

衆院選は2日に公示される。与野党の公約が出そろい、選挙の主要争点が明らかになってきた。自民、公明両党は金融緩和や成長戦略で景気回復につなげる経済政策の継続を強調。野党には成長重視の点で一致する党もある半面、民主党などは格差拡大を招いたとして中・低所得層への対策強化を打ち出す。集団的自衛権の行使容認など安全保障や原発政策でも、与党に対する野党各党の距離感は異なっている。
「アベノミクスは企業の競争力を強化し、雇用を拡大し、国民を豊かにする」。安倍晋三首相(自民党総裁)は30日のNHK番組でこう訴えた。自民は公約で「景気回復、この道しかない。」と強調。企業収益とともに賃金や雇用を増加させ、地方にも景気回復の実感を届けると訴える。公明も「経済の好循環を作り出す」と同調し、公約では「消費税率10%への引き上げと同時に、軽減税率の導入をめざす」と記した。
経済政策を巡る野党の対応は割れている。民主党の海江田万里代表は30日の同番組で「雇用が増えたと言うが、ほとんどが非正規で賃金は上がっていない」と主張。同党と生活の党は公約で「中間層の復活」を挙げ、家計支援に軸足を移すべきだと訴える。
維新、次世代両党はアベノミクスを一部評価しつつ、規制改革を進めるなどして成長を後押しすべきだと主張。共産、社民両党は富裕層への増税などで格差を是正すべきだとする。
安倍政権が憲法解釈の変更で行使を認めた集団的自衛権についても、各党の主張は分かれた。自公両党は7月の閣議決定を踏まえ、来年以降に「切れ目のない安全保障法制の整備」に取り組むと明記。維新と次世代は安全保障法制の整備で自衛権行使を明確にすべきだとの立場で与党に近い。
一方で民主と生活は、国会での審議を経ずに憲法解釈を変えた手法を批判し、閣議決定の撤回を要求。共産と社民は、武力で他国を守る集団的自衛権の行使そのものに反対している。
来年2月にも九州電力川内原子力発電所の再稼働を控える原発・エネルギー政策も、各党で政策が分かれた。自民は公約で原発を「重要なベースロード電源」と明記し、再生可能エネルギーを導入しつつ原発の活用を続けるとした。次世代も原発維持の立場だ。
これに対し公明、民主、維新は当面の原発再稼働は容認するが、将来は「原発ゼロ」をめざす考え。共産、生活、社民、新党改革は再稼働も認めず、「即時原発ゼロ」を要求する。原発政策をめぐる各党の立ち位置は、大きく三つに分かれた。
衆院の定数削減では、安倍首相が30日の民放番組で、衆院議長の下に設けられた第三者機関の答申について「結論に従う」と明言。海江田氏は「結論には従うが、定数削減しなければいけない」と述べた。

今の政治はダメだ! それならいっそのこと、自分が選挙に出て日本を変えてやるーー。
実際、小選挙区選の競争率は4・31倍、比例選は6・21倍と、数字だけなら難関大学の入試や就職試験の競争率と比べてもそれほど高くない数値。「ひょっとしたら、なんとかなるんじゃ!?」……そんな思いを抱いた人が実際に出馬を考えるとき、気になるのは「いくらかかるのか?」ということだ。
まずは立候補にかかるお金で知っておきたいのは「供託金」だ。衆院選に立候補する場合には小選挙区で300万円、比例区との重複立候補なら追加で300万円の「供託金」を納める必要がある。政党の比例単独で出馬する場合は600万円だ。
自民党の選挙対策副委員長・菅原一秀(すがわらいっしゅう)衆議院議員が語る。
「選挙にかかるお金でいえば、供託金はほんの一部です。衆院選の選挙期間は12日間で、公営ポスター掲示板に張る選挙用ポスターは枚数が決まっています。しかし、自分の訴えていることを広く有権者に知ってもらうためには、日常の政治活動用ポスターを数千枚刷って個人宅の壁に張らせてもらうなどの活動もしなければなりません。
例えば、A1サイズのポスターを1000枚作れば、1枚1000円として約100万円。3万人にダイレクトメール(DM)を1回出すだけでも200万円。15万世帯に向けて新聞折り込みをすれば1回100万円。印刷代で100万円。やればやるほどかかります」
いきなりハードルが上がった気がするが、まったくのゼロから立候補する場合、自己資金は最低どの程度必要なのだろう? この疑問にズバリ答えてくれたのは次世代の党の事務局だ。
「お金がある党は供託金を党が全額負担する場合もありますが、そのほかにスタッフの人件費、事務所費、各種印刷物の作成費なども必要です。候補者自身の生活もあります。供託金以外に自己資金を500万円から1000万円は用意しておくべきではないかと」
しかし、自民党の元大臣の政策秘書を務めた池田和隆氏の見積もりはもっと高額だ。
「自己負担額は選挙前の活動費、休職中の生活費などを含め3000万円は必要。事前に2000万円から3000万円は準備したほうがいいですね」そんな多額のお金、みんなどうやって用意するんだろう? 世襲でもなくサラリーマンから区議、都議、衆院議員(当選4回)へステップアップしてきた前出の菅原議員に聞いてみた。
「私の場合、最初の選挙時は親戚や友人、知人から個人的に借金をしました。政治家は選挙に落ちたら収入がない上に借金まみれです。『ただの人』より下だから金融機関からの信用はゼロで住宅ローンも組めません。これは3年間の浪人後、衆院議員に当選してからも同じです」
衆院当選4回、副大臣も務めた現職議員ですらそうなのだ。
「私の父は私が小学生のとき、無所属で衆院選に出て負けたことがありました。その翌日から家にはたくさんの借金取りが押しかけてきた。私自身も最初の国政選挙で落選した後は、1週間のうち4日は資金繰り、3日が挨拶(あいさつ)回りという生活でした。政治家はへこんでいるヒマがないし、選挙中の平均睡眠時間は約4時間。強い意志と体力が必要です」
いきなりお金がドーンと出ていくハードな話が続いたが、法的には供託金などのお金が一部戻ってくる仕組みもある。
日本維新の会(現・維新の党)から前回の衆院選に出馬した経験を持つ元東京都議、野田数氏はこう語る。
「有効投票総数の10%以上の得票があれば、供託金が返還されますし、ポスター代、選挙カーのレンタル代、運転手の人件費、ガソリン代などが公費から支給されます。これは選挙費用を税金で負担する『選挙公営』(※)という仕組みです。ただし、得票率10%を切れば供託金は没収され、これら公費負担分も全額自腹です」
(※法定選挙費用には上限がある。有権者数に人数割額15円を乗じて得た額と、固定額1910万円とを合算した額)
これはかなりの大勝負。当選すれば年収約2200万円の歳費に加え、月額100万円の「文書通信交通滞在費」も得られる。しかし、落選すればゼロ。同じ落選でも、どれだけ票を取れるかが死活問題になるのだ。
☆
これだけかけて晴れて当選、代議士先生となる...それにしても落選組は2年で元も取らない内にサル以下の人になるとは厳しい戦いだ。ワーワーと、うるさい年末になる。
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まずは立候補にかかるお金で知っておきたいのは「供託金」だ。衆院選に立候補する場合には小選挙区で300万円、比例区との重複立候補なら追加で300万円の「供託金」を納める必要がある。政党の比例単独で出馬する場合は600万円だ。
自民党の選挙対策副委員長・菅原一秀(すがわらいっしゅう)衆議院議員が語る。
「選挙にかかるお金でいえば、供託金はほんの一部です。衆院選の選挙期間は12日間で、公営ポスター掲示板に張る選挙用ポスターは枚数が決まっています。しかし、自分の訴えていることを広く有権者に知ってもらうためには、日常の政治活動用ポスターを数千枚刷って個人宅の壁に張らせてもらうなどの活動もしなければなりません。
例えば、A1サイズのポスターを1000枚作れば、1枚1000円として約100万円。3万人にダイレクトメール(DM)を1回出すだけでも200万円。15万世帯に向けて新聞折り込みをすれば1回100万円。印刷代で100万円。やればやるほどかかります」
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しかし、自民党の元大臣の政策秘書を務めた池田和隆氏の見積もりはもっと高額だ。
「自己負担額は選挙前の活動費、休職中の生活費などを含め3000万円は必要。事前に2000万円から3000万円は準備したほうがいいですね」そんな多額のお金、みんなどうやって用意するんだろう? 世襲でもなくサラリーマンから区議、都議、衆院議員(当選4回)へステップアップしてきた前出の菅原議員に聞いてみた。
「私の場合、最初の選挙時は親戚や友人、知人から個人的に借金をしました。政治家は選挙に落ちたら収入がない上に借金まみれです。『ただの人』より下だから金融機関からの信用はゼロで住宅ローンも組めません。これは3年間の浪人後、衆院議員に当選してからも同じです」
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「有効投票総数の10%以上の得票があれば、供託金が返還されますし、ポスター代、選挙カーのレンタル代、運転手の人件費、ガソリン代などが公費から支給されます。これは選挙費用を税金で負担する『選挙公営』(※)という仕組みです。ただし、得票率10%を切れば供託金は没収され、これら公費負担分も全額自腹です」
(※法定選挙費用には上限がある。有権者数に人数割額15円を乗じて得た額と、固定額1910万円とを合算した額)
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