Part1のつづき
鞍部で休憩している隙に、先ほど追い越した単独の年配者が横をすりぬけていった。
5分後に山の神とともに烏帽子岳へと腰を上げた。まずは加護丸稲荷の鳥居をくぐる。台風のせいなのか向かって右手の狛犬が登山道にズレ落ちてきていた。少し進むと、すぐに榛名富士から見えていた通りのきつい斜面に変わる。視線を上にやると、先ほどの単独者がゆっくりと登っているのが見えた。追いつけそうだなといいながら、息を切らし、急登にとりつく。傍らには目を引く、黄色く色づいた美林が広がっていた(右下の写真)。来た甲斐があるというものだ。
左:加護丸稲荷の参道。右手の狛犬が登山道にはみだしてきていた 右:一幅の絵のような紅葉
よく整備された道を上がっていくと、巨岩と小さな鳥居が見えた。 加護丸稲荷だ。岩場をよじって、鳥居のところに上がると、大量の陶器のおキツネ様が奉納されていた。ほとんどが壊れていてちょっと怖い感じもある。岩の穴につくられた祠にお参りし、先に進む。
左:加護丸稲荷 右:烏帽子岳山頂に広がる笹原
すぐに笹原に出た。山頂はどこだと山の神に言いながら広い笹原を進み、端っこのほうに来て、ようやく山頂の標示を見つけた(11:10)。先行していた単独者がそこで休んでいた。
昼食にしようというと、山の神がそこにレジャーシートを広げた。おにぎりをほおばり始めると、後からおじいちゃんと孫が到着する。しかし、この先に何かあるようなことを言いながら、笹原を奥へと分け入っていくではないか。その後すぐにまた別のパーティが来たが、同じようにこの山頂を通過していく。なぜ?
烏帽子岳の展望台から榛名富士・榛名湖・氷室山を望む
この笹原の奥にはもしかして、ビューポイントがあるんじゃないか。山頂を素通りしていった登山者は行ったきり戻って来ない。11:53昼食を終え、山の神とさっそく探検に出た。獣道のような笹原の細い道筋をたどっていくと、狭いながらも展望台が出てきた。ほお、見晴らし抜群だ。先ほどの登山者たちは、肩を寄せ合うようにここで昼食をとっていた。
これも烏帽子岳展望台から。相馬山と二つ岳
こんないい場所があったのか。知っていれば、ここで絶景を見ながらご飯にしたのに……。後ろ髪引かれながらも、狭い展望台を後にした。
左:鬢櫛山山頂 右:鬢櫛山の紅葉
サクサク下って12:13鞍部に戻る。ここで山の神が膝の違和感を訴え、下ることになった。最初はいっしょに下ろうと思ったのだが、予定していた鬢櫛(びんくし)山もやはり行きたい。山の神に行ってもいいよ、下でお茶して待っているからといわれ、それなら全速力で登って下りてくるわといって、別行動をとることになった。
トップギアでガンガン登る。樹間から見える紅葉がきれいだ。心臓をバクバク言わせながら、やがて超地味な人っ子一人いない狭い山頂に到着した(12:36)。ここで一息つき、来た道をトンボがえりだ。
鬢櫛山下山後、湖畔から紅葉の榛名富士を望む
山の神と別れた鞍部までは戻らず、その途中の分岐から榛名湖畔へと下った。誰にも会わずに湖畔に出る。湖畔は予想外に紅葉が美しかった。観光客がそぞろ歩きをしている。山の神に「いま湖畔に出た」とメールをすると、喫茶店には入らずに烏帽子岳の登山口にいるという。
左:榛名湖畔の遊歩道を行く 右:湖畔の紅葉は庭園のようだった
13:08山の神と合流。ここから湖畔の紅葉地帯をぐるりとめぐる。湖面を渡ってくる風は冷たく、寒さでぶるぶるふるえそうなくらいだ。この冷たい風がきれいな紅葉をつくりだしているのだろうけど、寒すぎた。けっこう長い遊歩道を歩き続け、やっと榛名湖ビジターセンターにたどり着いた。自販機で熱いレモネードを買い、紅葉狩りの観光客だらけの湖畔のベンチで山の神とまったりする。
14:10頃ビジターセンターの駐車場に戻って帰途につく。まだまだ榛名湖を目指して上がってくる対向車を横目に見ながら、カーブの多い道を下っていくと、なんと伊香保の手前で渋滞にはまってしまった。もう、こんなところから渋滞するのか。のろのろ走っているうちに時間はどんどん過ぎていく。それでも、最近高騰している野菜が安いかもしれないからと、伊香保の食の駅に寄りたいと山の神。それなら地酒も買っていくかと寄り道してしまった。ちなみに山の神は、東京より安い野菜を大量に買い込み、地酒は永井酒造の谷川岳をゲットした(谷川岳はすぐに全部飲んでしまった。うまかった)。
食の駅の後は、まっすぐ関越道に上がったのだが、関越では恐ろしい事態が待ち受けていた。渋滞といっても止まらずにいつも流れている関越は、この日だけはまるで違っていた。中央道みたいな大量の交通量と事故で駐車場状態に陥った。伊香保から家につくまでになんと、ちょっぴりの休憩を入れて、5時間40分。おかげで翌日から腰に違和感を覚えることになった。