目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六エピローグ~遭難考

2013-10-21 | 山行~北アルプス

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雲ノ平山荘から満月を見る(9月20日早朝)

2013年9月19日(木)に雲ノ平山荘に泊まった。そのときに同室の年配夫婦から聞いた前日の遭難騒ぎについて記しておこう。同室の年配夫婦は、この日で2泊目ということだった。

18日(水)16時半頃、70代男性が雲ノ平山荘に到着。女房があとから来るからと2人分の宿代を払って到着を待ったという。たまたま同室となったこの年配夫婦は、なかなか来ませんねえと、案じたものの、男性は意に介することもなく、いつものことだからと平静を保っていた。しかし、日が暮れてきても、いっこうに到着しない。

さすがに食事も済ませてしまうと、皆が心配になってきた。年齢も70代。山の神と私も前日水晶小屋に泊まっていたときに、小屋のスタッフが無線で応答する一部始終を聞いていた。「道に迷っている? こちらには来ていない」と。だれかが小屋に到着できずにいる。たいへんだ。遭難なのか?と思ったわけだ。

日がとっぷり暮れてから、捜索活動は始まった。雲ノ平山荘のスタッフが3人で、ご主人が口にしたコースをたどっていく。二重遭難を避けるため、ご主人には山荘に残ってもらう。その日は月の明かりが皓々と辺りを照らしていて明るかったのが、幸いした。

70代の奥さんは、祖父岳のふもとでうずくまり、誰かに見つけてもらいたくて、笛(ホイッスル?)を吹いていたという。日没後は冷え込んだから、防寒着を重ね着し、ビバークするつもりになっていたようだ。山荘のスタッフが笛の音に気づいて、無事保護。山荘には、22時半頃到着した。

そもそもなぜこんなことになったのだろう。聞いてみると、ご主人の亭主関白ぶり、横暴に驚かされる。奥さんと一緒にいたのは、三俣山荘までだという。そこから自分だけ振り返りもせず、スタスタ歩いて雲ノ平山荘に来たのだ。まるで単独行ではないか。

その話を聞いて、山の神とあきれ返ってしまった。いまどきそんな人がいるとは……

この話をしてくれた年配夫婦は、いたって仲良しで、最後にこう締めくくった。うちの女房はひざが悪くてね、調子が悪いとどんどん遅れるから、今日は何度も何度も振り返ったよと旦那さん。照れ笑いをしていた。

けれど、遭難しかかったこの70代の奥さんは、今後どうするのだろう。ご主人とはもう2度と山に行かなくなるのか、あるいはご主人が心を入れ替えて再びいっしょに山に行くのだろうか、どちらなのだろう。

夫婦で歩かれている方、奥さん(旦那?)が後ろから、ちゃんとついて来ているか、時々振り返りましょうね。

 

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鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六Part4~三俣蓮華岳・双六岳

2013-10-20 | 山行~北アルプス

000img_6972三俣蓮華岳 標高 2841m 双六岳 2860m 富山・岐阜・長野県

2013年9月20日(金) 晴れ   9月21日(土) 晴れ

コースタイム 
9月20日 雲ノ平山荘6:11--雲ノ平キャンプ場水場--雷岩6:50--7:28祖父岳分岐7:37--日本庭園--8:40黒部源流8:50--9:26三俣山荘分岐9:36--10:20三俣峠10:25--10:39三俣蓮華岳(昼食)11:20--12:32双六岳12:50--13:30双六小屋(泊)

9月21日 双六小屋6:16--7:14弓折岳分岐7:20--7:55鏡池8:03--9:30秩父沢越えた地点9:40--10:38わさび平小屋10:58--ニューホタカ(入浴)12:50--13:00新穂高ロープウェイ駅

5:00頃起床。5:25には雲ノ平山荘のスタッフから朝食の用意ができましたと伝えられ、宿泊者が続々と食堂に集まった。暗いうちに出発している夫婦や単独者もいて、こぢんまりとした食卓となる。

朝食後、皆三々五々出発していく。

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左:凍てつく雲ノ平山荘前 右:霜柱がいたるところに

6:11私も山の神とともに山荘を後にする。外は冬の様相を呈していた。至るところに霜が降り、霜柱も立っている。空気も張りつめ冷え込んでいる。しかし、足元の木道は危惧したようにすべることもなく、スタスタと歩けた。まっすぐ雷岩へ向かい、そこに荷物をデポして、昨日と同じように水汲みに向かった。水を容器2つにいっぱいに詰めて雷岩に戻り、6:50再出発。いよいよ雲ノ平ともお別れだ。

スイス庭園からぐるりと回りこんで祖父岳の分岐へ来ると、雲ノ平山荘で一緒だったアーティスト氏がスケッチブックを広げていた。早朝の薬師岳をスケッチ中。いい作品に仕上げてください!

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左:祖父岳を巻く 右:黒部源流を渡る山の神

7:37分岐から祖父岳を巻いて、日本庭園に入る。名前は立派なのだが、そんな風情は微塵も(!?)なく、いつの間にか荒地になる。そこから黒部源流をはるか下方に見る急斜面に出て、ひざをガクガクさせながら、下っていった。源流に出ると、三俣山荘のスタッフなのか、イワナ釣りの人がいて、ポイントを探して上流に移動していった。

源流を渡って、山の神としばし休憩をとり、三俣山荘につづく道に入る。すぐに「黒部川水源地標」の石碑(冒頭の写真)が出てきた。けっこう立派なものが建てられていて驚いてしまった。そこを過ぎると、登山道に水があふれている箇所が何度も出てくる。足場を選んでどんどん上っていく。しかし、ふと気づくと、山の神がいない。いつの間にやら、はるか後方を歩いていた。

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左:三俣蓮華のガレ場を登る 右:三俣蓮華岳山頂

昨晩もいまひとつ熟睡できなかったとこぼす山の神。今回の山行はすこぶる不調だ。それでも三俣山荘の分岐まで上がり、9:26休憩にした。予定より遅れ気味だが、本日の行程はさほど長くないので、影響はほとんどない。

山の神はその後もバテバテだった。調子があがらず、いらだつ山の神をなだめながら、三俣峠から急なガレ場を一気呵成に上る。三俣蓮華岳の山頂には、10:39に到着した。今日も快晴で、山頂からの見晴らしは抜群にいい。

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左:目の前に黒部五郎岳 右:双六岳への道。右奥に笠ヶ岳

時間はまだ早いものの、昼食にした。目の前に黒部五郎岳が見える地点に腰を下ろし、雲ノ平山荘でつくってもらった、弁当を食べる。けっこうなボリュームだ。腹がくちくなったところで、山の神も元気が出て、エンジン始動だ。

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左:双六岳標柱 右:双六岳山頂の巨石

昼食中に黒部五郎岳へ続々と登山者が向かっていったが、山の神と私はもう帰途につかなければならない。黒部五郎はまたの機会ということで、11:20双六への稜線を歩き始めた。明らかにこれから核心部へという9人パーティともすれ違う。うらやましい。

双六岳山頂には、12:32に到着した。先着様が2,3人いて、今日は双六小屋に泊まるんだと会話をしている。考えることは皆同じ、計画も似ているのだ。でも、このまますぐに下ってしまうと、時間をもてあましそうだ。

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槍へと続く道

12:50下山を始める。一本道の先にちょうど槍の穂先が見えてくる。面白いねと、パチリ(上の写真)。平坦地から一気に下降していくと、軽装の登山者が何人も登ってくる。ピストンで双六岳のようだ。今日は双六小屋泊まりで、明日西鎌尾根を行くのだろう。

13:30今日のお宿、双六小屋に到着した。ザックを小屋に入れたあとは、外のテーブルで山の神と生ビールだ。ゴクゴクやっていると、昨日雲ノ平山荘で写真談義をした彼が現れた。今日は、鏡平山荘に泊まるという。じゃあね。

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2点とも:双六小屋。右は小屋のスタッフに撮ってもらった

双六小屋は、定員いっぱいにはならず、ゆとりのスペース。相部屋になったのは仙台から来たというご夫婦だけだで、あまり気兼ねせずに過ごせたのはラッキーだった。しかも夕食の双六小屋名物、野菜天ぷらは美味。山の中で天ぷらが食べられるとはね。

翌朝は5:00前に起床。5:15食卓はすでに登山者でにぎわっていた。80代のおじいさんもいて、意気軒昂。今日は槍へ向けて出発とのことだ。6:16双六小屋を後にする。今日も晴れていて気持ちがいい。見上げるとハケ雲が出ていて、秋の空を思わせる。

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ちょっと色づく道。弓折乗越手前

7:55鏡平まで下ると、登山者が大勢休憩していた。山の神に人が多いなあといっていたが、鏡平は序の口だった。3連休初日だけあって、来るわ来るわ、登山者の波。次々に登って来て、そのたびに下山組は、待ち、待ち、待ち。静寂の山が好きな人は、これを避けんがために、人の少ないルートを選ぶのだろう。竹村新道なんて、ほとんど人がいないようだし。

10:38わさび平小屋に到着。ザックを下ろして、甘いジュース(¥200)を飲んでパワー充填。気分はもう、林道歩きだけなので、下山したようなものだ。

林道のゲートを出ると、目の前にニューホタカがある。ここで一風呂(¥500)浴びることにした。風呂場に行くとだれもいない。手足を伸ばして温泉に浸かれた。そこからロープウェイの食堂に移動し昼食。麺類をつるつると食す。ごっつあんでした。

さて、それからゆるゆると平湯温泉に移動し、旅館たなかにチェックイン。温泉三昧で翌朝東京への帰途についたのだった。

 

エピローグ~遭難考へつづく
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鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六Part3~水晶岳・雲ノ平

2013-10-14 | 山行~北アルプス

001img_6924水晶岳 標高2986m 祖父岳 2825m 富山県

2013年9月19日(木) 晴れ

コースタイム 水晶小屋6:16--6:50頃 水晶岳(黒岳)6:58--7:35水晶小屋7:45--8:15ワリモ北分岐--9:05祖父岳9:18--スイス庭園--10:30雲ノ平キャンプ場水場10:43--11:05雲ノ平山荘(昼食)11:30--11:55祖母山(アルプス庭園;コーヒータイム)12:25--アラスカ庭園ピストン--13:03奥日本庭園13:25--13:55雲ノ平山荘

5:00過ぎに起床。昨日は敷き布団3枚に2人という微妙なスペースで就寝。お隣に気を遣って寝た分、なんだか頭がどんよりとしている。それよりも前夜の缶ビール(2本しか飲んでいない)で、就寝時に頭痛がしていたせいか。もしかしてこれは、ちょっとした高山病なのだろうか。山の神も頭痛がといっていたので、皆さんもご注意を。

さて、朝食は配膳前に並んで待っていたので、最初の組でありつけた。小屋のトイレが2つしかないので、こちらも並んで待って用を足す。小屋を出たのは、6:16。まずは水晶岳のピストンだ。

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遠くに真っ白な雲海が広がっている

歩き出すと、もう山頂まで行ってきたという御仁が。早い! 山の神と私は、稜線からの景色を楽しみながら最後の岩場を登り、水晶小屋から30分ほどで山頂に到達した(冒頭の写真)。山頂では、昨日小屋で山談義をしたアニキがあとからすぐに到着して、ここからまっすぐ読売新道を下るという。見た目、尾根が延々と続く大変そうなコースだ(下の写真)。

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紅葉が始まった!? 読売新道と立山方面

水晶岳山頂では、見渡す限りほとんど雲がないという恩恵を受け、360度の大展望を堪能できた。昨年の立山三山のときに続いて、白山を拝めるという幸運も得た(下の写真)。

そのうち小屋前で準備運動をしていた団体がやってくる。狭い山頂を長々と占領するつもりらしい。彼らが到着してすぐに山の神と私は下山を始めた。

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雲上に顔を出している白山

下り始めると、昨日アニキ同様に小屋で山談義をしたご夫婦が上ってきた。またどこかで会いましょう。

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水晶小屋へと戻る登山道

水晶小屋にいったん戻り、7:45今度は雲ノ平に向けて出発する。

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祖父岳から雲ノ平を望む

昨日の午後に通過したワリモ北分岐から一気に下って、まずは祖父岳の山頂を目指す。途中踏み跡が不明瞭になり、道を間違ったことに気づいたのだが、そのまま強引に前進を続けた。すると、下の方の正しいルートを逆向きに歩いてきた夫婦が声をかけてくる。お~い、そちらの道が正しいのですか? こちらも大声を張り上げ、こちらは間違いで、そちらが正しいと返す。不思議な縁で、このときのご夫婦とは、雲ノ平山荘で同室になった。

9:05祖父岳山頂に到着。のっぺりと広い山頂で、岩がゴロゴロしている。ガスっていると、道を間違えそうだが、親切にもロープが張られていて、ルートがわかるようになっている。

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左:祖父岳から下って雷鳥を発見 右:イワギキョウ

祖父岳から下っていくと、かつては、そのまま雲ノ平のテント場に下りられた道に通せんぼのロープが張られていた。20代らしき登山者がそこで一眼レフを構えていて、よく見るとロープの先に親子連れの雷鳥がいた。私も急いでデジカメを取り出したが、親子はバラバラになって遠ざかっていく。ああ、もうダメかと思ったら1羽がひょいっと岩の上に飛び上がった。その瞬間を写真に収めた(左上)。

ここからぐるりと巻き道を進み、雲ノ平へ向かう。途中の岩稜では、イワギキョウがきれいに咲いていた。

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左:スイス庭園と薬師岳 右:赤い屋根は高天原山荘

這松の中を抜けていくと、スイス庭園が現れる。右手には、先ほど登ったばかりの水晶岳がでんと存在感を示している。左手には、これまた存在感たっぷりの薬師岳が見えている。スイス庭園の先端まで行き、今度は谷筋に目を落とすと、赤い屋根が見えた。あんなところに何か作業小屋があるのかと思って地図を広げると、それは秘湯とランプの小屋で有名な高天原山荘だった。

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左:雲ノ平山荘 右:祖母岳の木道。振り返ると山の神

スイス庭園から雷岩へ移動し、そこからテント場へと木道を下っていく。ここ雲ノ平では飲み水が貴重なので、水汲みへ向かうのだ。数張りのテントがあるのみで閑散としたテント場のはずれ、少し登ったところに水場があった。勢いよく水が流れ出ている。ここで、空のボトルや水筒にめいっぱい水をつめた。

11:05雲ノ平山荘に到着する。外のベンチで、水晶小屋でつくってもらったおにぎり弁当を山の神と食べる。おにぎりの咀嚼を繰り返し、いい眺めだの言葉も繰り返し言っては、きれいな円錐形をした笠ヶ岳に見入っていた。遠くから見ると本当に笠の形。見まごうかたなき笠だ。

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アルプス庭園から、きれいな円錐に見える笠ヶ岳

11:30食事を終えて、雲ノ平を散策することにした。まずは、祖母岳(アルプス庭園)。山荘下の木道を進み左折し、どんどん上っていくと、祖母岳の標示があった。今日はもうここ雲ノ平でゆっくりする予定だからと、コーヒーを淹れることにした。おあつらえ向きのテーブルもある。コーヒー豆にお湯を注ぎドリップ。香りがいい。そしてすばらしい景色を見ながら飲む。至福のひとときだ。

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2点とも:祖母岳(アルプス庭園)

祖母岳でくつろいだあとは、木道をひたすら進み、アラスカ庭園へ向かう。アラスカというのはこんな景色なのかなと言いながら進み、だんだん藪っぽくなったところで、きびすを返した。そして奥日本庭園のベンチでひと休み。ぼちぼち雲ノ平山荘に戻ろうかとなった。それにしても人が少ない。アラスカ庭園以降すれ違ったのは1人だけで、ほかには誰にも会わない。

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雲ノ平山荘から中秋の名月を愛でる。左は水晶岳

13:55雲ノ平山荘に入る。山の神とケーキセットをオーダーしてまったり。ちなみにマロンケーキとコーヒーで¥900だった。

山荘の晩ご飯は、石狩鍋ふうで粕汁に具が煮込んである。鍋をつつきながら、いつの間にやらそここで会話がはずんでいた。食事後のロビーでは、アートな会話に花が咲いた。最近カメラを始めたという彼は、遠くの小屋の明かりにピントを合わせ、シャッターを20秒間開けて撮ると、星空がきれいに撮れると、鏡平で仕入れた情報をさっそく皆に開陳していた。一方では、スケッチブック片手にお絵描き山行を続けるアーティストもいた。なかなかの腕前だが、まだ趣味で始めて10年だという。個性的な面々が集まった、楽しい満月の夜となった。

 

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鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六Part2~鷲羽岳・水晶小屋

2013-10-05 | 山行~北アルプス

000img_6912鷲羽岳 標高2924.2m ワリモ岳 2888m 長野・富山県

2013年9月18日(水) 晴れ

コースタイム 鏡平山荘6:07--6:54弓折乗越7:02--8:02双六小屋--(巻き道)--9:16休憩9:26--10:13三俣峠10:23--10:55三俣山荘(昼食)11:28--12:30鷲羽肩12:35--12:50鷲羽岳山頂13:12--ワリモ岳--14:40水晶小屋

5:00頃起きだし、山荘の外に出てみると、だいぶ冷え込んでいた。外で湯を沸かして、朝食の準備だ。山の神と自炊者用の部屋で、スープやパンでそそくさと朝食をとる。6:07団体が準備運動している端を通り抜け、山小屋を後にした。そのうち槍の左方よりご来光となり、いっきに周囲は明るく照らし出された。どんどん高度を上げていくと、鏡平はしだいに小さくなっていき、山荘の赤い屋根は小さな点になっていく。

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左:鏡平を見下ろす 右:弓折乗越より笠ヶ岳への道がつづく

6:54弓折乗越に到着する。先行して登っていたもうひと団体がここで休憩していた。山の神と私が到着すると、笠ヶ岳へ向けてにぎやかに出発していく。笠にも行きたいねえ。

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左:コルに双六小屋。奥は鷲羽 右:山肌を縫って巻き道を行く

乗越から少々歩くと、双六小屋が見えるのだが、見えてからが長い。そのうち登山者何組かとすれ違う。早くも下山のようだ。双六池が見え、幾張かのテントがあって、人の姿が見える。8:02ようやく双六小屋に着いた。小屋の女性スタッフが、屋根に上がって布団干しをしている。3人くらいが作業をしていたが、皆女性なのには、ちょっと驚いた。最近山小屋スタッフの女性比率は上がっているのだろうか。

双六小屋からちょっと上って、巻き道に入る。小屋のスタッフらしき20代の男女にあっさりと追い抜かれる。ノンストップかつ高速で進んでいき、あっという間に後ろ姿が小さくなっていった。山の神と私は、そんなペースでは当然歩けないので、巻き道の途中で腰を降ろし休憩にした。

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鷲羽岳と三俣山荘

その後、山の神のペースがガクンと落ちた。やはりまだ本調子ではないようだ。そのうち単独の年配者にいとも簡単に追い越される。その方は、三俣峠で休憩していて、話を聞いてみると、日帰りだという。鷲羽に行きたいけど、行くと帰りが遅くなるだろうから、三俣蓮華に登って帰ろうと思っていると。荷物を軽くして超高速登山なのだ。こんな猛者もいるのだと感心した。

私は睡眠は十分で、だいぶ体力は回復していたのだが、山の神は昨晩の鏡平でもいまひとつ十分な睡眠がとれなかったとこぼし、ペースは落ちるいっぽうだった。

さて三俣峠から下ってくると、これぞ、鷲の姿という鷲羽岳の雄姿が拝める。この姿を見たら、誰だって百名山に投票したくなる。

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左:三俣山荘。昨日会ったアニキが目の前を横切っていった 右:鷲羽池

三俣山荘で、腹ごしらえ。山の神はとにかく、食べれば元気が出るし、荷物も軽くなると、早々に鏡池山荘でつくってもらったおにぎり弁当(¥800)に手を伸ばしていた。山荘の前で冷やされていたジュースも購入(¥400)。冷たくて甘いジュースをごくごくやると、だいぶ生き返ってくる。

左上の写真の左側の建物は、三俣山荘の食堂。登山者が昼食目当てでこの建て屋に吸い込まれていく。ここの名物はジビエ(ここでは鹿肉)のシチュー。最初からここで昼食と予定していれば、名物シチューを食べられたかもしれない。

ご飯を食べて元気になった山の神は、ペースを取り戻し、さくさく鷲羽の急登を上っていく。快調なペースだ。途中、鷲羽池が見える山頂手前で軽く水分補給して、再び山頂へ向かう。

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赤茶けた岩肌を見せる硫黄尾根の向こうに常念岳

鷲羽岳山頂には、12:50到着(冒頭の写真)。平日の割には、7,8人とそこそこ人がいた。しかも知らぬ同士で会話がはずんでいる。山頂からの眺めは最高だった。周囲360度、大パノラマの風景が目の前に広がる。

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野口五郎岳方面を望む

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笠ヶ岳

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乗鞍岳と奥に御嶽山

山頂からの景色を堪能し、13:12に下山開始する。この日の後行程は、水晶小屋までだからのんびりと長居をしてしまった。山頂からの下りは、なかなかの高度感があったり、片側が切れ落ちていたりとけっこう怖い道だった。慎重に下り、ワリモ北分岐に出る。左手を見下ろすと、雲ノ平方面に下っている登山者の姿がちらほら見える。明日はこの道を下っていくのだと、山の神と話しながら、先へと進む。フツーならこの辺りで休憩をとるところだが、いっきに水晶小屋まで行ってしまえと、歩みを速めた。しかし、行けども行けども一向に小屋は見えない。

14:40突然水晶小屋が現れた。予約したものですといって、小屋の宿帳に名前を記しながら、昨日鏡平山荘で水晶小屋に行くと耳にしていた12,3名の団体はもう来ているのかと聞くと、まだだという。団体到着は、16:30頃だったと思う。空いていた小屋は一瞬にして窮屈になってしまった。

でもこの小屋では、楽しい出会いもあった(プロローグ参照)。地元は姫路だけど、いま東京転勤になっているという同世代の夫婦とも面白い話ができた。彼らは台風のときに太郎平小屋に泊まっていたという。激しく雨漏りしていたとか。それにしても、なぜ台風のときに入山するのだろうか? 登山道は川のようになっていたらしい。会話がはずむと、夜の更けるのも早い。さあ、明日は念願の雲ノ平へ入っていく。

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鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六Part1~鏡平

2013-10-03 | 山行~北アルプス

000img_68782013年9月17日(火) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 9:00新穂高温泉登山者用駐車場9:15--ロープウェイ駅9:40--10:40笠新道入口10:50--11:00わさび平小屋--11:25小池新道入口--11:50休憩12:00--12:22秩父沢--沢(昼食)12:55--13:24イタドリヶ原近辺13:34--14:50鏡平山荘

4:40家を出発する。平日だけあって、道はガラガラだ。双葉SAで朝メシ。長野道に入ると、通勤で高速を使うのか、交通量がしだいに増えてくる。松本で下りて、ひたすら山へ向かう道を進んだ。安房峠道路を抜けて、新穂高温泉登山者用無料駐車場に入る。休日だとごった返すらしいが、パラパラと空きがある。車を停めて、さあ、出発だ。

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左:新穂高温泉登山者用無料駐車場 右:わさび平小屋

ロープウェイの駅でトイレに寄り、建物を出てバス停奥の橋を渡り、山に分け入っていく。いったん車道に出て、道なりに歩いていくと、ゲートが出てきた。もう一般車両は入って来られない。しばらくは、左股谷を左に見ながら進んでいく。中崎橋にさしかかると、橋が傾いていて、自己責任において渡ってくださいと挑発的な看板が掲げられている。その橋を渡ると、今度は、左股谷は右手になる。10:40笠新道の入口で、疲れたねとザックを下ろし、本日第1回目の休憩となる。後ろから来た年配のおじさんが軽快な足取りで山の神と私を抜き去っていった。北アルプスに来る人は、足の速い人が多そうだ。

水分補給して歩き始めると、すぐにわさび平小屋だ。下山してきた年配の方が、もうプシューと缶ビールを開けて、ごくごく飲み始めている。もうちょっとで下界なのに。

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左:わさび平小屋近辺の樹齢200年のブナ 右:小池新道入口

わさび平小屋の前の道には、樹齢200年のブナが林立している。両脇にそびえていて、壮観だ。しばらく未舗装路を歩いていくと、砂防ダムの工事が進行中で、工事車両がひっきりなしに動き回っている。そしてまもなく小池新道へ入る分岐にさしかかった。いよいよ、ここから登山道に入る。

登山道に入ると、日差しが強くなってきて、暑さも増したのか、汗は出るわ、疲労はたまるわ、のどは渇くわで、明らかにバテ始めていた。山の神は、目に見えてバテている。ここのところの睡眠不足、運動不足がたたっているようだ。

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左:イタドリヶ原 右:シシウドヶ原

樹林帯で一度休んだのち、秩父沢を過ぎて、次の小さい沢で昼食にした。さすがに沢だけあって涼しくていい。後ろから追いついてきた、登山者2名、アニキと年配者が山の神と私を追い抜いていく。

イタドリヶ原近辺で、山の神が休もうという。まだ30分くらいしか歩いていないというのに、山の神の疲労度は深い。先ほど追い越していったアニキもそこで休憩していた。ザックが重くてバテているので、お先にどうぞといわれるが、その場で休憩にすることにした。アニキは、重いが、しっかりとした足取りで、先へ進んでいった。このアニキとは、翌日水晶小屋で会うことになる(プロローグ参照)。

シシウドヶ原を過ぎた頃から、上空では荷揚げのヘリが行ったり来たりし始める。その頃には山の神も私も、もう暑さでバテバテで何とか前に進んでいるという状態だった。とはいえ、前進はしている。先ほど追い抜いていった年配者に追いついて、休んでいる隙に追い抜かした。

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槍ヶ岳と鏡池

そのうち先ほどのアニキの後ろ姿をとらえたが、結局追いつくことはかなわなかった。這這の体で、鏡池に到着する。池には槍や穂高が映りこんでいる。夕焼けを狙うんだという三脚をたてた熱心なカメラマンがいた。

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穂高と鏡池

14:50鏡平山荘に到着する。元気のいい団塊の世代の団体が歌をうたい、まあ、にぎやかなこと、にぎやかなこと。機関銃のようにしゃべっているおばさんもいて、大賑わいだった。

日が傾いてから、小屋の外で湯を沸かし、自炊部屋で山の神と食事にする。今回はすべて山小屋泊まりだから、初日はちょっと節約しようと、素泊まりにしたのだ。アルファ米を主食に、缶詰、そして缶ビールで乾杯だ。夜の帳が下りて、蚕だなに行く。平日のおかげでぎゅうぎゅう詰めにはならず、比較的余裕のあるスペースをもらった。それでも山の神はあまり眠れなかったようだが、私はばっちり睡眠をとれた。

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