はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

イッセー尾形のとまらない生活2008 in 仙台。

2008-03-09 22:47:57 | 日記・エッセイ・コラム
昨日3月8日は、仙台市広瀬文化センターで上演されていた「イッセー尾形のとまらない生活2008 in 仙台」の19時公演を観て参りました。

私にとっての初イッセー尾形氏。想像どおりに良質の舞台でした。
強烈な個性を持った人々の日常を切り取った、抱腹絶倒ながらどこか人間の持つ業のようなもの悲しさも漂う一人芝居。老若男女7人を1人づつ演じ分けてゆくさまは、観ていて感心しきりでした。
巷には都市の理論に立脚した作品が多い中、イッセー氏の作品は日本国内どこでも通用するユニバーサルな視点を持っているように感じられ、その点においてとても嬉しく思えました。
おそらくこれは、十数分に濃縮された舞台が人間の個性そのものを見つめ、表現しているからではないかと推察されます。いっけんシチュエーションコメディのように見えますが、その人間のおかれた環境や文化的背景、育ってきた環境などが滲み出る内容でありながら、究極的には人間の置かれたシチュエーションを描いているのでなく、そこ描かれる人間の個性を描き出すにふさわしい状況を利用して人間そのものの性を提示しているのではないかという印象を受けました。
感得することの多い舞台。機会があればまたぜひ拝見したいです。

以下、軽く短評メモ。ネタバレになるので畳んでおきます。
題は勝手につけたもの。気が向いたら詳細を書き足します。

1 空港のカツカレー
 急遽熊本出張へ行くことになった中年男。空港のコーヒーショップでカツカレーを注文するが、たびたびかかってくる電話によって翻弄されるさまを描く。

2 喫茶フジ
 友人に頼まれて急遽喫茶店の店番をすることになった老婦人。モーニングセット目当てに来店する客との頓珍漢なやり取りを描く。

3 月見坂
 町内会の旅行で孫とともに中尊寺にやってきた老人。坂に難儀しながら登ってゆく道中、愚痴と挙げ足取りの人生をふいに見直すできごとが起こる。妄想と内省のあわいを描いた悲喜こもごもが展開。

4 白ギツネ
 ひなびた温泉ホテルに配置換えされた若者。田舎のギャップに愚痴をこぼしつつ客たちと交流するうち何かに目覚めるさまを描く。

5 ショータイム
 場末のバーで働く高齢ホステスヒトミちゃん。セメント工のヌズスさんに指名を受けて、客を楽しませようとあれこれ微妙なトークと特技を展開するさまを描く。芭蕉の俳句メドレーで歌い上げたブルース演歌が秀逸。

6 内田さん家
 素封家らしき内田家へ子供とともに招かれた、べらんめえな粗忽者荒川。荒川父の育ちのギャップと早とちりな性格から巻き起こる騒動を描く。

7 琵琶
 未婚女性の谷口。帰宅するなり会社でのストレスを琵琶に託して熱く歌い上げる。『天涯孤独の進化論』やエレキ的な奏法が鮮烈。