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緊急インタビュー  トランプ大統領と面会した増元照明さん

2019-05-29 21:17:45 | 特別インタビュー

 

 


緊急インタビュー

トランプ大統領と面会の増元照明さん 

                 (北朝鮮による拉致被害者家族連絡会・元事務局長)

 

                   構成/聞き手  山本徳造 (フリー・ジャーナリスト)


 

 

増元照明さんのプロフィール

昭和30(1955)年、鹿児島県鹿児島市生まれ。北海道大学水産学部卒業後、昭和55(1980)年に水産会社へ入社。平成9(1997)年3月の「家族会」結成時に事務局次長に。平成15(2003)年から 同19(2007)年まで特定失踪者問題調査会常務理事に就任。平成16(2004)年に水産会社を退職し、翌年から平成26(2014)年まで家族会事務局長を務める。

 

 国賓として来日していたアメリカのトランプ大統領は5月27日、東京港区の迎賓館で安倍首相とともに北朝鮮による拉致被害者の家族と面会しました。面会には「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(以下=家族会)」代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんや、横田めぐみさんの母親の早紀江さんら15名が出席。約40分の面会で、トランプ大統領は「拉致問題はいつも私の頭の中にある。ぜひ解決したい」「皆さんの家族を帰国させるために努力し、協力していく」と問題解決に向けて全面的に協力する考えを伝えました。その他の出席者は、浜本七郎(家族会副代表)、横田拓也(事務局長)、横田哲也(事務局次長)、飯塚耕一郎(田口八重子さん長男、事務局次長)、有本明弘(有本恵子さんの父)、斎藤文代さん(松木薫さん長姉)、松木信弘(松木薫さん弟)、松本孟(松本京子さん兄)、市川健一(市川健一さん兄)、寺越昭男、北野政男、内田三津夫(寺越昭二さんの息子たち)、そして増元照明(元事務局長)の各氏。当ブログでは増元氏にトランプ大統領との面会した感触、今後の日朝首脳会談への期待などを伺いました。

 

 

―トランプ大統領と面会して得た感触は?

 あたたかい言葉をいただき、感謝しております。令和初の国賓として来日された米国大統領が忙しいスケジュールの中、拉致被害者家族と会うということ自体、異例です。それだけトランプ大統領の心の中に拉致被害者の悲惨な運命に対する同情心や「取り戻してやりたい」という心が存在するものと考えています。今後も協力いただけるものと感じました。

 

―拉致被害者とトランプ大統領が面会するのは今回で2度目ですが、なぜアメリカ側はそんなに熱心なのでしょうか?

 安倍総理の要請に応えたものでしょうが、アメリカにとっても北朝鮮の非核化を実現するためには、拉致問題の解決がどうしても欠かせない。金正恩との約束、つまり北朝鮮の経済発展を履行するためにも、日本の経済協力資金は必要です。だから、「拉致被害者の帰国なしには経済協力はしない」という日本の意向を無視もできないでしょうし、そこを解決させないことには非核化への道も険しいと考えれば、協力せざるを得ない状況なのではないでしょうか。

 

―同席した安部首相から家族会に何か確約はあったのですか?

 安倍総理とは何度も面会し、拉致被害者への強い思いを感じておりますので、あえて確約的なものはいただいておりません。しかしながら、安倍総理にとっても拉致問題をないがしろにすることは政権維持のためにも必要な事象ですので疎かには出来ないと思っております。

 

―ところで、「条件なしでの日朝首脳会談」が近いうちに実現しそうですか?

なんとも言えません。米朝会談の開催が未定の段階で先んじて日朝会談を開くということは難しいかもしれません。今後の日本政府の動き如何だと思います。しかし、安倍総理としては、とにかく北朝鮮の指導者と会って、日本の立場や拉致被害者に対する思いをぶつけることが先決と考えられたのでしょう。これまでの安倍総理と菅官房長官との会談の中で「拉致被害者を見捨てる」ことなど決して考えてはいないと感じられます。金正恩が安倍総理と面会しやすいようにハードルを下げたように見せているのでしょうが、安倍総理にとっても懸案事項である「拉致被害者救出」を果たさなければ、政権そのものの存在意義も問われます。

 

―日朝首脳会談が拉致被害者奪還の大きな一歩となるでしょうか?

 直接首脳同士が話し合う機会を持たなければ解決への道に繋がらないと思っておりますので、奪還への大きな一歩とすべくじっくり戦略を立てながらやってもらいたいと考えます。私自身、以前より「米朝会談」の際には、トランプ大統領から直接金正恩に拉致について言及されたことは大きな前進とは考えていましたが、最後は安倍総理が直接会って話をしなければ全面解決には至らないと考えていましたので、どのような形であれ、会談のきっかけをつくる必要があると思っていました。今の段階での面会では大きな成果は得られないだろうと考えていますが、それほど劇的に動くことは「米朝会談」でもわかるように難しいと思います。

 ただ、日本のメディアは「成果主義」の報道しかしません。安倍総理が面会して何の進展もなければ、「安倍外交の失敗」とか「安倍無能」のキャンペーンを張って、安倍総理をこき下ろすことは必定でしょう。ここは、日本全体が「反安倍」の意識を捨てて経緯を見守ることが必要だと考えます。何故なら、現国会議員の中で、安倍・菅という二人の政治家が突出して被害者救出を考えている人はいないからです。安倍さんでも現時点では日本の法律の中、ここまでしかできないということで、北朝鮮に対する非難が拡大していくことと日本人を守るために必要な法を整備することを日本国民が理解し確立することを祈ります。国が一つになって、「拉致被害者を救うにはどのようにすればよいか」を再び、真摯に考えることが必要なのではないでしょうか。

 

2月17日に開催された「家族会・救う会合同幹事会」では、今年の活動目標や活動予定が決定し、北朝鮮の金正恩国務委員長へのメッセージを発信した。

      *

家族会・救う会の北朝鮮指導者へのメッセージ

「全拉致被害者の即時一括帰国を決断していただきたい」

 

 私たちは1997年以来、拉致された日本人被害者を救出するための国民運動を進めてきた家族会と救う会です。家族会は拉致被害者の両親や兄弟、子などの組織です。救う会はそれを支える国民有志の組織です。

 私たちの活動の目的はただ一つ、拉致被害者の帰国です。それ以外、何も求めていません。愛する肉親に数十年も会えず、ひたすら帰りを待ち続けています。る親兄弟の張り裂けるような胸のうちをぜひご想像ください。

 昨年、金正恩委員長は活発な首脳外交を展開されました。残念ながら日本との首脳会談は実現しませんでしたが、6月の米朝首脳会談ではトランプ米大統領から安倍晋三首相の拉致問題に関するメッセージをお聞きになったはずです。

 安倍首相は「最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します。」と本年1月28日の施政方針演説で述べました。

 全拉致被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、私たちは帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出し国交正常化に反対する意志はありません。

 強調いたしますが、家族会は拉致被害者と静かな日常生活を送ることを切望していますし、救う会もその実現を日本政府に求めるだけです。

 私たちは、ここで金正恩委員長に「全拉致被害者の即時一括帰国を決断していただきたい」と強く訴えます。

 

金正恩国務委員長 殿

                     2019217日 東京

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄

北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 西岡力

 


―政府は拉致問題に真剣に取り組んでいるのでしょうか?

 私の父は平成14年に5人の拉致被害者が帰国後、「死亡」とされた姉・るみ子の生存を病床の中で確信していました。その父も結局、「わしは日本を信ずる」の言葉を残して他界しましたが、父の信じた「強い日本」が本当に存在するのか、我が国の力で被害者たちを救出できるのか、私は疑問を持たざるを得ない。

 安倍首相の被害者を取り戻したい決意は感じます。しかし、政府としてはどうか。我が国が拉致問題に取り組んで40年、金正日が拉致を認めてから17年が経過しようとしているのに、いまだに解決できていないことを思うと、真剣に取り組んでいるとは思えない。どこか「諦め」のような感覚で取り組んでいると感じてなりません。もしくは、被害者に帰ってほしくない勢力が存在するとしか……。

 

―日本政府に一貫した対北朝鮮政策はあるのですか?

 以前、ストックホルム合意で決定された「日朝間の取り決め」があります。北朝鮮にいる日本人の情報確認という流れの中でつくられた「北朝鮮の調査委員会」の報告に関して、我が国政府関係者は一様に「調査委員会の報告」に対し、「あらゆる回答に対して講じる用意がある」と発言していたにも関わらず、ご存じのように結果は北朝鮮にいいようにあしらわれた。なすすべもなく後退したわけです。この結果を見るとよくわかりますが、日本には「対北政策」の確固たるものがない。ましてや、拉致された日本人を無事に救出する術を持っていないことが露呈したと言えるでしょう。これをもってしても日本政府が拉致問題に真剣に取り組んでいるとは考えられない。

 

 

ストックホルム合意とは何?

   2014 年5月26日から28日まで、スウェーデン・ストックホルムにて開催された日朝政府間協議に基づき、同29日に発表されたもの。それによると、双方は日朝平壌宣言に則って不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現するために真摯に協議を行った。日本側は、北朝鮮側に対し、1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を要請した。北朝鮮側は、過去北朝鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努力を日本側が認めたことを評価し、従来の立場はあるものの、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した。日本側は、これに応じ、最終的に、現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない)を解除する意思を表明した。双方は速やかに、具体的な措置を実行に移すこととし、そのために緊密に協議していくこととなった。

 

 

―拉致被害者を救うには、北朝鮮には宥和政策か、それとも圧力強化か?

 絶対的に圧力強化です。平成14年に「平壌サミット」が開催されたのも、2001年9月11日に起きた米国内同時多発テロから発した米国の対テロ対策だったと思っております。2001年に当時のブッシュ大統領の一般教書で示めされた「悪の枢軸=イラン、イラク、北朝鮮」発言から、北朝鮮国内でも米国の軍事進攻が懸念され、金正日政権は恐怖の真っただ中に突き落とされた。そのため、アメリカの軍事制裁を回避するために北朝鮮が考えたのが、対日友好関係をつくり上げることでした。当時も日朝間の懸念であった「拉致被害者」の案件を譲歩することで日朝関係を友好的にし、アメリカの同盟国でもあり、経済的にも支援を期待できる日本と話し合う必要性を感じたものから、本来ならば認めてはならない国家犯罪である「北朝鮮による日本人拉致」を一部認めて、日朝国交正常化を果たすという手法に出てきたわけです。決して、日本や韓国の宥和的な政策が功を奏したものではありません。北朝鮮政府は、自身の体制が揺らいだときにしか前に動かないということを考えれば、体制を脅かすまでの圧力をかけていくことが重要と考えます。

一昨年、トランプ政権は北朝鮮の核放棄に向けた行動を促すために、2001年以来の強硬策を排除しないという姿勢に転じました。結果、金正恩政権は米国との対話姿勢を打ち出したわけです。それに利用されたのが韓国の文在寅大統領でした。米国との対話は結局、北朝鮮核放棄の意思がないために頓挫することになりましたが、アメリカが再び強硬策を再開すれば動かざるを得ないでしょう。その際が日本政府の拉致問題解決のチャンスだと思っています。

 

―いま、思うことは何ですか?

今回のチャンスを逃すことなく、日本政府には慎重に迅速に動いてほしいということです。領土問題とは違い、拉致問題は人の命がかかった問題です。そして、人の命には限界があります。悠長に救出を先延ばしすることは許されません。ここに、被害者家族と政治家や政府関係者との思いの乖離が感じられます。

 現在、日本政府は「拉致被害者は全員生存」の立場で北朝鮮との交渉を進めると言いますが、生存していると考えるならばもっとスピーディに動くべきです。それがなされないということは真に日本政府が被害者の生存を信じているとは考えづらい。そして、昨今安倍総理の言葉として「無条件で北朝鮮と対話する」ということですが、体制が揺らぐような政策をとっていない日本政府と真摯に向き合うとは考えられません。

 日本政府には、まだ、なすべき制裁があります。安倍総理は諸外国に出向き「圧力強化の協力要請」を行っていますが、日本国内には北朝鮮政府を礼賛、支持する団体が存在します。しかも、優遇措置まで取っています。そんな中で、諸外国に圧力強化の協力を求めたところで相手にされるはずもありません。そして、北朝鮮にも相手にされないでしょう。今、我が国が話し合う前に見せるべき姿勢こそがすべての拉致被害者救出に繋がるものと考えています。当然、北朝鮮に対し「我が国民を開放しなければ、朝鮮総連をはじめとする日本国内にある対北支持団体の解散を果たす」程度のことは言うべきです。それでこそ初めて、我が国が本気で拉致被害者の救出を考えていることを伝えることができます。日本国民の命を守ろうとしない政府とは、どのような政府なのか?それで本当にこの国の安全を考えているのかと疑わざるを得ません。自分たちを守ろうとしない国を誰が自分の命を懸けてでも本気で守ろうとする意識が芽生えるのか。残念ながら現在の私には答えが出ません。

 

―お忙しい中、どうも有難うございました。

(インタビューは家族会がトランプ大統領に面会した翌日の5月28日に行われました)

 


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