先日の記事(AC通信No.871)で最近アメリカの大きな都市で頻発した集団強盗に触れたが、昨日の新聞では政府が集団強盗の重大さをもみ消すような記事があった。
バイデン政権の最も唾棄すべき点は自ら作り出した失敗や現状を真剣に改善する意図がないばかりか、問題を過小評価して揉み消そうとすることだ。中国人が好んで使う言葉、「大事化小、小事化無」つまり大事件を過小評価し、続いて揉み消してしまう手口のことだ。このような手口をNYタイムスとかワシントン・ポスト、LAタイムスのようなサヨクの代言メディアを使って国民を誑かすのだ。
昨日15日のロスアンジェルス・タイムスにSam Deanと言う記者が「Organized theft crisis? Data say otherwise (計画的窃盗の危機?データは否定的だ)」と言う記事を掲載した。彼のタイトル、計画的窃盗とはつまり集団強盗のことだが、強盗と言わないで窃盗(盗み)と言い換え、様々な関係のないデータを使って強盗は大したことではないと言う記事をサヨク新聞で発表し、集団強盗が起きたのは危機ではない、だからバイデン政権は真剣に対応しないで済むと言うのである。
この記事は過去数年間の様々なデータを使って読者を混乱させ、実際に起きた最近の強盗事件にはほとんどタッチせず、集団強盗を万引きや店員の窃盗や、出入貨記録の間違いなどと一緒にして、「各種の販売店」の「毎年の窃盗による損失」と比べたら「集団強盗による損失」は大したことではないと結論付けている。集団の障害犯罪はテロ行為に等しい。それを金銭上の損害にすり替えるようとしている。
Sam Deanの記事で最初に提示したのは、販売店の窃盗による損失は全国販売店の全体販売額100ドル中の7セント、0.07%だと言う。続いて今回発生したサンフランシスコとオークランドの強盗事件の損失は36億ドルだが、これは同地方の2019年の総売り上げ155億ドルの25%にすぎないと言う。若しも集団窃盗による損失が「毎年」700億ドルだとして、カリフォルニア州全体の損失が全国の10%とすれば加州の損失額は70億ドルになると言う。
全国販売組合(National Retail Federation)の総合的データによると例えて言えば全国の販売店全ての窃盗による損失は10億ドルに対し、強盗事件の損失は70万ドル、つまり0.07%にすぎないなど、沢山のデータを並べているがこれは今年のデータではない。今年になって起きた計画的な強盗事件と関係のないデータを並べて読者を混乱させようとしているとしか思えない。
Sam Dean 記者の記事は今年のデータではなく2015年、2019年などの資料を使って「総論的」な結論を出しているが、今年は集団強盗が全国の17都市で起きた事件、それも有名店、高級店が計画的に狙われたのである。これを危機と言わず、金銭の損失は大したことはないとするのは間違いで、政府が意図的に問題をすり替え、危機を過小評価して揉み消そうとしているのである。
この記事の窃盗による損失とは客の万引きや店員のコソ泥など全般的な損失のことで、集団強盗の破壊的闖入による損失ではない。特筆すべきは強盗事件を金銭の損失にすり替えていること、有名店で起きた強盗事件を全国のドラグストア、スーパー、小売店などの万引きと一緒にしていることだ。集団強盗は有名店で起きたことなのに、関係のないドラグストア、スーパーなどの万引きの損失を計算に入れるのは読者の視点を逸らすためである。
強盗事件は重大犯罪なのに万引きやコソ泥と一緒に論じて損失を過小評価してはならないし、グループが計画的に集団で白昼堂々と犯罪を犯すことは、店員や監視員などの安全が脅かされる事件なのに、このような重大犯罪を単なる金銭上の損失で議論するのは根本的に間違っている。
サヨクの政治家が最近の国民を脅かす集団強盗事件に対する態度はどうだったか、以下は実例である。
Lori Lightfoot市長は、シカゴで起きた集団強盗事件について、販売店が店の安全確保に「説明できないほど」不十分なため強盗の侵入を許したことに非常に失望していると述べ、販売店が強盗に出会ったことは販売店の責任だと譴責した。シカゴは世界でも有名な犯罪都市で毎年の銃砲事件による死者は4000人を超える程だが、市長がシカゴ市民の安全保障に尽力しない。
アレクサンドリア・オカシオ国会議員はサンフランシスコとオークランドのNordstrom、Luis Vitton、Rolexなどの有名店で起きた集団強盗事件のビデオは嘘のでっち上げ映像だ、信用しないと述べた。
ホワイトハウスのサキ報道官は全国沢山の都市で相次いで起きた集団強盗事件について、あれはコロナ疫病のせいだと述べて失笑を買った。でも、確かにバイデンのマスク強要のため犯罪者の確認ができないのは確かである。バイデンは集団強盗の犯罪を過小評価して責任逃れをしている。
カリフォルニアのニューソム州知事は犯罪事件の増加についてこれから警察のパトロールを強化していくと述べた。しかし全国のサヨク都市では警察の経費を削減しているのが現状である。
Sam Dean記者の記事でも少しばかり有名店が犯罪防止の設備や人員を増やすことに言及した。しかし有名店が監視員の数を増やしても、一度に20数人の強盗が突然ハンマーやナイフを振りかざしてドアを壊して店内に闖入したら監視員に勝ち目はない。集団強盗はハンマーや斧でぶち破って闖入し、ハンマーで強化ガラスの展示ケースを叩き割って全ての展示品を奪って行ったのである。
このような暴力犯罪では安全防止には人員の安全と傷害保険、物件や店舗の装飾などあまり意味がない。高級品を全て奪われ、店員の傷害損失は保険をかけても防げないし、保険料が増大すれば店の資本に影響する。有名店なら保険とか犯罪防止設備に金をかけることができるけれど、中小企業にはできっこないことだから中小店は破産して閉鎖する他はない。
今のアメリカは暴力犯罪の増加とインフレで国民の生活と治安が脅かされされている政府は国家、社会、国民の安全に全責任を負うべきである。犯罪防止は国家の責任、バイデン大統領の責任である。