目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

後生掛温泉からの散歩道~大泥火山と大湯沼

2017-10-30 | 山行~東北

標高 約1200m 秋田県

2017年9月23日(土)曇りときどき晴れ   

メンバー 山の神と私

コースタイム 後生掛温泉--ナナメ・マトメ--紺屋地獄--大泥火山--大湯沼--後生掛温泉 30分ほど

後生掛温泉から歩ける散歩道がある。この温泉に到着したときから、お散歩コースがあるのには気づいていて、山の神に宿をチェックアウトしたら、行ってみようと話していた。

 
左:後生掛温泉 右:ちょっと紅葉。階段を上がっているのは鹿角市山岳会名誉会長のIさん

チェックアウトをして荷物を車に積み込み出発しようとしていると、昨日八幡平下山後に会った鹿角市山岳会名誉会長のIさんにばったり。奇遇というか、この方はしょっちゅうこの界隈を歩いているのだろうから当然かという思いとが交錯した。でもこの季節、少しずつ色づいていく景色を毎日眺めても飽きないのだろうね。

 
左:後生掛温泉の悲話が書かれた案内板 右:紺屋地獄

水蒸気がもうもうと上がる横につけられた遊歩道を山の神とともに歩き始めた。まずはオナメ・モトメ(妾・本妻の意)が登場。夫をとられた本妻と、自分のせいだと身の置きどころがなくなったお妾さんが相次いで身投げしたといわれる恐ろしい場所だ。白濁した熱湯を崖の上から眺めた。こわ。続いてまたもや恐ろしげな紺屋地獄。有毒ガスが出てそうだ。 

 
左:一画だけ、きれいに紅葉 右:グツグツいっていた大泥火山

紺屋地獄の先に、ほんの一画だけきれいに紅葉している場所が見えた。あそこだけ寒風が吹き抜けるのか。

やぶっぽい遊歩道を突き抜けて行くと、大泥火山が出てきた。灰色の土が盛り上がり、その頂からブクブク、グツグツと水蒸気を噴き上げていた。


水温83℃の大湯沼

戻って分岐から大湯沼へ向かう。立入禁止で間近には行けないのだが、大湯沼の水蒸気がすごかった。水温83℃をうかがわせる白煙がもくもくと上がっていた。

帰りは売店に寄り、温泉卵を買った。お店の人によれば、半熟の温泉卵はここだけだよと。でもすいません。普通のにしました。うむ、うまい。温泉卵はいいね!

 
左:奥の建物で温泉卵を買う 右:石川啄木記念館に移築されている渋民尋常小学校

30分ほどで駐車場に戻り後生掛温泉を後にして、アスピーテラインを岩手側に下った。下り切ったところでたまたま松尾八幡平物産館あすぴーてを見つけ、立ち寄ることにした。山の神と目移りしまくりながら、地酒ほかお土産をしこたま買って、コーヒーで一服。

いよいよ今回の山旅も終わりだ。最後は20年くらい前に一度訪れていた石川啄木記念館を再訪する(山の神は初めてだった)。展示品の書簡や文書類を山の神と読みまくり疲れ果てた後に、啄木が一時期教鞭をとっていた渋民尋常小学校を見学。中に入れたので2階にも上がってみた。床が抜けそうだけど、だいじょうぶかといいながら、教壇に立ち、児童の机にも行って座ってみる。啄木の生きた時代にタイムスリップし思いを馳せた。

本日のお宿は遠野のB&Bくら乃屋。こちらも久々の再訪。薪ストーブが新たに設置されていて、月日の流れを感じたのであった。

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ブナの森と大湿原の八幡平

2017-10-26 | 山行~東北

標高 1613m 秋田・岩手県

2017年9月22日(金) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:22八幡平ビジターセンター駐車場8:37--大谷地から蛇沢沼方面コースへ入り込んで戻る--10:17長沼10:28--11:40木のベンチ11:51--13:04八幡平山頂--13:20八幡沼展望台(昼食)13:53--八幡沼周遊--14:28八幡平頂上駐車場(羽後バス15:05発で大沼=ビジターセンターに戻る)

6:00には大館グリーンホテルをチェックアウトしようといっていたのに、目が覚めたら5:36。それでもバタバタと準備をし15分遅れで駐車場の車に荷物を運び入れた。それから近くのコンビニに寄って朝メシ用のパンや昼食メシ用のおにぎりなどを買い込み、大急ぎで大館を後にした。平日ということもあり、出勤の車が多くてあせるが、信号が少ないのに救われて、道の駅かづのに7:00前に到着した。ここで温かい缶コーヒーを買って、山の神と朝食にした。すがすがしい朝だ。

 
左:八幡平ビジターセンター駐車場(トイレあり) 右:グツグツと煮えたぎる泥火山

7:30頃山の神と再び車に乗り込み、道の駅の真ん前にあるガソリンスタンドで満タンにし、八幡平ビジターセンターへと向かう。思い込みとは恐ろしいもので、後生掛温泉から、八幡平ビジターセンターへ曲がっていくものだと思っていて、後生掛温泉に行ってしまった。行ってみたら、行き止まり。あれ、おかしいと地図を見て間違いに気づき、来た道を戻った。8:20八幡平ビジターセンターの駐車場に入る。

もたもたして8:37に出発。ビジターセンターの向かって左側から登山道に入る。まずは泥火山が登場。ポコポコ、グツグツと泥の小山から蒸気が噴出していて、ちょっと恐ろしげな光景だ。

 
左:倒木に邪魔されながらも沢を渡る 右:ブナの美林が続く

ブナの森を抜け、沢を渡る。まだ台風の影響が残っていて、土管橋の入り口に倒木が横たわっていた。なんなくクリアすると、またブナの森に突入。しかもかなり深い森だ。昨日の森吉山の荒れ荒れの森ではなく、巨木がすっくと優美に立っている美しい森だ。山の神もご満悦!

 
左:目の前が開けて大谷地 右:大谷地から誤って蛇沢沼コース(菰ノ森)へ下ってしまった

やがて大谷地に出て、登山道はその端をぐるりと回っていく。しかし!またもややってしまった。分岐のところを何気なしに大谷地内部に入っていく道へ曲がってしまった。田んぼのあぜ道状の道を進んでいく。踏み跡もあって、なんの疑問ももたなかった。でも、がっつり下っていく道が見えたときに「?」が頭に浮かんできた。

私が先頭切ってどんどん下っていくと、山の神が立ち止まって、地図を眺めだした。明らかにこの道に疑念を抱いている。間違ったら、間違ったで何か出てくるさと、構わず進んでいくと、山の神が追いかけてきて、「この道は違う。蛇沢沼コース(菰ノ森)へ向かっているよ」と断言する。地図を矯めつ眇めつ見て納得した。たしかに間違いだ。がっくりとうなだれて、難儀やなとつぶやきながら、下ってきた道を登り返し始めた。

 
左:絶景かな、長沼 右:紅葉も始まっていた

分岐まで戻り、ここで間違ったんだと紛らわしい欠けた標示を確認した。そこからペースアップして、長沼を目指した。そろそろかと小走りに進むと、目の前に静かで一幅の絵のような長沼が現れた。おお、名前は平凡だけれど、最高だ。紅葉も始まっていて、目の前の樹木を見上げると黄色い葉が目にまぶしかった(写真右上)。向こう岸もちらほらと色づいている。


いつまでもとどまっていたかった長沼

水の中を覗くと魚が泳ぎ、岸を移動していくと今度は水面に突き出した植物がまた別の表情を見せ、飽きることがない。また来たいねと山の神に同意を求めると、答えはもちろんYES。

 
左:ブシ谷地 右:振り返ると地熱発電所の水蒸気が高く上がっていた

10:28去りがたい長沼を後にした。すぐに急な登りが出てきて、早すぎると思ったら、本番はそのあとに控えていた。ブシ谷地を越えてすぐに今回最大の難所となる急登が始まった。徐々に高度を上げていくと、なんとアオモリトドマツの倒木が登山道を完全に塞いでいた。強引に乗り越えようとすると、反対側に人がいた。どうしようか戸惑っているのかと思いきや、岩手県の管理員ですとの声。年配の女性がこちらに向かって、どうぞという。森吉山に続いてまた倒木攻撃かと思いつつ、幹に乗っかり、枝の隙間をくぐり、なんとか通過した。とすかさず、あとは八幡平までだいじょうぶですよと管理員さん。それはよかったとホッと胸をなでおろした。

11:40急登終了の目印、木のベンチに到着する。日陰のさびしい場所にポツンとある。ここで昼食にしようと思っていたのだが、山の神はまだお腹が空いていないと主張。もっと先に進んでからにするかと、この時は楽観視していた。


大湿原地帯へ

しばし単調な登山道を歩いていくと、目の前が突然開けて、大湿原地帯に出た。いや~すごい!絶景に次ぐ絶景。このルートを選んでよかったと自然と山の神と笑顔になる。


写真中央付近が草ノ湯への分岐

景色は最高だけれど、昼メシを食べるところがないなと、草ノ湯の分岐も越えていく。人っ子一人いない湿原&草原をどんどん進んでいく。突然、後ろを歩いていた山の神が「きつねだ」と叫ぶ。瞬時にして草陰に飛び込んでしまったようで、山の神が指さす先を見ても、何もいない。いつもなら、先頭を歩く私がまず見つけて、山の神が見損ねて、残ね~んとなるのに、今回は逆だった。きつね見てない!


八幡沼と陵雲荘

地味な登山道を最後に登りきって、13:04観光客でごった返す八幡平山頂に到着した(冒頭写真)。山頂といってもピークといった趣はまったくなく、かなりがっかりの頂だ。観光客とともに展望台に上がって、ぐるりと周囲の山を眺めまわす。腹が減っていると、ろくに景色も見えていない。

そこから観光用の歩道を歩き、八幡沼の展望台へ。展望デッキにたどり着くと、観光客が去った一角を占領して、ようやく昼メシにありつけた(13:20)。

 
左:沼の中をさも移動したように見える岩! 右:岩手山が近くに見える

13:53腹もくちて人も減ってきた頃、八幡沼周遊に出発する。沼の中の怪しい溝に首を傾げながら、気持ちのいい湿原の木道に入っていく。


草紅葉が広がる八幡沼回遊道を行く

草紅葉の中を山の神とずんずん進む。こちら側にはほとんど観光客はおらず、トレッカーばかりで静かだ。


池塘も点在

すでにもう日が傾いてきているのを感じながら、最後八幡沼をかすめて、お帰り道に入る。しばらく下の方に見えていた八幡平頂上駐車場に着いたのは、14:28。疲れたとバス停のベンチに腰掛け、15:05発、羽後バス玉川温泉経由田沢湖駅行きを待った。バスに乗ったのは、数人と少なかった。玉川温泉で多く乗ってくるのだろう。山の神と私は、大沼で下車し(¥490)、ビジターセンターの駐車場に戻った。

帰り支度を始めると、鹿角市山岳会の名誉会長Iさんが話かけてきた。きっかけは、車のナンバー。いつもこのブログの写真では、ぼかしていたが私の車のナンバーは「1122」。このIさんも「1122」で、おやと思ったらしい。1122メートルにまつわる「いい夫婦登山」の話に花が咲いた。縁とは異なもので、なんと翌日もこのIさんに会ってしまった。

それはさておき、本日のお宿は、後生掛温泉。古いけれども、昭和の味を存分に味わえる宿だ。テレビでもよくとり上げられる顔だけ出して入る箱蒸しをはじめ、いくつもある様々な湯で疲れを癒し、晩は日本酒の利き酒セットでグビグビやって至福の時を過ごしたのであった。

後生掛温泉からの散歩道へつづく

 

 

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熊さんの楽園、森吉山

2017-10-15 | 山行~東北

標高 1454.2m 秋田県

2017年9月21日(木) くもりのちはれ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 6:45一ノ腰コース登山口(こめつが山荘前)駐車場7:03--(旧ゲレンデははずして歩く)--8:13勘助道分岐8:20--一ノ腰--雲嶺峠--森吉避難小屋(トイレ休)--9:35阿仁避難小屋のベンチ9:45--10:15森吉山(向岳)山頂10:20--10:47阿仁避難小屋10:57--11:20森吉避難小屋(昼食)12:12--松倉コース--林道--14:50一ノ腰コース登山口

前泊は、テレマーク山荘 森吉山。5:15頃山の神と起きだし、宿の朝食をとる。ありがたいことに5:00台でも朝食を用意してくれるのだ。しかも事前に頼んでおけば昼用のお弁当までOK。でもせっかく早く用意してくれた割には、もたもたして、出発は6:30を回っていた。

 
左:一ノ腰コース登山口(こめつが山荘前)駐車場 右:スキー場跡を横切り森の中へ

6:45こめつが山荘下の一ノ腰コース登山口駐車場に到着。一番乗りだ。この山域は、熊の生息域で早朝と夕方はよく出没するというから、さっそく鈴を出して盛大に鳴らす。すぐ上にある山荘の真っ暗なトイレに入ってから、結局歩き始めたのは、7:03になっていた。先ほどまで晴れ間が見えていたというのに、一転にわかに掻き曇り、あたりは真っ白になっていた。

 
左:朝方までの雨で登山道は沢と化していた 右:六合目。秋到来!

旧森吉・千畑スキー場(2007年閉鎖。国有地のため原状に戻すのが原則で植林されている)のゲレンデを横切り、ガスっていて幽霊が出そうなくらい薄暗い樹林帯を進む。直登コースに入ると、昨日の雨の影響で沢のように水が流れている。

 
2点とも:ブナの巨木が登山道の真ん中や左右にそびえ立っていた

きれいなブナの巨木地帯に入ると、風が出てきて、葉にたまった雨滴を容赦なく吹き飛ばし、山の神と私の頭上に降り注がせる。これはたまらぬと、とりあえずザックカバーだけは付けた。

 
左:晴れ間が覗いた一ノ腰 右:紅葉している樹木もちらほら

しばらく単調な道を歩いて、勘助道分岐でそろそろ休憩にしようと山の神とザックを下した(8:13)。天気が悪いと、気分も今いち盛り上がらない。回復の兆しすらないのは腹立たしい。そろそろ晴れてこないのかとぶつくさいいながら、一ノ腰のピークへと向かう。登り詰めると展望もない地味な場所だった。しかし青空が覗き、晴れてくる予感! 紅葉している樹木もちらほら出てきて秋の気配も。

 
左:真っ青なコケ 右:少し草紅葉になってきた池塘

しかし晴れ間は、束の間で再び太陽は隠れ、なあんだとため息ばかりだ。まったくのぬか喜び。雲嶺峠を越えてまもなく、バイオトイレのある森吉避難小屋に着いた。山の神が小屋に入っている間、冠岩や隣に建てられている森吉神社を見て回る。驚かされたのは神社の扉。何か強い力で歪められていて、開けようとしてもびくともしない。熊の仕業かと、思わずきょろきょろあたりを見回してしまった。

  
左:稚児平 右2点:森吉山山頂。完全にガスに包まれてしまった

阿仁避難小屋横のベンチで休憩をとり、最後のひと登りに入る。私は登山口からずっとTシャツ1枚で登ってきたが、さすがに冷えて鳥肌状態。ここで1枚はおる。やがて、稚児平近辺で前方から単独行の年配者が来た。本日初めて会う登山者だ。

 
左:山頂にあったお地蔵様 右:風が強く長居は無用。下山開始

10:15深いガスに包まれた森吉山山頂に着いた。何も見えないし、しかも風が吹き荒れていて、長居は無用だ。記念撮影して、早々に下山を開始した。

 
2点とも:ガスが急速に流れ出し、目の前の景色が一変する

下り始めると、登山者がけっこう上がってくる。平日なのにこれだけ人が来るのは、人気の山ということなのだろう。その後阿仁避難小屋まで戻り、水分補給。そこから再び下り始めると、単独行の登山者に声をかけられた。先刻一ノ腰でブナの実をバリバリ食べている熊2頭がいましたよ。無謀にも熊鈴もラジオもつけていない若い登山者だった。音を出さずに歩いていると、やはり熊さんに会ってしまうようだ。出会いがしらの遭遇には注意を!

やがてガスが流れ始め、薄日が差してきた。下界が見え始めるとともに、目の前の景色が一気に広がって、気分も晴れてくる。

 
左:冠岩と森吉避難小屋。小屋の後ろから突き出ているのは、森吉神社の屋根 右:避難小屋内で昼食

それでもまだ居座っているどんよりグレー雲はうとましい。「もう少し遅く出発すればよかったかもね」という私の発言に山の神は、即座に否定して、「下山が遅くなるでしょ」。

11:20森吉避難小屋まで戻った。比較的新しく清潔な小屋で、くつろぐにはもってこいだった。宿で作ってもらったお弁当を広げて山の神と昼食にした。


森吉山を振り返る

12:12昼食を終えて、森吉避難小屋を後にする。青空の面積は広がっているものの、まだ雲のほうが多い。森吉山を仰ぎ見ると、山頂に雲はかかっていない。いま山頂にいれば、大展望だったか。

 
左:松倉コースへの分岐 右:松倉コースは荒れ荒れだった

帰路は、上りに使った一ノ腰コースではなく、山の神の勧めで松倉コースをたどることにした。山地図の解説冊子に松倉コースのブナは見事と書かれていたと山の神はいっていたのだが、、、

このコースは、あまり人の手が入っておらず、荒れ放題だった。

 
左:先日の台風の影響か、登山道を塞ぐ倒木(2箇所) 右:下のほうには、ブナの美林

ひどかったのは、先の台風で倒れたのか、巨木が横倒しになっていて登山道を完全に塞ぎ、通せんぼしていたこと。幾重にも折り重なった幹や枝を乗り越えるのは大変だった。ようやく通過して安堵していると、またもや全く同じように倒木が横たわっていた。山の神は顔を歪めながら、だまされたとしきりに主張する。それでもだいぶ下ったころに、ブナの美林が出てきて、ちょっとだけ救われた気分になった。

 
左:林道崩落箇所 右:何げなしに広い左の道へ行って失敗。こめつが山荘は、右だった

砂利が敷かれた林道に出て横移動になると、単調で長く感じる。しばらく行くと崩落個所、さらに進むと通行止めの標示が出てきた。ふうん、このせいで松倉コース側に車を停めて登る人がいないわけか。

山の神と、何気なしにそのまま広い道を歩いて下りに入った。あれ、どんどん下っていくのはおかしいぞと、地図を見直して気づいた。このままでは妖精の森キャンプ場に行ってしまう。さっきの分岐を右に進むのが正解だったのだ。戻るしかないねと下ったところを登り返す。勢いで2時間半以上休みなしでぶっ通しで歩き続け、14:50ようやく駐車場にたどりついた。朝と同じ愛車エスクードがぽつんと1台。上で会った人はもう先に帰っていた。

下山は遅れ、しかも疲労困憊。予定していた、八幡平に移動してテント設営するのはきついなとなって、ビジネスホテル泊に決定した。検索を始めるも、八幡平近く鹿角のビジネスホテルは満室で、どうしようかとああでもない、こうでもないと議論百出。山中で検索スピードが遅くて、じれてきて、とりあえず下界に下りようと車を動かした。結局空いていた大館グリーンホテルに予約をとりチェックインした。

ブナの森と大湿原、八幡平へつづく

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森吉のぬしに会う

2017-10-08 | 山雑記

森吉山の山行記に行く前に、やはり触れておかねばならないかと筆をとった。森吉山のぬしともいうべき人物に出会った。O氏としておこう。O氏は、森吉山に四季を問わず年に2,3度は訪れるという。ここが故郷というわけではなく、お住まいは神奈川県平塚で、もともと縁もゆかりもない。たまたまこの森吉の魅力を知ってしまい、何度も足を運ぶようになったとか。O氏が森吉山を訪れるときに拠点にしているのが、写真のテレマーク山荘 森吉山だ。たまたま山の神と私は、翌日の森吉山山行を控え、近くて便利なところを探してここを見つけた。

さて、山の神と私がテレマーク山荘にチェックインしたときに会合が行われていた。後からその中身を聞かされたのだが、この森吉山界隈の観光振興策について意見を交わしていたとのこと。もちろん会合は地元の有志たちが集っていて、喧々諤々やっていた。そこにO氏が割って入り、まず交通機関の充実を提言したというから驚きだ。森吉山のいくつかある登山口を結ぶ循環バス(マイクロバス)を設けたらどうかと。たしかにマイカーで来ても、必ず停めた場所に戻らなければならないから、行動は制限される。ましてや公共交通機関では、本数が少なくて不便だし、タクシーは高いし、台数もそれほどない。夏が終われば、紅葉の季節に観光客は来るけれども、ゴンドラで眺められる阿仁スキー場側限定になる(登山者は別として)。ほかにも森吉山を堪能できる場所はいくつもあるというのに。それをずばりと指摘したのがO氏だ。ジモティ以上に森吉を知る男だ。

宿での晩メシ後、こっちに来ないかとO氏のテーブルに誘われた。なぜかO氏は、ジモティのお友だちが大勢いて、平日の夜だというのにK氏が呼ばれていて一緒に酒を飲んでいた。O氏は話好きで気さく、とにかく人懐こい。風貌は、髪を伸ばしていて後ろで束ねているという独特のファッションで故水木しげる似。十分すぎるくらい人を吸い寄せる魅力を兼ね備えている。すっかりその魅力にとりつかれたジモティが多いのは頷ける。この界隈のお仲間の結婚式にも出席したことがあるというから、さらに驚きだ。

この夜は、O氏のおもしろい話に夢中になり、22:30頃の遅い就寝となってしまった。でも楽しかった。ちなみにO氏の経歴はかなり特異だった。学生時代は水泳の選手。某自動車メーカーに勤め、膠原病にかかり、早期退職した。趣味はトライアスロンで、山岳レースのトランス・ジャパンのボランティアを上高地で務めたこともあるとか。いまはニッチな仕事を請け負う自営業で自由を謳歌している。ノートパソコンさえあれば、どこでも仕事ができるらしい。奥さんは某芸能プロダクションの経理で、そのせいかやたらとアイドルに詳しく、聞いたことのない名前を挙げては評価を下していた。

翌朝5:00過ぎK氏が仕事のため宿を出て行った。その物音で目覚め、私は二日酔いの頭を振りつつ山支度し、さあ出発という頃、O氏が起き出して来た。そのO氏と宿のマダムにご挨拶をした。
「またどこかで会いましょう!」
すかさずマダムが突っ込み、
「どこかでって言ってるよ」とO氏を振り返った。
「ここだろうよ」とO氏。
「そうですね」と苦笑するしかなかった。

蛇足ながら、O氏の話でもっとも興味深かったのは、田中陽希くんのこと。彼が有名になる前からの知り合いで、陽希くんの次なるチャレンジの話をこっそり教えてもらった。でも公表は時期尚早で、しばらくは内緒なのだそうだ。ということで、ここには書けません。 

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金ピカたつこ像と角館お散歩

2017-10-07 | まち歩き

2017年9月20日(水) くもりのち雨  

前日は岩手の姫神山に登り、大移動して秋田の打当(うっとう)温泉、マタギの湯に宿泊した。本来なら、森吉山に登ってこの宿に泊まる予定だったのだが、天候には逆らわず、森吉山は先送りし、順番が逆になった。打当温泉は、山の中の秘湯。平日ということもあるけれど、宿泊客は少なく、久々に静寂に浸ることができた。露天は茶色の湯の花がゆらゆらと漂い、かけ流しの熱い湯があふれ出てくる。部屋は広くてゆっくりとくつろげた。

さて、この日は、週間天気予報では一貫して曇りや雨で、やはり晴れることはなかった。予定通り田沢湖でたつこ像を見て、角館の武家屋敷を散策しようとなった。

 
2点とも:打当温泉マタギの湯、玄関先

快適な宿だったこともあり、予定より40分も遅れて、9:40に山の神とともにチェックアウトした。車に乗り込むときにちょっと雨がパラついていたが、すぐに上がって幸先はいい。昨日通ってきた道を戻り、田沢湖へと車を走らせた。


たつこ像に20年ぶりくらいに再会する

エメラルドの湖面が見えてくると、ウソのように上空の雲がとれて晴れてきた。ラッキー! 湖岸をぐるりとまわり、すぐにたつこ像最寄の駐車場が出てきた。ガラガラの駐車場では、観光シーズンの夏場に設置したと思われる簡易トイレの撤去が始まっていた。作業する横をすり抜けて湖岸に下りると、目の前に金ピカのたつこ像だ。楚々としているけれども、こんなにピカピカだったとは、、、じつはここを訪れるのは2回目なのだが、昔のことはよく覚えていない。ただ渇水の年で、たつこ像のところまで水がなかったのは記憶しているんだけどね。

出発が遅れた分、のんびりもしていられないと山の神と田沢湖を後にした。天気も気になるところで、夕方から土砂降りの予報だったから、早めに行動したい。なんて思っていても、ちょっとしたお土産さんが目につくと寄り道になってしまう。田沢湖と目と鼻の先にあるのがむらっこ物産館。覗いたら、山の神がおいしそうな手作りゆべし(冒頭写真)を発見し、さっそく明日の森吉山山行用に2つゲットした。

 
左:角館 武家屋敷 右:SAKURAMARU COFFEE

角館に入って、桜並木駐車場(桜の名所)に車を停めた。有名な観光地だけあって、そこそこ観光客はいる。彼の地では、樺を使った家具や調度品が有名で、樺細工伝承館には、それらがずらりと展示してあった。なかでも樺だけで作られていた床の間は、その細工の細やかさ、風合いがとてもよく出ていて感心させられた。そのあとは、よくテレビの旅番組でもとり上げられている武家屋敷を散策。思った以上に道幅があって、ゆったりとしている。なぜかサラリーマンのグループも歩いていて、ご接待(?)と思ったりしたが、彼らは明らかに稀少生物で、総じて年配者の観光客が多かった。

13:00近くに遅めの昼食をSAKURAMARU COFFEEでとる。今朝はおいしい、おいしいと宿の朝食を大量に食べたせいか、あまり腹は減っていなくて、山の神と軽く済ませようと喫茶店にしたのだった。チーズベーコントースト(¥450)とコーヒー(¥450)をオーダー。誰もいなかった店内は、われわれが客寄せパンダになったのか、先刻見かけたサラリーマングループ、そして観光のご夫婦と続々と来店した。昼食を済ませたら、あとは明日の森吉山登山の準備だ。近くにスーパーかコンビニはないかとググると、スーパーよねやがヒット。さっそく車で移動し、パンやお茶、行動食を購入した。店から出てきた14:00頃、泣きそうだった厚い雲から、とうとう雨が落ちてきた。冷たい雨が気温をどんどん下げていく。途中阿仁の道の駅に入ると、半袖のシャツや、Tシャツを着ているのは、県外ナンバーの車から降りてきた人ばかり。もちろん山の神と私も例外ではなく、うすら寒い格好をしていた。

そして最後のひとっ走り。今朝方予約を入れておいた、森吉山の登山口にほど近いテレマーク山荘 森吉山にチェックインしたのは、16:30になっていた。あれだけ、じゃんじゃん降っていた雨はきれいにあがっていた。

熊さんの楽園、森吉山へつづく
姫神山に戻る

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