「TAKE OFF」札幌遠征で泊まったホテルで朝ふと窓の外を見ると、どうも見覚えのあるフォントが目に飛び込んできました。『本多』？
目を凝らすと、向かいの建物の壁に看板跡らしき文字がうっすら。
『札幌
本多
●●●』
三段目が薄れてよく見えなかったのですが、このフォントはどう見ても下北沢の「本多劇場」と同じ。
まさかなあ、と思いながら気になって調べてみると意外なことがわかりました。
その昔、札幌にも本多グループの劇場があったらしいのです。
その名も「札幌本多小劇場」。
しばらく前に廃業してしまい、移転縮小して今は「BLOCH」がその後を引き継いでいるのだとか。
ホテルから見えた建物が、その札幌本多小劇場跡地だったというわけです。
たまたま泊まったホテルでたまたま割り振られた部屋。
他ならぬこの部屋に泊まらなければ絶対に気付かなかったであろう過去の記憶。
不思議な縁を感じました（笑）。
本多小劇場ビルはご周知のとおりルネッサンスマリアテアトロという名前に変わりましたが、その後の経営状態が悪く倒産いたしました。そして、建物は差し押さえられ競売にかけられ、落札したのが宗教法人札幌アガペチャーチです。
状況を知らない（よく劇場を利用していた）劇団員の方たちなどが、「宗教団体に乗っ取られた」ようなことを言っていたようですが、決して不正ではなくまっとうな手続きを踏んで普通に購入しております。
現在は「マナチャペル」という名前のプロテスタントの教会になっており、劇場部分はそのまま「礼拝堂」になっていて、日曜日であればだれでも自由に礼拝に参加することができます。
私もかつてお客さんとして見に来たことがあり、また大学の後輩が何度も公演に利用させていただきました。
そして今はクリスチャンとして毎週礼拝しています。
しかし、明け渡された劇場は悲惨なありさまでした。
乗っ取られた（と思いこんだ）ために腹いせに、劇場の出入り口のドアはすべて外され、照明やＰＡのケーブルは無残に切断され、とてもそのまま使えるような状態ではありませんでした。下手に主電源を入れると漏電して火災の恐れがありました。
しかし、教会も膨大な借金をして建物を購入しているため本格的な修理もできず、長いことそのまま（ドアの代わりに中古の暗幕を貼り、切断されたケーブルは全てビニールテープを巻き）使っていましたが、少しずつ整備して、今はドアも設置されマイクやプロジェクター、基本的な照明は使えるようになりました。
クリスマス礼拝は特に劇や楽器演奏なども多く行い一般の方も多く来られますので、機会がありましたらぜひ寄ってみてください。
はじめまして。ようこそお越しくださいました！
おお、実際に札幌本多小劇場で働かれていた方なのですね！
このホテルの、まさにこの階のこの部屋でなければ気付かなかったであろう『痕跡』。
しかも、私がたまたま下北沢の本多劇場をよく知っていたからそれと気付いたロゴ。
この記事は、ほんとうにものすごい偶然が重なった結果の産物です。
そんな偶然がまたこうして新たな偶然の出会いを生んでくれたこと、なんとも不思議で嬉しく思います。
施設の中身自体は今はどうなっているのでしょうね。
劇場としての許可はなくなってしまったのでしょうが、劇場の形態は残されているのでしょうか。
気になるところです。
マリアテアトロ！
なるほど、その名前ならば耳にしたことがございます。
なかなか素敵な劇場だったのですね。
今は催事場になっているのでしょうか？
過去の記憶を宿した建築物というものは、それだけで不思議な存在感があるような気がします。
仙台で同程度の劇場は？と考えると例がさっぱり浮かびません。10-BOXは稽古場という建前なので劇団にいまひとつ優しくないですし。
歴史ある小劇場を持つ札幌がちょっとうらやましいこのごろです。
そうです。昔は本多小劇場でした。
その後、マリアテアトロという名前になり、大泉でおなじみのナックスさんとかイナダ組とかがたくさん芝居を打っていました。
私も何度もそのハコで大泉のお芝居を観ていました。
ものすごく小さいハコなので、満員で桟敷席に座ると、役者が目の前。手を伸ばせばさわれるぐらいでした。
何度もつばを飛ばされましたよ…
そのころは、大泉が全国進出なんて想像も付きませんでした。
確かラーメンズも、マリアテアトロ時代に公演したことがあったような…？
思わず語ってしまいましたが、懐かしい思い出です。