-今日の独言-
「キューポラのある街」の早船ちよさんの訃報。
映画「キューポラのある街」の原作者で知られた児童文学者、早船ちよさんの訃報が9日報じられた。享年91歳、老衰によるとあるから、天寿をまっとうした静かな往生であったろう。
原作の小説は1959年、雑誌「母と子」に連載されたという。日活で映画化されたのは’62年、主演は吉永小百合、共演に浜田光夫。浦山桐郎の初めての監督作品だった。以後、日活は主軸のアクション路線に加えて、吉永小百合を中心とした青春純愛路線の映画を量産していく。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<秋-5>
狩りくらし七夕つ女に宿借らむ天の河原にわれは来にけり
在原業平
古今集・秋上、伊勢物語第八十二段。惟喬親王の桜狩に従い交野の渚院でものした歌とあり。「交野を狩りて、天の河のほとりに至るを題にて、歌よみてさかづきはさせ」との仰せによる。当意即妙の応酬を超えて、華やかで悠々たる詩情。枕草子に「七夕つめに宿借らむと業平がよみたるもをかし」との件ありと。
ながむれば衣手すずしひさかたの天の河原の秋のゆふぐれ
式子内親王
新古今集・秋上。七夕といえば織女と彦星の儚い逢瀬に寄せた調べの多いなか、式子は「ながむれば衣手すずし」と爽やかな季節感だけを表立てていかにもおおらかに直線的に詠み放った。それも星のきらめく夜ではなく夕暮れを歌うという間接的な手法など、新古今の七夕歌のなかで際立っている。
⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。