Part1のつづき。
だいぶ登ってきたけど、まだ山頂までは時間がかかりそうだ。そんなことを山の神に言っていると、舎利坂入口という標柱が目の前に出てきた。ここから山の神のエンジンが一気に加速しだした。
左:舎利坂入口 右:山頂へとスパートをかける山の神。中央付近にいます
ほんならここから私が先にと言うが早いか山の神がスパートをかける。マラソンじゃあるまいし。山の神は容易には追いつけないほどのスピードでぐんぐん登って行き、次第にその後ろ姿が遠ざかっていく。
左:七高山山頂 右:七高山から新山を望む
私も必死に追いすがるが、追いつけない。9:57七高山山頂に到着したときには、もうクタクタだった。山頂には、すでに何人もの登山者がいて展望を楽しんでいた。向こう側には、鳥海山の最高峰2236mの新山の岩峰が猛々しく見えている。頂には登山者の姿が見える。
とりあえずメシにするかと山の神に声をかけ、カップラーメン用のお湯を沸かし始めた。
遠くに月山が見えている
新山はどうしようか? 行くか、それともやめとくか。私の足の筋肉、とくにふくらはぎはすでに悲鳴をあげていて、行くなと主張している。でも、すぐそこで新山がおいでおいでしている。
新山取付点の鳥海山神社
山の神はどっちでもいいよと、判断を私に委ねる。そういいながらも、明らかに行きたくないようにみえる。昼食後、私はどうしようかと迷いつつ、少し外輪山を巡ろうと歩き出すと、登山者が尾根の分岐から鳥海山神社へ向かって下っていく姿が見えた。刹那、もしかしたら新山は登ってないかもなと脳裏をよぎる。でも行っていないわけがない、、、その昔私は2日連続2方向から鳥海山へは登っていて、初日が七高山まで。このときの天気が悪すぎて展望がなかったため、翌日違う登山口から登ることにしたのだ。翌日は予報どおりピーカンで鉾立から鳥海湖経由で新山に登った。はず、、、たぶん行っているだろうと自分に言い聞かせ、当初の計画では山頂を踏む予定だった新山は取りやめた。
新山に行ったかどうかを確認したのは、家に帰ってからだった。手帳をみると確かに山頂に行っていた。その事実によかったねえと山の神。
外輪山歩きはここまで
外輪山はちょっぴり歩いただけで、反対側から若者のパーティが来たのを潮に引き返すことにした。先ほど昼食をとった七高山を11:08に通過。そのまま来た道をたどっていく。
左:アオノツガザクラ 右:チョウカイアザミ。群生地は幽鬼の群れ、ゲゲゲ畑
ここでちょっと鳥海のお花コーナー。左上の写真、アオノツガザクラは、康新道分岐地点で咲いていた。かわいらしい下向きの花は気持ちをなごませてくれる。逆に不気味なのは、チョウカイアザミ。ぬめっとした外見は、同じ下向きの花でも幽霊を想像させられ、ゾッとする。このアザミの群生地がそこここにあって、もうほとんどゲゲゲ畑(?)にしか見えなかった。
左:アキノキリンソウ 右:チョウカイフスマ
左上の写真は、他の山でもよく見かけるアキノキリンソウ。黄色い繊細な花は緑をバックにとても映える。鳥海山でどうしてもチェックしておきたいのは、白くて可憐な花を咲かせるチョウカイフスマ。まとまって咲いているので、右上の写真のように常に集団だ。
話を戻そう。下山は予想以上にたいへんだった。とにかく長かった。やはり新山には行かなくてよかったと痛感する。これで気温が高かったりしたら、まともに歩けなかったかもしれない。御田で休憩したときには、もう倒れこむような感じで岩に腰かけ水分補給をした。雪渓からの冷気に当たり、もうそこに駐車場があればとひたすら願ったくらいだ。このとき昨日ヨレヨレで下ってきた登山者の顔を思い浮かべていた。こんなにたいへんとはねえ。そして14:30頃祓川登山口の駐車場に這う這うの体で戻った。
ホッとすると汗でベトベトの自分の体が気になる。一刻も早く温泉に浸かってサッパリしたい。予定どおり立ち寄り湯ができる鳥海荘を目指すことにした。所要30分強で鳥海荘のまん前の道に入っていく。とそこで同じテント場にいたアロハシャツのおじさんのアメ車とすれ違った。考えることは同じなのだ。でもこのおじさんはテント場に戻り、即撤収してしまったようだ。山の神と私が2泊目のキャンプ場に戻ったときには、その姿はすでになかった。
月山へつづく
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