感謝祭も過ぎたし、国会の政治屋どもが休暇をとっているのでアメリカは静かになった。今日は少し個人的な話だが今朝の散歩で出会った隣人の話を書く。
私は毎朝決まった時間に散歩に出かけ、決まった4キロの路線を歩いて満10年になる。ここは静かな住宅区だから朝の早い時間に出逢う人は多くない。車が多い大通りから住宅区に入り、なだらかな50メートルほどの上り坂を2キロ上がり2キロ降りて帰ってくる毎日だ。昔の軍隊の行軍は1時間5キロ歩く速度が普通と聞いていたが、私は4キロの坂道を45分から50分で歩いて10年だから87歳でもまだ元気な方だと思っている。
10年も同じ路線を歩き続けていると子供を学校に送って行く車や、出勤する人の車に出会えば手を振って挨拶するし、犬をつれて散歩する人なら立ち話をすることもある。今日はそのような友人から聞いたちょっといい話である。
友人の名はSteveと言い、今は独身で毎朝犬をつれて散歩するのだが、彼はいつも水を入れたボトルを抱えている。飲料水でなく犬がオシッコをしたら隣人の芝生が黄色く枯れてしまわないように水で薄めるためのボトルである。犬のウンチだけでなくオシッコも近所が迷惑しないように処理するようないい人だ。アメリカでは感謝祭は家族団欒の日で、七面鳥のディナーを食べる習慣だがSteveは独身だからそんなことはできない。
一週間前に会った時は近所のスーパーから一人用のディナーを注文するつもりだと言っていた。ところが感謝祭の二日前にあった時、最近引っ越してきて知り合ったばかりの夫婦が彼を感謝祭のディナーに招待してくれたと話してくれた。そして今朝の散歩でSteveに出会った時はその感謝祭ディナーで出会った若い人たちの話をしてくれた。
Steveが言うには彼をディナーに招待した夫婦は彼の他にも二人の若い夫婦を招待していたと言う。この若い夫婦は二人とも30代だが、奥さんは定職がないけれどこの数年は社会奉仕で老人ホームの老人の世話をしていると言う。老人ホームにはアルツハイマーで話しかけてもすぐに忘れて覚えていない人や、自分で大小便の世話もできない人、返事さえしない人などがいるけど彼女はこの数年の間無料奉仕を続けているという。夫の方は仕事があるけれど散歩のときはいつもゴミ袋を手に持っていて、歩きながらゴミを拾っていると言うのである。二人とも古き善きアメリカの習慣を守って暮らしている人達だ。
思えば感謝祭の一週間ほど前にサンフランシスコの目抜き通りで20人余りの暴徒がLuis VittonやRolex時計店に乱入して略奪した後、数台の準備して来た車で逃げ去った。19日にはサンフランシスコの近郊のWalnut Creek市では80人の暴徒がNorstromと言う高級デパートに乱入して陳列してあった品物を奪い、準備してきた20数台の車に乗って逃げ去った。その2日あとには、サンホセのSam's Jewery宝石店に20人以上の暴徒がハンマーを手に持って乱入し、強化ガラスの陳列棚をハンマーで叩き割って陳列していた宝石類を奪って逃げ去った。セントルイス、ロスアンジェルスでも同じような数十人の暴徒が略奪した事件が起きた。このような集団強盗はアメリカの歴史始まって以来なかったことである。
80人の強盗集団が24台の車で強奪を行なったのである。同じような集団強盗が感謝祭の数日前にアメリカの大都市で起きたのである。80人といえば大規模な集団で、アラビアンナイトのアリババが経験した40人の強盗の二倍である。これが今のアメリカである。バイデン大統領はアメリカでこんなに酷い集団強盗事件が乱発しても一言もコメントしなかった。バイデン政権になって国境は取り払われ、違法入国者の増加、BLMとANTIFAの放火や略奪、麻薬と犯罪などが起きたが、今回は世界でも前代未聞の80人の集団強盗事件が起きたのにバイデン大統領やサヨク政治家は黙っている。
このようにアメリカはとんでもない国になったけれども、私の住む近所にはまだ素晴らしい人がたくさんいる。感謝祭のディナーで一緒になった知り合って間もない人達、隣近所に迷惑をかけないよう心がける独身老人、老人ホームで無料奉仕を何年も続けている女性、散歩のついでに道端のゴミを拾う人、そのような人たちを感謝祭のディナーに招待する老夫婦。みんな素晴らしい人達である。
このような人たちがいる限りアメリカ社会にはまだ救いがある。人間がお互いに信頼できる善きアメリカを取り戻すにはみんなが一緒になって差別や格差を叫ぶ憎悪に満ちたサヨクを追放すべきである。