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Tcupサ終のため2022年春に移籍しました。岩手盛岡のことやサッカーなどスポーツのことを書きたいと思います。

酒盛り不良物語

2008-11-27 10:04:31 | ザ・ハングタン
(注意)
この作品には、法律違反や犯罪の描写がございます。また、この作品はフィクションであり、登場する人物・団体・事件などはすべて架空のものです。ご理解の上お読みください。
あと、決して真似をしないでください。

盛岡の名物わんこそば。ハングタンご一行様もわんこそばに挑戦。スティングこと原俊彦はわんこそばの100杯くらいは、と自信満々。
「でも100杯食えなかったら全員分自腹だから」
「キビシーーーーッ!!」
というわけでハングタンたちは東家本店へ。

スティングはさっそく二階でわんこそばに挑戦、ハングタンたちの野次にも負けず見事100杯を食べきった。
「よし、これで証明書がもらえるぞ」
続いてマッキーが挑戦。スティングには負けたくなかったが、そこは女の子だ。さすがに100杯はきつかった様子。しかし一階の棚で酒を発見すると人が変わった。
「これ、良くない?帰って一緒に飲もっ」
「そうだね」
「だめよ、これはそばの前に飲むんだから」
「あ、そっか」
それでもマッキーはそば前酒「中津川」を購入した。

一方、盛岡学園の高等部の屋上では数人の生徒が夜遊びをしていた。そこへ教諭がやってくる。
「こりゃいいや、先生」
「おお」
「高橋先生もこっちで飲みましょうよ」
高橋先生と生徒たちは屋上で酒盛りをやっていた。これは現実には犯罪だが、ここではあくまでフィクションだ。


翌朝、盛岡学園の理事長室にマッキーとショパンが呼び出された。
「実はうちの学園の退学者が夜な夜な公園などで酒盛りをしていると言う話なんだ」
「そりゃ退学もやむを得ないっしょ」
「それはわかるのだが、問題はそれのあとだ」
マッキーはキョトンとした目をした。
「実は先日、公園近くの住宅で放火があった。そこにアルコールが撒かれた痕跡があるため放火とわかったんだがね」
「でも放火魔が学園をクビになった人たちというのもね」
「それだけじゃないのよ」
「実は他の高校の生徒にも酒を強要したと言う報告がある。もし公になったらわが校の名誉毀損だ」
ゴッドの怒りに応えたマッキーとショパンはさっそく捜査を始めることに。

まずは校内の素行調査で飲酒などしてる子がいないかをチェック。しかしマッキーの前に英語教諭の高橋和幸が立ちはだかる。
「牧村先生、何してるんですか」
「べっ、別に…変なことしてるわけじゃ」
「ならいいんですが」
そう言って高橋は去った。
「あたしは日本酒と焼酎しか飲みませんから!」
マッキーはアッカンベーをした。一方のショパンは不良の被害に遭ったと言う3年C組の吉田雅人と屋上に向かっていた。
「ここで僕、竹田と絡んだんだよ。それで…」
「その竹田君に酒を飲まされたのね」
「違うんだ、僕は飲んでないんだよ」
雅人はショパンに潔白を訴えた。するとショパンは雅人を信じると言い、不良グループが現れないようになんとか努力すると約束した。
「絶対だよ、竹田をとっつかまえてくれよ」
「うん」

ショパンは雅人の言葉に出た竹田について調べた。
竹田和晃、18歳。巻堀中学から盛岡学園進学も、家庭のすさんだ事情から半年前に退学している。
「家庭の事情…ねぇ」
ショパンはさっそく竹田の実家を訪ねたが、誰もいない。近所の人に話を聞いても誰も取り合ってもらえず困ったショパン。するとスティングが好摩駅前でショパンに竹田和晃の話をする。
「竹田和晃の話だろ。この好摩まで無駄足だったね」
「えっ?」
「あいつ、巻堀には戻っていない。今は津志田のほうでヤンキーホームレスよろしくやってるよ」
「津志田ですって!?」
驚いたショパンはマッキーに電話。しかしマッキーは仙北高校との練習試合のため出かけていた。マッキーはホワイト、ウイングらに混じって真剣に試合をやっていたが、そこに突然呼び出しの校内放送が流れた。
「牧村先生、盛岡学園の牧村先生、お電話が入っています」
「先生、呼んでますよ」
というわけでマッキーは職員室へ。電話の相手はゴッドだった。
「実は津志田の界隈で重要参考人目撃情報あり。仙北高校との練習試合終了後すぐ津志田方面の警戒に」
「わかりました」
そしてマッキーはウイングとホワイトをお供に津志田界隈のパトロール。ここにアローも合流して竹田和晃を探すことにしたが、この日は見つけられなかった。

その頃高橋は青山駅の上りホームでウイスキーのジャック・ダニエルをかっ喰らっていた。そして昼の出来事を思い出していた。
「なんでぇ、あんな小娘」
そして女子校生に寄りかかろうとしたが、電車が来たので自重した。

翌朝、ひとりの高校生が前九年公園で寝ているのが発見された。高校生は病院に運ばれ、酒を飲まされたと診断された。そのニュースをマッキーも知って驚いた。
「あいつら、裏をかきやがった」
「竹田和晃君は関係あるかしら」
「あるんじゃない?当然でしょ」
そこへ電話が。相手はスティングだった。
「大変だ。上堂のほうで窓ガラス割られた家が多発しているらしい」
「えっ?」
というわけでマッキーとショパンはスティングの待つびっくりドンキーへ。そこでスティングは上堂のガラス割り事件が関係あるか、という話をした。
「青山での放火、上堂でのガラス割り、偶然にしてはおかしいと思いませんか?お二人さん」
「…偶然よね、偶然にしては出来すぎてると思うけど」
「やっぱり今流行の無差別テロでしょ」
「そんなわけはないのだ。実は近くの人からウイスキーのにおいがしたとか話を聞いたんでね」
「ウイスキー?」
「バーボン?スコッチ?」
スティングは頭を抱えたが、そのとき店からテネシーワルツが聞こえてきた。
「テネシー…あっ、ジャックダニエルかな。俺も飲んだことあるから」
「ジャックダニエルって、そういえば高橋先生が」
「知ってるの?」
「隠れて飲んでいるらしいのよ」
スティングは大通りの裏通りにジャックダニエルの飲める店があることを思い出し、さっそく高橋を誘ってくれとショパンに言う。
「わかったわ。その代わり…」
ショパンは伝票をスティングに差し出した。
「ゴチになります」
「右に同じく」

マッキーは放課後アローとホワイトに南地区、エースとウイングに北地区の探索を任せた。
「これが竹田和晃君。見つけ次第連絡すること」
「はいっ」
2時間後、大通りを歩くマッキーに電話が。
「先生ですよ~」
「あたし、竹田さん見つけちゃったんです」
「竹田発見!」
マッキーはメモ帳を広げ歩道にしゃがみこんだ。
「竹田さんはやっぱり北のほうにアジト持っていますよ」
「しかも、中年男性が出入りするらしいですよ」
「中年男性?まさか」
「そのまさかですよ、まさか」
しかしエースとウイングの背後に竹田を含む4人ほどの男の群れ。ひとりが携帯電話を取り上げた。
「おい、誰と話してんだ。警察か?学校か?」
そしてエースは別の不良に殴られた。ウイングも抵抗するが、ビール瓶をもろにぶつけられてしまった。
「行こうぜ」「行こう、行こう」
エースは死力を振り絞って後を追いかけたが、男たちは車に乗った後だった。それからウイングを起こし、マッキーにリダイアルで男たちを逃がしたものの車のナンバーやステッカーなどは記憶したことを伝えた。

そのワゴンの運転手はなんと高橋だった。
「先生、助かったよ。何とかしてくれると思ったからな」
「先生はよしてくれ」
「でもいいよなぁ」
「何が?」
「そんなこんなで夜の街を歩けて、気分はオトナじゃん」
「はしゃぐんじゃない。今日は大事な人との飲み会だ。黙ってろ」
そして高橋はスティングとショパンの待つバーへ。そしてスティングは高橋に話をする。
「おやおやおや、誰かと思えば盛岡学園の先生じゃありませんか」
「知ってるのかい」
「ええ、何度も盛岡学園の近くを通りかかっていますから」
そして世間話をする二人。その頃外では竹田たち4人が見張っていたが、そこへマッキーとハングタンたちがやってくる。
「よくもかわいい教え子を…酒には酒じゃい、バッキャロー!!」
そう言ってマッキーはスピリタスの液体とニトロを混ぜたというバッキャロー弾を竹田たちに投げつけた。
「逃げろ!」「待てぇ、バッキャロー!!」
バッキャロー弾は爆発した。その爆音を聞いたスティングと高橋は店外へ。ショパンもピアノを止めた。
「何かあったようですね。爆弾事件ですか…?」
「行きましょう」
しかし高橋はスティングとショパンによって眠らされてしまった。スティングは竹田たちの処理も行なった。これであとはハンギングだけ。

ある暗室に秘密バーが開店した。マスターはスティング、バーテンはマッキー、そして接待ホステスはハングタンの生徒たちがやっていた。
「いらっしゃいませ。当店は世界の珍しいお酒を取り揃えています」
「ほぉ、珍しいお酒ですか」
「はい。アクアビット、ピンガ、コルネ、その他色々ございます」
そして高橋の周りをバニーガール姿のウイングが歩いてきた。
「ちょっと、僕はジャックダニエル」
「またですか?」
スティングのこの言葉に高橋は動揺した。
「…まさか」
「ただでは飲ませるわけにはいきませんよ」
そしてスピリタス登場。スティングはウイングとホワイトにスピリタス満載のグラスを運ばせた。しかしスティングは念を押す。
「さっきも言いましたよね、ただでは飲ませないって」
「チェーサー用意」
チェーサーというのは強い酒を飲んだ後に飲む水のこと。和酒では「和らぎ水」と言っている。なお、「ストレイト・ノー・チェーサー」というのはストレートウイスキーを水なしで飲むことを言う。それはさておき、生徒たちは高橋の背後にやってきてチェーサーの準備。
「さぁ、チェーサーだ」
しかしそれはなんとニトログリセリン!竹田たちもアローとエースにニトロを飲まされていた。こぼした男は小爆発の餌食になった。
「うわわわわわわ、なんて店だ」
「いやでしたらしゃべってもらいましょうか。盛岡中に迷惑をかけた与太郎さん」
そのときウイングがいつものドジ(?)でなんとライターを落とし、スピリタスとチェーサーを一気にこぼしてしまった!
「いやぁん」
高橋の周りは炎に包まれた。
「うわっ、助けてくれ。誰か火を消してくれ」
「真水をぶっかける。その前に未成年飲酒防止法違反などの罪をしゃべってくれませんか?」
ショパンはピアノでオペラ座の怪人のメインテーマを弾いていた。ここにきて高橋はとうとう観念した。
「竹田、平野、佐藤、石川は俺の教え子だった。しかし素行不良や家庭の事情で退学させられて…かわいそうでならなかったんだ」
「そりゃ、みんな教え子はかわいいと言うわよ」
「あいつらはすさんでしまった。そして酒に手を出して…俺は止めたんだ。でも俺も世の中が面白くなかった、だからあいつらと一緒に悪魔に魂を売ったんだ」
竹田たちは高橋を助けようと泣き喚く。
「高橋先生の指示でいろいろやったんだ。僕たちは悪くない」
しかしスティングは怒り狂った。
「アルコールの強い洋酒をストレート・ノーチェーサーで一気飲みすると危ない。現に昨日だって前九年公園でやっただろ」
「ああ、やったよ。そんでその帰りに今度は火遊びじゃなくて的当てをやろうって」
そしてショパンがピアノを止め立ち上がった。
「やっぱりあんたたちの仕業だったのね」
スティングが、マッキーが、そして生徒たちがバーから去った。残ったショパンもピアノの鍵盤を叩いてどこかへと消え去った…

と思いきや、ここは盛岡学園の高等部の屋上。高橋や竹田の自白が校内放送に流れていた。
「先生、助けてくれよ」
「馬鹿野郎」
「先生も面白いからって協力してくれたんじゃないですか」
しかし校庭に集まった生徒、事件の被害者たちは納得しない。
「よくも無理やり酒を飲ませたな」
「痴漢に間違えられたんだぞ」
「うちの息子は肝臓をやられそうになったんです」
怒号の飛ぶ中をパトカーがやってきた。それをハングタンたちは黙ってみていた。

事件解決の夜、スティングは今日は小じゃれたスナックにいた。そこにマッキーがやってくる。
「いやぁ、しかしオトナはいいよね。うまい酒が飲めて」
「本当よね」
「でも、酒はほどほどにと言うけど、ほろほろ酔えば百薬の長だからね」
「うん」
スティングとマッキーは二人だけの乾杯をした。

ハングタンが奪った嫌疑のお釣り

2008-11-23 22:08:59 | ザ・ハングタン
この物語はフィクションであり、人物・団体などはすべて架空のものです。また、決してこのような行為を真似してはいけません。
なお、ザ・ハングタンのメインキャスト設定等々はこちら

ある晩、松田と言う県職員が何者かに襲撃された。松田は男の顔を知っていたらしく、事件の直前に軽く会釈をしていた。その隙を男は狙っていたのだ。

翌朝、盛岡市清水町のショパンとマッキーの住むマンションではスティングこと原俊彦を囲んで酒盛りが行なわれていた。未成年である(中の人は「おとなデビュー」しちゃったけどね)ウイングは蚊帳の外。
「ハングタンの仕事がない日が一番楽しいんだから」
「ちょっと待て、俺は今から納豆の取材だ」
スティングは納豆の取材と称して部屋を出ようとした。そのときだった。
「はい、横田ですが…あ、少々お待ちください」
ウイングが電話に出て、ショパンを呼んだ。そしてショパンが受けた相手は何とゴッドこと大谷正治だった。
「ショパン、仕事だ。すぐに会いたいので、城址公園はどうかな」
「わかりました」
というわけで、ショパンはウイングを連れて城址公園へ。
「もう、バッキャロー!!」

城址公園もすっかり冬枯れである。
「もうすっかり冬よね」
ウイングは結構重ね着してきたみたいだ。福岡出身のウイングには岩手の寒さは相当堪えるはず。
「マッキーをひとりにさせちゃったけど、大丈夫かな」
ショパンがため息をついていると、そこにゴッドが。
「ショパン、実は折り入って話がある。これを見てくれ」
東北日報の社会面に冒頭の事件の記事があったのだ。
「松田達郎、48歳。中学3年の息子が学園中等部の生徒会長をやっている松田拓也と言えばわかるかな」
「はい。中等部のほうでも顔を何度も見てますから」
「この事件の犯人は大方県職員の不正や汚職に批判的な右翼だと言う声があるが」
「違うって言うの?」
「まぁ、あるいは昨今流行の正義を謳うテロリストや辻斬りグループかな」
「怖いよ」
ウイングはゴッドのテロリストや辻斬りという言葉に震えてしまう。
「でも…」
「ショパン、どうした」
「双方を合わせてみたらどうかしら。例えば不正事件を理由に知事を失脚させたい人が、テロリストとか辻斬り、通り魔を雇ったりとか」
「…まぁ、ないこともない。警察が一枚噛んで迷宮入りとかされたら大変だ」
「じゃ、OKなんですね」
「念のためだ」
そう言ってゴッドは今回の行動予算250万円をショパンに手渡した。
さっそくショパンは盛岡市の西に位置する長橋の松田家に向かった。松田家ではすでに焼香が行なわれており、ショパンも盛岡学園の先生ということで弔問に訪れた。
「このたびはとんだことで」
「先生…父さんの仇を」
「何言ってるの?」
「ハングタンに父さんの仇を」
ショパンからしたら驚いたのは当然だ。そして拓也からとんでもない話を聞いてしまう。
「父さん、何でも岡原って人にいっつも電話してたな」
「岡原さん、て言うのね」
「そうだよ」
ショパンは岡原という名前を気にかけながら焼香を済ませた。

ショパンから岡原と言う名前を聞いたスティングは、今夜も地酒バーにいた。
「純米と、水一升」
「もう、水だけで何リットル飲んだのよ」
「すまない」
「で、お姉ちゃんの話の続きなんだけど」
「岡原って言ったんだね」
「うん、農林水産大臣の許可証を持ってるからって」
「岡原…岡原…」
スティングは岡原という名前を必死に思い出していた。しかし岡原といえば以前スティングたちが競馬をめぐるゴタゴタで利用され、自殺未遂を図った岡原幸樹のことだ。
「岡原さんは確か死んだ…いや、岡原はんは一命を取り留めたとニュースで」
スティングはまさかと思った。
「岡原幸樹のことか。確か松田さんは競馬場運営部署だったらしいからね」
「だとしたら、やっぱり」

松田が刺された件で、東京の六本木ヒルズの中で密議が行なわれていた。
「松田達郎が刺された一件ですが、盛岡では混乱が起きていますね」
「やはりな。しかし岡原の名前が出たことはまだ警察も感づいてないな」
「おそらくは…ただ」
「どうした?」
「もし大谷さんと腹心の配下に探られると」
「大谷さんは腹心の部下を全員クビにしたんだ。いまさらどうってことはない」
「我々が保釈で一週間で出られたあと、岡原が一命を取り留めたと知ったときは驚きましたけど」
「ああ」
ボスの名前は中谷隆一、そしてしゃべっていたのは以前スティングのチーム「ザ・新選組」と激闘の末敗れた「シャドウ・トリニティ」の一員、桂木晋作だった。
「桂木君、万が一ということもある。すぐに長谷川と接触しろ」
「わかりました」

一方、警察は松田達郎殺害容疑で相馬と言う男を挙げていた。相馬は元中央競馬の厩務員だった。
「どうしてわたしを逮捕するんですか」
「相馬、お前は4年前に飲酒運転で捕まったことがあるな」
相馬は4年前に不祥事で厩務員をクビにされた。その後は地方競馬場を転々としていた。スティングはそれを知っていた。
「捕まった相馬は昨年辺りから盛岡や水沢で見かけてたんだよ、なぜそんなことを…」
「へぇ」
「ところで4年前の事故って」
スティングはショパンに4年前の交通事故の記事を見せた。
「4年前に長谷川って新人騎手が事故死したんだが、そんときに関与したのがこの相馬雄吉だ」
「相馬さんって、藤原厩舎所属だったの」
「そうだ。だから岡原幸樹の名を騙って…」
「そう言えば、松田さんは」
「松田さんが競馬ネタで何か?」
「ここをJRAに買い上げるって、そして場長に岡原さんをなんて」
「前にもどっかで聞いた話…あっ!」

スティングは盛岡学園の理事長室でゴッドに話をした。
「保釈!?」
「そうだ。桂木晋作も、そして4年前の相馬雄吉もな」
「どういうことですか」
「実は保釈屋と呼ばれる裏ビジネスが暗躍している。この前もある芸能事務所の社長がそれで保釈になった」
「確か保釈金をローンする人ですよね」
「ただし、今回の場合は岡原も相馬も桂木も競馬絡みだ。それに4年前の事件、その事故で死んだ長谷川の兄を調べていたら…」
ゴッドはスティングに長谷川の兄のデータを見せた。
「長谷川寿志、28歳。4年前に事故死した長谷川政志の兄だ。それに、長谷川の勤める会社社長の中谷隆一」
「この中谷ってのが、今回の黒幕ってわけですか?」
「いや、そうとも言えんな」
「どうしてですか」
「君の言う岡原幸樹の話がもし長谷川か相馬によるでっち上げだとして、中谷を逮捕すればそれで済むのか」
スティングは一瞬考えた。
「この話、松田達郎の息子の拓也君にも関わってくる話だからな。きっちり始末をつけて欲しいんだ」
「先生にもよろしく」
その後ゴッドはショパンにも同じことを説明した。そしていよいよハングタンは長谷川寿志と桂木の始末に向かった。

盛岡駅ではハングタンたちが長谷川と桂木が接触するのを待っていた。
「長谷川ってのはこの人ね」
ウイングとエース、それにアイリは南口、アローとホワイトはスティングと北口を張った。
「これで袋のねずみだ」
スティングが桂木の顔を見た。そしてそこへマッキーがやってきて、長谷川に声をかけた。
「長谷川様ですか、桂木さんと言う方がお待ちです」
「そうですか」
しかし長谷川と桂木は盛岡駅からハンギングの場所へ連れ込まれた。そしてスティングは桂木に顔を知られていることを理由にハンギングには参加しないと言った。
「そんで、これが桂木の保釈金からたかった分だ」
そう言ってスティングは桂木から取った25万円と中谷隆一名義の証文をショパンに手渡す。

放課後、中等部の拓也の下足箱にショパンからの手紙が入っていた。
「先生、約束したよね。きっとお父さんの仇を取るって。ハングタンのみんながお父さんの仇を取ってくれたわ。だから今すぐ盛岡駅の滝の広場へ来てね」
それを見た拓也は自転車で盛岡駅に向かった。

一方、ハンギングを前に桂木と長谷川は戦々恐々としていた。
「念のため、この証文を確認させてもらいますよ」
マッキーがさきほどスティングがショパンに渡した証文を二人の前に見せた。
「松田さんと言う競馬運営担当官を買収して、計画を進めようとした。しかしそれがうまくいかずに殺した」
「違う、違うんだ!」
「いいえ、長谷川さん。あなたは弟さんの仇を取ろうとしたんでしょ」
「た、確かに俺は政志の事故の真相が知りたかった。だが、それを知ったときには…」
「そうですか。では桂木さん、馬に蹴られて死んでください」
すると、二人の後ろに大きな馬の足が。しかも蹄は斧のような形をしていた。
「この後ろの斧が背中に刺さったら大変ですよ…」
そして斧はマネキンに突き刺さった。これを見た桂木は恐怖におののいた。
「さぁ、どうしましたか?」
桂木はまったく知らないと白を切り通したが、さすがに斧が首筋に近づくともう怖くなった。
「中谷さんに金積んでもらって保釈されたんだ、岡原の名前を騙ったのはこの長谷川なんだ」
「冗談じゃない。政志の仇の相馬って奴を盛岡で見た人がいるって言うから、たのむからやってくれと言ったんだ」
「そんなこと言っちゃいない、岡原の名前を使ったのは相馬だ、それに中谷さんの考えに反対する県職員の松田を殺したのは長谷川だ。でもすべて中谷さんの差し金なんだよ」
「と言うことは、相馬はシロですね?」
「相馬は中谷さんに保釈金の恩を受けた人間なんだ、それを殺せなんて酷いボスだ」
桂木と長谷川の自白は盛岡駅滝の広場に響き渡っていた。桂木と長谷川は滝つぼの中心で縛られていただけだったのだ。

「桂木さん、まだ競馬場乗っ取りをあきらめていなかったのですね」
「そうだ、悪いのは中谷さんだ。あいつは競馬関係者の保釈や過怠金立替などやっているんだ」
「でも俺と相馬さんはあんたに利用されただけだ。中谷さんは俺を消そうとあんたを盛岡に送ったんじゃないか」
「ふざけんな」
そんな罵りあいを拓也も見ていた。そしてハングタンたちはスティングと一緒に対岸のぴょんぴょん舎で食事しながらこの光景を見ていた。
「よかったね」
「でも、中谷さんは保釈金なんかで人の罪をもみ消す人よ」
「したたかな男だ、当面長い付き合いになりそうだな」
憮然とした表情でスティングはハラミと牛タンを食べていた。

ウイングの危ない夜遊び!?

2008-11-20 17:26:16 | ザ・ハングタン
この「ザ・ハングタン」はフィクションであり、登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。

盛岡学園の3年A組、千葉祐二は盛岡市の中の橋通りを歩いていた。しかしその右手にはカッターナイフが…
そして歩いていた中年女性の腹に若い男がナイフを突き刺した。その光景を偶然にもウイングこと高橋弥生が見てしまった!

「で、その女はどうしたのよ」
「病院に運ばれたようです。意識はしっかりしているようで、幸い…でも」
ウイングはマッキーこと牧村環と話をしていた。
「その犯人がうちの生徒かもしれないのよ」
「えっ?」

翌朝、千葉祐二は学校に現れなかった。
「祐二の奴、どうしたんだよ」
「まったく」
エースこと荒川まどかと生徒会長の太田カナも男子生徒たちのぼやきに呆れていた。
「千葉君が来ていないって言うとすぐに何か…」
「よっぽど心配なのね」

理事長室ではゴッドこと大谷正治がマッキーとショパンこと横田夏子に昨夜ウイングが見た事件の話をした。
「実は昨夜刺された女は高野と言うペテン師だった。そして千葉祐二の家も高野の被害に遭っていた」
「…それじゃ、祐二君を捜して警察に突き出せってこと?」
「いや、実は千葉祐二とは別の若者が目撃されたと言う情報があるんだ」
「なるほど」
「高野の身辺調査と、別の若者に関する情報から、全国展開している詐欺集団が盛岡に網を張っているということがわかってね」
「事件の元凶を断て、ということですね」
「そういうことだ。もし弥生君が別の若者の顔を見ているとしたら」
ゴッドは間を置いた。マッキーは考える。ウイングが別の若者に刺されることになったら…と。
「そうならないように、その若者を探すことが先決でしょう」
「よくわかったな。じゃあしっかり頼む」
千葉祐二は本宮にある自宅に引きこもっていた。
「今外に出たらみんな僕を犯人にしてしまう…僕はやってないんだ」
そして祐二は布団にもぐった。

一方、ナイフを振り回した若者は御厩橋の下で紙や枯木を燃しながら暖を取っていた。
「畜生、他にも同じことしてる奴がいたのか。畜生」
そこへ一人のスーツ姿の男が現れる。
「吉村慎二君だね」
「はい、それが何か?」
そしてスーツ姿の男は吉村の胸をナイフで突き刺した。
「よくもボスに怪我をさせたな。これ以上暴れまわっていては困るんだよ」
そう言って吉村を川に放り投げた。

ボスが入院している盛岡市立病院の病棟にさきほどのスーツ姿の男が現れた。ボスと呼ばれた高野千世子の病室へ見舞いに来たのだ。それをマッキーとウイングも確認。
「ボス、ご安心ください。吉村慎二は始末しました」
「ご苦労さん」
そして男は高野に過去の顧客リストを見せた。この地域だけでも100人は被害に遭っているというのだ。
「岩手の人間は犬みたいなもんですからな」
「ま、負け犬って感じかしら。あたしから見たら」
それを聞いたマッキーは岩手人でないからと言っても怒り心頭。
「バッキャロー!」

ショパンは千葉祐二の家に家庭訪問に来た。そして祐二に話を聞くことにした。
「僕、母さんのためにやったんだ。母さんは高野って女に騙されてたんだ」
高野はインターネットで化粧品販売をするアフィリエイトを祐二の母に勧めていた。しかし化粧品のメーカーの実体がないことを知って母は自殺を図った。だが未遂に終わっている。
「すいません、至らない母親で。それで祐二がこんなことを」
「違うんだ!僕より先に刺した男がいるんだ」
「えっ?どういうことよ」
祐二の話では、祐二が飛び出そうとしたちょうどその時に吉村が高野を刺したというのだ。
「なるほど、吉村さんね」

ショパンはさっそく中間報告で吉村の話をした。しかしホワイトこと白澤美雪が吉村の死体が紫波町の北上川河川敷で発見されたと言う話を持ってきた。これを聞いたショパンは驚いた。
「手がかりが消えたわね」
「いや、吉村慎二を殺したのは高野の部下よ。岩手県民を負け犬だと言う欺瞞な態度、新潟県民だけど許せないわ」
「高野の入院している病院が鍵を握りそうね」
「そう言えば、葵は?」
「葵はちょっと体調がすぐれないって言って…」
マッキーは考えた。明日アローこと斉藤葵を盛岡市民病院に連れて行こうと。

そして翌日、マッキー、ショパン、アロー、ウイングの4人で市民病院へ。アローが内科の受診中に残る3人は高野の病室付近を探っていた。マッキーは高野の部下に話を聞くことにしたが、そこにはウイングが待ち構えていた。
「一昨日、千葉祐二って高校生が肴町で刃物を振り回してなかった?」
「…さぁ」
「この子が見てるのよ」
そしてウイングが高野の部下をドーン!と叩き潰した。そこへあのスーツ姿の男がやってきて、ウイングにナイフを突きつけた。
「きゃあっ!」
「そうか、お前目撃者か」
マッキーとショパンはウイングが捕らえられた姿を見て、脂汗をかいた顔になった。
「口封じね」
「そうさ」
そこへワラダのようにトンビの鳴き声のする棒が飛んできた。これはアローが上の階段の踊り場から放ったものだった。
「今のうちよ。弥生逃げて」
そして男は下の階に逃げたが、ここにはホワイトとエースがいた。結局高野の部下たちはみんなやられてしまった。

さて、千葉祐二の家に手紙が届いた。祐二はその手紙を読んだ。
「明日午前8時、石割桜の木の下で高野千世子以下詐欺、殺人の犯人グループに裁きが下ります。ぜひお越しください」

夜8時、部活帰りのウイングが悪人たちに色々と…
「さぁて、みなさんには思い切り汗を流してもらいましょうね」
「どういうことだ」
マッキーがやってきて説明する。今回のハンギングはハンドボールをよけるものだ。
「このハンドボールには、10mlのニトロが入ってますよ」
そしてウイングが投げつけるとボールは爆発した!恐れおののく高野とその部下たち。
「逃げろ」
しかし逃げたところでまたウイング登場。今度はおみ足きらりのバニーガール…だが、さすがにここはハングタン。ルーレットの中に高野と部下たちが入ってしまったのだ。
「今から回ります」
そしてウイングはハンドボールをルーレットの中ほどに投げ、転がしていった。さっきの爆発を見ている高野たちは戦々恐々。
「助けてくれ、助けてくれ」
「何もしゃべってはいけません」
「吉村を殺したのは俺だ。でもそれはボスの命令なんだよ」
「長田!」
「そうだよ、長田さんの言うとおりだ。みんなボスが被害者リストかき集めて被害者救済とか何とか言って…」
「みんなどうしたの?おかしいこと言って」
その間にもボールがルーレットにどんどん投入される。ついに高野も自白してしまった。
「助けて」
「ボス!」
「はじめから商品なんてなかったのよ、ただお金が欲しいからいろんな商材でっち上げて…」
「そんな、実際にネットで商材仕入れてこいって言ったの社長じゃ」
「そんなの営業のリップサービスよ」
部下の一人がついに切れてしまった。
「ボス、長田さん、あんたたちは人でなしだ」
「鈴木君、なんてことを言うんだ」
「吉村慎二にボスを殺させようとしたのは、長田さん!あんただよ」

病院での暴言とセットでこの自白テープは翌朝、盛岡市の石割桜の下で流された。この場所は盛岡地方裁判所である。さらにマッキーの声でこのような注意喚起も。
「みなさん、おはようございます。昨今ネットビジネスにおいて実際の商材がないにもかかわらずあるかのような詐欺が多発しています。ネットビジネスは世界中どこにいても社長になれる反面、実際には非対面式のため実態がぼやけてしまうことが多々あります。皆さんも確かな目でネットビジネスの善し悪しを判断しましょう」
その自白を千葉祐二も見た。そこへショパンが運転する軽自動車が通りかかったので、祐二はショパンの車で通学することになった。ほどなく高野たちは警官に逮捕された。


考察・そもそもウイングこと高橋弥生の設定とかは・・・

2008-11-19 13:59:58 | ザ・ハングタン
実のところ、初年度のハングタンの時代から彼女はなぜかいるんです。もっとも福岡県の女子バスケの名門校を退学して盛岡学園に行った、という設定は前にも書きましたけど…

以前書いた設定はこちらですが、抜粋して。
高橋弥生…ウィング
福岡の名門女子校から突然転校し、バスケ部のキャプテンに。なお社会人になってから高橋から藤野に姓が変わっていたりする(??)

まぁ、ショパン(ピアノ教師、中の人はのだめ)とウイングは鉄板かなと思えるんですが。設定の段階で本人に近づけているところがあるんですよね、川澄さんにしても、鹿谷さんにしても。

初年度ではインターハイで対戦した話、そしてウインターカップ後に退学してマッキーこと牧村環を慕って盛岡学園にやってくるまでの話(書きかけ)があります。

ハングタンの日常②

2008-11-16 08:30:40 | ザ・ハングタン
ハングタンの日常、第2弾です。

横田夏子、牧村環、高橋弥生が共同生活するのは清水町にあるマンションの一室。
「環、弥生、ちょっと手伝って」
しかし環と弥生はゲームに夢中、夏子は怒髪天を衝くような怒りを包丁に込めていた。

「ちわーっす、新聞です」
環が出て来た。だが、新聞の勧誘の正体は原俊彦だった。
「お料理ですか~今日は何かな」
「ひっつみぃだって」
環のこの言葉に俊彦は動かされた。ひっつみといえば俊彦の好物のひとつだ。
「こうか」
そう言って粘土をこねては千切り、というしぐさをした。
「そんじゃ、僕も一緒に…」

ひっつみは一種のすいとんである。しかし小麦粉をこねて、それを千切って投げて…というもの。ほうとううどんの切る動作を手で千切る動作に変えたものと考えて欲しい。
さて、夏子と俊彦はすいとん作り。
「小麦粉は南部小麦を使う。基本だよね」
「はいはい」
  
「そして水だ。これは仙人秘水を使おう」
夏子は環の酒飲み用の水として仙人秘水や龍泉洞の水を買いだめしていた。
「龍泉洞の水でもいいが、仙人は鉄山がルーツだからね」
仙人秘水というのは釜石市の西の果て、陸中大橋の釜石鉱山の地下から湧き出る水のこと。非加熱処理のため栄養分を損なわないのが売りだ。
   
「これで、今日はやわ目につくろう。だしは…この岩手田舎味噌に麹味噌、弥生ちゃんのために買った白味噌と」
「野菜はすでに切って処理してるから、あとは味噌だけ」
岩手田舎味噌は県産の大豆が主原料。早池峰山の水で仕込んだもので、岩手県ではCMも流れている。その他盛岡市内では麹みそもつくられている。
 
「じゃあ、盛岡凍み豆腐も入れときますね」
盛岡市民は日本一豆腐を食べることで有名。また納豆もよく食べる(うちだけ…?)。鹿谷さん、ちゃんと覚えておくように(彼女は納豆食べるらしいから)!
 
「味噌は最後のほうに入れないと大変だよ」
「うん、この前もマッキーが失敗したから」

そうこうしているうちに、ひっつみ完成。さっそく四人で食べてみることにした。
「んじゃ、いただきま~ックス」
俊彦が毒見役として最初に箸をつけた。ちなみに今回は白味噌と麹味噌と田舎味噌を2:1:1で調合している。
「うめぇ」
ここで環がくすっと笑った。
「あんたさぁ、芸能人だったら石塚さんと一緒に食べ歩きできたのに」
「えっ?」
「だってあんたの食べてるときの顔、面白いよ」
弥生もはやし立てる。
「ホントだ」
「いいじゃん、イーじゃん、スゲーじゃん!」
というわけで、ハングタンたちは岩手名物のひっつみを堪能しましたとさ。

どっどはれぇ。