久しぶりに常盤新平さんの本を読んでいます。
私は池波正太郎が好きで、
小説も好きですが特にエッセイが好き。
その中でも「池波正太郎の銀座日記」は
2回文庫を読みつぶして買いなおすぐらい好き。
常盤さんのこの本は、その「銀座日記」を思わせる。
日々の営みをたんたんと綴る本。
食事に出かけ、古本屋を覗き、コーヒーを飲む。
その行きつけの店のいくつかは、
「池波正太郎の銀座日記」に出てきた、
銀座の洋食店「みかわや」であったり、
駿河台の「山の上ホテル」であったり「さぼうる」であったり。
かと思えば、庄野潤三の本で幾度も名前を見た
新宿・百人町の「くろがね」であったり。
ほかの本でも見たお店の名前が出てくると楽しい。
沖縄で「銀座日記」を読んでいたころ、
東京にはこういうお店がキラ星のごとく輝いていると思っていた。
東京に行けば、私もこういうお店の暖簾をくぐれると思っていた。
実際に東京に出てきて、いくつかのお店を訪ねてみたけれど、
やっぱり私には敷居が高すぎることが多かった。
本に出てきたお店たち、ほとんどの場所は
今ならどこにあるかも知ってるし(山の上なんて定期で行ける)
「行こうと思えばいつでも行ける」けど、
なんだか行かないままのほうがいいような気もする。
いつまでも、あこがれのお店のままでいてほしい気がする。
活字の向こうの東京は、いつまでも花のトウキョウのままで。