をつけて」
俺の何気ない言葉に、彼は笑顔で振り返り「ああ」と答えた。
俺は一生その笑顔を忘れない。
それは
「誰も言ってくれなかった一言」を
「待っていた」笑顔だった。
<6/8 Mash>
★湘南の中古楽器専門店Jerry'sのオーナーです。
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