左が立花隆さん、右が利根川進さん
私が言っているわけではなく、キリスト教だと奇跡が話題になりますが、それと比べると、仏教は科学的だとよくいわれます。立花隆さんが昨年4月に亡くなられましたが、私は愛読者の一人でした。多方面にわたって活躍された方ですが、私がとくに興味を覚えたのは、立花さんの『精神と 物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』です。ノーベル賞を取られた利根川進さんとの共著ですが、立花さんは聴き上手で、利根川さんから「生命は合目的ではない」という見方を引き出しました。
「結局、科学というのは、自然の探究なわけね。ところがネィチャーというのはロジカルじゃないんだ。特に生命現象はロジカルじゃない。ロジカルにできていれば、理づめで考えていけばわかるはずだけど、そうじゃない。ネィチャーが今こうあるのはたまたまそうなっているだけの話なの。生物の世界という何億年にもわたる偶然の積み重ね、試行錯誤の積み重ねでいまこうなっていることであって、こうなった必然性なんてないわけですよ」
宇宙の大法則というのはなくて、たまたま偶然が積み重なったというのは、仏教的な物の見方ではないでしょうか。実体は存在せず、全てが「色即是空」であって、この世の万物はあくまでも空であり、不変のものはないからです。
立花さんは、私のような者であっても、理解しやすいように解説をしてくれます。徹底した取材と、その分野に関する豊富な知識があったからです。私のような年齢になっても、日々勉強ではないかと思っています。
合掌
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