[ニューヨーク 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領はツイッターへの投稿でトヨタ自動車(7203.T)に脅しをかけたが、これがトランプ氏ツイートのピークとなるかもしれない。
トランプ氏は5日、トヨタに対して、メキシコで生産したカローラを米国で販売するならば関税をかけると警告した。しかし、トヨタ株の下げ幅は、フォード・モーター(F.N)やゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)より小幅だった。これは、トランプ氏がトヨタに関して事実を誤認していることがすぐに判明したからだ。こうしたケースが繰り返されればトランプ氏のツイートの神通力が落ちることは必至だ。
トランプ氏がこれまでにオンライン上もしくは集会の場で行った企業批判は、一定の効果が上がっているようだ。GM、ロッキード・マーティン(LMT.N)、ボーイング(BA.N)はトランプ氏から受けた要求に早急に対応。フォードは今週、メキシコでの新工場の建設計画を撤回した。
トヨタのケースでは、メキシコ新工場で生産する年20万台のカローラに35%の輸入関税が課せられると、1台当たりの販売価格を2万ドルと仮定した場合、14億ドルのコスト増要因となる。これは、今年の予想利益の10%程度に相当し、トヨタか顧客が負担を迫られる。
ただ、これが現実のものとなる可能性は低い。それはある非常に簡単な理由のためだ。それは、トヨタのメキシコ工場はカナダ工場の代替となるのであり、米工場の代わりになるわけではないということだ。米国向けのカローラ生産は引き続き同社のミシシッピ工場で行われる。それに、トランプ氏はメキシコ工場の建設地をバハとしていたが、実際にはグアナファトだ。
こうした基本的な事実の間違いは、トランプ氏の支持者は気にしないかもしれない。しかし、株主は今後、トランプ氏のパフォーマンスを鵜呑みにはせず、より具体的な事実に目を向けるようになるだろう。
トヨタを米アルコール飲料大手コンステレーション・ブランズ(STZ.N)と比較してみよう。決算が好調な内容だったにも関わらず、コンステレーションの株価は5日、7%超下落した。コンステレーションは、海外コストを巡る減税措置が撤廃された場合、コスト増大に直面する可能性がある。これは、議会共和党とトランプ氏が目指している税制改革の中核だ。通商協定違反となりかねない関税よりも実施しやすい。
ソーシャルメディアを通じたトランプ氏の企業いじめは、終わらないだろうが、攻撃が的を外れ続ければ投資家は無視するようになる。
●背景となるニュース
*トランプ次期米大統領は5日、ツイッターで、トヨタのメキシコ工場建設計画を批判した。同氏は「トヨタはメキシコのバハに米国向けカローラの新工場を建設するそうだが、とんでもない。米国に工場を建設するか、さもなければ多額の国境税を支払ってもらう」と表明した。
*トヨタは実際には、バハではなく、グアナファトに新工場を建設する。これに伴い、カナダ工場から生産を移管する。米工場ではない。
*トヨタは現在、米国市場で販売しているカローラのすべてを、ミシシッピ州の同社の工場において生産している。
*トヨタの広報担当者は「消費者や自動車業界にとって最善の利益となるよう、トランプ次期政権と協力していきたい」とコメントした。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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以上、ロイター記事
トランプ政権が20日からスタートして議会とのやりとりなどあるので、ツイッターで攻撃するやり方は慎重になるでしょうね。
特に日本に関することは事実誤認が多いので勉強してもらいたいものだ。