【連載】腹ふくるるわざ㉝
『蛍の光』②
桑原玉樹(まちづくり家)
『オールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne)』
『蛍の光』の原曲『オールド・ラング・サイン(ザイン)』は、スコットランドの詩人ロバート・バーンズ版の歌詞で有名なスコットランド民謡。古くからスコットランドに伝わっていた。
現在に至るまで、特に年始、披露宴、誕生日などで歌われる。歌詞全部は長いので全ては記載しないが、途中までは次のようだ。バグパイクでの演奏は勇壮で印象的だ。
Should auld acquaintance be forgot,and never brought to mind ?
Should auld acquaintance be forgot,and days of auld lang syne ?
<CHORUS>
For auld lang syne, my dear,for auld lang syne,
we'll tak a cup o'kindness yet,for auld lang syne.
旧友を忘れ 思い起こすことがなくても良いのか?
昔懐かしい日々を忘れても良いのか?
<コーラス>
懐かしき日々のために 我が友よ 友情の杯(さかずき)を酌み交わそう 懐かしき日々のために
▲バグパイプでの演奏
『オールド・ラング・サイン』は、ヨーロッパ中に、さらには海を越えてアメリカ大陸へも普及していった。
1941年12月、日本は第二次世界大戦へと突入。米英の音楽は禁止されたが、『蛍の光』は『庭の千草』(アイルランド民謡『夏の名残のバラ』が原曲)などと並んで日本化されているとして禁止対象から除外された。
また『オールド・ラング・サイン』は非公式なスコットランドの準国歌でもある。英国のEU脱退をめぐり、2020年1月29日、欧州議会が離脱協定案を可決すると、議員らは総立ちで、この歌を大合唱した。TV司会者は「イギリスがこれからも順調に進むことを願う」ために歌われたと述べた。
一方、スコットランド国民党は、「スコットランドは欧州議会に戻って来ます」と述べたらしい。スコットランドはイギリスから独立してEUに再加盟すると暗に言いたかったのだろう。(つづく)
▲EU脱退時に欧州議会で大合唱
【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】
昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。