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頭痛の正しい対処法(2)
患者に朗報!片頭痛の新しい予防治療
医療ジャーナリスト・油井香代子
▲白井健康元気村の健康教室で講演する油井香代子さん(白井市文化会館、2023年1月15日)
多くの人を悩ます片頭痛ですが、今回は新しい 治療法を紹介します。
「治療は頭痛の症状が出る前に予防薬を使うというもので、この治療で頭痛発作の回数が減り、痛みの程度も軽くなります」
片頭痛に苦しんできた多くの患者を診療している「 丸ノ内なかごみクリニック」の中込忠好院長は、予防治療の効果を日々実感しているといいます。
「片頭痛には症状が出る前に予兆があります。予兆は頭痛が起こる2時間ほど前に出ることが多いのですが、人によっては1~3日前に出ることもあります。具体的には、首や肩の凝り、光や音に過敏になる、疲労感、生あくびや甘いものを食べたくなるといったものです。ちなみに片頭痛に伴う閃輝暗点(光の点などが見える)は予兆ではなく、前兆と呼ばれています。この予兆のうちに治療を開始して片頭痛を予防する治療が行われるようになったのです」
中込院長によると予防治療は早めに開始したほうがいいそうです。治療を行う目安は、頭痛が月に2回以上起きる、生活や仕事に支障をきたすほど重い、例えば動くのがつらく、会社を休んだり寝込んだりするほどの頭痛が月に3日以上起こる場合です。
使用する薬剤は、漢方薬、吐き気止め、抗てんかん薬、抗うつ薬など。
「これらの治療薬の効果がない場合には、CGRP製剤という新しい注射薬が使われるようになりました。現在、使用が認められている注射薬は3種類。注射は1カ月に1回でよく、注射薬によって違いますが、頭痛が出る回数が半減し、痛みの程度も軽くなります。10人に1人は片頭痛がほとんどなくなります」
片頭痛で仕事を休んでばかりいた人が、この治療で人並みに働けるようになる例も増えているそうです。片頭痛に悩んできた人にとっては朗報と言えるでしょう。
その他、自分でできる予防法として食事やサプリメントを試すのもいいそうです。
「サプリメントは薬のように効果が証明されてはいませんが、ビタミンB2、マグネシウムがいいといわれています。また、サプリに頼らなくても、これらの栄養素は食事で取ることができます。例えば、ウナギ、カレイ、レバー類、牛乳、ヨーグルト、卵黄などにはビタミンB2が多く含まれています。マグネシウムを多く含む食品には、ヒジキなどの海藻、黒豆や大豆などの豆類、納豆や豆腐、アーモンド、煎りごま、ホウレン草などがあります」
注意点としては、サプリも食物も適量を心がけ、過剰摂取は禁物とのこと。
「低血糖も片頭痛を誘発します。食事を抜いて空腹になったり、無理なダイエットを続けたりすると低血糖になりやすく、片頭痛も起きやすくなります。規則正しい食生活が基本です」(『日刊ゲンダイDIGITAL』2024年11月20日公開) =つづく
長野県生まれ。信州大学人文学部卒業後、明治大学大学院修士課程修了。医療・健康・女性問題について新聞や雑誌などに執筆する他テレビ・ラジオなどで医療問題を中心にコメントや解説も行う。2007年よりイー・ウーマン「働く人の円卓会議」議長を務める。著書に「医療過誤で死ぬな」(小学館)、「あなたの歯医者さんは大丈夫か」(双葉社)など多数。