
-今日の独言-
ひらかたパークの菊人形 -参照-
明治43(1910)年、京阪電車の開通記念として始まり、96年もの歴史をもつという、ひらかたパークの菊人形が12月4日の最終日をもって幕が閉じられる。
敗戦時の昭和19(‘44)、20(’45)年の二回のみ欠かしただけで、毎年秋に必ず開催されてきた菊人形展は、その規模といい華麗さといい我が国屈指のものだったろう。
私の幼い頃は、このシーズン、田舎からの来客などがあれば必ずといっていいほど、家族連れ立って観に行ったものだが、それももう遠い昔、セピア色になってしまった今となっては懐かしいだけの光景だ。
今年で打ち切りの話を聞いた枚方市が「菊人形製作技術伝承会」を設け、菊人形作りの継承を模索しているようだが、是非ひとつの伝承工芸文化として守り育てていくことを望みたいものだ。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<秋-3>
たのめこし君はつれなし秋風は今日より吹きぬわが身かなしも
詠み人知らず
後撰集、秋の歌に編まれているが、身細るばかりの哀切な悲恋を詠んでいる。秋は飽きの縁語ともなっている。待つ恋の女歌か。「今日より吹きぬ」が効果あって、現実の風の冷やかさが感じられ、苦しい恋に嘆く女の溜息が聞こえるほどの調べとなっている。
暮れゆかば空のけしきもいかならむ今朝だにかなし秋の初風
藤原家隆
新勅撰集、秋上。歌の中心は三句と四句。述懐の心、思いの深さが、「いかならむ」、「今朝だにかなし」によく籠もり、結句の体言止めが効果をあげて、確かな技巧と映る。
⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。