今、子供に関した美術展が二つ開催されています。
といってもお互いに何の脈絡も無いのですが(笑)
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の
『没後80年 岸田劉生展』
こちらは言わずと知れた、『麗子像』がやはり見所の一つです。
モデルは画家の愛娘。写実的に画かれているが、子供独特の表情を捉え、
何枚も描かれているが、モデルとしてじっとしているのが辛いのか、
麗子ちゃんの表情は決して嬉しそうではない。
むしろ、ややふくれっ面をしたのもある。さもありなん(笑)
岸田劉生は彼女の成長に合わせ何枚も画いていたのであるが、
画家が30歳代で亡くなった為、少女のころの作品しか残されていない。
ちなみに麗子さんはその後も長生きをされた。
このように子供の成長に合わせて絵が描かれたのは、西洋にもある。
『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』
国立新美術館で開催中であるが、その中にスペインの画家ベラスケスと工房が描いた
《フランス王妃マリー=テレーズの幼き日の肖像》がある。
これはスペインハプスブルグ家の王女を描いたものである。
また『王女マルガリータ』は、
婚約者に自分の花嫁となる王女の成長記録の報告として描かれたが、
当時は写真が無かったためである。
『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』は7部構成になっている。
第1章 誕生と幼い日々
古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術部門
第2章 子供の日常生活
古代オリエント美術部門
第3章 死をめぐって
古代エジプト美術部門
第4章 子どもの肖像と家族の生活
絵画部門
第5章 古代の宗教と神話の中の子どもたち
古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術部門
第6章 キリスト教美術のなかの子ども
絵画部門
第7章 装飾モチーフとしての子ども
古代エジプト美術部門
今回の展示で特に楽しみにしていたのは、イギリスの画家レノルズによる、
『マスターヘアー』である。
とにかく子どものあどけないしぐさが可愛いい。
こんなに可愛いし、服装から見ても女の子と思いきや・・・・
何と男の子である。
当時のイギリスの上流階級の家庭では、男の子どもも女のこのように装ったのだそうだ。
この絵はただ残念なことに、やや色彩がくすんでいる。
多分表面のニスの劣化によるものと思われるが。
描かれた当時のこの絵は、男の子の肌の色にみずみずしい透明感があったと思われる。
会期が押していますが是非是非お勧めです
『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』
http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/louvre.html
展覧会ホームページ : http://www.asahi.com/louvre09/
損保ジャパン東郷青児美術館
『没後80年 岸田劉生展』
好みとしては、断然『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』>>『岸田劉生展』でした。
最近はちょっと海外美術展が少ないようですね。
経済不況は世界同時なので関係ないとは思いますが・・・。
私も、『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』の方が好みです。
ただ、一人の人物(子供)を長年描き続けると言うことについて興味がありましたので。
最近洋ものが少ない背景には、保険料が高騰して、
高額の資金を提供してくれるスポンサーが減っていることに寄るのかもしれません。
でもとらさんの場合は、
「旅に出ます」と言う必殺技があるので・・・・