いつもバッグの中にkindleを入れていても
やっぱり文庫本が好きです。
こないだ本屋さんで見つけた本。
岡田光世さんのこのシリーズは
どの本も、あの世界一の大都会のどこかで起こっている
小さな奇跡を詰め込んでいる。
寝酒にワインを買いに行くと、
熟睡するためのコツをえんえんと教えてくれるソムリエ。
気まぐれに「各駅」から「急行」になってしまう地下鉄。
「これは各停?」と聞くと、
I hope so (だといいんだけど)。
と答える乗客。
地下鉄の中で必死に締め切り前の原稿を打っている作者に
You'll do it(あなたはやるわよ)
と励ましてくれるひと。
ニューヨークに魅力的な人が多いことはもちろんだけど、
岡田さん自身にも、ひとを引き付ける力があるのでしょう。
無愛想で無礼で、ほかの客すべてを怒らせた
乗合バンの運転手に対して「何かいやなことがあったのかも」と思い
優しく話しかけて、穏やかな会話を引き出す岡田さんなのだから。
そのエピソードの中で書かれていたプラトンの言葉。
“Be kind, for everyone you meet is fighting a harder battle.”
優しくありなさい。あなたの出会う人々は皆、困難な戦いに挑んでいるのだから。
ひとはそれぞれに、自分なりに戦いながら生きている。
だからこそ、自分以外のひとを思いやりたい。
ひとを思いやれるかどうか。
それもまた、じぶんとの戦い。