はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

「やまだ眼」。

2007-03-01 22:04:20 | ことば
山田一成氏と佐藤雅彦氏の共著「やまだ眼」を購入しました。
これは、毎日新聞の夕刊に連載されていた同名コラムを書籍化したもの。
山田氏が書き留めた短い言葉に佐藤氏が解説を加える、という至ってシンプルな体裁の本です。
字数的にはそれほどのボリュームはありません。
しかしながら、これが、深い。
短い山田氏の言葉からは、立体的な奥行きを持った鋭い視線の存在がひしひしと伝わってきます。
思わず笑ってしまう風景を切り取った言葉の数々は、穏やかだけれど鋭利で、どこか切なく、そして優しい。
ただの『笑いの手段』としての言葉に堕した笑いとは対極にある『言葉=笑い』だと思えます。
また、世には都市の理論に立脚した笑いが多いように感じられる中、山田氏の醸し出す笑いはどこか都市性とは遊離しているような印象も受け、それはつまり、山田氏が図らずも人間社会の普遍を描いているからではないか、とさえ思えます。
山田一成氏。すごい人物です。
そんな山田氏の言葉たちが、いわゆるお笑いネタ本ではなく新聞&書籍という媒体で世に提示された意義は大きいのではないでしょうか。

佐藤氏によるまえがきの中で語られる「やまだ眼」誕生の経緯。
そして、山田氏によるあとがきの中で語られる「やまだ眼」誕生の経緯。
立体的に立ち現れる二人の関係性。
互いが互いを『見出した』様子が互いの目線から真摯に綴られるさまに、読んでいて何とも言えずあたたかな気分になりました。

日常に潜むエアポケット的視点の数々。
佐藤氏の解説も秀逸。
おすすめです。

ちなみに奥付を見ると、この本はどうやら2月25日発行だった模様です。
私が行った書店では、ビジネス書コーナーに平積みされておりました(笑)。
毎日新聞社刊だからでしょうか。
いずれにせよ分類し難い書籍と思われます。

ところで書籍実物を見るまで私はこの書名を「やまだめ」だと思っていました。
正解は「やまだがん」。
なるほど、鑑識眼と同列の山田眼、ということなのでしょうか。
高1にして「臨場感」が「りんばかん」ではなく「りんじょうかん」であると知った時に似た軽いショックです(笑)。
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