阿部ブログ

日々思うこと

スピントロニクス分野で新たな研究成果が!

2012年05月17日 | 日記
産総研の ナノスピントロニクス研究センターが「スピントロニクス」分野で注目すべき成果を挙げている

独立行政法人 産業技術総合研究所のHPによれば「室温で半導体ゲルマニウムに電子スピン情報」の入力に成功したという。

この発表に先立つ5月1日には「電子スピンの共鳴運動を電圧で制御」する事に成功している。
(※:このプレスリリースはビジュアルに、しかも懇切丁寧に解説しており非常に良い!) 

産総研の成果は、昨年8月の原子力機構と東京大学による「磁気・電気的性質を制御できる磁性半導体を開発」に続き、スピントロニクス分野における画期的な成果であり、今後の研究の進展により超省電力のスピントランジスタの早期開発と商品化が期待される。

産総研は、フルネームだと独立行政法人産業技術総合研究所だが、この産総研が次世代半導体材料であるp型ゲルマニウムの中へ、磁性体のスピン情報を入力することに世界で初めて成功した。p型のゲルマニウム基板、スピン情報源である鉄、厚さ約2ナノメートルの酸化マグネシウムを積層した電極を作製し、この素子の垂直方向に電流を流して、鉄からのスピン情報をゲルマニウム中へ入力すると言う芸当で、この現象をハンル効果で検証している。

前述の通り、産総研は大阪大学大学院の研究グループと共同で、超薄膜の磁石を使い電子スピンの共鳴運動を電圧制御することに成功している。
この共鳴運動の電圧制御は、鉄コバルト合金をサブナノメートル(ナノは10億分の1)まで超薄くし、絶縁体を使って、高周波電圧を加えるた所、電圧での制御が可能であることを実証した。この実証により従来の電流駆動制御に比べ200分の1以下での制御が可能となる為、所謂グリーンITと言うか低消費電力化が可能になる。

スピントロニクスと言う、電子が持つ磁石としての性質、所謂スピンを利用すると、極めて低消費電力のデバイスを作る事ができるので、今後の研究開発と速やかな商品化が期待される分野であるし、これまでは磁気的性質と電気的性質とを独立に変えられず、電子回路の製作に不可欠なpn接合などの素子が作れなかったが、これまた前述の原子力機構と東大、磁気・電気的性質を制御できる磁性半導体の開発も含め新スピントロニクス素子の実現が待ち遠しいのは自分だけではないだろう。