【連載】腹ふくるるわざ㉑
どっこい生きてたグリーンレンジャー
桑原玉樹（まちづくり家） 
５カ月前のことである。連載15回目の「グリーンレンジャーに赤信号が」（７月15日）で、私は次のように記述した。
なんと県から「待った!」の回答
これまでにもグリーンレンジャーの活動について紹介してきた。この会は、国道464号線沿道や法目川調節池にはびこる葛、笹竹等を退治するのが目的だ。
道路や調節池は千葉県の管理下にある。つまりグリーンレンジャーの活動は千葉県の管理が及ばない範囲を補完しようとするものだった。そのため千葉県のアダプトプログラムに基づいて活動を行うことにして申請し、３カ月にわたり数回の協議をしてきたのである。
ところが、この活動に「待った！」がかかった。「国道464号線は危険だから、アダプトプログラムで実施するのは難しい」と県の担当者から以前から聞いていたが、なんと調節池についても「立ち入り禁止にしているフェンスの内側には立ち入らないでください」と連絡があったのだ。
注意して 渡っています 赤信号
その後、グリーンレンジャーの活動について、この欄でお知らせしたことはない。千葉県の立ち入り禁止令をしっかり守っていると思われた方もいるだろう。確かに７月、８月は活動を休んだ。
しかし、立ち入り禁止令を厳守したからではない。酷暑期の活動は高齢者ばかりのグレーンレンジャーにはしんどいから休んだだけだ。９月には活動を再開した。再開に当たって、千葉県の立ち入り禁止令を守るべきか、メンバーで意見交換した。結論は「おてんとうさまは、やってもいいよ、と言っている」。ということで、安全に注意しながら活動は続行している。
メンバーが２人増えた
嬉しいことに、メンバーも増えた。９月からは小野吉輝さんが加わった。白井健康元気村の村民でもある。長年続けてきた自営業を昨年畳んで引退した。自由になった時間をこうして地域のために使うことに。黙々と法面の雑草、雑木、吹き溜まった土を片づける様子は、まだまだ元気だ。
さらに11月にもう一人が。田中英二さんである。「散歩途中に、作業している様子を見たが、どうも業者ではなさそうだ…」と参加を申し出た。損害保険会社時代には東南アジアを奔走したほか、メキシコに４年駐在した経験がある。お酒が飲めないそうだが、とてもそんな風貌には見えない。
▲９月から参加している小野吉輝さん
▲田中英二さんは11月からのメンバーだ
今年の締めはパンジーの植え付け
今年の活動も12月16日で終わった。最後に南山公園駐車場入口にパンジー、ストック、キンギョソウの苗を植えた。白井市の環境課が所管する「沿道みどりの推進事業補助金」にまだ１団体分１万円が残っていると聞きつけて、急遽、申請し、交付いただいたものだ。公園の入り口らしくちょっと華やかになったと自負している。
▲南山公園駐車場入口にパンジーを植え付け
結成１周年で鴨も喜ぶ
昨年12月に始めた活動だが、大方の予想を裏切って１年も続いた。作業に快感を感じてしまったことが長続きの理由だろう。
木に絡まる葛のつるを引きずり下ろす快感。法面にはびこる蔓（つる）を一網打尽に引き寄せる快感。１枚になった草と土を石張り面からはがす快感。
１年間の作業の結果、雑草の下から石張りの法面が遺跡のように現れ出た。冬になって渡ってきた鴨たちが、この石張り面で羽を休めているのを見ると、たまらなく嬉しい。
▲雑草を取り去ると石張りの法面が現れた（法目川防災調節池堤体）
▲法面で休む鴨も「グアッ、グアッ」と雑草がなくなったことを喜んでいる
【桑原玉樹（くわはら たまき）さんのプロフィール】
昭和21（1946）年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校７校、中学校３校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団（現（独）ＵＲ都市機構）入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中２年間ＪＩＣＡ専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24（2012）年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。
