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人生100年時代の「終活」で何が大切なのか
油井香代子さんが白井市で講演
▲講師の油井香代子さん
白井健康元気村は1月15日、白井市文化会館の中ホール(かおりホール)で医療ジャーナリストの油井香代子さんを講師に健康講座を開催しました。講師は新聞、雑誌、テレビで活躍中の油井香代子さん(医療ジャーナリスト)。
一昨年8月にも油井さんが「健康寿命は口から始まる」というテーマで講演し、大変好評でした。村民からは「油井さんのお話は分かりやすいので、また白井に来てもらいたい」というリクエストが数多く寄せられ、再度の講演となりました。テーマは「人生100年時代の終活ーピンピンコロリのための「転ばぬ先の杖」ー」。予防医療と生活習慣の二つに絞った話です。
平均寿命では世界のトップクラスを誇る日本。これからの課題は、高齢化社会の私たちが健康で元気で生活できるかどうかです。言うまでもなく、高齢社会は予防医療が重視されます。認知症、心臓病、脳卒中、肺炎、がんなどの病気を予防するには、どうすればよいのか。また寝たきりの原因となるフレイルや骨折を防ぐには、何に注意すればよいのか。どうすればよいのか。生活習慣では、運動、睡眠、食事の三つに焦点を当て、「転ばぬ先の杖」には何があるのかを語ってもらいました。
▲油井さんは「かかりつけ医師」の必要を訴える
「かかりつけ医」が必要
「超高齢化社会では、どうやって亡くなりたいのか。それが大切になって来る」と油井さんが話を切り出しました。白井健康元気村が理想としているのは、「ピンピンコロリ」ですが、それには予防医療が絶対に欠かせないと油井さんは力説します。
「一番優れた医者は、病気にさせない医者です。東洋医学で言われてきたことだが、病気になってから治すのはダメな医者。そのためにも、『かかりつけ医』(family doctor)を持つことが大切です。病気になる前に、その医師が病気の根をつんでいく。『かかりつけ医』が体全体を診て、専門医を紹介するようにならないといけない。しかし、残念ながら日本では一般的ではありません」
つまり、「かかりつけ医」と相談しながら病気を未然に防ごうというわけです。今はまだ「かかりつけ医制度」は普及していませんが、油井さんによると、徐々に日本でもそんな医師が増えてきたそうです。期待しましょう。
また「かかりつけ医」がいなくても、個々人が工夫すれば、いろんな病気やトラブルを減らすことも可能だそうです。
転倒の原因の多くは歯から
例えば、高齢者に多い転倒。その原因の一つは、意外なところにありました。油井さんは、入れ歯をしている高齢者を例に出します。
「夜間にトイレに行く場合、入れ歯を外していると、ふらついて倒れるケースが少なくない。転倒の危険性は普通の人の2.5倍という調査結果もある。歯がしっかりしていると、転倒しにくい。だから、就寝時に外していても、トイレに立つときはきちんと入れ歯をはめることです」
認知症を防ぐには…
日本人の多くは「ガンよりも認知症になるのがイヤだ」という。しかし、2060年になると、認知症の人口は1154万人になると言われています。つまり、65歳以上の3人に1人が認知症に。では外国ではどうでしょう。
「日本では認知症が増えているのに、アメリカ、イギリス、オランダ、スウェーデンでは減っているのです。減った原因を調べる研究によると、いくつかの理由がわかってきました」
認知症を予防するには、運動、生活習慣、食生活が重要だということです。何もサプリに頼る必要はないとか。
さて、運動ですが、まず筋肉をつけること。20代と比べると、70代の筋肉量は3、4割減少し、ふらついて転倒するケースが増える。骨折すれば寝たきりで要介護。もちろん死亡率も高くなります。
「運動で手っ取り早いのが歩くこと。ジムや水泳をしなくても、歩いてください。それも無理をしないで。健康寿命を延ばすには、あまりハードな運動よりも歩くほうがいい」
睡眠と健康長寿の関係
不規則な睡眠を続けていると、死亡率は1.5倍高くなる。寝つきが悪い人ほど、早く寝床に入りがちです。ところが、なかなか眠れない。では、どうすればよいのか。油井さんは専門家の意見を紹介します。「眠くなるまで布団に入るな!」と。
黒柳徹子さんの場合、寝るのが勿体ないから、できるだけ遅く寝るとか。106歳で亡くなった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんも、あまり眠らない「ショート・スリーパー」でした。
「要するに、全員が全員7、8時間睡眠をとる必要はなく、自分に合った睡眠時間を見つければよいのです。高齢者は「眠りたい病」になりやすいので、自分なりの工夫が大切でしょう。朝食時には、よく噛むこと。そうすれば、体内時計が正確に働き、規則正しく眠ることができるです」
歩き方もときどき速足に変えることで、効果を発揮するそうです。
最後に「終活」をどうすればよいのか。また私たちが将来、どのような医療ケアを望むのかを検討する「人生会議」(APC)について説明して、講演を締めくくりました。
▲雨天にも関わらず多くの聴衆が
▲白井市でも「人生会議」に取り組んでいると説明する司会の平田新子さん(白井市議)
▲講演の後、油井さんに歩くスピードについて質問する参加者
▲「白井健康元気村の一番の健康法はパークゴルフだ」と玉井秀幸村長が得意のアクションを交えて力説
▲元気村のパークゴルフ責任者・岩崎邦子さんが元気の秘密を明かす
▲御主人の岩崎利明さんもパークゴルフで若返った!
長野県生まれ。信州大学人文学部卒業後、明治大学大学院修士課程修了。医療・健康・女性問題について新聞や雑誌などに執筆する他テレビ・ラジオなどで医療問題を中心にコメントや解説も行う。2007年よりイー・ウーマン「働く人の円卓会議」議長を務める。著書に「医療過誤で死ぬな」(小学館)、「あなたの歯医者さんは大丈夫か」(双葉社)など多数。
■以下は油井さんが講演の中で使用した図表とレジメです。
「健康長寿」のヒントにしてください!