[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が段階的な利上げを進めているため、ドルは一段と上昇する態勢にあり、2017年は他の全ての主要通貨に対して強含む公算が大きい。
これによりユーロ圏諸国や英国、日本、中国の輸出は伸びが大きくなる。しかし中国の当局者は当然のことながら、国内経済とりわけ脆弱さの度合いを深めつつある金融システムにとって、ドル高の流れは差し引きすればマイナスの影響が大きいとみなすだろう。
中国経済を見通す上で鍵となる人民元は、FRBの金融政策やトランプ次期米大統領の対中政策、さらに最も重要な点として中国国内の政治動向に影響を受ける。
人民元の対ドル相場をめぐる最近の先行き不透明さから、国際金融市場は来年ほとんどの期間でボラティリティが大きくなり、この傾向は来年秋の中国共産党第19回全国代表大会(党大会)の後まで続くだろう。
中国は為替レートの安定に苦しみ、昨年はそのために外貨準備を1兆ドル以上も使った。現在の外貨準備高は3兆ドル強にまで落ち込んでいる。それにもかかわらず人民元相場は下落し、1ドル=7元台をうかがっている。
人民元安を食い止めようとする政策は高くつき、現在行われている公式および非公式な資本統制は基本的に持続不可能だ。こうした対応策では、中国のバランスシートの改善はおぼつかない。マッキンゼーの試算によると、中国の債務の対国内総生産(GDP)比は2008年の約150%から足元で282%まで上昇した。バランスシートの悪化は人民元の信認を損ねて、大規模な資本流出を引き起こした。
債務積み上がりの背景には、経済成長のために全力を傾けながら、一方でリスク管理をおざなりにしてきた金融業界の姿勢がある。金融業界で問題が膨らんだのは野放図な融資が原因で、借り入れを行ったのは鉄鋼や石炭、造船などのセクターの国有企業、地方自治体、住宅バブルを膨らませた住宅開発業者、大手銀や影の銀行から法外な借り入れ枠を確保した多くの企業などだ。
私が最近北京を訪れてはっきりと感じたのは、中国当局は現状をよく認識しているが、応急措置による一時的な対応にとどまっているのではないかという点だ。当局は解決策の一環として債務の証券化に手を出している。一部の銀行にはローン債権を処理してバランスシートをきれいにするのではなく、投資として扱うことを認める可能性もある。もっと厳しい、包括的な対応策が不可欠で、対策を先送りすればするほど経済成長に対するコストが最終的に大きくなるだろう。
しかし習近平国家主席はまだ権力を固め切っていないようだ。そのため19回全国代表大会まで経済成長を鈍らせるリスクは犯さないだろう。同大会では共産党中央政治局常務委員会の顔ぶれが大幅に変わる見通しだ。
中国当局がすぐにも取るべき追加策には以下のようなものが挙げられる。
それは
(1)銀行の不良債権の評価引き下げと一部銀行の資本増強
(2)大手国有企業が借り入れに利用している流動性調達手段の厳格な管理
(3)「ゾンビ企業」の閉鎖
(4)影の銀行セクターを規制するための法整備──だ。
さらには外国投資を誘致するための措置を講じる必要もある。しかしトランプ次期米政権の対中通商政策がはっきりしない限り、外国人投資家は様子見を決め込む公算が大きい。
中国からの輸入を減らし、中国製品に高い関税をかけるという米国の取り組みにより、中国の指導者は2017年の成長確保が一層難しくなるだろう。私は6.5%という成長率目標はどんどん現実に比べて楽観的過ぎる数字になりつつあると考えている。実際のところ、人民元への圧力の高まりや、国内の金融面の問題に関する対応の遅さがもたらす影響は、中国のみならず全世界の成長に及ぶだろう。
以上、ロイター記事
>中国からの輸入を減らし、中国製品に高い関税をかけるという米国の取り組みにより、中国の指導者は2017年の成長確保が一層難しくなるだろう。
中国の経済数値は誤魔化しているので外貨準備高は3兆ドル強にまで落ち込んでいるとあるが、半分もないと思われる。
さらにトランプ政権になると中国に対して厳しい政策をとるのでソ連のように崩壊する可能性も高いと思われる。