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明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る!「どこまでもヴァイナル中毒」(第40回)《ジョージ・マイケル&ワム!編》

2021-07-10 14:41:19 | 『ハウリンメガネ』コラム集

「6月25日って何の日かわかる?」

そんなメールが編集長から届いたのは先月のこと。

なんのこっちゃ。
その日に編集長と何か約束でもしてたかしらん?

「やっぱり知らないか。ジョージ・マイケル(ワム!)の誕生日なんだよ。ちょっと日付はズレるけどコラムで彼の盤について書く気ない?」

む~ん?
私ゃ「ワム!」にもジョージ・マイケルにも
そんなに明るかありませんが、なにゆえ私に?

「リアルタイムでワム!を聴いてない人間の意見が読みたいのよ」

はあ、左様でござんすか……(笑)
そんじゃ「どう転ぶか」は脇に置いて、
とにかく書いてみましょうか!

というわけで御機嫌よう読者諸賢。
ハウリンメガネである。

冒頭で述べたとおり、
筆者「ワム!」もジョージ・マイケルのソロも
リアルタイムでは全く通っていない
(筆者は1984年生まれ)。

だが、それでも「ワム!」の曲は知っていた。
何故か?一昔前
「あの頃の名曲を一纏めに!80年代USAヒットチャートベストセレクション!」
みたいな通販で売ってるコンピレーションCDボックスがあったでしょ?
あれの宣伝で100%かかってたのが「ワム!」(笑)!
(今じゃ考えられないけど昔はこういうコンピよく売ってましたね。)

まあ、それは冗談半分だが
「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」
(ウキウキってすごい邦題だな)

「フリーダム」

「ラスト・クリスマス」
も、何かにつけ街やラジオで流れており

(特に「ラスト・クリスマス」は今でもクリスマスになると流れるんだからとんでもないヒット作)

「ああ、こーいう曲がワム!なのね」
と認識はしたものの、
あれらの曲がメジャー過ぎたせいか興味の範疇外に置いてしまい、
特段自分からアルバムを買うこともなくスルーしていた。

そんな私が改めてジョージ・マイケルに興味を持ったきっかけは
「ある雑誌の記事」
だいぶ昔の話だがサウンド&レコーディングマガジン
「フェイス」
についてのレコーディング記事が掲載されていたのだ。

(いつの号だったか調べてみたら、なんとジョージ・マイケル逝去の際に追悼記事としてアーカイブ化されているのを発見。
https://www.snrec.jp/entry/column/archives/62067
興味がある方はぜひ御一読を。リットーミュージックさんも心憎いことするねぇ。)

当時、レコーディング作業に興味津々だった私は
この記事を読んで「ははあ、これは参考の為にも聴かねばなるまい」
名盤「フェイス」を購入。
家へ帰り、1曲目の表題曲「フェイス」の音が鳴った瞬間に
ジョージ・マイケルへの認識を一気に改めた。

「ボ・ディドリービートじゃん!」

そう、ジョージ・マイケルファンの方には常識なのだろうが、
この人、根っからのR&B、モータウンファンであり、
特に「ワム!」解散後、最初にリリースした
「フェイス」はそのR&B愛が全面に出た超名盤なのだ。

(当作がリリースされた1987年にはこれまた超名盤であるマイケル・ジャクソンの「Bad」も発売されているのだが、この2作、機材的にはかなり似通ったものを使っているはずなのだが、MJがリズムも上モノも派手な音を好んで使っているのに対し、ジョージ・マイケルはかなりマットな音を使っている。
両者に共通していえるのは、自身の歌声を活かす為の音を選んでいるということ。MJの鋭い声には派手な音があうし、JMのソフトな声にはマットな音が合っている。)

ベースとドラム(ベースシンセやドラムマシンも含む)
をタイト&ファットに仕上げ、ギターやシンセ、ホーンセクションは
「マットな音」で必要な箇所にだけ配置。
徹底的に無駄な音を削ぎ落とすことで
必要十分かつ豊かに聴こえる演奏をバックに、
見事に歌の良さが浮かび上がるソリッドなブルーアイドソウル!
の名盤に仕上がっている。

「フェイス」でジョージ・マイケルへの認識を改め
「ワム!」のアルバムに向き合って分かったのだが、
ヒットチャートを席巻した有名曲はあくまで彼の一側面。
実際には「ワム!」の1stアルバムから
R&Bの要素もキチンと打ち出しており、
ジョージ・マイケルというソングライターがいかに非凡だったのか分かる。
(しかもこの人はマルチ楽器プレイヤーであり、フェイスでも大半の楽器を自身で演奏している)

ジョージ・マイケルは「ワム!」での大ヒットの反動で
自身の好きなサウンドに特化した「フェイス」を作ったと言われているが、
いやいや「ワム!」の時点で、自身の好きなR&Bをどう表現すべきか・・・
に腐心した跡が十分伺える。
「ワム!」や「フェイス」をちゃんと聴いたことがないという方は
この機会に是非一度アルバムで聴いてみて頂きたい。
稀代のシンガーソングライター、
ジョージ・マイケルの才能に聴き惚れること間違いなし!

それではまた次回、今度は新連載「ギタリスト列伝」でお会いしましょう!
以上、ヒゲの生え方だけジョージ・マイケルに似ているハウリンメガネでした。

(リーチ・マイケルにも似てるって言われるんだよなぁ……ヒゲ……)

《ハウリンメガネ筆》



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