目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

春を背負って

2014-06-28 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

001_2 『春を背負って』笹本稜平(文藝春秋)

6話収録のドラマ仕立てになっている。笹本氏らしく、これでもかと事件や事故が起こり、どんでん返しありで、ストーリーに起伏があって非常に面白い。ただ深く突き詰めて考えると、なんかヘンだぞというのもあるけど、まあ、気にしないで読みたいところだ。

舞台は、奥秩父。甲武信や国師、十文字峠、雁坂峠など、山屋さんにはおなじみの場所が次々に出てきて、いやがうえにも盛り上がる。

まず冒頭第1話の「春を背負って」で、この本では欠かせない脇役ゴロさんがいきなり訳ありで登場する。次の「花泥棒」では、美由紀。読み進めていくと、あっという間に主人公亨(とおる)のフィアンセ・フラグが立ってしまう感じだが、あまりにも重たいエピソードを背負っての登場だ。

「野晒し」は、遭難者の白骨死体を見つけるところから、ストーリーが幕開け。ちょっとオカルトチックな内容だが、それなりに辻褄が合わせてある。「小屋仕舞い」では、第1話に続いて再びゴロさんがピンチに陥る。気ままに生きる60代男の健康管理は難しいものだ。「擬似好天」は、危険な山の天気をモチーフに、雪で山小屋に閉じ込められるおばちゃんパーティを描いている。ある事情のため、是が非でも下山したい一人のおばちゃんは、どんな行動をとるのか、ハラハラさせられる。

「荷揚げ日和」は、ヘリの荷揚げを見て、着想を得たのだろうか。去年新穂高温泉側から北アルプスに入ったときにヘリが何度も往復していたのを思い出した。少女と猫のトマトが巻き起こす事件だが、とてもメルヘンチック。でも暗いストーリーがそのメルヘンの裏側にはあるのだが。

 

文庫版は、地図が収録されていて、山や山小屋の位置関係がわかるようになっている。さらに付録として巻末に映画監督木村大作氏と笹本氏の対談が掲載されている。もちろんテーマは、この本を原作にしてつくった映画についてだ。舞台を奥秩父から立山に変更しているとか、登場人物の造形など、興味深い監督の見方や、撮影時のエピソードが紹介されている。文庫版だけの特典だ。

春を背負って (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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節刀ヶ岳・鬼ヶ岳

2014-06-27 | 山行~伊豆・箱根と富士山周辺

節刀ヶ岳 標高 1736m 鬼ヶ岳 1738m 山梨県

2005年5月15日(日) くもりのち小雨

メンバー 単独

コースタイム 7:20魚眠荘前駐車場7:30--8:18カラマツ林入口8:23--9:12雪頭ヶ岳9:24--鬼ヶ岳--金山--10:05節刀ヶ岳10:15--10:40鬼ヶ岳10:45--11:20鍵掛峠(昼食)11:55--12:50駐車場

もう事情はよく覚えていないが、山の神はお留守番だった。5:00起きして、ひとり自宅を出発した。コンビニで買出しをし、中央道を走り、いつものように談合坂SAで朝食。脱兎のごとく走りぬけ、河口湖畔、魚眠荘前の駐車場に車を滑り込ませた。

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左:魚眠荘前駐車場。立派なトイレつき 右:登山口へいたる農道

駐車場はガラガラだった。昼食をどこかの山頂で食べようと計画すると、まだ早すぎるからだ。車を降りて山のほうを見ると、白い雲が山頂付近をなめている。明らかに山頂付近は雨が降っていそうだ。それでも身支度をし、7:30に駐車場をあとにした。

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左:休憩したカラマツ林への入口 右:雪頭ヶ岳山頂

農道を進み、建設中の砂防ダムのところから登山道に入る。憂鬱な暗い杉林の急登が続く。そこを抜けると、明るいカラマツ林が眼の前に現れた。ひとまずここで休憩をとる。

歩き始めると、カラマツ林からブナの森へと樹相が変わる。青々とした新芽がすがすがしい。残念なことに下から見えていた白いガスがこのあたりから徐々に広がってきた。9:12雪頭ヶ岳山頂に到着。

 

 

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左:鬼ヶ岳山頂 右:節刀ヶ岳山頂

ごつごつした岩場の鬼ヶ岳、金山を通過。なかなか気持ちのいい尾根を進み、10:05節刀ヶ岳山頂に着いた。ガスが一体を包んでいて展望はまったくきかない。山の神に山頂に着いたよとケータイでメールをうっていると、後からきた2人組のおばさんに写真を撮ってもらえますかと声をかけられた。あれっ!登高中に見かけ、追い抜いたおじさん2人組がおばさん2人組に化けたとギョっとしていると、もう一人いて3人パーティだった。当然まったくの別人だった。それにしても背格好や雰囲気が似すぎだ。

下山を始めると、当のおじさん2人組が先を歩いていた。節刀ヶ岳をカットしたようだった。

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左:鍵掛峠 右:鍵掛峠から新緑の森を下る

7,8人のパーティとすれ違って、鬼ヶ岳に到着。そこから岩場を通って、雨がぽつぽつ降る中を鍵掛峠へ移動した。峠には3人パーティがいて、ちょうど出発するところだった。これ幸いと、そのスペースを占領した。さあ、メシだ。雨がやむのを見計らって、ラーメンをつくりはじめた。ところがストーブからはプスプス、シューという音。ガス切れだ。お湯が沸かないうちに火が消えてしまった。大失敗だった。こういうときに限って予備のガスカートリッジは持って来ていない。ラーメンは諦めて、コンビニ調達のおにぎり1個とサラダを食べた。さびしい昼食だった。ついでに告白してしまうと、家に帰ってから、さらに恐るべきことがわかった。袋麺の賞味期限がとっくの昔に切れていて、麺の色は変色しているし、わずかながら異臭も発していた。気づかずにこれを食べていたら、タイヘンなことになっていただろう。賞味期限はみなさんも気をつけましょうね!

昼食後そろそろ下るかとザックを背負っていると、ちょうど年配者のパーティが峠に上がってきた。これから王岳だといって、足取りは軽やかに元気に通過していく。私も王岳へ行きたい!とこのときに思ったのだが、実現したのは、2013年12月だった。だいぶ間があいたものだ。

下り始めると、雲が切れ、ガスもなくなり、スカッと青空がのぞいた。しかもきれいなブナの原生林が一帯には広がっている。最初からこうだったらよかったのにと思った頃には、もうほとんど下界だった。

王岳山行記録 http://blog.goo.ne.jp/aim1122/d/20131214

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北アルプス大百科

2014-06-19 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

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『北アルプス大百科』岩橋崇至(阪急コミュニケーションズ)

いただきものの本を久々に繙いてみた。たしか編集を担当されていた沼田さんから手渡されたように記憶しているが、さだかではない。氏は数年前に亡くなられている。享年70歳。ご冥福をお祈りいたします。

沼田さんは山の先輩である。90年代に沼田さん率いる山の会の面々で大菩薩のロッヂ長兵衛に宿泊し、甲州ワインの一升瓶をしこたま飲んだことを昨日のことのように思い出す。しかも2年連続で。あの頃は皆よく飲んだし、よくしゃべった。古きよき時代。

さてこの本は、大百科というだけのことはあって、たいへんな豪華本である。写真がとにかくすごい! モルゲンロートの槍、ガスのなかに姿を現したジャンダルム、ナナカマドの真紅が映える秋の涸沢、白馬大雪渓のお花畑、太陽柱やブロッケン現象といった自然現象、高山植物の華麗な花、花、花。カモシカ、オコジョ、雷鳥などの生き物たちなど、北アルプスのあらゆるものが被写体だ。大正時代に撮影された焼岳噴火の貴重な写真もある。近代登山黎明期、冠松次郎の「奥仙人谷の吊橋」も貴重な一枚だ。かつ必見。現代であれば危険すぎて通行禁止必定のスリリングな吊橋。とても日本とは思えない。

百科だから、科学的な知見もいっぱい詰まっている。北アルプス独特の地形やその成り立ち、気候、植物や動物などの生態、加えて観光や登山ルートなど、さまざまな切り口で北アルプスをとらえている。知的好奇心を十分満たしてくれる内容だ。

でも私は、知的好奇心よりも、見て楽しむ写真の美しさ、楽しさを重視したい。とにかく前述の写真はすばらしいの一言に尽きる。著者の岩橋崇至氏は、ロッキー山脈の写真家として有名だが、この北アルプスの写真群も評価が高い。四季折々の北アルプスの風景を撮るためには、何度も何度も彼の地に足を運んだことだろう。その労と一瞬の美しさを切り取った審美眼には敬服する。

一家に一冊保存用に、あるいは雨の日に眺めて楽しむ本として蔵書にいれておきたい。それにしても見れば見るほど北アルプスに行きたくなる。

北アルプス大百科
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阪急コミュニケーションズ
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カッコソウの鳴神山

2014-06-16 | 山行~上州

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2014年5月18日(日) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:00もちまる橋駐車スペース8:10--大滝登山口--9:03水場上部9:12--9:45鳴神山(桐生岳)昼食10:25--仁田岳--椚田(くぬぎだ)峠--カッコソウ群落--コツナギ橋--11:33駐車スペース

絶滅危惧種のカッコソウの群落があることで有名な、鳴神山。前の週にNHKの首都圏ニュースで放送になり、これを見た人ですごい人出になるのではと危惧したものの、予定どおり鳴神山へ向かうことにした。

“鳴神山”というちょっとかっこいい響きの山名の由来は、私の勝手な想像だが、山頂直下に雷神岳神社の社殿があることから、雷神がおわす山ということなのだろうか。登山口に鳥居があることから、山全体がご神体のようだ。

さて、山行記録に入ろう。ここのところ予定から10分遅れの出発が当たり前になっていたが、予定どおり家を5:00に出発した。上里SAで朝食をとり、初めて北関東道に入る。この道が東北道につながっていると思うと、なにか不思議な気分になってくる。太田桐生ICで下りて、桐生バイパス。途中にあったセブンイレブンで買出しをし、桐生の市街地を抜けて、ひたすら道なりに進む。梅田南小前で左折し、県道沢入・桐生線に入った。道幅が狭くなって少し行くと、鳥居が目印の大滝登山口がある。どうぞ駐車してくださいといわんばかりにスペースがあるのだが、無断駐車は禁止になっている。駐車スペースは、この少し先の路肩に3,4台くらい、私が停めたもちまる橋のあたりに2,3台、あとはコツナギ橋付近に数台分がある。

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左:もちまる橋の駐車スペース 右:大滝登山口

8:10もちまる橋に車を置いて、山の神と出発。大滝登山口まで車道を歩いて引き返す。鳥居をくぐると、右手には樹徳高校の施設がある。すぐに登山道になるのだが、それを抜けると荒れ気味の林道になる。まもなく大滝が現れる。名前の割には、こぢんまりとしていて、興をそがれる。傍らには祠があって道中の無事を祈った。

004img_7510 さほど大きくはないのだが、大滝

このあと山頂まで、延々直登といった感じで、アキレス腱を酷使する。途中、お父さんと小さいお子さん2人の家族連れを追い越した。お姉ちゃんはすでにバテ気味で、引き返したいそぶりがありあり。子どもにとってはキツいコースだろうね。

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左:イトトンボが多数飛んでいた 右:水場

水場を過ぎたあたりから、宇宙からの使者のような鳴き声(ミミズク・フクロウ系?)が聞こえてきた。それは不気味な機械音のようにも聞こえ、時折森のなかに響きわたる。そうこうするうちに、新緑のきれいなところに出た。この辺りで休憩にしようと、山の神に声をかけ、腰をおろした。ふと気づくと、いつの間にか怪異な機械音は聞こえなくなっていた。代わって野鳥の気持ちのいいさえずりが聞こえてくる。

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左:雷神岳神社 右:鳴神山山頂。赤シャツは山の神

新緑の休憩ポイントからも、しばらく急な上りが続き、うんざりしてくる。そろそろカッコソウかとじれてきた頃、はるか上のほうに看板らしきものが見えた。あれがカッコソウの群落の保護囲いか? 近づいていくと、大当たり。でも、花が少ない。ちょっと落胆して、さらに登っていくと雷神岳神社に着いた(左上)。

神社を越え、鳴神山(桐生岳)山頂には9:45に到着した。すでに数人が山頂からの展望を楽しんでいた。ぐるり360度の大パノラマはすごいの一言に尽きる。八ヶ岳、富士山、浅間山から榛名山系、日光連山……。見ていて一向に飽きない。

そのうち山頂から人も去り始め、ゆったりとしてきたところで昼食にすることにした。まだ早いけど、この先食べるところがないかもねと山の神と話していると、近くにいた年配夫婦もガサゴソと食事の準備を始めた。

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鳴神山山頂から。左奥に浅間山。中央付近は榛名山系

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鳴神山山頂から。中央のずんぐりした山は男体山、その右に女峰山

上り時に追い越した家族連れが山頂に到着するのをしおに、下山を開始した。時計を見ると、まだ10:25だった。稜線はツツジが盛りで、華やいでいた。そのツツジのトンネルを団体さんが続々とこちらに向かってやってくる。

仁田岳にはすぐに到着した。まさに鳴神山とは指呼の間、目と鼻の先だった。小さな祠が2つあるだけの地味な山頂で、登山者がそこにいなければ、気づかずに危うく通りすぎてしまうところだった。

そこからしばらく進むと、第一展望台。赤城山が目の前にでんと座っている。赤城山は、この方角から見ると、こんなにも大きく立派なのだ。関越を走りながらの赤城山しか見ていなかった私にとって、この美しい山容は新鮮かつ驚きだった。

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第一展望台より。でっかい赤城山

椚田(くぬぎだ)峠は通過。ここからいきなり地味な杉林に入るが、峠直下にカッコソウの群落があった。おおと思わず声が出るほど、花を咲かせていた。先週のNHKはここを撮ったのだろう。登山者もここに集中している。カメラを携えた人ばかりで、思い思いにアングルを決めて、シャッターを切っていた。

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左:鳴神山と仁田岳の間で咲き乱れていたツツジ 右:椚田峠直下のカッコソウの群落

014img_7550 015img_7551 左:ヤマブキソウ 右:ヒイラギソウ

沢沿いにどんどん下っていくと、ヤマブキソウやヒイラギソウ、そして名を知らぬ花々が咲き乱れていた。鳴神山は、田中澄江さんの「花の百名山」で紹介されているが、まさにその称号どおりだった。

登山道の終点は、コツナギ橋。ここから車道歩きになる。庚申塔や石仏群を越えると、愛車が待っていた。

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竹生島・向源寺・三井寺

2014-06-05 | まち歩き

滋賀県

2014年5月4日(日) 晴れ 5月5日(月) 雨

メンバー 山の神と私

前泊は、長浜のビジネスホテルウェルネス。晩飯はホテルから延々長浜の駅前へ歩いて、某地ビールのレストランまで行ったのだが、安居酒屋並にうるさいし、その割りには高いし、後から来た客に注文した料理は運ばれてしまうわで、がっかりなレストランだった。ガイドブックではよく見えたのだが、行ってみないとわからないものだ。ちなみに食べログではまあまあの評価のようだ。GWで客が多すぎたせいなのかな?

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左:宝厳寺唐門(現存唯一の大坂城遺構) 右:本堂(弁才天堂)  

翌朝、食堂一番乗りで朝食をとりチェックアウトした。竹生(ちくぶ)島へのフェリー乗り場へ直行する。チケット売り場に行くと、臨時便が出るという。さすがGWだ。8:30の第一便に乗り、いざ竹生島へ。竹生島の埠頭に着くと、映画「しゅららぼん」の看板が出ていた。本は面白かったのだが、映画は派手にコケタようだ。映像化するのは難しいだろうなと思ってはいたが、やっぱりという感じ。それはさておき、上陸だ。われわれが最初の便で到着したから、当然先客はおらず、かなり快適だった。しかもすぐ前を歩いていた人がいきなり右へ曲がっていくので、後をついていったら、これがまた正解。だれもいない。かわらけ投げの場所や国宝の都久夫須磨(つくぶすま)神社本殿、舟廊下など、ほとんど貸し切り状態でゆったりと見られた。

本堂への階段を上り、お参りして埠頭に戻る。観光客向けのおみやげやさんが軒を連ねている。山の神がおみやげを物色していると、おばちゃんが今朝つくったという柔らかいよもぎまんじゅうとお茶(¥150)を勧めてくる。おいしそうだねと思わず購入し、ベンチに座ってくつろいでいた。

そのうち今津からもフェリーがやって来て、続々と観光客が上陸してきた。たちまちにぎやかになるが、そんな喧騒もほんのひとときで、長浜からのフェリーに乗船。あっという間の竹生島観光だった。

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左:乗船したフェリー 右:向源寺

長浜に戻って、黒壁スクエア散策へ出発。まずは車を移動させ、駅前の駐車場に置いていこうと思っていたのだが、残念ながら満車。空きを待っている車までいる。少し離れた場所でもいいかと琵琶湖岸を走っていくと、釣り人がメインに使っているのだろうか、無料の駐車スペースがあった。ここもあと数台で満車だったのだが、滑り込みセーフ。山の神とのんびり散策へと出発した。

黒壁スクエアは、思っていた以上に広く、お店が縦横無尽に軒を連ねていた。ガラス細工や天然石などあちこち店を覗いていると、観光客が多いのも手伝ってかなりの疲労度に達した。そろそろ昼めしにしようと、あたりをつけていた叶匠壽庵へ向かった。カフェは空いていたのだが、レストランは満席で待つことになった。だいぶ待たされて、近江牛のカレーセットを食べた。値段の割には……と思った。B級グルメのっぺいうどんを目指すべきだったのかもしれない。

14:30頃木之本へ向けて移動を開始した。気持ちのいい湖岸の道をドライブだ。お目当ては、向源寺の国宝十一面観音菩薩立像。安置されている堂内に入ると、ボランティアの年配の方がいて、事細かに解説してくれる。2006年に東博に来た、とても優美な肢体の仏像で、いつまで見ていても飽きない。わざわざ近江まで来た甲斐があるというものだ。

この日の宿泊は己高庵。近江牛がうますぎた。

 

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左:三井寺金堂 右:観音堂

5月5日はあいにくの雨になった。宿をチェックアウトし、大津の三井(みい)寺へ向かう。カーナビに行き先をセットしていたのだが、安いカーナビは時々とんでもないところに連れて行ってくれる。皇子公園のあたりでナビは突然終了してしまった。山の神がこの辺りからハイキングコースがあるはずというので、車道を歩いていくと、東海自然歩道の入口があった。なまった体を動かし、腹についた肉を落とすため歩くことにした。山中を進んでいくと、きちんと道標がついていた。

雨がしとしと降る中、山の神と私は、山を抜け、大津市歴史博物館の裏手の車道にぬうっと降り立った。博物館の警備員がこちらを見ていた。かなり怪しい感じに見えただろう。車道を歩いていくと三井寺のまん前に立派な駐車場があった。なぜここに連れてきてくれないんだ!

三井寺の境内に入ると、とにかく広い。でっかい寺なのだ。引きずられて文様がけずれている弁慶の鐘や、微妙寺の十一面観音(ここの十一面観音は頭がでかく短足で昔の日本人を思わせる)を見て、最後は観音堂へ。ここからの琵琶湖の眺めは非常にいい。湖面には優雅にもヨットが浮かんでいた(写真下)。

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観音堂から琵琶湖を望む。湖面の白いものはヨット

ひととおり参拝を終え、駐車場に隣接した精進料理の風月に入った。メニューを見るとよりどりみどりだが、無難なところで、親子丼とそばのセットにした(¥1,050)。親子丼のとろとろ卵はおいしかった。店を出て、もう歩きたくないなと山の神と連呼しながらも、また傘を差して、しかたなく来た道を延々と戻った。

そして皇子公園から近江八幡を目指した。今度は事故渋滞というトラブルに巻き込まれ、到着は14:30過ぎ。臨時の観光用駐車場に愛車を停めた。八幡神社を参拝、川沿いを山の神とそぞろ歩き、街中の味わいある建物、酒游舘でのんびりお茶をした。最後にFIGAROが置かれたこじゃれたギャラリーも覗いた。

お泊りは、ホテルベストイン。駅前でしかも駐車場が広くていい。晩飯は近所にあった串焼き屋「串春」でたらふく食べて飲んで、今回のたびの締めくくりとした。ああ、でもまち歩きより、やっぱり山歩きがしたい。観光だけだと、必ず物足りなさを感じるのは、山屋の宿命だろうか。

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