山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

秋来ぬと目にはさやかに‥‥

2005-10-03 11:11:18 | 文化・芸術
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>

EVP_01-1

-今日の独言-

 10月1日、インドネシアのバリ島テロで、死者22名、負傷者107名にのぼると報道されている。
不幸にも犠牲となった死者のうち日本人1名(青森県)が含まれていた。新婚の旅先での不慮の災厄。誠にお気の毒である。謹んで御冥福を祈る。
東南アジアのイスラム過激派「ジェマー・イスラミア」による可能性が高いとされているが、現在のところ犯行声明は確認されていないようだ。


<秋-1>

 この寝ぬる朝けの風の少女子が袖振る山に秋や来ぬらむ
                            ――  後鳥羽院


初句から第四句半ばまで、「山に秋や来ぬらむ」へとかかる序詞の働きとともに、
第三句「少女子-をとめご」が生き生きと鮮やかに浮かび上がる。


 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
                            ――  藤原敏行


古今集秋歌巻頭におかれ人口に膾炙した著名な一首。
子規は理の勝った凡作とみたが、上句における視覚と、下句における聴覚の、対照は際立ち、爽快に理を述べたてたその姿と調べは、そのありようこそ古今集の特色ともいうべき世界かと。
「さやか」は「さだか」とほぼ同じ意。


⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。