はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征6/10。(オペラシティアートギャラリー「藤森建築と路上観察」展、ギャラリー・スペースキッズ

2007-06-10 23:46:00 | アートなど
本日6月10日は、昨日に引き続き東京で展覧会3つを観て参りました。
とりあえず、データ抑えて簡単に。

1 新宿初台 東京オペラシティアートギャラリー「藤森建築と路上観察」展
 建築史家 藤森照信氏の建築家としての仕事と、トマソンで有名な路上観察学会 関連のもろもろを網羅した企画展。どうやら、ベネチアビエンナーレに出展した内容を活かした帰国展、という位置づけのようです。
 とにかく楽しい。思わずうふふと笑ってしまう物件たちはインパクト絶大。「高過庵」建築過程映像と、ビエンナーレに出展された「The ROJO」のスライドショーは必見。
 面白いモノ好きと路上観察学会&トマソンに興味のある向きはぜひ。
 同時開催のアートギャラリー収蔵品展「こことそこの間」も見ごたえあり。
 project N で紹介されていた若手  須藤由希子 の作品群も不思議な個性を感じさせる。
 なお、トータルでの鑑賞時間は3時間でした。余裕を持って観るのがおすすめです。
 会期は7月1日(日)まで。行ってみたい方はお早めに。

2 青山 ギャラリー・スペースキッズ「オープンアートデイ」
 若手4人のグループ展。能面、写真とコンセプトアート、油彩、アクリル画、と、立体から平面、無形にいたるまで実に個性豊かな作品が集う。

3 六本木 森美術館「ル・コルビジエ」展
 現代建築の巨匠、ル・コルビジエ生誕120周年を記念した回顧展。氏の手がけた絵画、彫刻、住宅、公共施設、都市計画などを、コンセプト解説とともに図面や模型・写真・映像・CGを駆使するばかりか原寸大模型まで使って紹介した良質な企画展。
 とにかく資料数が半端じゃない。圧巻です。
 そして、原寸大模型。恐るべき説得力。スケール感覚の個人差を吹き飛ばす展示は、建築関連展示のひとつの到達点なのかもしれないなと思いました。物理的、要件的に、ある意味では森美術館だからこそできた企画展のような気がします。
 いっぽうで、中身は非常に濃いのですが、建築やル・コルビジェに興味がないと少々辛い内容かも知れません。
 「面白かった!」というよりも、見終わって「勉強になった!」という感じの展示のような気がします。
 体力と時間に余裕のある時に行くのがおすすめです。
 ちなみに、前述の「藤森建築と路上観察」展でもこのル・コルビジェに言及している部分があり、両方を観ておくと、理解が深まってちょっとお得かもしれません。
(ピロティが頻出しますので、ラーメンズ好きはニヤニヤしないよう心の準備を。)

 奇しくも同日に2つの建築関連展を観て、しかもそれらが支流と源流の関係にあったわけなのですが、巨匠と呼ばれるル・コルビジェの物件は緻密でコンセプチュアルでエネルギッシュだけれども、どこか落ち着けない点を抱えているような気がする反面、藤森建築は明らかにル・コルビジェの流れを汲みながらも、荒っぽくてむちゃくちゃなのに、人の好意を寄せ付けるような、中でくつろぎたくなるような根源的欲求を喚起する力を持っているような気がして、そのあたりが非常に興味深く思えました。
藤森建築には『土』や『大地』を感じるような気がします。
あるいは、この感覚は日本人の文化特性に由来するものなのかもしれず、海外における両者の評価も気になるところです。